埋もれない声優になる! 音響監督から見た自己演出論 (星海社新書)

  • 星海社 (2022年3月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784065274439

作品紹介・あらすじ

埋もれないために、とことん自分自身と向き合いなさい!

音響制作の現場は常に魅力のある新人がいないか探しています……。ところが、そういう新人声優にはめったにお目にかかれないのです。そんなミスマッチはどうして生まれるのか、解消するにはどうしたらいいのか、長年の経験から導かれた提言をまとめました。
さらに、地方にいても自力で声優になれた人、プロへ指導してさらなる演技の幅をもたせる専門家、ダンス初心者をステージにあげる振付師、自ら声優として活躍しながら後進の育成にも注力する役者たち、それぞれと著者の対話によって浮かび上がってくるリアルな言葉の数々。声優になるために今すぐ実践すべきこと、その理由が理解できる1冊です。

*以下、本書目次より抜粋
はじめに

激動の最中にある声優業界
音響監督の仕事とは?
この本の構成について

第1章 新型コロナで露見した声優業界の危機、声優に求められる職能の変化

第2章 声優という仕事の本質的な意味

第3章 なぜ、専門学校や養成所に通ってはいけないのか

第4章 可能性は「オーディション」「地方」「自分自身」にある

第5章 ボイストレーニングのプロに聞く  青拓美 対談

第6章 振り付け、ダンス指導のプロに聞く  MIKA 対談

第7章 地方から声優へ、自力で道を切り開いた経験者に聞く  佐々木未来 森嶋優花 鼎談

第8章 私塾を立ち上げた理由、声優業界の変化と危機感を聞く  緒方恵美 対談

第9章 現役声優にして青二塾塾長、豊富な経験から導かれる現在を聞く  古川登志夫 対談

おわりに

みんなの感想まとめ

自己演出や自己成長をテーマにした本書では、声優業界の現状や求められるスキルについて深く掘り下げています。著者は、音響監督としての豊富な経験をもとに、声優を目指す人々に向けて、自分自身と向き合う重要性を...

感想・レビュー・書評

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  • 古川登志夫さんの優しく芯のあるお人柄が本を通じて知ることができてとてもよかったです。

  • なぜ「声優」は自らを規定できなかったのか
    ――自己演出と責任が交差する終極

    構造は、いつも外部にあるように見える。
    業界、ブーム、時代。
    だが本当にそうだろうか。

    埋もれない声優になる! 音響監督から見た自己演出論は、
    その前提を静かに覆す。

    音響監督という立場から語られるのは、
    技術論ではない。
    むしろ

    「どう在るか」

    という、極めて根源的な問題である。

    本書に収録された
    古川登志夫、緒方恵美らとの対談は、
    その象徴だ。

    彼らが語っているのは、成功の方法ではない。
    むしろ逆に、

    「なぜ選ばれ続けるのか」

    という問いである。

    ここで明らかになるのは、
    声優という職業の本質が

    自己演出の連続である

    という事実だ。

    だがこの「自己演出」という言葉には、
    見落とされがちな側面がある。

    それは

    演出できるのは“自分だけではない”

    という点だ。

    ここに第一の逆理がある。

    自分をどう見せるかは自分で決められるはずだが、
    実際には

    他者(現場・作品・文脈)によって規定される。

    つまり声優とは、

    「自分でありながら、自分では完結しない存在」

    なのである。

    この構造を踏まえたとき、
    団長の指摘――

    「バブル崩壊は声優の責任が大きい」

    という結論は、決して極論ではない。

    なぜならブームとは、
    業界だけで作られるものではないからだ。

    演じる側
    作る側
    売る側

    そのすべての選択が重なって形成される。

    つまり崩壊もまた、
    共有された選択の結果である。

    ここに第二の逆理がある。

    本来、個人は構造の中の一要素に過ぎない。
    だが実際には、

    個人の積み重ねが構造を決定する。

    この視点に立つと、
    次に浮かび上がるのが「教育」の問題である。

    団長が述べられた通り、
    教育制度の見直しはもはや猶予がない。

    なぜか。

    それは声優という職業が、
    単なる技能職ではなく

    「構造を内面化する職業」

    だからだ。

    技術だけでは不十分であり、

    文脈を理解し
    自分の位置を把握し
    どの距離で関わるかを選ぶ

    この能力が求められる。

    ここで重要になるのが、
    本書でも示唆される

    「けじめ」

    という概念である。

    これは単なる倫理ではない。

    構造を維持するための境界線である。

    ここに第三の逆理がある。

    自由に振る舞うためには、
    むしろ

    自ら制限を課す必要がある。

    90年代、そしてその後のブームにおいて、
    この「けじめ」は曖昧になった。

    その結果として生まれたのが、
    行き過ぎたアイドル声優的な拡張である。

    では最終的に、何が残るのか。

    ここで終極に至る。

    声優という職業において、最後に問われるのは

    「どう演じたか」ではない。

    **「どう在り続けたか」**である。

    どの距離でトレンドと関わったか
    どの場面で線を引いたか
    何を選び、何を選ばなかったか

    これらすべてが、
    後の時代において“評価”として残る。

    ゆえにこの問題は、
    業界の問題であると同時に、

    個人の選択の問題でもある。

    そしてそれは今も続いている。

    構造は変わらない。
    変えられるのは、選択だけだ。

    ――それが、声優という職業の終極である。

  • 現場の生の声を垣間見えて刺激的だった。
    「養成所に入ったから声優になれるわけじゃない。大事なのは自分で出来ることを考えて取り組んでいくこと」といったニュアンスで書かれていたと思う。
    それは声優業だけじゃなく他のことにも通じる考え方だと思った。

  • 正解はない答えはない
    考えがあって
    その考えを文章として書籍としてまとめてくれました。
    自分で自分の答えを考えて
    でも
    その答えが正解ではないことを知っていた上で
    その先の答えを考えられるか、
    自分をその先まで演出する。
    自分の目指す先に少しでも近づくために
    いろんな方法を調べて終わるだけでなく、
    調べたことに対して実行しながらすすんで行けるか。
    本当に必要と思えるものに挑めるか
    結果はわからないけど
    わからないからこそ

  • 声優志望ではないのですが、先日生アフレコのイベントで声優さんの演技を肌で感じて感激し、何か声優さんについて知りたいと思い新刊で店頭に並んでいたので手に取りました。

    とても文章が読みやすく、あっという間に読むことができました。
    一応新人・若手声優に向けられた内容ではありますが、読んでいるとどの分野の仕事、もしくは目標にも通用する、普遍的な努力の大切さが書かれていたように思えます。

    呪術廻戦のキャストがトークするSpotifyのじゅじゅトークを聞いた時に声優さんが役や演技について深掘りして考え、どのように表現するかということについてスラスラお話しされていたことに大変衝撃を受けました。
    好んでアニメを見て、声優さんの名前も有名な人はわかって、CDを買ったりしてはいましたが基本的には声ばかり聞いていて声優さんがどのように演技について考えているかまでは意識がいっていなかったので、声が良いだけではないということを今更思い知り衝撃でした。

    基本的には主人公虎杖悠仁役の榎本さんがホストとして立ち、回によってゲストが変わるのですが、第一線で活躍される人気声優さん達なので考えてること、見えている世界が同じだからかスムーズに深いい話が展開されていきます。
    人気声優さんは声が良いだけではなく、説得力とリアリティを演技を通して届けるためにここまで考える能力があるのだなと感心しっぱなしでした。

    その姿勢や向上心は、声優業界という狭き門、オーディションで役を勝ち取るという世界だから必要なのではなく、どこでも活かせるものだと感じました。

    なのでこの本で描かれていた、お金を払って学校に行ってるから受動的になるのではなく、自発的に考え行動に移し、好きという気持ちや熱意を持って取り組み続けられることが大事なのだなということはよく理解できました。

    業界で長く勤め実績を残し続けてきた人たちが真剣に声優業界について考えるときに見えてくる大事なこと、課題は似てくるのだなとしみじみ。
    緒方恵美さん、古川登志夫さんのお話は大変興味深かったです。
    テクニカルに走りがちと思ってましたがやはり基本に立ち返って人格が大事というのは耳が痛いです。

    人気声優さんはお人柄も素敵だなと思うことが多いですが、なるほどそういう前提の人格の素晴らしさがあって謙虚に学び続け、研究し続け挑み続けられるんだなと思いました。

    全く声優、アニメ業界と関係ない自分の仕事ですが、能動的になっていないか自省して、自分で考えて答えを見つけていき、周りと話し合って柔軟に良い仕事をしていく、そのような取り組み方をしていきたいと思わされました。
    気づきをありがとうございました。

    ということで、声優好き、声優志望の方じゃなくても楽しめるし実りがある本だと思います。

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著者プロフィール

音響監督・音楽プロデューサー。千葉県船橋市生まれ。法政大学経営学部卒。ホリプロダクション、ワーナー・パイオニア、ソニー・ミュージックエンタテインメントと音楽制作の現場で、所ジョージや小比類巻かほるなど数多くの歌手のレコード制作に携わる。また、『シティーハンター』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』などアニメ作品から、ゲーム、映画など多岐にわたって音楽プロデュースを担当。その他、映画などの脚本やゲーム制作等も手がける。現在は独立して、音響監督・音楽プロデューサーとして活動し、『ラブライブ!』シリーズ、『KING OF PRISM』、『ワッチャプリマジ!』など数多くのヒット作を手がけている。

「2022年 『埋もれない声優になる! 音響監督から見た自己演出論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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