ゴッホの犬と耳とひまわり

著者 :
  • 講談社
2.79
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本棚登録 : 333
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065297551

作品紹介・あらすじ

古いフランス製の家計簿に書きこまれた膨大な文書を翻訳してほしい、と文化人類学者河島からの依頼。最後にVincent von Goghと署名があって、ゴッホ直筆かもしれない。しかも署名付き家計簿は二冊存在するという。贋作ならば、なぜ複数必要だったのか。ぼくは翻訳を進めるいっぽう、家計簿の来歴を追った。だが、謎は深まるばかりだった。

感想・レビュー・書評

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  • ゴッホが好きなので手に取った。赤いバイク、郵便配達員、と言う冒頭で絵が浮かび密かに喜んだが、、
    内容が悪い訳でもなく読み込ませてはくれるが、最初の期待が大きかったので残念。

  • 謎が謎を呼ぶ前に、答えが披露される
    どんな風に巻き込まれるのかと期待していたのだけど
    手の込んだストーリーはとても読みごたえがあるが、傍観者なのはつまらない

  • とにかく登場人物の関係性が分かりにくく、案外近場でグルグルしていることが分かってくるんだけれど、だからこそ相関図が欲しいところ。
    内容はゴッホが書き込んだ家計簿の真偽を調べる話だと思っていたら、印刷物、「森のなかのお城」という絵本から父親の出生の秘密など話しがどんどん家族の歴史のようになって、拾われた犬ゴッホも含めて、三代にわたる家のルーツを巡る旅となった。
    紙にまつわる膨大な蘊蓄は面白かったけれど、少し長すぎる。

  • 2022.12.22 プレゼントで頂いた一冊

  • 文化人類学者の河島から届いた小包には、19世紀のフランスで作られた家計簿の写しが入っていた。依頼は、そこに記された書き込みの翻訳で、Vincent van Goghの署名があった……。
    果たしてこれは真筆なのか? 内容はどのようなものなのか? という疑問と期待をはぐらかすかのように、話はどんどん違う方向に進む。トリビアの披露としか思えない内容なのだ。
    しかし驚くべきはここからだ。どう考えても本筋には関わらないと思っていたことが結末に向けて収斂していき、最後には見事に当てはまり全体像が現れる。知的なパズルのような作品だった。

  • 古いフランス製の家計簿に書き込まれた膨大な文書を翻訳してほしいとの依頼が事の発端だった。文書の最後にはゴッホの署名が。果たしてこの書き込みはゴッホの直筆なのか。真贋を見極める調査をしているうちに別の謎が浮かびあがる。面白くて一気読みでした。読んでいるうちに人間関係が込み入ってくるのでメモを取るのが良いのかもしれません。本作品は謎解きに焦点が当てられているため、話の筋らしい筋は薄目。本書を読んで改めてゴッホという画家に興味を持ちました。

  • 古いフランスの家計簿に残された「ゴッホが書き込んだかもしれない」おびただしい量の書き込みを、翻訳してくれまいかとの依頼が舞い込むところから始まる話。

    といっても実際に翻訳された文章は出てこず、訳文と当時のゴッホの状況を照らし合わせて矛盾を探す、というような方面からの謎解きはない。家計簿をめぐる状況が語られていく中で、新しい人がするする出てきて、その人たちが数珠つなぎに絡まり重なって、一つの方向へと収束していく。
    いやはや登場人物が多すぎて!年齢が今一つわからりづらいのも人間関係の把握に手こずった要因だった。相関関係の把握からは振り落とされ気味で、途中からは、もはや誰が主人公でもいっそゴッホじゃなくても良いなと思ってしまった。それでも河島先生その他の語りがなめらかなので最後までぐいぐい読めた。

  • ゴッホが書き込みをしたという家計簿の真贋を問う。結局、どうだったの?

  • 長野まゆみの作品でも、少し毛色が違う印象。
    会話量が多く、情報量がひたすら多い。登場人物も20人強と、話のすじと人物相関図をメモしながらなんとか理解。
    ゴッホに関する情報や雑学?の記述が多く、すべて理解しながらは頭が破裂しそうなので、なんとなくの話の流れを追ったけれど、贋作かもしれないゴッホの家計簿が長い月日を経て、壮大な仕掛けが主人公の弥也とその家族、周辺を巻き込みながら謎がとかれる。
    物語の中の創作の絵本は幻想的でまさに「長野ワールド」。存在しない絵本なのに探したくなってしまった。
    途中、ゴッホくんの愛らしい様子に癒されながら、謎が明きらかにされるの俯瞰で見ているようなお話だった。

  • 大学の講義の様なうんちくの披露の様な冗舌な文章と、分かりにくい多数の登場人物に、最初は苦労しましたが、人物相関図を書きながら読み進めて行ったら、最後見事な着地にびっくりしました。100年前ってほんの祖父母、曾祖父母の時代にこんな冒険譚があり、わくわくしました。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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