日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた (ブルーバックス)
- 講談社 (2022年3月17日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065274569
作品紹介・あらすじ
■主な内容
第1章 体の「設計図」が健康と病気を作る
第2章 日本人の体質にはどんな特徴があるか
第3章 遺伝子についた小さな傷が病気を引き起こす
第4章 設計図の違いだけで「なる病気」は決まらない
感想・レビュー・書評
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あまり知識のない人にも理解できるように遺伝などについてを簡単に説明されている。
前に出てきた単語の説明も再び出てきたら簡単に説明を入れてくれているのも親切だなと思った。
病気の遺伝や生活習慣の影響など、影響力の大小を勘違いしていたと自覚できた。
思ったよりも遺伝の影響って…と思ったし、食生活の急激な変化による死亡率などびっくりした。
また、妊娠期間中の影響や桜を怖がるラットなど、遺伝の仕組みには驚かされる。
健康について、遺伝について、とても勉強になった。 -
これは面白い。分かりやすく、だからといって内容が省略され過ぎてイージーになり過ぎる事もなく。多様な文献や論文も引かれ、バランスも良い。
例えば、日本人はニコチンを分解する力が弱い、なんて知らなかった。人種や遺伝形質によるものなのか、生活習慣によるものなのか。食生活も影響するだろうし、統計は因果関係が逆の場合もあって、例えば、元気だから酒を飲めるので、一杯程度なら一杯も飲めない病気の人より健康みたいな。そんな疑問にも乗り越えてくれる。
更に、酒に弱い日本人は有害物質アセトアルデヒドが血液に多く溶けているため、侵入した病原体が活発に活動できない可能性がある、など。酒に弱い方が生き延びやすかったのではないかと言う仮説。酒に弱い人の割合は最も高かったのが三重県、次いで愛知県、石川県、岐阜県。これらはハマダラカが発生していた地域だという。こういう話は興味深い。あくまで仮説だけれど。
ピロリ菌がいると、胃の粘膜に炎症が起き、その分胃酸が少なくなる。胃酸が少なかったために逆流する事はなかったのだが、ピロリ菌の除菌が進むにつれ、かつ脂肪の摂取が増える事で、逆流性食道炎が増えた。日本人の胃は内容物をすぐ腸に送る構造になっていないため、脂肪が長時間胃にとどまって、胃酸の分泌が続く。ピロリ菌にも功罪あり。
日本人の悪玉コレステロールにはリノール酸、アラキドン酸よりもEPA やDHAが多く含まれていることがわかっている。動脈硬化の進行を抑える善玉HDLが欧州系米国人より10%多い。動脈硬化が起きにくい体質。逆に日本人が苦手なのは、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素。
更には日本人のルーツを探るような話へ。HTLV-1というウイルスによる感染症は、感染しても白血病になる人はわずかで、大多数は発症しない。この感染率が高いのは日本とアフリカ中部のナイジェリアとコンゴ、南米のブラジル、アジアでは中国南部と台湾でわずかに確認。日本でも、九州、沖縄、北海道で感染率が高く、ゲノム解析により縄文人と関係があることがわかっている。日本人はゲノムの15%を縄文人から受け継いでいる。このウイルスから、縄文人のルーツはアフリカだと言えるのかも知れない。
極め付けは、エピジェネティクス変異。子供や孫に後天性遺伝が引き継がれる可能性がある。マウスの実験ではオスのマウスに桜の花に似た香りをかがせながら、電気ショックを与える実験を繰り返し、子のマウスに対して桜の匂いを嗅がせると、子は怯える行動を2倍強く見せたとの事。
色んな観点で楽しめて、興味の幅も更に広がる。
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遺伝子や生活習慣が与える影響についてイラストを交えて説明されていたので、理解しやすかった。
遺伝子で全てが決まるわけではなく、生活習慣の改善で対応できることもあると知れたのは良かった。
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日本人の特徴が勉強でき、面白い。
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背ラベル:491.69-オ
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テーマ:遺伝子
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日本人の遺伝的な体質の傾向についてエビデンスベースで示している。
今後も新しい情報で更新されていくのだろうけど、とりあえず現段階で、巷にある健康情報が日本人の遺伝的体質に有効であるかが分かる。
著者プロフィール
奥田昌子の作品






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https://gendai.ismedia.jp/articles/-/93669
https://president.jp/articles/-/56284?page=1
https://www.news-...
https://www.news-postseven.com/archives/20230110_1828878.html?DETAIL