韓非子 全現代語訳 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (2022年9月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (704ページ) / ISBN・EAN: 9784065289464

作品紹介・あらすじ

鋭い人間洞察が時を超えて突き刺さる、不滅の君主論!

人間は利のために動く。君臣の間に愛はない。
徹底した現実主義的人間観に基づく実践的君主論にして、春秋戦国の乱世下に法家が磨き上げた統治思想の極致。
「矛盾」「守株」など秀逸な譬えを交える軽妙さ、
理想的統治を語る峻厳さ、
儒家への鋭い批判、
そして不合理な現実政治への悲憤―
抑揚に富んだ語り口を生き生きと伝える碩学の名訳で、全文を読む。


【本書「解説」より】
人間性一般についての洞察の鋭さ、権力の場における人間関係の分析の綿密さ、独裁国家という枠内でではあるが、君主の心術探究の深刻さ、という点ではいずれも韓非のほうがマキャベリより一段と精彩があり、ルネサンス期のマキャベリと比べても、不思議に古くないのである。韓非の眼がその時の瑣々たる政治現象をつきぬけて、人間の本質に迫っている故であろう。


【本書の内容】
[第一巻] 初見秦/存韓/難言/愛臣/主道
[第二巻] 有度/二柄/揚権/八姦
[第三巻] 十過
[第四巻] 孤憤/説難/和氏/姦劫弑臣
[第五巻] 亡徴/三守/備内/南面/飾邪
[第六巻] 解老
[第七巻] 喩老/説林上
[第八巻] 説林下/観行/安危/守道/用人/功名/大体
[第九巻] 内儲説上七術
[第十巻] 内儲説下六微
[第十一巻] 外儲説左上
[第十二巻] 外儲説左下
[第十三巻] 外儲説右上
[第十四巻] 外儲説右下
[第十五巻] 難一/難二
[第十六巻] 難三/難四
[第十七巻] 難勢/問弁/問田/定法/説疑/詭使
[第十八巻] 六反/八説/八経
[第十九巻] 五蠹/顕学
[第二十巻] 忠孝/人主/飭令/心度/制分
解説・年表・地図

*本書は1969年に刊行された筑摩叢書をもととして1996年にちくま学芸文庫より刊行された、『韓非子』(上下巻)を原本とするものです。

みんなの感想まとめ

人間の本質と権力の関係を深く掘り下げたこの作品は、現実主義に基づく君主論を展開し、時代を超えた鋭い洞察が光ります。利を求める人間の動機や、君臣の間に存在しない愛についての考察が、読み手に強い印象を与え...

感想・レビュー・書評

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  • 現代語訳や解説も良く、面白く読んでいたのだが、原典である『韓非子』自身の推敲がなされていないので内容的な重複が多く、篇の並びの系統性の無さも相まって100ページ超くらいまで読めばくどい印象を受けた。
    内容の重複と冗長さから『韓非子』は、以前読んだ『孫子』のような簡潔ながら明察という感想にはならなかったが、『孫子』が注釈が無いと内容がうまく理解できないのに対し、本書は内容の解説がほとんど無いにもかかわらずよく意味が通っている。文章としての完成度は非常に高いと感じた。
    君主の心得、臣民の心理、奸臣の性質などで内容を分類し直し、重複する故事や内容を精選し、整理、統合することでページ数は半分くらいになるのではないかと思った。

    原著を必ずしも読みたいわけではなかったことと、本文中に原文(書き下し文や漢文も読みたかった)もなかったので、『飾邪』の文中で『十過』のコピペかと思うほど全く同じ文章が出てきたところでギブアップし、内容が整理された解説書を探して読むことにした。


    より効率的に内容を得られる方法があると思って第6巻の末までで読むのを止めたが、そこまでの内容でも印象に残るものが多く、魅力があった。

    2000年以上前の書籍であるのに現代に通じるような考え方をしている点はスゴいと思う。
    第1巻 第5篇『主道』は君主が臣下を使う際の心得を説いているが、君主の優れた能力を発揮するのではなく、多数の臣下の集合知性を活用するほうが良いとする考えはすごいと思った。

    第5巻 第15篇『亡徴』はいくつか注目すべき内容が箇条書きのようにまとめられている。
    まずは、占いを否定している点がすごい。「日本はこれより1000年以上後でも方違えとかをしてるのに、紀元前3世紀にこれか!」と驚いた。第5巻 第19篇『飾邪』ではこの占いについてより踏み込んでいるが、占いによる超自然的な因果の関係をほとんど否定しているように見え、自然現象を把握する術がない時代に生きながら、非常に現実的な考え方をしていると思った。
    また、これ以前の篇でも述べられているが、親愛や憎悪ではなく「利益」が行動のモチベーションになることを強調しているのも面白い。全く恨みがなくとも党派の性質によって「君の死」を利益とするものが現れる過程を具体的に説明している部分はなるほどと思う。
    第4巻 第14篇『姦劫弑臣』の儒者批判の続きのような内容も興味深い。『姦劫弑臣』では民への仁徳による施しを否定しているが、本項では、仁徳ではなく実利(自身の脅威となる臣下の力を削ぐ目的)のために民を富ませよと述べている。儒教的な聖王ではないが落ち着くところが同じというのも面白いし、ここでも韓非の徹底した合理主義、現実主義的な部分を感じる。


    君主でない現代の人にもためになる内容も詰まっていた。
    いくつかを挙げると、
    第1巻 第3篇『難言』は、自身の考えを挙げることや、それを受け入れてもらえることの難しさが書かれている。賢人が名君に対してですらしつこく申し上げる必要があった故事からは、受け入れられるまでに忍耐が必要であることを、暗君に言上して不興を被った例からは提案の内容だけでなく相手やタイミングの重要性を知れる。いつの時代でも「上が分かっていないからオレの(優れた)考えが通らない」という愚痴は聞かれるものだが、2200年前にそれに対する一つの答えが書かれているように思う。

    第1巻 第5篇『主道』は人を使う、育てる際にも心がけることだと思った。相手の自主性や長所を潰さないためにもこちらの考えを表に出さず、読ませないというようにも考えられる。

    第2巻 第7篇『二柄』はあまり賛同できない内容も多いが、「述べた以上の成果を罰する」という部分は、なかなかできることではないが重要な姿勢であると思った。
これは業績の上方修正を繰り返す場合の見方にも役立つ。上方への修正は一見良いことのようで叱りにくいが、意図的に低い予測を出している疑いや業績予測をする能力が欠けていることも考えられる。誰かを管理する立場であれ、市場を見る場合であれ、忘れがちな見方だと思う。

    第4巻 第12篇『説難』は他者と議論するときの姿勢としてわかりやすい。
以前流行った「論破」することがいかに無意味であるか、というよりも、相手を打ち破るよりも自身の考えが採用されることの方がいかに重要かつ困難であるかが理解できる。また、そのための気配りや言葉選びというものが、決して日本ならではの習わしではないこともわかる。
内容的にも、相手に応じて話すスタイル・力点を変えることや相手のモチベーションを金か名誉の4パターンで分類しているところなどは現代でも通用する心構えとなっている。


    本書を読むような人には自明のことかもしれないが、
    春秋戦国時代や諸子百家について詳しくないならば、巻末653ページからの『解説』を最初に読むと良いと思う。本書が書かれた際の時代背景や本書の位置付け、韓非の経歴や性格などがわかり、本文の内容を読みやすくなる。

    また、春秋戦国時代の人物について事前に知識があると本文の理解が進むとも思う。
    本文中の管仲、伍子胥、孫臏など当時の著名人は宮城谷 昌光の『春秋名臣列伝』、『戦国名臣列伝』などで注釈以上の情報を得ていたので例えがするりと入ってきた。
    春秋戦国時代は多数の国に君主がいるので、様々な年代で同じ名前(桓公や文公、荘公など)が出てくる。本書では扱われないが、年号の付け方も「(秦の)孝公6年」のように君主の名前と即位してからの年数で表現するので、君主の名前だけでなく国名まで合わせないと意味が通らず混乱する。君主を氏名で表記するようになった以降の時代では見られない、この時代ならではの性質(この時代はどこも姫姓ばかりなので氏名でも混乱する)だが、他書でも説明されたことはないので、少し知識があると混乱しないで済む。

  • 岩波文庫の韓非子を読むために購入。
    大きく話を掴んで韓非子を知っておきたかった。しかしこちらも史記で時代背景を知っておかないと、韓非が事例として挙げている君主、武将がわからないという…。歯ごたえのある本です。

  • 本田 済

  • ふむ

  • 翻訳:本田 済

    《目次》
    第一巻
     初見秦 第一
     存韓 第二
     難言 第三
     愛臣 第四
     主道 第五
    第二巻
     有度 第六
     二柄 第七
     揚権 第八
     八姦 第九
    第三巻
     十過 第十
    第四巻
     孤憤 第十一
     説難 第十二
     和氏 第十三
     姦劫弑臣 第十四
    第五巻
     亡徴 第十五
     三守 第十六
     備内 第十七
     南面 第十八
     飾邪 第十九
    第六巻
     解老 第二十
    第七巻
     喩老 第二十一
     説林上 第二十二
    第八巻
     説林下 第二十三
     観行 第二十四
     安危 第二十五
     守道 第二十六
     用人 第二十七
     功名 第二十八
     大体 第二十九
    第九巻
     内儲説上七術 第三十
    第十巻
     内儲説下六微 第三十一
    第十一巻
     外儲説左上 第三十二
    第十二巻
     外儲説左下 第三十三
    第十三巻
     外儲説右上 第三十四
    第十四巻
     外儲説右下 第三十五
    第十五巻
     難一 第三十六
     難二 第三十七
    第十六巻
     難三 第三十八
     難四 第三十九
    第十七巻
     難勢 第四十
     問弁 第四十一
     問田 第四十二
     定法 第四十三
     説疑 第四十四
     詭使 第四十五
    第十八巻
     六反 第四十六
     八説 第四十七
     八経 第四十八
    第十九巻
     五蠹 第四十九
     顕学 第五十
    第二十巻
     忠孝 第五十一
     人主 第五十二
     飭令 第五十三
     心度 第五十四
     制分 第五十五

    ・ 註
    ・ 解説
    ・ 年表
    ・ 地図

  • 刑罰がひっきりなしに行われるのは、名誉が間違った相手に与えられるから。

  • 2023年3月号

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著者プロフィール

1920-2009。三重県伊勢生まれ、京都府宇治出身。京都帝国大学文学部支那哲学史科卒業。高槻高等学校教諭、大阪市立大学文学部教授、梅花女子大学教授、同大学年学長を歴任。大阪市立大学名誉教授。文学博士。専攻は、中国哲学。主な著作に、『易学』『人類の知的遺産 墨子』「易経の思想史的研究」などがある。

「2022年 『韓非子 全現代語訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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