この『出禁のモグラ』は、モーニングで連載されている青年漫画です。今、そのモーニングでは、あの藤田和日郎先生が、『黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ』を連載しています。多分、何故に、藤田和日郎先生? と疑問に思った方もいるでしょう。もしくは、私と同じ願いを持っている方であれば、ピンと来たかもしれませんね。
ぶっちゃけた話、藤田先生と江口先生に対談して欲しい訳ですよ、ファンとしちゃ。対談が無理であったとしても、(3)で、藤田先生が、この『出禁のモグラ』を読んだ感想を掲載して欲しい、と本気で思ってます。
どうして、江口先生に藤田先生と対談して欲しいのか、気になった方もいるでしょう。いや、気にならないとしても、聞いてくださいな、語らせてくださいな。
あくまで、私個人の感じ方ですけど、モグラの行動理念に、「泥なんて何だい」がある気がしたんですよね。モグラほどじゃないにしろ、真木君にも、自分が多少、損を被ってしまうとしても、誰かの為に行動してしまう、そんな武骨さが見えました。
手段を選ばなければ、灯をすぐに満たせるはずなんです、モグラは。けれど、未だに、彼はあちらへ帰れていない、灯を溜められていないからです。この(2)では、灯をモグラが貯められない理由が、漠然ながらも見て取れましたね。モグラは、苦労して貯めた灯を、自分の目の前で死にかけている相手や、呪われた宿命から家族を救おうと足掻こうとしている者、そして、やり方を間違え、悪い方向へ行きそうになってしまっている者を見捨てられず、自分が帰れない期間が延びるのも承知し、なおかつ、覚悟して、灯の力で救ってしまうんでしょう。
そんなモグラの行動に、私は藤田イズムの一つである、「泥なんて何だい」を感じたんです。だから、江口先生と藤田先生に対談して欲しい訳ですよ。もちろん、江口先生にド緊張を強いてしまうのも承知してますが、ファンとしちゃ、申し訳なさを押し殺してでも、その対談記事を読みたいんですよねェ。
そんなモグラの性質がほんの少しだけ見えたのも、この(2)の推しどころですが、当然ながら、他にも、読み手を興奮させた部分は多かったです。
個人的には、真木君(兄)に、レッサーパンダの幽霊・マギー君が憑依(合体?)したのは衝撃的でしたね。話中で、八重子ちゃんが大興奮してましたけど、とんでもないインパクトでした。ビビリだけど、いや、ビビリだからこそ、自分が助かる最善の手段を即座に選べるマギー君には学ぶ部分が多いので、今後の活躍が楽しみです。また、マギー君をキッカケにし、真木君(兄)と八重子ちゃんの恋愛も進展してほしいトコです。
真木君の弟・梅晴が登場し、彼の女友達の姉(故人)が、自分の妹を無神経な一言で傷付け、呪いをかけ、それに気付いていなかった伯父を負の感情で呪殺しようとし、凶霊に堕ちる寸前で、モグラがエゴイスト丸出しで彼女を救ったシリーズは、かなり突き刺さりましたね。
ファンとしても、相当に重い内容だな、この作品から入った漫画読みは離れそうだな、と思いましたが、むしろ、そこに、江口先生の真骨頂が発揮されている、と感じたのは私だけじゃないでしょう。この無慈悲な現実を突き付けてくる、温かさもあるシリアスさが、この『出禁のモグラ』に散りばめられているコミカルさをより笑えるものにし、その部分がシリアス部の重さを、ファンが受け止められるものにしているんじゃないでしょうか。
この台詞を引用に選んだのは、一頻り笑ってしまった後に、「確かに」と真顔で納得できるものだったので。
「・・・・・・真木君、大学では教えない事を教えよう。税金をしこたま納めればね、国は何も言わないんだよ」(by猫附藤史郎)
こちらも結構、響いたので、記しておきます。
ちょっと戦慄させられたが、むしろ、やる気が漲りましたね。
面倒臭いんだ、なら、止めよう、と簡単に諦められるほど、私は執念が浅くないんですよ。
「あと一つ教えることがあるとすれば、私はお祓い屋(個人事業主)で、文筆家(副業)で、大学教授だ。確定申告は面倒だぞ! それが嫌なら、会社員コースにしなさい」(by猫附藤史郎)
そして、こちらは上の二つよりも、もっと、私の心を強くぶん殴ってきました。
あえて、どこが良かったか、は語らないでおきましょう。
決して、支離滅裂な感情任せの意見を、皆様に読まれるのが恥ずかしい訳じゃないですよ。
先入観抜きで、モグラの本気が詰まった台詞に、皆さんも殴られてほしい、それだけです。えぇ、本当に、それだけなんですよ。
「姉ちゃん、たぶん、このおっさんは、姉ちゃんが思うほど、メンタルは強くない。そして、今、ズタボロになっただろうよ。このおっさんは、ズタボロを知って、あと10年は生きる。それは、地獄だ。十分だ」
「それで、ミヤが救えるか!!?」
「救えない!! このおっさんが死のうが、生きようが救えない!!! きっかけは、このおっさんでも、今を作ってるのは、あまりに多くの要因だ!! 君や俺が、妹をどうにかすることはできない!! それは、ごめん!!! 俺は、アンタが地獄に堕ちる可能性を一つ、潰したい!! それしか、できない!! 俺は、姉妹の中にも、アンタの家族に入り込むこともできない! というか、妹とも、さっき、知り合ったばかりだしな!! だが、誰かを救おうとした奴が、悪者になるのは嫌だ!! 俺が! 嫌なんだ!! それは、この世の『解決できない問題』の一つだけれども!!!」(byモグラ、麻耶)