地検のS Sの幕引き (講談社文庫 い 146-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065298428

作品紹介・あらすじ

お前だけは、何があってもひきずり下ろす。
この命に代えても。

湊川地検の影の実力者、伊勢雅行の悲願やいかに――?
手に汗握る傑作<検察>ミステリー、「地検のS」シリーズ待望にして怒涛の最終巻!


地検職員ながら、警察、政財界にパイプを持ち、量刑をも左右すると噂の陰の実力者・伊勢雅行。
次期与党総裁候補・吉村泰二を陰で操る政界の「女帝」・須黒清美。
権謀術数渦巻く、手に汗握る頭脳戦の行方は――?

感想・レビュー・書評

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  • <地検のS>シリーズ完結巻。社会派で骨太な作品を志した第一作、エンタメ志向に舵を切った第二作に続き、過去の因縁に終止符を打つ最高潮の第三作となるはずが、その勢いは著しく失速。外国人技能実習生問題を盛り込むには時期遅しの感は否めず、とある登場人物をいきなり終盤戦のキーパーソンに据え置くのも流石に無理がある。各章における視点人物の過去も後付け感が強く、作風のブレを助長しているよう。今作だけ文庫書下ろしという点からも、著者の目指した方向性は版元に却下されたと邪推をしたくなる。私的には総じて残念なシリーズだった。

  •  「陣中見舞い」とか平気で言ってる議員達の感覚はどうにかならないかと、伊勢さんに話したい。

  • シリーズ最終巻。ついに最終決戦の時が来た。母、妹一家、同僚の仇を、吉村のバッジをとれるのか。次々と伏線が回収されていくおもしろさ。スパイが暗躍する中の黒幕との駆け引き。これでいいのか?という少々呆気ない幕引きだが、最後の伊勢の告白で、自分はまだ彼の強かさを理解できてなかったのだと痛感した。

  • 湊川地検の陰の実力者・伊勢が、ついに積年の宿敵と対峙する。傑作検察ミステリー最終巻!

  • 「地検のS」シリーズ第3弾はシリーズ完結編。

    今回も目線が変わる連作短編の形をとりながら、大筋の〈シロヌシ〉伊勢雅行vs吉村泰ニというテーマが貫かれる。
    それぞれの短編では、これまでも登場していた主要人物たちの過去と彼らを貫く信念を描く。特に〈皇后〉と呼び畏れられる須黒清美の過去と伊勢雅行との直接対決描く「断」は圧巻。

    組織の中の「細胞(スパイ)」がいるのが前提、二重スパイも否定できないというスリルある展開に目が離せない。そんな緊張感の中にあって、二世議員の吉村泰二の気の抜けた間抜けさ。地盤と鞄があるけど胆力も才覚もない議員が総理候補と担ぎ上げられる情けなさ。現実にもありそうな話だけに笑えない。
    須黒が担ぎ上げた人物がちょっと意外だったけど、これからも伊勢がしっかり二人を監視していくことだろう。

    それぞれの正義と信念がぶつかり、それが背反する時互いがどういう道を選ぶのか。正義は人の数だけあり、法律だけで白黒を決められるものではないことなど様々な思いに沈む読後でした。

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著者プロフィール

1978年東京都生まれ。上智大学法学部卒業。新聞社勤務などを経て、2013年に『見えざる網』で第33回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。2015年に『事故調』、2021年に「警視庁監察ファイル」シリーズの『密告はうたう』がドラマ化され話題に。本作は地方検察庁を舞台としたミステリ『地検のS』『地検のS Sが泣いた日』と続く「地検のS」シリーズの最終巻にあたる。他の著作に、『巨悪』『金庫番の娘』『事件持ち』『ぼくらはアン』『祈りも涙も忘れていた』などがある。

「2022年 『地検のS Sの幕引き』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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