虚構推理(19) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 講談社 (2023年5月17日発売)
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感想 : 6
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  • 本 ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065313879

作品紹介・あらすじ

怪異達の知恵の神になった少女と、怪異にさえ恐れられる男が、怪異に挑む[恋愛×伝奇×ミステリ]!!  “怪異”の知恵の神になった少女・岩永琴子が一目惚れした相手・桜川九郎は、“怪異”にさえ恐れられる男だった!?  2人に振りかかる奇想天外な事件と、その恋の行方は――!?

開かれるはずのなかった密室、通好みなお好み焼き屋の謎、三角コーンに染まりし鮮血、波紋を呼びかねない一目惚れ、さらに、“○○琴子”登場‥‥!? 【バラエティに富んだ短編4本&淡い恋の新シリーズを収録!!】

感想・レビュー・書評

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  • 今回は短編4本と、新シリーズの1話目を収録。密室を開いちゃう妖怪!お好み焼き屋で九郎が誘拐犯に間違われる?!琴子の偽物登場?!血まみれの三角コーン怪談!と盛りだくさん。

    『みだりに扉を開けるなかれ』
    琴子が語ったのは、ある夫が妻をバスルームで自殺したように見せかけた事件。夫が使ったトリックによってバスルームは密室になった。それを妹夫婦と発見する計画だったのだが、なぜかバスルームの扉が開かれていて──。

    ミステリでは禁じ手とも言える密室破り!こんな妖怪たちがいたら、ミステリ界に激震が走り過ぎる。鴨崎暖炉先生の『密室黄金時代の殺人』でこんな妖怪が発生したらとんでもないことに(笑) 人はよくわからないものを妖怪のせいにして説明をつける。でも、それですら説明がつかない不可解な状況が起きたとしたら──ぞくりとする物語。ともかく、密室殺人は止めておこうね!

    『鉄板前の眠り姫』
    住宅街にあるさびれたお好み焼き店。店を切り盛りするのは祖父から三年前に継いだ坂下という男だった。彼は本業の傍らで、常連客のために味を守り続けていた。昼の営業終了ぎりぎりに入店した琴子は雨の音で眠り始めてしまう。琴子を追ってきた九郎だったが、坂下に誘拐犯だと勘違いされてしまい──。

    琴子から送られてくる写真をことごとく消しているために、知り合いだと証明できない九郎には笑った。坂下と九郎の問答からの場面転換は、まさに虚構推理らしい切れ味。人情味あふれるお好み焼きと推理の味わいが楽しめる短編。

    『MK計画』
    夜な夜な自分の偽物が現れると聞きつけ、琴子は現場に急行する!そこにいたのは、まるで琴子のようなセリフを言うけど琴子ではない何かだった?!

    こんな悪趣味ないたずらをする人間はただ一人!箸休め的な話ながら、妖怪たちが琴子をどう認識しているのか、偽物に対してどういう行動がとれるのかという試金石でもあった。偽物だと気づいていながらも手出しできない妖怪と、偽物だとわかるやいなや容赦ない九郎。やはり自分に似たものを破壊されるのは複雑で、しかもそれが未来に起こりうるかもしれないのは不穏でしかない。

    『怪談・血まみれパイロン』
    落語の幽霊が妖怪たちに聞かせている話という趣向で描かれる短編。道の真ん中を塞いでいた(カラー)コーンを蹴り飛ばした大学生。その後、夜になるとアパートの玄関の外に血まみれのコーンが立つようになり──。

    お?良い話じゃん!──イイハナシナノカナー?となった短編。琴子が取り持つというより、混乱を招いているようにしか見えない(笑) 真実なんて知らない方がいいことも、くだらない断定が真実を捉えていることもあるんだなと。妖怪相手の落語なら、妖怪の立場を立てて終わらないとね。コーンだけに──。

    『かくてあらかじめ失われ……』
    ここから新章開幕。妖怪が密室開きで犯人を驚かせようと思ったら「計画通りだ!」というリアクションをされてしまい、腹いせに犯人を匿名で通報!妖怪のせいで計画は崩れてしまった犯人は逮捕された。しかし、ある人物に罪を着せようと偽造した遺書の影響は残っていて──。被害者の娘・美矢乃と、琴子に一目惚れしてしまった幼馴染・昴。この物語がどう動いていくのか。

  • それぞれに味がある短篇4作品でした。
    扱っているのは殺人事件だったりしますが、怪異に通じる主人公たちを挟むとどこかほのぼのとするのは、なぜでしょうね。

  • 最初爆笑したけど、よく考えたら怖いなメカ琴子。帽子、ステッキと多少似せた格好させるだけで化け物どもには琴子そっくりに見えるのか。 血塗れパイソン話として普通に好き。

  • 『MK計画』以外は小説版により既知のエピソードなので新鮮さはあまりないのだけれど、その分『MK計画』のはっちゃけ具合が目立つ目立つ(笑)

    岩永琴子の偽物という少し深刻さのある導入からどうしてあのようにアホっぽい展開になるのか(笑)

    これまでも怪異の感覚って人間離れしていると感じられるシーンは幾つか有ったけど、今回は大概だよ!どうしてアレと琴子を見間違えられるのか(笑)
    六花の主張は「知恵の神」の問題を解決できる手法のようで居て穴だらけのものだからしょうもない。いわば琴子の正論しか通用しない状況の筈なのに怪異にはメカ琴子も本物に見えるから壊せない理不尽

    ここで九郎がメカ琴子を躊躇なく壊せたのは琴子の真贋を見定められている為か、本物だろうとあの扱いが出来るからか。果たしてどちらだろうね(笑)


    今巻でメインとなるのはやはり小説版と同じく搦め手の密室要素。犯人が密室にした殺害現場を怪異が開いてしまう無茶苦茶な話
    常日頃から怪異と人の世が混じらないように腐心する琴子にすれば堪ったものじゃない事態

    でも、誰が開いたかも判らない密室というのもミステリ的に面白い要素でも有るのも事実
    犯人はさておき事件関係者や警察が納得すれば問題ないが、少しでも「妖怪密室ひらき」の存在が世に知られてしまえば大変な事態になる
    琴子がどのようにしてこの面倒な事態を虚構推理によって収めるのか見ものというもの

    特に『かくてあらかじめ失われ……』は密室ひらきによる実害が出ているのだから既に面倒な話に
    ここで琴子が九郎を標的に愚痴るのはいつもの展開だと理解できるけど、それを愚痴られた六花も最終的に九郎を愚痴の標的とするのはちょい面白い

  • ミステリーというか謎掛けというかな感じで店舗感も含めてよかった。血まみれパイロンというのが個人的に音としても色々と刺さっていい感じだった。

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著者プロフィール

2015年4月発売「マガジンR」第1号より『虚構推理』連載スタート。

「2019年 『虚構推理(10)限定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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