老害の人

  • 講談社 (2022年10月17日発売)
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本 ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784065299241

作品紹介・あらすじ

迷惑なの! と言われても。

昔話に説教、趣味の講釈、病気自慢に孫自慢。
そうかと思えば、無気力、そしてクレーマー。

双六やカルタの製作販売会社・雀躍堂の前社長・戸山福太郎は、娘婿に社長を譲ってからも現役に固執して出勤し、誰彼かまわず捕まえては同じ手柄話をくり返す。
彼の仲間も老害の人ばかり。素人俳句に下手な絵をそえた句集を配る吉田夫妻に、「死にたい死にたい」と言い続ける春子など、老害五重奏(クインテット)は絶好調。
「もうやめてよッ」福太郎の娘・明代はある日、たまりかねて腹の中をぶちまけた。

『終わった人』『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』に続く著者「高齢者小説」第4弾!

定年、終活、人生のあとしまつ……。
自分のこと、親のこと、いずれは誰もが直面する「老後」。
「最近の若い人は……」というぼやきが今や「これだから『老害』は」となってしまった時代。
内館節でさらなる深部に切り込む!

感想・レビュー・書評

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  • 我が母をときどき思い
    出しながら読みました。

    若い頃の武勇伝を聞く
    は親孝行のひとつよと
    思いつつ、

    それが他人様に及ぶと
    やめて恥ずかしい!と
    なる。

    もー、苦笑いされてる
    ことに気付いてよ、と。

    でも、わかってはいる
    んです。

    その態度は母の気持ち
    を無視した自分本位な
    ものだって。

    ねえ、お母さん、私は
    お婆ちゃんを忘れない。

    どんなときもニコニコ
    してた(*^^*)

    でもきっと私には見え
    ないとこでお母さんに
    愚痴を零してたよね。

    武勇伝や愚痴のひとつ
    やふたつ・・・、

    いいじゃない、それが
    生きる活力になるなら。

    それこそが長生きの薬
    なら。

    あの頃母が担った役を
    今度は私が担う番ね。

    さあ、武勇伝と愚痴を
    ヘトヘトになるくらい
    聞いてあげるわよ。

    里帰りの道中で小さな
    小さな決意表明をした
    のでした。

    皆さま、今年もお世話
    になりました。

    来年が皆さまにとって
    幸多き年になることを、

    心より御祈り申し上げ
    ます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)

    • ひろさん
      コルベットさん♪
      いくら家族といえど、愚痴や武勇伝を延々と聴き続けるのは辛いですよね。でも、妹さんのフォローもありつつ平穏にご実家で過ごされ...
      コルベットさん♪
      いくら家族といえど、愚痴や武勇伝を延々と聴き続けるのは辛いですよね。でも、妹さんのフォローもありつつ平穏にご実家で過ごされたようでよかったです(*^^*)
      2025/01/03
    • scentさん
      コルベットさん
      あけましておめでとうございます
      本年も交流よろしくお願いします

      私も親の言う事に時々 同じようになってしまうことがあります...
      コルベットさん
      あけましておめでとうございます
      本年も交流よろしくお願いします

      私も親の言う事に時々 同じようになってしまうことがありますが 不思議なことに アカの他人様だと 何度聞いても平気なんですよねー
      やはり 自分の親って いつまでも自分の親であるので しっかりとしていて欲しいという 私の親への甘えなのかもしれませんねーー

      まとまりませんが 読んでみたくなりました
      2025/01/04
    • コルベットさん
      ひろさん♪ありがとうございます。おかげさまで穏やかに過ごせました。それにしても年老いた母と喧嘩なんてしたら後で自己嫌悪するのがわかってるのに...
      ひろさん♪ありがとうございます。おかげさまで穏やかに過ごせました。それにしても年老いた母と喧嘩なんてしたら後で自己嫌悪するのがわかってるのについ。妹の方がずっと大人だなあと(^_^;)
      2025/01/04
  • いつの時までかは、世の老害を笑っていた。しかしやがて笑われる自分が目に浮かぶ。ジェネレーションギャップは世の常。歳を重ねて初めて気付く事もあり、若い頃年配者へ感じた不遜な思いを恥ずかしいなとも感じている。
    お話の出だしから(ある、ある…)と笑ってしまった。
    内舘さんのユーモアある物の見方、描き方がこれから生きる老いの時に希望を持たせてくれる。

  • ご老人達の青春ストーリー。
    「お年寄りは大切に」は、間違いかもしれない。

    昔の自慢話、趣味の押し付け、病気自慢にクレームなどなど…。
    「老害」と思われる行為は、人それぞれ。
    若い世代には鬱陶しがられ、ご老人本人は無自覚に撒き散らす。
    なにか解決策は?
    本書を読んでみて下さい。
    もしかしたら、ご老人方は社会に役割を見出せずに寂しさ・切なさを抱えているのかも。。

    私にも実家に祖父母が居ます。(祖母は施設に入りましたが)
    「お迎えが近いから…」なんて弱気発言をする気の強い祖母、すぐ忘れ同じ事を繰り返して言う祖父。
    思い返せば、特に役割もなくテレビを観て過ごしていたな。。
    本書では、ご老人方でサロンを開いて「老人による、老人のために」活動しようとする姿を描いています。
    祖父母にも何か役割があれば、少しは変わっていたのかも。
    「何もさせない」=「大切に」ではないのかも。
    今現在のご老人について、自分の老後について、いろいろ考えさせられました。

  • インパクト大の本のタイトル!

    この本の中の高齢者は、生活が安定していて、
    ご近所とも仲良く、家族にも恵まれていて、
    なんだか幸せな老人たちだ。
    だからこそ、言いたいことも自由に口にでき、
    やりたいように行動できた。
    認知症や寝たきりでもおかしくない80~90歳。
    ものすごいパワーに圧倒されてしまう。

    「老害」
    それは、個性だという福太郎の言葉がおもしろい。
    「毒にも薬にもならない人間は華がない」
    と、明代のセリフも、何だか納得。
    マスオさん状態の純市がオロオロしていて、
    かわいそうで、頼りなくて・・・
    強烈なキャラには、必ず、サポートする静かなキャラが必要だ。

    親子関係はあまりにも近すぎてぶつかり合うが、
    孫となると、ちょっと距離を置けるので、
    関わり方も穏やかになるのは、よくあること。

    世の中や会社でも、高齢者と、若者が、
    お互いを尊重しつつ、いい距離感で関われれば、
    もっと豊かな社会に結びつくのでは。

    丁度、コロナ禍の話、
    その頃の世間を思い出しながら読んだ。

  • 本書は、内館牧子さんの「高齢者3部作」に次ぐ4作品目の位置付け。「高齢者3部作」のうち2作は読んだ。大分長い作品だったが、本作も高齢者を取り巻く日常生活が描かれており、読み易かった。本作で出てくる高齢者は80〜90代が中心。心も体もまだまだ元気で時間ばかりを持て余している。コロナ禍でワクチン接種が始まった2021年あたりが描かれており、リアルだった。子供世代からは「老害」として扱われ、その言動も確かに…と思わざるを得なかったが、人の役に立てること・仲間を見つけるとメリハリが生まれ生き生きして良い流れが生まれることがよく分かった。高齢者でなくとも、仲間や自分のやりがいを感じられることが見つかると人生にハリが出るのだろうな。未読のもう1作品も是非読んでみようと思う。

  • 前半は老害ばかりが炸裂してうんざりでしたが、だんだんとペースに引き込まれ、少しずついい話が増えていきました。老害は毒と薬の両面があるのは目から鱗でした。

  • 高齢者シリーズは面白くて一気に読み終えてしまうのだけど、これはこれで前3作と根底にあるモノは一緒。
    自己肯定感を得るためか承認欲求を満たすためか老害をまき散らす高齢者を活写している。

    過去の栄光だった仕事や、取組んでいる趣味や病気自慢や孫子の自慢など誰も聞きたくないのに何度でも繰り返す。

    挙句の果てに何かを成し遂げたいと集まって何事かをして、まあまあそれが成功を収める(とは限らないが)
    どれもそんなストーリー。
    いや、なんで趣味とかで淡々と楽しめないのかね。
    まあだからこそ「老害」をネタにした物語になるのだろうな。


    『終わった人』『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』に続く「高齢者小説」第4弾!

    定年、終活、人生のあとしまつ……。
    自分のこと、親のこと、いずれは誰もが直面する「老後」。
    「最近の若い人は……」というぼやきが今や「これだから『老害』は」となってしまった時代。
    内館節でさらなる深部に切り込む!

  • 冒頭から繰り広げられる「老害」に、うへーこれはツラい!読むのきつい!と毒気にやられる。
    「老害」に嫌気がさしてあたりがキツくなってしまう現役世代の登場人物たちの気持ちになって読む。

    そして、自分が「老害」ならないようにするにはどうしたらいいんだ!と考えてしまう。
    老人になったら制御きかずに自慢話、昔話、クレーム垂れ流しになるかもしれないなんて、想像するとゾッ。

    でも「老害」なんて言われ、家にいるとあからさまに迷惑がられ、とはいえ仕事は引退していたら行き先はなく、とりあえず散歩に出るなんて切ないなぁ。
    姥捨山ならぬ、ジジババ回収車なんて笑ったけど、よく考えると笑えない。

    登場する「老人クインテット」のみなさんは仲間がいて、集まれる場所もあり、リーダー的要素の人がいるからよいものの、そうでない老人たちの方が圧倒的多数だろう。長生きなんてするもんじゃないのかも。少なくとも私は不老不死の薬はいらないな、うん。

  • 人はその人の立場になってみないと分からないものだなぁと思った。

    私は現在、妊活しているが、友達の妊娠ライフや子供のことを聞きたくないのと同じなように、孫がいない人は相手を羨ましく思い、孫自慢に耳を塞ぎたくなるんだよね。。。妊活も孫自慢も似てる。。。

    だから、人ってその人がなんで孫自慢するのかとか、過去の栄光を語りたくなるのかとか、聞いいてめちゃくちゃイラつくけど、結果、自分もしてるんだよなぁ。。。

    する側も相手の気持ちを汲み取ることが大切。
    この人には語っていいことだとか、そこまで気を遣えれば百点です!!!
    でも、気を遣えず、べらべら喋る人がほとんどです。笑笑

  • 【老害】と聞くとマイナスなイメージを思い浮かべてしまうかも知れません。でも、この物語を読むと見え方が変わります✨

    人は人のために行動するとこんなにも変わる!それは歳をとっても変わらない!

    この本は、当たり前だけど忙しい日常では忘れてしまっている数々のことを思い出させてくれました。何より娘の明代さんが優しすぎます!!

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著者プロフィール

1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業。1988年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」(1993年第1回橋田壽賀子賞)、「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)、「塀の中の中学校」(2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞)、「小さな神たちの祭り」(2021年アジアテレビジョンアワード最優秀作品賞)など多数。1995年には日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)に入賞するなど幅広く活躍し、著書に映画化された小説『終わった人』や『すぐ死ぬんだから』『老害の人』、エッセイ『別れてよかった』など多数がある。元横綱審議委員で、2003年に大相撲研究のため東北大学大学院入学、2006年修了。その後も研究を続けている。2019年、旭日双光章受章。

「2023年 『今度生まれたら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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