- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065277683
作品紹介・あらすじ
「一人では何もできないが、一人でも始めなければいけない」
定年を迎え、悠々自適なセカンドライフを送るつもりだった郁子は、突如、夫の実家に戻ることになった……。
気持ちを切り替え、田舎暮らしを楽しもうとしていた矢先、なぜか市議会議員に立候補することに!
年齢も性別の地方も越えて、日本のリアルを描く痛快エンタメ小説誕生!
感想・レビュー・書評
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優越感なんて劣等感の裏返しで、その瞬間だけ発生する幻なのに、どうして無くならないのだろう。
人口の半分は女性なのだから、女性が男性と同じ評価を得られれば、世の中はもっと優秀な人が増えて発展するんじゃないのだろうか?と常々思っている。
むしろ、普段接する人達に関して言えば女性の方が真面目で優秀な人が多い気がする。
女性が増えると男性の私は仕事を失うかも知れないが、優秀な人が増えて社会が発展すればセイフティネットも拡充されて暮らしていけるはず、と思っている。
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夫婦ともに定年退職を迎え半年、夫の幹夫が独り暮らしの義母の住む山陰地方の栗里市に移らないかと提案し、霧島郁子61歳は夫の実家の隣の家を買いとり、イングリッシュガーデンを作り野菜を育て、油絵を描く日々を思い描き、夫と共に都会から転居します。
しかし、郁子はイングリッシュガーデンは自分で作ることができず夫にやってもらい、毎日退屈になり図書館に通うようになります。
そこで、市議会を見学していると、二人だけの女性議員のうちの一人梨々花がパワハラやセクハラにあっているのを目撃します。
郁子は梨々花に「言い返しなさいよ」とつい口出しをしてしまいます。
もう一人の女性議員で高齢の市川ミサオが、それを見ていて「あんた、最高じゃわ」ということになり、ミサオが引退するので市議に立候補するようにいわれますが…。
郁子は逡巡しますが、選挙に出馬することになります。
以下、ネタバレですので、これから読まれる方はお気をつけください。
郁子は一度目は落選するものの、二度目で当選、そして市長へと階段を昇っていきます。
郁子の周りの女性たちは議員の4割を女性にするクオーター制をアジアでは初めて導入します。
そして、郁子はミサオに県議、県知事を目指すように言われます。
でも、これは架空のお話しですよね。
クオーター制なんて導入している地域はないのでしょうね。
ただし、女性知事は存在しますね。
東京都知事はもちろん有名ですが。
私の住む県の知事さんも女性です。
私は今の知事さんが大好きです。
真実は小説より奇なりです。
私は今の知事さんのあたたかく誠実な人柄がとても好きなのでこのまま、県政のために頑張って欲しいと応援しています。 -
同年代の、女性の、気持ちが次から次へと、良くもまぁ出で来るなぁ(笑)
こんなドラマティックな、展開は、まぁなかなか無いよねとは、思うけど。 -
田舎あるあるに思わず頷き、移住なんて旦那だけ暮らせば良いのよ。スタートに独り言。
それではお話になりませんけど。
自分から犠牲になりに行くな。
我慢を重ねて恨みを持つな。
男や女である前に人間であれ。
家庭でも、社会でも大切にされる存在でありたいと思わせる本でした。
潔く、痛快でした。読後もワクワクが止まらない。 -
垣谷美雨さんらしい、ジェンダーやハラスメント、老後をテーマとしている。定年退職後、セカンドライフとして夫の田舎へ移住した郁子はそこで田舎の閉鎖的な考えや男尊女卑に嫌々とする。そしてそこから市議会議員、市長へとなり、取り巻く社会問題に立ち向かっていくストーリー。女性読者はまさに痛快だろう。未だに本当に田舎ではこんなことがあるんです。郁子のような議員さんや市長が増えて欲しいけど。そして原田マハさんの総理の夫のような女性総理が。郁子の夫が始めは反対し、妻に尻に敷かれていると近所や同級生から言われ、嫌がっていたが、最後の代わりようには爽快な気持ちでいっぱいに。
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「達成感を得ることに慣れとる人間は、ノンビリでは満足できんよ」
本当に的を得たセリフ
垣谷美雨さんの本は本当にスイスイ読みやすくてパワー出る
60代女性が主人公でパワフルなのがとても良い☺️あと義母など出てくる他の女性もしれっと素敵なのも良い良い -
垣谷美雨さんの本にははずれがない。いつも超おもしろい。
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とても面白かった。東京から田舎に移住した定年後の女性が、田舎の住みにくさにメスを入れるべく、一念発起して政界に進出する話。といっても、いつもの垣谷美雨作品と同じく女性の不満をコミカルに描いていてとっつきやすい。
「田舎はしがらみが多くて住みにくい」という考えを跳ね返し、古い考えの議員達をやり込める描写は爽快。子育て中の主婦やその夫、街の居酒屋店主など様々な立場の人を味方につけていく主人公の手腕は見事。垣谷美雨作品は、男性はこう・女性はこう、と分断を産みそうな描写が多かったように思うが、今作はそういった発言に反論する人がいたりして、物語としてバランスが良かった。
クオータ制の導入理由についてとても納得感があった。確かに会社でも女性の管理職を増やすと言いつつ、管理職には独身女性しかおらず、子育て中の女性管理職のロールモデルはいない。能力ベースではなく、無理にでも女性を登用することに意味があるのだと分かった。ちょっと飛躍するが、お笑い賞レースに女性が少ないので女性限定の大会が開かれたりしていることについて懐疑的だったが、これも門戸を広げるという点で有効なのだろうと思った。
途中、村井一族を言い表す発言で「息子も孫も頭は悪いし根性もないくせに誰に対しても威張りくさって性格も悪いし不細工なんだわ。」というのは辛辣すぎて笑った。「脳ミソが三グラムしかない」という表現も出てきて、コケにする表現のバリエーションがすごい。そういうところが爽快で楽しかった。 -
読み終えた後の爽快感は抜群、こんなパワフルで気遣いができて頭が切れる女性がいたら応援してしてしまう。
垣谷美雨さんの作品は、身近にある不条理を扱ってくれるから、グッと引き込まれて、言い表せられないような気持ちを言葉で表してくれている。 -
あー、面白かった。気持ちのよい読後感。
政治・選挙の知識が乏しくても楽しめました。
格好良い女性主人公がお好きな方にもオススメ。
世間体を気にせず、言いたいことを溜め込まずに生きていきたくなりました。
著者プロフィール
垣谷美雨の作品






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