方舟

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1158
感想 : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065292686

作品紹介・あらすじ

9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。

感想・レビュー・書評

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  • Twitterなどで話題をさらっている本。

    柊一ら、大学の登山部のOB、OGの裕哉、隆平、麻衣、さやか、花ら六人と柊一の従兄弟の翔太郎が、裕哉の長野県の別荘に行こうとして、途中で謎めいた地下建築に迷い込みます。

    そこには、50年前の過激派のアジトのようなところで、拷問道具などもあります。建築名称は方舟だとわかります。

    そこへ、キノコ狩りにきて、道に迷った三人連れの親子、矢崎幸太郎、弘子、息子で高一の隼人が合流します。

    そして皆が、そこで一夜を明かそうとした時地震が起こり、水が浸水してきます。
    それで、全員外へ出られなくなり出るためには、一人だけ巻き上げ機を動かす人が、地下に閉じ込められたまま死ぬしかないという話し合いがなされます。

    一体誰が残り生贄になるのか。
    そんな時、裕哉が首を絞められて殺されているのを隼人が見つけます。
    皆はこの中の誰かが犯人であり、その犯人こそが一人残って死ぬべきだと判断し、犯人捜しを始めます。

    ところが、第二、第三の殺人が起こり、犯人は七人の中の誰かに絞られます。
    タイムリミットは1週間。


    ここまでは、普通のミステリーだし、よくある話なのに、なぜここまで、話題になるのか全然わかりませんでした。
    でも、エピローグで悄然としました。
    犯人の生への執着の凄まじさ!
    そして、柊一の心の葛藤。
    絶対最後から読まずに、順番に読んでください。

  • 本格ミステリーの沼に引きずり込むポテンシャルを持つ傑作! 面白いから気を付けてね #方舟

    ■レビュー
    まずプロットがとてもお上手、これは読ませる読ませる。
    冒頭から終盤まで、次々と変化や問題が出てきて、読者を全く飽きさせません。これぞプロの技ですね。

    殺人の謎解きも、しっかり本格ミステリーで高品質。
    不可解な点をひとつひとつ解き明かしていく点、犯人を絞っていく点など、かなりロジカルでした。

    そしてなんといってもエンターテイメント性が素晴らしいんです。
    地下に閉じ込められて、水没が迫ってくる。なのに死体が見つかるなんて、どんな恐怖なんだと。
    登場人物たちの疑心暗鬼、不安、緊張感が手に取るように伝わってくるのよ。

    この作品は是非映像化で見てみたい。地下だから絵として地味かもしれませんが、ヒリヒリとした緊迫感で2時間観客引き付けられると思うんすよね。

    残念な点をひとつだけ。
    デスゲームや閉じ込められるようなお話にはありがちなんですが、登場人物たちの関係性や心情の描写が、乏しいと感じてしまう。

    このまま閉じ込められて死ぬかもしれないんだから、人と人とのつながりは深まるし、逆にもっといがみ合いもあるはず。もう少し心情描写を膨らまたほうが、リアル感や緊張感が増すのではないかなーと思いました。

    ただ本作は純粋に面白い!といえる作品。
    まだまだこれからの作家先生だと思うので、ぜひこれからも読者を夢中にさせる作品を書いてほしい。これからも期待しています!

    ■推しポイント
    若かった20代の頃、お付き合いしていた彼女がいました。

    いつも彼女のことを一番に考えて、喜んでくれそうな場所に遊びに行ったり、懸命にアルバイトしたお金でプレゼントをしたり、懸命に尽くしたつもりでした。

    しかし彼女は、見た目がワイルドで危険な雰囲気を持つお兄さんと浮気をしていました。

    こんな私では人間的に惹かれず、浮気相手のほうが楽しませてくれるらしいのです。青春時代の悲しい失恋のお話でした。

    …何の話でしたっけ?

    • 土瓶さん
      うん。そんなautumnさんの肩を叩いて酒を酌み交わしたい。

      「まったく、女ってヤツはよ〜」

      って、しまった!
      自分下戸であった(笑)
      うん。そんなautumnさんの肩を叩いて酒を酌み交わしたい。

      「まったく、女ってヤツはよ〜」

      って、しまった!
      自分下戸であった(笑)
      2022/09/19
    • 松子さん
      あきさん、どんちゃん、こんばんは(^^)

      まってました、あきさんの方舟のレビュー!
      連日タイムラインで方舟を見て気になって気になって
      なる...
      あきさん、どんちゃん、こんばんは(^^)

      まってました、あきさんの方舟のレビュー!
      連日タイムラインで方舟を見て気になって気になって
      なるほどぉ_φ(・_・ すっごく参考になります!
      ありがとうございます♪
      あきさんのレビューで方舟を少し読んだ気分になったので、もう少し我慢出来そうですっ

      そして、あきさんの推しポイント‼︎
      なんともな切な苦い思い出ですねぇ

      よしっ、あきさん、どんちゃん、
      肩叩いて『あのときは話』しながら
      お酒酌み交わしましょっ!(←どんちゃんの真似っこ♪)

      って、私もあんまり飲めなかったぁー!
      2杯でじゅーぶん!笑
      2022/09/19
    • autumn522akiさん
      土瓶さん、松子さん、こんばんは~

      酒じゃ、酒。吞まずにはいられない。

      コロナも台風も過ぎ去って、みんなでお酒でも呑んで楽しく過ご...
      土瓶さん、松子さん、こんばんは~

      酒じゃ、酒。吞まずにはいられない。

      コロナも台風も過ぎ去って、みんなでお酒でも呑んで楽しく過ごしたいですね。

      まぁ、そんなミステリーですw

      お二人とも優しい言葉、ありがとう!
      2022/09/19
  • 非常に綺麗なミステリー小説。
    読みやすいし中々面白かった。
    出来事が複雑に入り組むことがなく、ただシンプルに1つの事件にフォーカスを当てている作品。
    謎解きの流れからの最後の展開は全く予想外でミステリーってこれこれ〜!ってなれます。
    ただ、あえて悪く言うならシンプルすぎるかなというのが個人の感想。
    登場人物の感情や背景、人間関係、事件が起きた地域や場所の話等の事件そのもの以外の部分にもう少しストーリーがあった方が私は好みでした。
    事件そのものの流れが非常に良いだけに少し残念。
    純粋にミステリーを楽しみたい人へはかなりおすすめできます!

  • ネット上で「方舟」の衝撃を伝えるコメントをこれでもかと言うくらい目にして、普段文庫派の私が久しぶりに単行本を手にしました。
    すぐ読みました。

    “真実”を知った時の私の素直な感想は「そう来たか」と「不可解」でしたね。

    トリックとしては、確かに今までにない切り口でした。
    なるほどね~と。
    疑わずに読んでいたのでいつも通り騙されました。

    不可解な部分は……これは許容範囲内なのかどうなのか、実際に読まれた方の裁量によるのですが……
    ここでは何を話してもネタバレになるので伏せておきますね(笑)

    私が今まで読んだ作品で、話の流れや動機がどうであろうと、そのトリックひとつで衝撃を与えられたのが、

    アガサ・クリスティー著「アクロイド殺し」
    綾辻行人著「十角館の殺人」

    この2作品だけです。
    真相を知った瞬間、鳥肌がバァーっと立って、部屋で「うあああぁ!!」と叫びました。

    この「方舟」も同じような感覚になることは間違いないと思うので、これから読まれる方はぜひ作家さんたちのコメントが載っている帯も出来れば読まずに、まっさらな状態で臨んでください!

  • ブクログのレビュワーさんが高評価をしていたので気になり、すぐに本作を買いに行きましたが、「圧巻」の一言でしか形容出来ないくらい素晴らしい作品でした。

    内容についてとやかく書くよりも、このレビュー見て興味持ってもらったら、とにかく読んでほしいとしか言えないです!

  •  そもそも旧約聖書の(ノアの)「方舟」は、洪水からの救済のための神の啓示でした。
     ところが、この物語に登場する「方舟」は、怪しい地下建築物で、地震のため脱出困難な閉塞空間になるのでした。
     読み進めるほどに、二重・三重の恐怖と不安が押し寄せます。閉塞空間でのタイムリミットのある水没。そして、脱出のため誰かを犠牲にする人の選別。更に、目的不明の殺人による人間不信・疑心暗鬼です。
     探偵役の主人公の従兄が少し胡散臭い印象で、登場人物同士の関係性もやや薄い感がありますが、特殊環境下ならではの殺人理由の設定に戦慄し、読み手は度肝を抜かれます。
     ノアの「方舟」は、大多数が犠牲になり一部のものが救済されますが、結局この地下建築の「方舟」も方舟としての役割を果たしたのでしょうか。これも皮肉?
     結末の衝撃の度合いが大きく、ミステリーファンの方におすすめです。

  • これぞミステリーの王道!?クローズドサークル、全員が容疑者、第二、第三の殺人、最後まで分からない動機、ラストのネタバラし、どんでん返し。多くのミステリー作家が絶賛しているだけある作品でした。何を書いてもネタバレになってしまう感じです。犯人の方が一枚上手でした。久しぶりに何も考えずミステリーを楽しめた一冊でした。


  • 連続して推理小説を読んでいますが、誰かに一冊お勧めするならば、間違いなくこの本を薦めると思います。それほどに傑作と言えるものでした。


    この本の面白いところの一つは、推理する側がプロフェッショナルではないところ。


    物語は、この「方舟」と呼ばれる地下施設に、地震によって閉じ込められたところから始まります。序盤から1人殺されてしまうのですが、残念ながら、ロープからは指紋は取れませんし、DNA鑑定もできません。

    そうした中で、どうやって推理していくのか、という部分がなかなか面白かったです。鑑定すればすぐに犯人が割れるのに、状況が状況だから、打つ手がない。

    そうすると、犯人の行動から割り出していくしかない。なぜこの場面でこの行動をとったのかが明かされるパートでは、なるほどと思わせる謎解きがいくつもありました。


    ただ、この物語を入れ子構造のように面白くしているのは、推理することだけでは終わらないこと。

    詳細は、本の中に出てくるのですが、誰か1人が犠牲にならないと、全員が助かることができない。そこで都合よく?起きた殺人事件によって、犯人を犠牲にすれば良いという結論に至るのに、それほど時間はかかりませんでした。

    果たして、犯人は誰なのか。そして犯人は自らが犠牲になることで他の全員を救うことに同意するのか。


    (ネタバレをギリギリ避けて通るのならば)
    推理とは、パズルのピースを組み合わせることと例えられることが多いですが、表ばかりの完成図に囚われて、裏側の絵柄を覗こうとする人は、ずっと少ないかも知れませんね。

  • 犯人は、この人だったらきれいだな、という直感で見事当たったけれども、その動機までは予想外。打ちのめされた。ラストは雷が落ちる。急転直下の結末。

    読んでいる途中では、「罪と罰」について考えてしまった。私たちは、日常の殺人は許さないけれども、大義名分を掲げた戦争には躊躇なく参加することもある、矛盾だらけの存在だ。なにか美しい言い訳があれば人殺しは許されるのか、保身のための落としどころを探っているのではないか、しかしすべては生存本能によるものだからどうにもできないのではないか……。
    意に反して、人間存在の本質的なところを思考してしまう読書であった。

    しかし!
    ラストは全てを裏切る!
    ただ自身の生存のみを渇望するもの、自己中心者の極み、それ以上に非道な殺人者の資格はないわ〜。
    あー、くわばらくわばら。

  • やばい。
    文章はまだまだだしキャラクターには魅力がないし演出も稚拙だが、これはすごい。ひたすら発想の勝利。
    四半世紀ものの麻耶雄嵩信者として認めるのは口惜しいが、発想だけなら「螢」を超えた。これぞクローズド・サークルの極北だろう。

    仲良さそうで仲良くない元サークル仲間(プラスアルファ)の7人に、どことなく胡散くさげな一家3人。即席のten little soldiersが、いかにも怪しい地下施設に閉じ込められる。そして事件が。
    このあたりのネタのための道具立てはまるで洗練されておらず、超絶不自然で鼻白む。殺人が起こった後のメンバーの反応も対立的というより回避的で、あまりにもドラマが足りないし。「静かなクローズド・サークルもの」という評は先日他の作品にも書いたけど、芸達者なそちらと比べると数段見劣りするんだよなあ。というか、「静か」と「退屈」は違う。
    何だこりゃ、まあ新人だししょーがないよな…と思いかけたところへ、衝撃のラスト。

    このどんでん返しとオチ自体は、「俺はわかったw」などとドヤ顔するウザマニアもいなくはないだろう(ヘボな私も柊一の末路については予想がついた)。だが本作の真骨頂はそこではなく、冒頭で「この状況でそんなことを考えてみても意味はない」と切り捨てられた犯人の動機にこそあるのだと思う。
    これ以上にすさまじく、かつ説得力ある動機を私は知らない。

    なお先に「ドラマが足りない」と書いたが、あるいは「2022年のリアリティ」をつきつめたら、追いつめられると殻に閉じこもるのはむしろ自然な描写なのかもという気もする。
    本作の登場人物たちは、きわめてジェンダーレスな言葉で話す。小説として目にすると「不自然」に思えるかもしれないが、声に出して(できれば男女それぞれのキャラに同性の読み手を当てて)読んでみれば、現実世界ではそれこそが自然であることに気づかされるはずだ。今村昌弘の作品のレビューでも触れたが、日本の文学界にも最近ようやくこういった動きが出始めた。
    それを思えば、作者はかなり自覚的に「ドラマが足りない」若者像を描いてみせたのかもしれず、そうであればここを貶すのは妥当ではないのだろう。

    本作のラストが刺さった人は、ぜひ「螢」を読んでみてほしい。
    推理小説としてマニアックな部分がかなりあって読みにくいかもしれないが、なんとかして最後まで。本作と同等(性質は異なる)の衝撃は保証する。

    2022/9/10〜9/11読了

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著者プロフィール

2019年、「絞首商会の後継人」で第60回メフィスト賞を受賞。同年、改題した『絞首商會』でデビュー。
近著に『サーカスから来た執達吏』がある。

「2022年 『方舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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