絶対悲観主義 (講談社+α新書)

  • 講談社
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  • 本 ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065289327

作品紹介・あらすじ

みなさん、がんばりすぎていませんか?
そんなに心配することはありません。なぜなら、こと仕事で自分の思い通りになることは、ほとんどないから。
この身も蓋もない「真実」を直視して、成功の呪縛からもっと自由になろう。
そうすれば目の前の仕事に対し、もっと気楽に、淡々とやり続けることができる。
厳しいようで緩い、緩いようで厳しい、でも根本において割と緩いーー、
絶対悲観主義者の著者が実践してきた「GRIT無用、レジリエンス不要」の仕事の哲学。


(目次)
1 絶対悲観主義
2 幸福の条件
3 健康と平和
4 お金と時間
5 自己認識
6 チーム力
7 友達
8 オーラの正体
9 「なり」と「ふり」
10 リモートワーク
11 失敗
12 痺れる名言
13 発表
14 初老の老後

感想・レビュー・書評

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  • 楠木建は別の著書で「読書は著者の論理を楽しむもの」と発言していて、妙に心に残った。恐らく自分もそうした読み方をしているからだろう。しかしそのためと言うか、楠木建の著書は、教授職でありながら、研究データに基づく解説や実験結果の引用は少ない。直観的かつ説得力のある論理を当てはめながら、持論を展開しているだけなのだ。それはとても自然体で、読書でインプットした論理展開を駆使して好きな事をやって飯を食うという感じだ。著者が言うように背伸びもせず。しかし、これで世の中悲観主義でいこう、つまり期待値下げていきまっしょいと言われても、自分はなんだ、特権階級の人じゃないかと。いや、私はこの脱力感が嫌いではないので読むのだが、本書の行間には多分に挑発が含まれる(穿ち過ぎか)。本著はそんな雑記である。

    もう一つ余計なことを書くと、車を趣味にしたいらしく。コブラも良いね、シグネットはカッコ良い。ポルシェは手に届かないが、還暦記念車に…と。まあ、色んな養分を得て、楽しむ事も別に悪くはないのだろうけれど。

    パーティーを抜け出して孤独を楽しむ。高速道路のサービスステーションで一人の時間に至福を感じる。失敗して、そうは問屋が卸さぬかと一人呟く。著者のそんなメンタリティは非常に共感できる。私も孤独と読書が好きな一人として、そんな楠木建を楽しんでいる。

    本著で引用されるドラッカーの教条的な文章を引こう。本著のタイトルに対して示唆的な気がしたから。「もともとやらなくても良いことを効率よく行うほど無駄な事は無い」なるほど、自然体が強いわけだ。

  • 電車の中でクスクス笑ってしまった。この人、肩書ナニ?え、大学教授?ホントに?って。新書ってカタイ内容なのかと思っていたけど、知識が豊富なオモシロオジサンの書いたエッセイ、という感じ。実際会って話してみたら、きっともっとおもしろい方なんだろうな。
    精神科医でもアンガーマネジメント関連の人でもなくて、経済の専門家が、自分の経験をもとに、自分の思うことや言いたいことを言って本を出す。それで売れる。というのがスゴイ。

    真ん中すぎたあたりから、悲観主義というより「孤独のススメ」みたいなテイストで、何のテーマを読んでいるのかわからなくなったけど…。
    それもまた、ある意味オモシロオジサンの特徴に感じた。
    私の上司もわりとオモシロオジサンだけど、話が止まらなくて結局なんの話だったかよくわからなくなる。もっとも、私の上司に知性のカケラは感じないけど…。

    去年、雑誌VERYに載っていて図書館で予約。到着に1年くらいかかった。
    「心配するな。だいたい、うまくいかないから」
    子育て真っ只中において、そのマインドは非常に大事で、ぜひ読みたいと思っていた。

    20代独身の自分が読んでいたら、なにか変わったかなぁ。読む年代によって、違う感想があるかもしれない。

    井の中の蛙ではあるけれど、組織の中でそれなりの年数を働いてきた。私なりの紆余曲折はあったと思う。今の自分だから「あぁ、たしかにそうだよね」と思えるのかも。

    20代の社員に「まぁ仕事って、大体思い通りにいかないと思うんで」みたいなテイストで言われたら、「まだそんなに達観しなくても…」と言ってしまうか、ちょっとイラッとしてしまうかも。

    私は子どもに「まずはやってみることが大事」と言っている。「大丈夫だよ、だいたいうまくいかないから」と言われても一歩を踏み出せないよなぁ…「最初からうまくいかなくても仕方ないよ」ならともかく。

    私は立派な中年にさしかかっているので、この本は「筋トレではなくストレッチになれば」という著者の願いにはある程度適った感じがする。こういう考えもあるよね、と思えば前に進めそう。

    なにより、「伝わるためには、読む人にとってわかりやすく、おもしろいものであること」という著者のスタンスは今後いろいろな場面で意識したいな、と。

  • ●読前#絶対悲観主義
    僕は仕事や生活をする上で、やり抜く力や逆境から回復する力は大事との考えだが、著者はそれらは不要という考え。それが絶対悲観主義のよう。悲観主義、しかも「絶対」付き、受け入れられないだろうけど気にはなるので読んでみたい
    https://mnkt.jp/blogm/b220622e/

    ●読後#絶対悲観主義
    「絶対悲観主義」を学ぶ本でなくほぼエッセイ。だが受け入れられる考えも多く楽しめた。僕も悲観主義を既に使っていた。失敗に対し「まぁそんなもんだ、それがどうした」とつぶやきラクになる、「絶対」でない「意識的悲観主義」を
    https://mnkt.jp/blogm/b220622e/

  •  楠木健さんのエッセイです。特に絶対悲観主義を一冊で主張されているわけではないようです。
     タイトルに引かれて選んだのですが、私は興味持てなかったです。このようなエッセイに興味持てないのは年のせいでしょか。それとも、私の置かれている現実のせいでしょか。いずれにしても、時間を大切にしましょう。

  • まず、タイトルと内容が違うので、悲観的な話だとは思わず、読んでみてください。
    印象に残ったのは、満足の反対は不満足ではなく、没満足ということです。不満足な要素を無くしていっても、没不満足になるだけで、満足になるわけではないと。二元論的な話なので、満足も没満足もそもそも違いは無いのですが、対比としてはしっくり来ました。

  • 絶対悲観主義とは「自分の通りにうまくいくことなんて、この世の中にはひとつもない」という前提で仕事をすることである。これは仕事を成功させる努力を放棄することを意味しない。根拠のない楽観による「うまく行くはず」という期待だけを排除すれば楽に生きられる、ということだ。
    著者の主著は、心理学者河合隼雄氏の「ものごとは努力によって解決しない(『こころの処方箋』)」という言葉に通じるところがある。
    お仕事エッセイとして軽く読み流してはもったいない好著。

  • 淡々と身も蓋もないことが書いているけど、それに共感してしまう自分を見つける。
    また読もう。

  • 相変わらず楠木節全開で良い。

  • 自己啓発本の類いだった。
    自己啓発本は実はそんなに嫌いではないし、サクッと読めるので、楽しく読了した。ただ、アクセルとブレーキを同時に踏み込んでいるタイプの方のようで、どの部分が本当のこの人なのか少し疑心暗鬼になりつつ。

    後半の経営者たちのエピソードとか、Gの話とか、全く心を動かされなかったところもままあった(笑)あーでも、小池百合子の(好きか嫌いかと言われたら、僕も大嫌いです)には笑った。

    せっかく読んだから、いいとこだけは取り入れようと思う。

    以下、よかったところの羅列。

    オリバー・ストーンのプーチンへのインタビュー集は読んでないので、ここで紹介されて得した気分。この時点のプーチンは「冷静で損得勘定に長けたリーダー」で切り返しも冴えている。なのに現在のプーチンは「狂気と錯乱」にある。このギャップ!

    品が良い人の定義を「欲望に対する速度が遅い」と表現したのはなるほどと思った。元々は立川談志の言葉らしいが。
    名言も多く紹介されているが、ほとんど心に刺さらず。唯一気に入ったのは
    ドラッガーの「元々やらなくてもいいことを効率よく行うほど、無駄なことはない」
    ブルシット・ジョブを効率よくやって鼻高々なのは確かにダサいよなと思う。

    この人が発表という行為を大好物としている点はよくわかる。こういう「切り取り方」をするのは面白いところ。



    絶対悲観主義は、確かに多くの期待をしないが故に、軽やかに動くことができる。期待をするとがんじがらめになってしまいがち。
    そこは時々思い出して心の安定の足しにさせてもらおうと思う。

  • うまく行くことなんてほとんどないという前提に立ち、絶対悲観主義に考えれば、失敗しても落ち込まず、成功した時の嬉しさは何倍にもなる。
    失敗して当たり前なのでGRITも不要。レジリエンスも不要。
    GRITや頑張らなければうまくいかない、常に気を張っていないといけないという呪縛に囚われていたのでとても響いた。
    ネガティブになるのではなく、あくまで悲観主義。
    ある種のポジティブとも捉えられる面白い考えだと感じた

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著者プロフィール

経営学者。一橋ビジネススクール特任教授。専攻は競争戦略。主な著書に『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』(東洋経済新報社)、『絶対悲観主義』(講談社)などがある。

「2023年 『すらすら読める新訳 フランクリン自伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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