東京棄民 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065276143

作品紹介・あらすじ

これは、日本の未来に対する警告である。

新型コロナウイルス東京株が蔓延した未来。政府は人々を見捨て、東京から逃げ出す決意をした!

令和4年。新型コロナは再び変異を起こし、東京固有の株が猛威を振るっていた。大量の感染者。死者。なすすべがなくなった政府はいよいよ、「東京逆ロックダウン」、すなわち感染者を残し、東京都民を全国に分配し、東京をロックダウンすることを決意する。しかしろくな学歴もなく、職を失い、ホームレスになった主人公のイサムは政府の避難指示を受け取ることができず、東京に取り残されることになってしまった。

大藪賞作家、初の文庫書下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 心がザワザワする。
    何故かというと今、またコロナの波が押し寄せてきているから…。

    収束したのか、したのか…いやまた感染拡大しているではないかの状態で…。

    この物語は、コロナの影響で勤務先を解雇され、マンガ喫茶暮らしとなった中年男性の行く末である。

    何度目かの感染爆発が起き、その都度ウイルスの名前も変わり、「東京株」という新しい株が発生。
    ついに東京逆ロックダウンという措置を政府が発表する。
    東京エリアに関して感染者数の増加が急激過ぎて、東京エリアの都民、市民を他の地域に移動、分散させる対策である。
    だが、マンガ喫茶にいた中年男性やホームレスやその避難計画から取り残された人たちが、どのようにしていたのか…。

    ひとりになった時、まず何を思い行動するのか、誰と行動するのか、信頼できる人を見抜けるのか、最後まで諦めないのか、
    いろんなことを考えてしまった。

    現実、この夏はどうなるのか…
    人々は動いている。

  • 文庫書き下ろし。
    まさか、赤松作品に悪と対峙するヒーローが登場するとは・・・!
    とは言っても、45歳で彼女いない歴45年、定職無し、マンガ喫茶住まいの冴えない男なのだが・・・
    今作は、氏の作品に期待する、キモチ悪い・狂気的な・読むのが嫌になるような、ドンヨリ暗い世界観、
    からは遠のいてしまった作品でした。(個人的感想)
    たまには良いか?!と思いながら次作に期待。

  • おそらく、ほぼ人が居なくなって封鎖された東京を描きたかったんだろうけど、東京が逆ロックダウンされる過程がぼんやりしていて、まるでリアリティがない。あと一応コロナ小説として書いてるけど、物語的にコロナである必要がない。
    あと主人公にまったく感情移入できないのも、読んでてつらいかな。これはまぁ、とりあえず時事ネタで見たいな感じしかないね。そもそも東京を捨てるほど追い詰められたら、都民は東京から出さないんじゃないかな。

  • 赤松利市『東京棄民』講談社文庫。

    初の文庫書下ろし。

    まさに今、日本が苦しめられている新型コロナウイルス感染禍を題材に描かれた世紀末近未来サバイバル小説。

    リアリティを感じるストーリーであるが、少し欲張り過ぎた感じがする。

    国民の自助と自衛に頼るばかりでワクチン接種の一本足打法以外に打つ手の無い政府の新型コロナウイルス対策。政府はスペイン風邪の時のように2年半程度で自然終息すると軽く考えていたのか。それとも集団免疫獲得という幻想を抱いているのか。

    政府側近の人材派遣会社トップが労働者派遣制度を歪め、安価な人件費を変動費に変えたことから広がり続ける格差社会。新型コロナウイルス感染禍でさらに広がるばかりの格差社会。世界との経済格差は見る間に広がり、いつの間にか日本は経済大国の地位から陥落した。

    新型コロナウイルスの東京株が蔓延し、大量の感染者と死者にどうすることも出来なくなった政府は感染者を見捨て、未感染の都民を全国に分配、移動させる。政府も東京を捨てて淡路島に移り、東京を逆ロックダウンする。

    職を失い、マンガ喫茶暮らしの47歳のイサムは政府の避難指示情報を受けられぬまま都内に取り残される。そして、同じマンガ喫茶には宮崎から上京したばかりの27歳のヒカルという女性も取り残されていた。

    ある時、マンガ喫茶に入って来たホームレスのグループと共同生活をすることになったイサムとヒカル。

    定価748円
    ★★★★

  • 女性作家さんが続いて、久しぶりに赤松さんが読みたくなった。(軽めなやつ)
    とても面白くてあっという間に読んでしまった。
    東京株という強悪な新型コロナウィルスが蔓延し、東京から人が他県へ避難するという話。そして、その東京に取り残された人達の物語。
    主人公の男性が普通の人であるのが良かった。いかにも小説の中の人物というのでなく、良いところも良くないところもある、リアルな人間なのがいい。さすが赤松さんだなぁと思う。
    小説だからこそという部分とリアルな部分のバランスが良くて、読みやすかった。

  • ボダ子とかが割と面白かったからイロモノと思いながら手を出したけれど………ざんねん

  • 赤松流異世界転生サバイバル譚。主人公が生きるのは今よりもえげつないコロナが蔓延し、現実よりもきびきび動く政府が東京を隔離する異世界。ダークな連載漫画原作としてもいけそうなページターナー。一気に読了。登場するキャラクターたちが、赤松先生過去作に登場する連中の転生っぽいのも一種のファン・サービスだろう。

  • 20220610読了

  •  著者初の文庫書下ろし。

     コロナ禍が続く日本、オミクロン株の次に流行したのは致死率が高い”東京株”だった。
     政府は県外移動ではなく、全東京都民を疎開させる措置をとった。
     「東京逆ロックダウン」と呼ばれる強硬政策により、東京はもぬけの殻となった。
     しかし、その枠から漏れる人間も存在した。

     イサムはコロナ禍の中で勤めていた調理器具商社が倒産し、フリーターを続けながらネットカフェ難民を続ける40代半ばの中年だ。
     ある日、突然にネットカフェにいた客どころか、店員もいないこと気が付く。
     ツイッターで東京逆ロックダウンが起きることは知っていたが、住民票もない自分のところには連絡が届くわけもなかった。
     同じくネットカフェに取り残されていたら20代半ばのフリーターの女性、ヒカルも東京に取り残された同じ状況で、宮崎から東京の彼氏のところへ来たが会えずに東京逆ロックダウンに巻き込まれたという。

     政府は、東京の機能が戻るのは早くても3年間だと発表した。
     ネットカフェの外では略奪が起きていたり、取り残された者同士のコミューンが発生しているようだ。 
     果たして無法地帯と化した東京で生き残ることができるのか。


     バブル期に社長だったが、会社倒産後は原発作業員、フリーターをしながらネットカフェ難民を経験して住所不定無職でデビューした著者の経験から、ホームレスとして生きている人たちの描写には現実味がある。
     と同時に、その経験から政府や経済団体に対する痛烈な批判、特に淡路島に本社を置く人材派遣会社に批判が向けられている。

     内容としては、ラストに物足りなさを感じた。
     そしていつも通り、主人公は頭がよくないのに自意識は高い性格なのだが、今回はラストで破滅せず。

  • この方のほかの作品を読んでいたので、主人公が死んだり悪い感じになったりするではないかと・・・はらはらしながら読んだ。
    イッペイよかったね。
    有事が過ぎれば、日常が帰ってくる。
    日常は視野を狭め、問題を見ないことにして平安をめざす。
    どの立場にあってもそう。そんな中でタハラの今後に期待を感じた。

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著者プロフィール

赤松利市
一九五六年、香川県生まれ。二〇一八年、「藻屑蟹」で第一回大藪春彦新人賞を受賞しデビュー。二〇年、『犬』で第二十二回大藪春彦賞を受賞。他の著書に『鯖』『らんちう』『ボダ子』『饗宴』『エレジー』『東京棄民』など、エッセイに『下級国民A』がある。

「2023年 『アウターライズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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