物語論 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065285312

作品紹介・あらすじ

人間はなぜ物語を必要とするのか? 
精神分析、政治、戦争、神話、歴史、そして昔話、小説、うた――。
物語は社会のいたるところにある。
平家物語などの「語り物」やアイヌのユカラとの対比、源氏物語の婚姻制度と母殺しの阿闍世コンプレックス……日本列島の物語を起源から、そして世界文学との比較から考える。
「もの」とはなにか。
「語り手」は誰なのか。
物語理論の金字塔となる、伝説の東大講義18講、待望の文庫化!

【目次】
I 物語理論の進入点
 1講 ものがたり と ふること
 2講 うたとは何か
 3講 うたの詩学
 4講 語り手を導きいれる

II 物語理論の基底と拡大
 5講 神話から歴史へ
 6講 神話的思考
 7講 語り物を聴く
 8講 口承文学とは何か
 9講 昔話の性格
 10講 アイヌ語という言語の物語

III 物語理論の水面と移動
 11講 物語人称
 12講 作者の隠れ方
 13講 談話からの物語の発生
 14講 物語時称
 15講 テクスト作りと現代語訳

IV 物語理論の思想像
 16講 『源氏物語』と婚姻規制
 17講 物語と精神分析 
 18講 構造主義のかなたへ

感想・レビュー・書評

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  • 豊富な情報を頭の中で繋げていくことが難しい。

    「ものがたりは談話、とりとめない雑談、語らいということだったとすると、どうしてそれが文学としての物語(『源氏物語』などの物語文学)を意味するまでに〝成長〟するのであろうか」

  • 物語が「何」を示すのかそれ自体・物語の「読み方」ではなく、
    物語というものを構築する言葉に関心のある人向け。
    実践的な面では、四人称の理解や、古典を読む=本文を読み、「研究訳」を作る・注釈を付すための心得などを、わかりやすく学べる。

    個人的に好感度が高かった箇所。158頁
    「アイヌ語に文字はあるかと聞かれたら、どう答えるか。すこしまえまでなら、「ない」と答えるのがたしかに正解だった。また、アイヌ語は滅びゆく言語だという言い方をする人がいる。この言い方そのものが、成り立たない不可能な意見、つまり背理である。その言語を使わない人々だけがそのように言うことができるのであって、言語はそれを使う人にとって、肉体そのものを抹殺されたり、言語で考えることをやめさせられたりするのでないかぎり、亡びようがないのだから。」
    ことばそのものに耽溺するのではなく、それを語る「ひと」への眼差しがある真摯な学問の姿を見ました。

  • I 物語理論の進入点
     1講 ものがたり と ふること
     2講 うたとは何か
     3講 うたの詩学
     4講 語り手を導きいれる

    II 物語理論の基底と拡大
     5講 神話から歴史へ
     6講 神話的思考
     7講 語り物を聴く
     8講 口承文学とは何か
     9講 昔話の性格
     10講 アイヌ語という言語の物語

    III 物語理論の水面と移動
     11講 物語人称
     12講 作者の隠れ方
     13講 談話からの物語の発生
     14講 物語時称
     15講 テクスト作りと現代語訳

    IV 物語理論の思想像
     16講 『源氏物語』と婚姻規制
     17講 物語と精神分析 
     18講 構造主義のかなたへ

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著者プロフィール

1942年(昭和17)、東京都文京区の生まれ。疎開先は奈良市内。その後、都杉並区に移る。東京大学文学部国文学科を卒業する。『物語文学成立史』(東京大学出版会、1987)、『源氏物語論』(岩波書店、2000、角川源義賞)、『平安物語叙述論』(東京大学出版会、2001)が物語三部作。詩作品書『地名は地面へ帰れ』(永井出版企画、1972)、詩集『乱暴な大洪水』(思潮社、1976)以下、詩作と研究・評論とが半ばする。1992〜93年、ニューヨークに滞在する。『湾岸戦争論』(河出書房新社、1994)、『言葉と戦争』(大月書店、2007、日本詩人クラブ詩界賞)、『非戦へ』(編集室水平線、2018)が戦争三部作。『水素よ、炉心露出の詩』(大月書店、2013)は副題「三月十一日のために」。2011.3.11のあと、『日本文学源流史』(青土社)、『〈うた〉起源考』(同、毎日出版文化賞)、『物語史の起動』(同)の三部作、『文法的詩学』(笠間書院)ほか古典文法論に打ち込む。沖縄文学論の『甦る詩学』(まろうど社)は伊波普猷賞。最近の詩集では『よく聞きなさい、すぐにここを出るのです。』(思潮社、2022)が読売文学賞、日本芸術院賞。『物語論』(講談社学術文庫、2022)、『日本近代詩語』(文化科学高等研究院出版局、2023)、『〈うた〉の空間、詩の時間』(三弥井書店、2023)は新しい。

「2024年 『増補新版 言葉と戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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