法廷遊戯 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.82
  • (156)
  • (334)
  • (227)
  • (27)
  • (2)
本棚登録 : 4161
感想 : 261
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065298602

作品紹介・あらすじ

第62回メフィスト賞受賞!
法廷を舞台にした、衝撃と感動の傑作ミステリー

法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義と織本美鈴。
二人の過去を告発する差出人不明の手紙をきっかけに不可解な事件が続く。
清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨。
真相を追う三人だったが、それぞれの道は思わぬ方向に分岐して――?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 会社の方からご紹介頂いた本。
    映画のCMも目にしたことがあったので気になっていた作品。

    法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義と織本美鈴。
    二人の過去を告発する差出人不明の手紙をきっかけに不可解な事件が続く。
    清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨。
    真相を追う三人だったが、それぞれの道は思わぬ方向に分岐して――?

    物語が進むに連れて明らかになってくる事実。
    単なる人物紹介だと思っていた事柄の一つ一つが終点へと繋がっていく。

    法廷遊戯という題名だけあって、難しい用語も多く、法廷の場面も多い。

    中山七里先生の悪徳弁護士を読んでいたからか?その辺はさほど苦痛てはなかった。
    この作家さん、滅茶苦茶頭いいなぁって思って読み終わると、作家さん、司法試験に合格してるとか。。。

    すごっ。只者じゃないわけだ!

  • 仕事が忙しい上に体調まで悪くなって本を読むのも感想を書くのも滞る。
    少し良くなったので、薄れてしまわない内にエキスだけでもと書き留める。

    底辺のロースクールに通う清義と美鈴に、既に司法試験に受かりながら在学する秀才の同級生・馨、3人の物語。
    最初から最後まで、繊細で論理的、緊張感が張りつめた話が進む。
    学生たちのお遊びだった「無辜ゲーム」がエスカレートし次々と起こる事件が薄気味悪く、次々と明らかになる過去の出来事がいちいち衝撃的。
    終盤の法廷劇は、同害報復、再審請求、公訴時効といった法の考え方や仕組みに沿って、散りばめられた様々なピースが完成形に向けて組み立てられていき、最後まで理詰めで、それ故に起こる二転三転がこちらの予断を上回る。
    同じ施設で育ち互いを護ろうとした清義と美鈴の社会に対する見方が哀しい。

    妻に愛想を尽かされ死んだことにさせられて墓まで建てられた権田の話が妙に記憶に残る。

    • bmakiさん
      仕事が忙しいと体調悪くなりますよね。。。
      大丈夫でしょうか。。。

      そんな時は本も読めませんし、感想なんて書けませんよね。。。

      ...
      仕事が忙しいと体調悪くなりますよね。。。
      大丈夫でしょうか。。。

      そんな時は本も読めませんし、感想なんて書けませんよね。。。

      お休みの日は、兎に角心と身体を休めてあげてくださいm(_ _)m

      この本はそんな体調の時に読むには少し重めでしたね(^◇^;)
      バカ笑いできるような本が、回復には良いのかもしれません。。。

      お大事になさってくださいm(_ _)m
      2024/03/10
    • ニセ人事課長さん
      bmakiさん

      わざわざお気遣いありがとうございます。
      いつもレビュー読ませていただいています。いいねもありがとうございます。

      ...
      bmakiさん

      わざわざお気遣いありがとうございます。
      いつもレビュー読ませていただいています。いいねもありがとうございます。

      風邪に花粉にでちょっと大変でしたが、土日休んだのでなんとかなりました。
      ただ、本はあまり読む気になれずで、調子が戻ってから、読書のペースも戻したいと思います。
      2024/03/11
  • メフィスト賞受賞の現役弁護士が描いたリーガルミステリー。
    現役弁護士が描いたからか法律描写や審査手続き、公判中だけでなく休廷中の様子なども事細かく描かれている。
    エンタメ性があってとても面白かった。裁判のことはあまり知らない所が多いのでとても勉強になりました。主人公の久我がロースクール時代の仲間の弁護を行いそれを解き明かすという設定で、弁護士の心情を突き通すだけではないという所に深みが持ててとても重厚なドラマであると感じた。人を弁護すること、裁くこと、真実は一体何でそれをどう解釈しどんな結末にするのかという司法の重みと、愛する人を無実にすべく奮闘する久我の必死さの2つが重なりリアリティが凄かったです。
    ページが進むにつれて、真相がどんどん明らかになっていきこれで終わりかと思いきやまだまだひっくり返してくる作風がとても面白かったです。馨が全てを計画し司法へ復讐するために自分を殺させたのかと思いきや、馨は死ぬつもりまではなく美鈴が故意に彼を死なせたという真実には驚きが隠せなかった。そしてそこにも布石を打っている所に彼の執念を感じました。そして馨を故意に殺害したかの理由はとても悲しいなぁと。そこには打算や含みが一切無い、久我への献身だったのだと思った。
    解説のQuizKnockの河村さんの解説も是非読んでほしい。法律は知っていなければいけないものである事がよく書かれている。私も法律という分野に少しでも触れていこうと思った。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    久我清義:松岡禎丞
    結城馨:細谷佳正
    織本美鈴:宮本侑芽
    矢代公平:梅田修一朗
    藤方賢二:河西健吾
    奈倉:津田健次郎
    古野:三木眞一郎
    留木:古川慎
    権田聡志:大塚明夫
    佐沼:石田彰
    喜多秀明:小山力也
    佐倉咲:水瀬いのり

  • 無罪ー犯罪の証明がないこと
    冤罪ー無実であるのに犯罪者として扱われること
    無辜ー罪のないこと
    語義は、似ているけれど、全く別物であることに、今まで無関心だったかもしれない。
    審判者の青年が仕掛けた模擬法廷での無辜ゲーム。
    そのゲームの最終目標は、父親の無実の立証。
    主人公の二人の生い立ちからストーリーはなんとなく予測できるけど、ゲームを仕掛けた青年のそこまでに至る悲壮感と周到さが痛みがあって良かったです。
    無辜について周知させる筋書きに加えて、ハムラビ法典の“目には目を”の同害復讐法について、過度の復讐を避ける温情的な意味合いの刑罰という一説の興味的でした。

  • 精緻に練られた物語で、法的な仕組みを理解した後に、その意味に気づいて、感情を揺さぶられるという読書体験でした。
    実は表紙の絵がちょっと不気味で、なかなか手に取る気にならなかったのですが、もっと早く手に取るべきでした。
    過去の罪の記憶を共にする男女が、恋愛とは違う深い結びつきを持ちながら、しぶとく生き抜いてきた。その先の意外な巡り合わせの中に込められた死者の思いを各々が受け止め、自らの罪に向き合う。受け止め方の違いによる結末が切ないです。

  • 映画化と話題になっていたので

    模擬法廷をゲーム感覚で開催し法律家を目指す学生達。その後実際の事件の弁護士、被告人、被害者となるお話ですが、施設で育った清義と美鈴、秀才の馨が中心。

    いくら恵まれない環境で育ったとはいえ、詐欺でお金を稼ぎ、冤罪の罪をきせ、死に追いやっていたこと。それで普通に学校行って、法律勉強して、弁護士なるなんてその神経が考えられない。清義と美鈴は自覚のない本当の悪人と思う。理由はともあれ先生を刺したこともあるそうやし…

    そした最後に罪を償い美談にするところ、きっと映画では泣けるような演出にするんだろうなぁ、、、本当にちゃんと読んで映像化を決めてるのか疑問に思う。
    あと美鈴が杉咲花ちゃんでは、なんか違うかな?杉咲花ちゃんに痴漢はイメージ湧かない。

    ビビって人に罪を押しつけた事件を、数年後いい感じにする話。

  • 法律は、不平等な世界を生き抜くための武器になる。

    法律家を目指す学生たちによる【無辜ゲーム】をきっかけに、話がちょっとずつ広がっていくのが面白かった。
    法律の勉強にもなったかな。

    ハンムラビ法典に対する考え方、なるほどなと思った。
    「自分の目を潰した犯人を差し出されて、好きに復讐していいと言われたとしよう。刑罰が存在しない無秩序な世界だったら、半殺しにするか、それこそ命まで奪いかねない。でも、奪われた視力の対価に命を求めるのは、さすがにやりすぎだ。視力の対価は、視力を奪うことで許してあげなさい。それが目には目をの意味だよ。」
    【同害報復】のハンムラビ法典は、寛容の論理。

    あとは、生活のために痴漢詐欺をはたらこうとした女子高生を諭す言葉。
    「生きるために罪を犯すなとは言わない。でも、自分が逃げるために無辜の人間に罪を被せるのは、最後の一線を越えてる」
    ほぉ・・・となる考え方がいろいろあった。


    「「被告人のうち、九人が殺人犯で一人が無辜であることは明らからしい。九人は、直ちに死刑に処せられるべき罪人だ。でも、誰が無辜なのかは最後までわからなかった。十人に死刑を宣告するのか、十人に無罪を宣告するのか――。審判者には、その判断が求められる。殺人鬼を社会に戻せば、多くの被害者が生まれてしまうかもしれない。だけど僕は、迷わずに無罪を宣告する。一人の無辜を救済するために」」

  • 法律に疎い私でもするりとストーリーが入ってきたうえ、ストーリー展開がとても面白い作品でした。

    本作は第1章と第2章からなるミステリー作品であり、その舞台はロースクールや実際の裁判所。文字を追っているだけで裁判のやり取りが聞こえてくるようなスムーズな文体であるとともに、状況が2転3転していくストーリー展開で読みやすさがありました。

    個人的にはどうしてこのキャラクターはこの場面で、こういう行動を取ったのだろうと疑問に思った箇所もあり、少し共感出来ない感じは残りました。

  • 法律や裁判に関するストーリーでその辺りの知識がない私にとっては難解でイメージが湧きづらい部分もあったけど少しずつ明らかになっていく真相と過去が気になりページをめくる手が止まらなかった!
    児童養護施設で出会った清義と美鈴は恋人でも友人でもなく犯した罪によって固い信頼関係で結ばれているいう関係には歪さを覚えた。ラストで清義と美鈴どちらも「このまま一緒に生きていきたい」と願うが、一人は罪を認め罰を受ける道、もう一人は罪と向き合う道をそれぞれ歩んだ場面はなんだか切なかった。
    また薫の胸中についても考えさせられた。冤罪で逮捕・起訴され有罪判決を下され自殺に追い込まれた父親の無念を晴らすべく復讐を決意。冤罪の原因を作った美鈴と清義だけでなく無罪の父へ有罪判決を下した司法に対しても同時に復習すべく薫が考えた計画が圧巻だった。薫の復讐に賭ける想いの強さが思い知らされた。
     

  • 五十嵐律人さん初読みです。大好きな法廷ミステリー、法律を軸にした展開は、やや難解ながら、読みごたえがあり、ちょこっと法律に詳しくなったような気分になりました。脇役のキャラクターもなかなか魅力的で、最後まで一気に読んでしまいました。他の作品も読んでみたい‼️2023年11月公開の映画も気になります‼️

全261件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1990年岩手県生まれ。東北大学法学部卒業、同大学法科大学院修了。弁護士(ベリーベスト法律事務所、第一東京弁護士会)。本書で第62回メフィスト賞を受賞し、デビュー。他の著書に、『不可逆少年』『原因において自由な物語』『六法推理』『幻告』がある。

「2023年 『法廷遊戯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

五十嵐律人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×