脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線

  • 講談社
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感想 : 57
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065265154

作品紹介・あらすじ

【松尾豊氏、絶賛!】
「脳とAIが融合する未来。怖いと感じるでしょうか、わくわくするでしょうか。
脳に知識をダウンロードできたら? 互いの脳をインターネットでつなぐことができたら?
――そんな未来が可能になりつつあることを、本書は垣間見せてくれます。
グローバルな科学技術の進展と、それが産業化するときのスピード。
それに対し、自分たちがどう考え、どう備えないといけないのか。そんなことをこの本は問いかけてくれます。
著者の人間と技術への愛と好奇心、そして洞察に満ちた、読後になぜか心が温かくなるような良書です。
科学技術、そして我々の社会の未来を考える人、必読です。」松尾豊(人工知能研究者、東京大学大学院教授)


脳と人工知能をつないで「脳を改造」したら、何が起こるのか?

・会話せずに相手に思っていることを伝えられる
・念じるだけでインターネット検索ができる
・睡眠を司る脳領域を刺激して、一瞬で深い眠りについたり目覚めたりできる
・食欲を司る脳領域を刺激して、苦労せずにダイエットできる
・脳の健康状態をAIがチェックして、うつになる前にメンテナンスしてくれる
・紫外線や赤外線が「見える」ようになる
・アインシュタインなど過去の偉人の"脳"を借りられる
・コンピュータ上に自分の脳を再現できる

これは、SFの世界の話ではありません。
科学者たちが真剣に見据えている近未来なのです。


脳と人工知能の融合研究によって、
これまでは想像もできなかったような成果が次々と生まれ始めています。
計り知れない可能性を秘めた「脳」を持つ私たちは、
「身体」という物理的な制限から解放されるかもしれません。
二つの研究分野の最先端で、今何が起こっているのか。そして未来には何が起こるのか。
気鋭の脳研究者たちが「人類の限界」に挑む!


■目次
イントロダクション ――2XXX年の未来予測
第1章 脳とAI融合の「過去」
第2章 脳とAI融合の「現在」
第3章 脳とAI融合の「未来」

感想・レビュー・書評

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  • 池谷裕二さん主導の研究テーマなので読んでみました。
    脳とAI融合とは「脳と人工知能を接続する」ということですが、まだ初期段階で成果も乏しいし、法的・倫理的な問題もあります。
    本書は人工知能開発状況の現状認識に役立ちました。

    「人工知能」は「ヒトの脳」と優劣を競う時代から、「ヒトの脳」といかに共存するかという時代に突入しています。

    最近は「AI家電」とか「AIで苦手を分析する教育」など、お気軽にAIを付けた商品が世間に溢れています。
    ごく単純なプログラムをAIと言ってるようなものもあるので、AIが付くものは怪しいと思ってしまうようになりました。

    「人工知能(AI)」とは何か。

    松尾豊先生も「人工知能の定義は専門家の間でも定まっていない」と述べています。

    世間では暗黙の了解として、
    「人間が普段行うような活動や振る舞い、知的活動を人工的に再現する技術」
    であれば、AIと呼んでもよいみたいです。
    どのような技術をもってAIだと言っているのか、AIと接する時にはそこを確認しておく必要があると思います。

    本書では「脳AI融合」の研究を紹介するのに先立ち、最先端の人工知能の具体例が示されています。
    チェス、将棋、囲碁でAIが人間を超えたのは、既に何年も前のことです。
    ここ数年では、自然言語処理分野について飛躍的な進歩があることを知ることができました。

    Google翻訳も精度が向上しましたが、DeepL翻訳というさらに凄いレベルの人工知能ができており、誰もが使えるようになっています。
    私も早速DeepL翻訳でCNNなどの海外の記事を読んでみましたが、かなりこなれた日本語に翻訳されました。(これは使えます。お試しあれ。)

    GPT-3という文章作成の人工知能も衝撃的で、テーマを与えると専門家が書いたような記事が出来上がります。
    DALL・Eは、テーマを与えると画像を作り出す人工知能ですが、これも有名画家が描いたような作品を作り上げます。
    DALL・Eは固有名詞の認識には、GPT-3を使っているそうです。

    「言語と画像と音声」の「認識と生成」技術の進歩はすさまじいので、人工知能が作ったフェイクニュースに騙されないよう注意が必要です。

    脳と人工知能の融合研究では、
    ・考えていることを文書化する。
    ・夢を読み取る。
    ・目が見えなくなった人の視力を取り戻す。
    などの実験で、希望が持てそうな成果が出始めていました。

    現在、人工知能研究のツートップは米国と中国だそうです。
    優秀な研究者を多く確保していることが大きいですが、大規模で超巨額な高性能コンピュータが必要です。
    十分な予算を投入できない国や企業は取り残されるのが、人工知能研究の世界です。

    発展著しい人工知能ですが、課題があります。
    それは、「意味を理解していない」「人工知能に意識は宿るか」ということ。
    人工知能は結局はコンピュータ上のプログラムに過ぎません。
    このあたりの話題については他に面白そうな本があれば読んでみようかと思います。

    本書で述べられていた内容ではないですが、最近AIの恩恵を大いに受けたものとしてコロナワクチンがあります。
    通常10年かかるものが、短期間で開発できたのもAIの活用によるところが大きいそうです。
    モデルナなどは、2010年設立の(市場で販売する製品は1つもなかった)ベンチャー企業だと知って、AIの有効活用がいかに重要であるかを感じました。

  •  脳研究、人工知能研究いずれも近年急速に進歩している分野であるが、両者を組み合わせたならばどれほどのことができるのか、最先端の興味深い事例が多数紹介される。
     イーロン・マスク率いるNeuralinkの取組では、アカデミアとインダストリーの繋がりにより短期間で驚異的なブレイクスルーが実現されているが、豊富な資金力と高性能のコンピュータを擁する者の強みが実感される。(治療目的ではあるが、脳に電極を埋め込んだりと、SFに現実が近づいている感がした。)

     著者は、東京大学「池谷脳AI融合プロジェクトに所属しているが、同プロジェクトでは、脳の未知なる能力をAIを用いて開拓することで、脳の潜在性の臨界点を探ることを目的として研究が行われている。
     倫理的な問題には十分配慮して研究は行われているようだが、こうした取組の先にある"未来"はどのようなものとなるのか、各人の人間観、世界観を問われそうだ。


  • とても良い。タイトルに「人工知能」の入った一般書は基本的に読まない派だが、そういう人達にもぜひ読んでみてほしい。

    平易で情報の伝わってくる文章で面白い研究や取り組みをたくさん紹介している。Neuralinkやノーベルチューリングチャレンジの動向を今後も追っていきたい。
    最新情報や最新の研究が多く含まれており、神経科学とメタバースの融合について意見を述べる際FacebookがMetaに社名変更したことにまで言及されていることには驚いた。出版直前まで文章を推敲していたに違いない。

    個人的に人間の認知とこれからの科学のあり方について考えされられた点が一番良かった。
    「意識を持つとはどういう状態なのか」「意味を理解するとはどういうことなのか」の問いに紹介されたトノーニ先生の統合情報理論や北沢先生の主張は面白かった。なおここでこの理論が正しいかどうかは誰にも分からないよ、と一言添えている点に誠実さを感じた。
    従来の科学は仮説検証と人間による理解を重んじており、自身も重んじて生きてきたけれど、潤沢な計算資源を用いて仮説を立てずして正解を導くことや人間には理解できない万物の方程式が生み出されることが現実的になってきた今、科学に対する姿勢や取り組み方は大きく変わっていくのだろうと未来に想いを馳せた。

  • 最近の動向がコンパクトに分かりやすく紹介されていることに加え、著者(紺野さん)の意見もすごく参考になります。
    読んでて著者のワクワク感が感じ取れる一冊でした!

    本文中に、「過去の偉人のデータを GPT‐ 3に学習させることで、あたかもその人が発言したかのような会話ができる」とありました。
    人間の思考は学習によって変化しますが、圧倒的な速度で学習するGPT-3にも"思考の進化/変化"は見られるのか?という点が気になりました。

    また、「脳のデータと人工知能を利用して精神疾患をこれまで以上に客観的に研究・診断・治療しよう」という点については、国内企業にも自然言語処理技術を活用した診断支援プログラムの開発を行なっている企業があり、基礎研究と産業の今後の発展が楽しみです。

  • 久しぶりに小説以外の本。

    脳とはまだまだ解明されていない分野だとは知っていたけど、それをAIとつないだらどうなるか、という側面で描かれた本。

    こんな研究が進んでいるのかとか、
    AIがここまでできるようになってるのかとか、
    知らないことがいっぱいあった。

    その中で、人間らしいとは、AIには出来ないことはなんだ?とか考えてたけど、AIも人間しかできないと言われている領域に踏み込んできていることが描かれていて、驚いた。

    人間しかできないこと、というよりは、いい所をもらって、刺激してもらって、より良くなっていくという未来の話は、映画のようだと思った。

    この本で書かれている内容が50〜100年後には実現してるかと思うと、科学ってすごいと思った。

  • 多くの著作をお持ちの池谷裕二氏の監修の元、プロジェクトメンバーの紺野大地さんが丁寧な筆運びで最新の脳科学-人工知能の研究論文を短い単元で紹介してくれています。紺野さんが年下というのが少し衝撃を受けたのはともかく、昨今トレンドの渦中に渦巻いているテーマに関して大局的に学ぶことができましたね。

    MBIのテーマではかのイーロンマスクが新会社を設立してこの分野で多大なリソースを投資して技術発展に寄与しているなんて、まったく知らなくて驚き。サイファイでしか疑似体験できなかった世界が、現実に迫っているのをひしひしと感じました。特に四肢麻痺や精神・神経疾患の患者をサポートする技術応用は、明確な社会的意義を見出せているし、何となく夢物語とロマンの狭間でむんむんする科学者たちを想像してたけど、現実利益とマッチングも存分に可能性あるんだなーと。

    最終章のオッカムのカミソリと人工知能によるダイレクト・フィットのジレンマ。人間の能力を凌駕する心理に対して、人間は理解できずに受け入れることはできるのか、壮大な論点です。紺野さんは今までも脳がアップデートされてきている実例を頼りに、明るい未来を提示してくれていて、2050年ごろには(まだ生きてると信じたい)今と全く違った世界が広がっているのかなーと夢想に耽るのも悪くない。ディストピアだけは勘弁と思う気持ちもありますが、人間の好奇心・探究心はノンストップなのさ、ふふん。

  • とりあえずメモ程度に。

    著者が脳科学・人工知能の科学者ということで、当然これらを全面肯定する立場にいるのは重々承知しているが、人工知能に対して、ややナイーブすぎる考え方なのではないかと思ってしまった。
    本文にて、「〇〇という文章を書いておいて」と自然言語で人工知能にお願いすると、そのような文章を書いてくれる時代が来るのではないかと思いワクワクしている、といったようなところがあったが、こういう時代が来たら人間の在り方をより一層考え、悩まなければならなくなると思う(ちょうど、芸術家がカメラの登場で芸術の在り方について悩みもがいたように)。

    筆者としての1つの答えとして、「人間にできることは生涯をかけてのストーリやコンテクストを積み上げること」が人間にできること、と言っている。これについては同意するが、もっと深い洞察を本書で述べてほしかった。

  • デジタルテクノロジーとAIと生物学の進展から人間の脳に対しての新しい世界が生まれつつある。
    脳とAIの融合についての研究が進んでおり出版物も多くなっている。この本はそれらの理解を深めてくれると同時に東大・日本に於ける脳の解明の最前線を知らしめてくれる。
    素人の感覚からは想像もできない脳の可能性が垣間見えてきている、そしてそれを活用する(難病の治療、人間という種の拡張、新たなる種の「創造」)研究の一端を知ることができる。日進月歩のスピードでこの分野も進んでいることも認識させられました。

  • オススメの一冊。
    まず表題がすごい。脳と人工知能がつながる?

    SFや空想の話ではない。東大教授と東大病院の医師の共著による冷静で現実的な本である。

    医学や情報科学の指数関数的な進展でヒトはどうなるのか、シンギュラリティを迎えるのか。断片的なニュースに戸惑うばかりの私にとって、格好のガイドブックが見つかった。

    脳と人工知能(AI)の融合について、過去、現在、未来の3つの章に分け、これまでの成果と現在の最先端の状況をわかりやすく整理し、未来予想図をビビットに示してくれる。

    どのページの内容も濃密。敢えて要約すれば、爆発的に進化している脳研究の世界のことを、紺野先生の「纏括力と執筆力」で鮮やかに切りさばいてくれる格好のテキストとでも言えようか。

    脳と人工知能の融合により実現しつつあるワクワクするような革新が簡潔にスピーディに語られつつも、専門家としての抑制の効いた誠実さを感じさせる文章なので安心して読み進むことができる。

    落ち着いた筆致でありながら、情熱と躍動感に溢れていて、未知なる「知」に戯れる喜びがひしひしと伝わってくる。イラストや写真により多くのエピソードがわかりやすく紹介されているのもうれしい。

    読後、神経科学や人工知能についての視界が一気に広がった。ニュースをフォローしていくための自分なりの視点、軸ができた気がする。よく耳にするメタバース(多次元の世界)やイーロン・マスクのNeuralink が、何だか身近な存在に思えてきた。

    「進化しすぎた脳」の池谷先生が率いる、脳AI融合(!?)というすごい名称のプロジェクトがあるという。その研究室に東大病院医師の紺野先生が参画し、この共著が実現した。今後、このプロジェクトがどんな成果を上げるのか、楽しみだ。

    紺野先生は、note やTwitterで最新のテーマを扱った情報発信をしている。podcast の「研エンの仲」では、「#35 老いというヒトの限界は克服できるは克服できるのか?」にゲスト出演していて生の声を聴くこともできる。

    紺野先生は、数年後、いや数ヶ月後には、ものすごい有名人になっているような気がする。そんな予感を抱いた一冊だった。

  • 近い研究をやっている身として、かなり面白かった。

    GPT-3やDALL・Eは知らなかった。汎用AIに近づいているようで期待大。

    やはりinput側のBrain Machine Interfaceはまだまだ厳しいようである。
    刺激による脳活動の再現は研究していきたいところ。

    研究をやるメリットに,「科学の教科書や読み物を自分ごととして捉えられること」があるなと感じた.
    常に,自分の専門分野とはどう関わるか,自分の研究にどう使えるか,といった視点を持って読むことができる.面白さを見出しやすい.

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著者プロフィール

紺野 大地(こんの・だいち)
1991年、山形県川西町生まれ。2015年、東京大学医学部卒業。2018年、東京大学大学院医学系研究科博士課程入学。東京大学医学部附属病院 老年病科 医師。現在、「ERATO 池谷脳AIプロジェクト」のメンバーとして研究に携わっている。脳・老化・人工知能の研究を通じて、「脳の限界はどこにあるのか」、「新たなテクノロジーによりその限界をどこまで拡張できるのか」を探究している。Twitter(@_daichikonno)やメールマガジン「BrainTech Review」で脳についての最新研究を分かりやすく紹介し、神経科学のファンを増やすことがライフワークの1つ。


「2021年 『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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