日本史サイエンス〈弐〉 邪馬台国、秀吉の朝鮮出兵、日本海海戦の謎を解く (ブルーバックス)

  • 講談社 (2022年5月19日発売)
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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784065280829

作品紹介・あらすじ

歴史とは、人と物が時間軸・空間軸の中をいかに運動したかを記述するものである。
話題騒然の前作に続き、日本史の「未解決事件」に「科学」を武器に切り込む!

【謎の一】邪馬台国はどこにあったのか? 
九州か、近畿か、それともほかの場所だったのか? 古代史最大の謎に、皆既日食の観測と
『魏志倭人伝』の科学的解読から迫り、女王・卑弥呼はどこにいたのかを推理する!

【謎の二】秀吉は亀甲船に敗れたのか? 
文禄・慶長の役で連戦連勝だった豊臣秀吉軍は、なぜ朝鮮から撤退したのか? 李舜臣が
乗ったとされる「亀甲船」は実在したのか? 新資料をもとにその可能性に迫る!

【謎の三】日本海海戦で日本はなぜ完勝できたのか? 
日露戦争の最終決戦・日本海海戦で、日本海軍はなぜロシア艦隊を壊滅させることができたのか? 
東郷ターンによる「丁字戦法」ではなかった真の勝因を突きとめる!

歴史をサイエンスで読み解くと、日本人が見えてくる!

感想・レビュー・書評

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  • <訪問>「日本史サイエンス<弐>」を書いた 播田安弘(はりた・やすひろ)さん:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/717826/?rct=s_books

    日本史サイエンス〈弐〉 | ブルーバックス | 講談社
    https://gendai.media/list/books/bluebacks/9784065280829

    『日本史サイエンス〈弐〉 邪馬台国、秀吉の朝鮮出兵、日本海海戦の謎を解く』(播田 安弘):ブルーバックス|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000366359

  • 造船一家に育ち、本人も造船に深く関わる筆者が、船と海戦を中心に日本の歴史(邪馬台国~日本海海戦)を追う。

    船の構造や速度など、技術面から日本史と海戦を検証するという視点が他の歴史ものと違い、面白い。日本人のモノづくりへのこだわりと技術力が発揮されてきた歴史がわかる。船底にへばりつく海洋生物が船の運行に大きく影響を与えるというのは初めて知った。

  • 長いこと積読状態にあったけど、突然思い立って一気読み。私が若かった頃、こんな視点で歴史を学ぶ機会が有ったなら、歴史はもっと興味深く、面白かっただろうに、、、
    是非、若い人達に読んでもらいたいものだ。そして、感想を聞かせてもらいたいものだ。

  • 一作目に引き続きとても面白かった。
    専門的な内容もあるが中身としてはきちんとデータを使って歴史を検証しようというもの。
    科学的な分析というのはどんな分野にも大事だが、本書のような視点でわかりやすく解説してもらうことによって面白さまでが理解できた。

  • 前作に続いてとても面白く、なるほどなるほどと何度もうなづく内容。

    個人的には珠玉は最初の邪馬台国の謎。翡翠と鉄の道、海潮流、船の形状、方角は不安定といった前提から北部九州→日本海・山陰(水行)→大和(陸行)へというルートは非常に説得力があった。その上で、魏志倭人伝の記述の解釈に止まらず、皆既日食の分析、神話の記述、人口動態などを加味して候補地に点数付けしつつも結論は敢えて出していない。

    秀吉の朝鮮出兵は亀甲船対関船の分析がメインだったが、秀吉の目的が潜在的侵略国であるスペイン相手に軍事力を見せて抑止することにあったのではという見立て、小西・加藤などの進軍速度が秀吉の中国大返しと同等のスピードで補給をどうしていたのかなどの視点も面白い。

    日本海海戦については、T字ターンの戦術による勝利というよりは、長期航海による疲労と練度低下、石炭過積載や船底未整備による海洋生物付着よる速度低下、日英同盟によるロシア海軍の寄港拒否などの効果とあって、そもそも戦力差が日本とロシアで大きくついていたという分析。

    第3巻が出たら是非読みたい!

  • サイエンス専攻の日本史好きとして、この手の文理融合な話は大好物。著者は船舶工学を長らく専門とされてきた方で、日本史の様々なエピソードを船を中心に科学的に検証されている。

    たとえば邪馬台国がどこにあったのか、ということで、当時の船舶技術から丸木舟を使った朝鮮半島との往来について、対馬海流の存在から但馬~出雲地方に重要な海洋拠点(投馬国)があったと説く。そこから西に行けば九州説となり、東に行けば近畿説となる。

    また日露戦争における日本海海戦で帝国海軍がバルチック艦隊を撃破した「東郷ターン」と呼ばれる丁字戦法についても、ロシア側の石炭過積載と船底に付着したフジツボなどの影響でバルチック艦隊の機動力が低下していたことが指摘されている。いずれにしてもなるほど~という話だ。

    そして糸魚川を中心に翡翠が獲れたために、それらと交換で朝鮮半島からの鉄を輸入していたという説は、日本海側にこそ高度な文明がいち早く興っていた理由を裏付けるものだ。いずれにしてもロマンをロジカルに裏付けていくのは、個人的にもやっていきたい分野である。

  •  実は,前著とセットでメルカリで購入した。とてもきれいな本だったけど,わたしが一度読むと,赤線だらけになるんだよなあ。
     さて今回も,著者の専門分野である「船」が絡んだ歴史的な事件を取り上げている。「邪馬台国は何処に在ったのか」「秀吉の朝鮮出兵」「日露戦争時の日本海海戦」について,科学的に考えてみると,どんなふうな世界が見えてくるのか,とても信じられる仮説として,歴史の見方が変わってくると思う。
     
     ここでは,その一例として強敵ロシアのバルチック艦隊を破った日本海海戦について少しだけ紹介しよう。あの海戦は,東郷平八郎が考えた作戦(T字戦法)で勝利したことになっているのだが,本当にそうだろうか。
     そもそも,バルチック艦隊は,7ヶ月もかけて地球を一周するくらいの航海をしてきている。日本は,ロシアの艦船たちがウラジオストクに寄る前に,日本海でたたくことを計画したという。むしろ,バルチック艦隊に勝てたのは,こちらの理由なのではないか。
     7ヶ月も航海を続けてきた乗組員たちは,その間,戦闘の練習などができたのだろうか。食糧の調達に加え,当時の燃料である石炭はどれくらい積んでいたのだろうか。やっとたどり着いた日本海で待ち受けていたのは,戦闘練習をくり返し,海の特性を十分知っている日本の海軍だった…というわけだ。
     著者はいう。

    結局,日本海海戦の勝利は奇跡ではなく,日本は勝つべくして勝ったのす。「神話」として祀り上げず,なぜ勝てたのかをより理性的に分析していれば,三十余年後,中国などを怖れるに足らずと泥沼の戦争に突き進んでいった歴史は,少しはちがうものになっていたかもしれません。(本書,214ぺ)

     歴史を科学の目で料理し直す。好奇心を刺激してくれます。

  • 前作は、オーディオブックで聞いた。
    今回は、紙の本で読んだ。
    3ヶ月近くかけて読んだので、読み初めの頃の話しは、忘れたし、前作と内容がごちゃごちゃになってしまった。
    でも、歴史の事実として伝えられていることを、データで検証し、実際にはこうだったのではないかと新しい歴史の姿を見せてもらえて、とても面白かった。
    改めて、日本人の勤勉さと、技術力の高さを知ることができた。
    しかし、その勤勉さ、技術力の高さゆえに、一部の人間かもしれないが、驕りが生じ、日本の歴史を良からぬ方向へと導いてしまったことも一度ならずあり、残念でならない。
    謙虚でありたいものだ。

  • 船の専門家が日本史の謎に挑む、シリーズ第二弾。
    今回は、邪馬台国、秀吉の朝鮮出兵、日本海海戦!

    第1作では、なぜ船の専門家が?と思ったが、日本は周りを海で囲まれ、移動には船の力が欠かせない。
    だから、古文書などの資料の他に、その道の専門家の視点で歴史を探る試みは非常に新鮮だ。
    歴史学者、また、読者共に新しい知見を得られるように思う。
    餅は餅屋とはよく言ったもので、斬新なのに思いつきではない内容はとても好ましい。

    邪馬台国は今でもどこにあったかわからない。
    しかし、翡翠と鉄の道という運搬航路や、日食、対馬海峡の様子などを合わせてみたときどこが妥当か…とした表は面白い。
    自身で検証した結果、合理的解釈が、結局元の論争と同じくなるのは邪馬台国の不思議というべきか。
    それともそんなものはとっくに検証済みで、私や著者が知らないだけだったのか。

    日本海海戦は、まさに船の専門家らしい取り上げ方だ。
    波の高さを求めるSMB法など、耳慣れない計算式もあるが、船速、加速度などから砲撃の有効性を叩き出す…とは…。
    また、兵站や石炭の問題も同時に考察しており、この辺りはこれまで読んだ歴史関係の書籍ではなかなか見られない。
    さらにさらに、フジツボなど海洋生物の付着を検討、なんて、歴史学の本では見たことがない!
    歴史は歴史学者だけのものではない、と思わされる。
    前作よりさらにわかりやすく、読みやすくなったようにおもう。

  • 昔の出来事を現代の科学知識でもって事の真相を究明しようという本。今回は邪馬台国・秀吉の朝鮮出兵・日本海海戦。
    日本海海戦は軍神東郷元帥の丁字戦法により勝利したとされている。しかしそもそも丁字になっているかどうかも微妙であり、勝因は別にあるという。まず石炭。当時の巨大戦艦がどれほど大量の石炭を消費するか。露の軍艦は日本に来るまで日英同盟のせいで寄港できる港が限られ、ありとあらゆる場所に石炭を積んでおり、その大量の石炭積載作業で水兵は疲弊。訓練もできず練度が悪かった。過積載とフジツボ等の付着により速度は上がらず。対する日本は開戦前に石炭を海中に投棄するなど地の利が大きかったことを上げている。25センチ以上の口径による命中率が日本0.1露0.035という差。日本は艦橋で測距儀と計算尺で方位と距離を出して各砲に伝えるといった管理手法も進歩していた。
    日本のモノづくり技術のすばらしさは、西洋伝来の鉄砲を入手後1年で複製を作れるほど昔から高かった。そのような力が先の大戦敗戦後23年で世界第二位のGNPとなった大きな理由だろう。しかし2010年にGDPで中国に抜かれ、2028年にはインドに抜かれる予測。この低迷を著者は日本が科学の基礎研究を軽視していることも大きな要因だと書いている。

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著者プロフィール

三井造船本社にて長年、船舶の基本設計を手掛け、流氷砕氷船や半潜水型水中展望船を開発、船の3D イラストレーションを製作する「SHIP 3D Design 播磨屋」を主宰、著書に『日本史サイエンス』(講談社)がある。

「2021年 『最新科学で探る日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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