競争の番人 内偵の王子

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065285909

作品紹介・あらすじ

謎の脅迫状に巨大カルテル、恋の予感も……この業界も私もヤバい。

ドラマも絶好調! 霞が関でも話題沸騰の「公取委」ミステリー。

著者より)全国の働き者に捧げます。仕事帰りの豚骨ラーメンのような一冊です。―新川帆立

公正取引委員会の審査官、白熊楓は、九州事務所への転勤を命じられる。ところが配属先は、前任者が次々と離職しているいわくつきの部署だった。上司のパワハラ、人員不足、慣れない土地での生活に苦しみながらも、内偵業務のエース、常盤とともに、呉服業界の内偵に乗り出す。内偵を進めるなかで、巨大なカルテルの可能性が浮上。本局第六審査長(通称ダイロク)のメンバーたちも博多にやってきて、調査を開始するが……。呉服業界を覆うぶ厚い雲を、白熊たちは取り払うことはできるのか? 『競争の番人』シリーズ第2弾、新天地で開幕!

「法律の描写がファクトに忠実だ」と、公取委職員もうなる物語。担当記者のバイブルにしたい。―毎日新聞社会部 柿崎誠

お仕事小説の真髄は、当該職業従事者ならではの矜持を描くことにある。その矜持──公正取引委員会が「競争の番人」たるゆえんが明かされた瞬間、小説自体がひと回り大きな変貌を遂げた。この小説は、古き良き、今どき新鮮な「正義のヒーロー」を出現させる試みだったのだ。主人公は中央(霞ヶ関)から地方へと転勤したものの、中央の仕事の下請けであらざるを得ないことから、仕事に対し苦悩と葛藤を抱く。そして二転三転する厚みあるストーリーをくぐり抜けた先で、主人公が正義のヒーローへと変身する瞬間が現れる。この変身こそが、『競争の番人』シリーズの最大の快感であるとともに、読者へのメッセージでもある。なぜなら自分なんて「正義のヒーロー」からはほど遠いと思っているあなたもまた、変身できる、と断言してくれるからだ。―書評家 吉田大助

感想・レビュー・書評

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  • まずはやはり設定が良いよね
    公取委という斬新さは二作目も失われていないです
    これまで知らなかった事柄やお仕事なんかを小説を通して知るってやっぱりなんかワクワクするよね
    そして公取委の組織の特殊性みたいなんがちゃんと生かされていて面白いです

    今回は白熊さん、小勝負くんに加えて白熊さんの赴任先の福岡で「内偵の王子」と呼ばれる常盤が登場、謎めいたキャラクターを交えた三角関係に発展しそうで、小勝負くんとの関係性にも変化がありそうで、小勝負くんの過去にもいろいろありそうなんだけど…
    相変わらず恋に発展しそうで、しなさそうで、んーもやもやする!
    ははーん、さてはこのシリーズ長く続ける気だなw

    もちろん、大歓迎さ!

  • 帆立さんの本、6冊目(おお~っ!)
    競争の番人の続編「内偵の王子」だ。
    主人公の白熊 楓は、九州の地方事務所
    へ赴任した。
    (帆立さんは、主人公の名字を“白熊”なんて名にしたのは何故?)
    (珍し過ぎる!、前作から思っていたことだけど・・・・)


    九州地方事務所、ここには東京の小勝負
    務とは正反対の男がいた。
    常盤 恭太郞、ひと癖もふた癖もある男
    だった。が、仕事はできて、優しい男
    だった。


    競業事業者同士で話し合い、商品の値段
    生産量等を調整するカルテル。
    今回は、繊維業界のカルテル。
    白熊は、小さい呉服店の案件を受け持っていた。調査が進まず成果なし、案件も小さい。白熊は葛藤していた。
    東京にいた時のような、やりがいを求めていた。

    繊維業界の案件は、どうやら暴力団が
    関わっている!(繊維だからといって、
    後ろで糸を引いていたと?)
    そして東京の白熊のいたチームが、応援に来て、合同捜査になった。

    東京の小勝負、九州の常盤がここで
    火花の散る握手を交わす!
    (お~っコワ!、確か小勝負は言って
    いたっけ・・・変な男に引っかかるなよ)
    白熊は引っかかりそう・・・・?

    繊維業界の案件が片付き、白熊の未来も
    明るい日差しが射して来たように思う。
    ・・・・帆立さん、第3弾を執く気なんて
    ありませんよね。
    公正取引委員会ものは、レビューに
    苦労しているのです(^^;
    この終わり方だと、執けないことはない
    と思うのですが、まさかね!

    2022、11、12 読了

    • アールグレイさん
      こんにちは(^_^)/ポプラさん

      コメントをありがとう!
      帆立さんの本、残念ながら好きという訳ではないのです。
      興味本位で読み始めたら、こ...
      こんにちは(^_^)/ポプラさん

      コメントをありがとう!
      帆立さんの本、残念ながら好きという訳ではないのです。
      興味本位で読み始めたら、ここまで読んだのだから発刊されている本は全部読んでやろう!
      そんな感じでした。
      ポプラさんにとっては、公取委カルテルなんて、ちょろいもの、ではないでしょうか?
      図書館本がお邪魔虫で、読みたい本がなかなか読めませ~ん
      (×_×)
      2022/11/14
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、なんだか脅迫的に読んでいる感じ?でも6冊も読むということは楽しいんだろうな?☆4つだし。帆立さんの本は本気で回ってこない。...
      アールグレイさん、なんだか脅迫的に読んでいる感じ?でも6冊も読むということは楽しいんだろうな?☆4つだし。帆立さんの本は本気で回ってこない。困ります。。。
      2022/11/15
    • アールグレイさん
      ポプラさん★
      帆立さんの本って、私が思うには刑事ものの形が少し変わった感じかな?と、捉えています。今回の本でも、前回も殺人事件は起きるのです...
      ポプラさん★
      帆立さんの本って、私が思うには刑事ものの形が少し変わった感じかな?と、捉えています。今回の本でも、前回も殺人事件は起きるのです。
      でも、公正取引委員会の仕組みって難しい!
      ポプラさんはきっと、ちょろいんだろうな~
      (゙ε゙@)
      2022/11/15
  • シリーズ1では仕事に悩む若手だったが、転勤して福岡へ行った白熊楓は係長になったこともあり、本庁からの転勤者と地元の職員とで壁ができている。
    福岡と言えば暴力団の抗争。暴力団と公取委との関係が最初はあまりピンとこなかったが、考えれば利権が絡むとお金になるんですね。殺人事件が発生し、急にミステリーっぽくなってくる。弱者を助けるために白熊が奮闘して行くのが熱い。東京の元同僚メンバーも勢揃いして立ち向かって行く。白熊の空手技が何度も炸裂する。
    白熊を巡り、九州有数のグループの御曹司と小勝負との恋の駆け引きらしきものあり楽しませる。
    ただ、小勝負の殺人の謎解きが中途半端に解決したのが残念。

  • 前作は、TVドラマ開始前に読み終えてすっかり「公取委」の地味にカッコイイところにはまってしまった。
    個性豊かな小勝負くんと白熊さんは、いったい誰になるのかなと待ち構えていたし。
    そしてTVドラマでは、坂口健太郎くんと杏さんのW主演。
    もちろん最終回まできっちりと楽しんで見たよ〜。
    そのあとの第2弾。
    だからか、坂口くんと杏さんの顔が浮かんでしまって台詞も動きも頭の中はこの2人がぐるぐると。

    今回は、九州に赴任した白熊さんが、所属する第四審査課の柔らかいマスクの常盤くんと呉服業界を調査する。
    その常盤くん、どことなく育ちの良さが見える。
    そう彼は常盤グループの御曹司でお坊ちゃんなのである。
    白熊さんとの絡み方もどうなるのか…と気になりながら…。

    呉服業界の流れや仕組みなどもそうだが、いち従業員ではわからないような奥深いことにも突っ込んでいくのは、やはり凄いな公取委軍団と思った。
    暴力団にもさらりと触れていたが、ここはやはり常盤くんとの関わり方だろうか。
    タイミングよくといえばいいのか?きっちりと小勝負くんが登場するあたりも飽きさせずにプラス効果になっている。
    もちろん桃園さん、風見さんも出てくるよね。少しだけやけど。
    法律関係になると難しいのだが、しっかりとエンタメ要素もあった。



  •  主人公(白熊楓)は、公正取引委員会で勤務を始めて、本部(東京)から地方(九州事務所)に赴任し、今年の四月で一カ月が経とうとしている。

     四月下旬、福岡県K市では桜の季節が終わり瑞々しい緑が街路を飾っている。生まれてから三十年間、関東で過ごした白熊にとって、すこんと抜けるような九州の青空は新鮮な春の日である。

     白熊は呉服業界の内偵を指示されていた。最近になって、反物業者からの通報が急増している。
    『梶原呉服』の三代目店主梶原善一の許に脅迫状が届いている。
     『調整に戻れ。戻らないと殺す』と記されていた。新聞から切り取った文字を再構成した古典的なつくりの脅迫状である。

     これを問題としたのは、「調整」という言葉がカルテルの違法行為を表す隠語だからだ。
    いち早く証拠を集めて本局に持ち込み、正式事件化しなければならない。正式事件になれば、法令上、さらなる調査が可能になる。既に脅迫状については警察に届けている。
     呉服業界は、昔ながらの風習が色濃く残っている。特に地方では人間関係が濃厚だ。
    商流の流れは以下の通り
    メーカー⇛産地問屋⇛元売問屋⇛前売問屋⇛地方問屋⇛呉服店 問屋が多く薄利であっても一本の鎖みたいに繋がっている。

     今年の秋に、『天神着物ファッションウィーク』が開催されることになっている。   このイベントのために『梶原呉服』がかなりの反物を仕入れていたが、先月、『梶原呉服』は納入業者から外されてしまった。そして売上が激減した挙句の果てに、難癖をつけて商流を遡り余剰在庫を返品したため、最終的なツケがメーカーに対する不当返品になった。そのことについては何も知らなかったという。『天神着物ファッションウィーク』は経済産業省クールジャポン政策課のイベントだ。

     なぜ『梶原呉服』が納入業者から外されてしまったのか?

     事態を重くみた九州事務所は、本局に正式事件としてかけあうことになったが、否決されてしまった。
    内偵の証拠が不十分とのことだ。

     そんな矢先に、梶原善一は何者かに銃殺されたのだ。
     物語の前半のあらすじを書いた。誤解があるかもしれない。登場人物のキャラも面白い。ただ原稿枚数の関係で書くことが出来なかった。特に反物を織る職人の苦労がしのばれる。伝統的な技術の継承は難しい。そして本書を通して業界の仕組みを知ることが出来たことは大きい。人同士の絆が大切だと痛感する小説だと思う。

     読書は楽しい。
     読了後、無性に博多ラーメンが食べたくなった。替え玉もつけて。

  • 競争の番人シリーズ2作目、今回は主舞台が博多なので嬉しく面白く懐かしく読了しました。
    相変わらず少しドジで可愛いけど男まさりな白熊さんの活躍ぶり?が際立っていて楽しく読めました。
    私的にも公取や官庁や庁舎が馴染みだったので博多駅裏の合同庁舎やら飲み屋街やらボーリング場やら公園やら思い出されてウンウンうなづきながら読んでいました。
    そして作中に出てきたK市やT市やY市もたぶんここだろうと思って読めました笑
    それにしても流石にこの舞台はこの作者ならではの設定だし宮崎に縁深い人だからこそのお話でしょうか!
    まだまだシリーズが続きそうな可能性がありますね

  • 一作目より面白い!半日で読み終わった。

    問屋や呉服店、役所など複数の組織が登場し、その分だけ登場人物がいるので関係図が欲しくなった。時間を開けて読むと、誰が誰でどういう利害関係にあるのか分からなくなりそう。

    白熊楓が転勤し、新たに常磐という男が現れたことで、小勝負との絡みはどうなるんだと気になったけど、三作目があるなら心配が不要なようで安心した。
    石山よりよっぽどロボット感があると思う小勝負と、行動が予想しやすい対称的な白熊楓の公私にわたる進展や後退が楽しい。

  • この方の書籍、初読み。

    「競争の番人」のドラマは面白かった。
    原作の1巻目を今から4ヶ月前に図書館に申請していた。
    その内、続編である本書が発行になることがわかったので、すぐに図書館に本書の申請もした。
    そうすると本書の方が先になってしまうことはわかっていたが、この作品は1巻より先に2巻目を読んでも問題ないだろうと思ったからだ。
    思っていた通り、その点は全く問題なかった。
    しかし、あまりにも稚拙な文章でがっかりした。

    1巻も2巻も、なんなら『元彼〜』の方も、面白そうだなと、読みたくなるような魅力的なレビューが多かった。
    また、映像化されたものと原作とでは、私は大抵原作の方が素晴らしいと思うことが多いので、期待していた。

    しかし読んでみたら、どんなに著者が才媛であっても「小説」と言えるような文章の書き方ではないと、私には感じられた。

    「公取」という題材が難しくて、訳がわからなかったわけではない。
    はるか昔、趣味で知的財産管理技能士3級は取ったので、馴染みがないわけではないからだ。
    しかし、呉服屋さんのことで沢山挙がってきたお店も、メーカーなのか問屋なのかわからなかったし、公取やらカルテル云々も、もっと万人にわかるように書いて欲しかった。

    しかし、そんなことより、とにかく文章がうまくないのだ。

    また、本書で小勝負の父親(ドラマとは全く異なる設定)がどういう人物なのか書かれている箇所があるのだが、その先、その件について全く物語が展開していくこともなかった。
    3巻目へと繋げる目論見なのだろうか?

    私は1巻の図書館の予約を取り消した。
    『元彼〜』も読まないことにした。

  •  公正取引委員会の女性審査官の活躍を描くお仕事ミステリー。
     シリーズ2作目。
              ◇
     公取委審査官6年目の白熊楓。新年度を迎え九州事務所へ異動を命じられた。深く考えることなく着任した白熊だが、東京本局とは違う地方勤務の難しさに直面する。6章からなる。

         * * * * *

     「必要悪」の是非。なかなか大きなテーマでした。そのテーマに沿って2つの面から描かれています。

     1つは談合やカルテル等の企業連合による不正。
     本作でも白熊をはじめ公取委の面々が摘発に乗り出していたように、現実社会でも毎年のようにどこかが摘発され、誰かが逮捕され、謝罪会見が行われます。なのに、一向にこの不正はなくなりません。

     効率的に利益を上げることこそ正義だと企業が考えている限り、この不当な取引制限は必要悪であると捉えるからでしょう。「盗っ人にも3分の理」の類ですが、実社会でまかり通っているのを見ると、暗澹たる気持ちになります。

     もう1つは悪を倒す手段として悪を用いる、いわゆる「毒を以て毒を制す」やり方。必殺仕事人等のダークヒーローが思い浮かびます。

     本作でも、九州の地方財閥の御曹司で公取委九州事務所審査官の常盤がまさにそうで、地元の暴力団の力を削ぐ手段として不正(というか犯罪)に手を染めていました。

     常盤の思いはわかります。先ほどの企業論理よりも共感しやすい。ただ、自分の暗躍の障害になりそうな白熊を色仕掛で籠絡しようとするなど言語道断です。

     この常盤。稀代の人誑しであり好悪両面を併せ持つ複雑な男でしたが、魅力的な登場人物でもありました。
     だからクライマックスを飾る常盤と小勝負の対決には、ルパン対ホームズを見るようで痺れてしまいました。

     常盤という人物を作り出した時点で、本作は傑作たる資格を得たのではないでしょうか。

     重厚な筋立て。二転三転する展開。そして転部に当たる第5章のはじめに箸休めのように挿まれる小勝負視点の話。その構成の巧みさに唸ってしまいました。まったく見事なミステリーでした。

  • 公正取引委員会を題材にするとは

    さすがですね。

    お役人を題材にすると

    今一つ 応援しようと思いませんね。

    正義を振りかざし

    上から目線で 好きになれませんよね。

    でも 数年前に 確定申告をして

    税務署の人が すごく 優しかったことを

    思い出しました。

    役人でも ピンキリですね。

    今回は なぜか 続編から 読んでしまいました。

    新川さんの 新刊ということで 選んでしまいました。

    ぜひ 第一作も 読んで見ます。

    今回の キーポイントは 空手ですかね。

    マルサみたいに 映画化しませんかね。

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著者プロフィール

一九九一年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第十九回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、二〇二一年に『元彼の遺言状』でデビュー。他の著書に『剣持麗子のワンナイト推理』『競争の番人』『先祖探偵』『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』などがある。

「2023年 『帆立の詫び状 てんやわんや編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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