YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors (YA! ENTERTAINMENT)
- 講談社 (2023年5月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065317297
作品紹介・あらすじ
女子校に進んだわたし。男子の目を気にしなくていい女子校ライフって最高! でも、共学に進んだ大好きな幼なじみには恋人ができたらしい。やっぱり女子校なんて最悪!?(『女子校か共学か、それが問題だ!』小林深雪)
変わり者のわたしは、友達のミッコが好き。ミッコがくれるチョコは夢のように甘いから、いつだってわたしは泣きたくなる。だけどミッコには彼氏もいて、わたしにも事情があって──。(『チョコレートの香りがするね』にかいどう青)
お父さんは悪い人じゃない。でも、一緒にお風呂に入りたがったり、スカートをめくろうとしたり、ちょっと疲れる。そんなある日、クラスメイトのみやびが父親によって暴力を振るわれていることを知ってしまう。私のお父さんなんて、全然マシ?(『チキンとプラム』長谷川まりる)
千歳とつきあっている真結は、「そろそろ隠すのをやめない?」と提案をされ、動揺する。レズビアンだとカミングアウトすることへの不安と、千歳に嫌われてしまうかもしれないという不安。セクシャルマイノリティについての本には、無理にカミングアウトすることないって書いてあったけど……。(『いわないふたり』如月かずさ)
「ピュア」で「コドモっぽい」僕は、みんなのエロ話に付いていけない。急にみんながオトナになってしまったみたいだ。廊下でティッシュだと思ってナプキンを拾ったときも、大騒ぎになった。どうやったらオトナになれるんだろう?(『羽つきスキップ』水野瑠見)
クールな安珠に、どこか憧れる栞。しかし安珠には手のかかるいとこ、咲留がいた。少しずつ二人の事情を知っていくなか、ふと安珠がこぼす。「役に立たないから、期待されないから、廃墟が好き」だと。(『いつかアニワの灯台に』菅野雪虫)
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心と身体を取り巻くあれこれ。「今」を生きる児童文学作家がジェンダーと中学生をテーマに物語をつづります。
六人の児童文学作家のほか、イラストと漫画は『少年ノート』『ヒラエスは旅路の果て』の鎌谷悠希が担当。漫画「Peony」では、ジェンダーがまとう「香り」をみずみずしく表現。
ここでしか読めない、珠玉のアンソロジーです。
感想・レビュー・書評
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ジェンダーフリーをテーマにした短編集。作家が豪華なのと、挿絵や表紙を描いた鎌谷悠希による8ページのマンガから始まるという、子どもが手に取りやすい作りになっている。内容もおもしろかったし、テーマ的にも小中図書館に配架して欲しい本だと思った。
「Peony 」鎌谷悠希
鼻が利くまるくんが席替えで僕の後ろになった。そんな日に限って、僕はこっそり母さんのシャンプーを使っていたんだ。
「女子校か共学か。それが問題だ!」小林深雪
隣の家の翔太が好きな鈴。私立の超難関女子中に受かってしまい、しかも女子校が肌に合って最高な毎日。そんな時に受験失敗して私立共学に通う翔太から、中学で好きな人が出来たと告白されて…。
「チョコレートの香りがするね」にかいどう青
アユはとある事情からあまり人と関わらず図書準備室にいることが多い。そこにはアユの少ない友人ミッコが会いに来てくれる。ミッコは最近付き合い始めた吉村くんがキスしたそうなんだよねーと話始め…。ミッコが大好きでこっそり持ち歩いているマーブルチョコが上手く使われ、甘酸っぱい想いが書かれます。
「チキンとプラム」長谷川まりる
うちの父さんは料理もするし、朗らかでとっても良いお父さんさんだと思うけど、私に対する性的な会話や行動(お風呂に入ってこようとしたりとか)がとにかく嫌。そんな時にクラスでいまいちなじめなかったみやびと高架下の公園で出会ってお互い家族に対する悩みあることを知る。
「いわないふたり」如月かずさ
私と北条さんはこっそり付き合ってる。それは世間でレズビアンと言われる関係だから。中三の修学旅行前にお互いの"世間に公表したい、したくない”という思いのズレから、ぎすぎすした状態になる。
「羽つきスキップ」水野瑠見
中学になってなんだかこれまで仲の良かった男女がくっきり別れた状態になり、男子のエロ話にもついていけない
僕。しかも女子が落としたナプキンをティッシュと思って拾って渡してしまい、最悪の事態に。
このお話、個人的にスゴく好きでした。男前な主人公だった。こんな弟なら欲しいなぁ。
「いつかアニワの灯台に」菅野雪虫
中高一貫女子校に通う栞は地味。地味カッコいい安珠と仲良くなりたい。安珠は一軍女子咲留と親戚でよく関わっている。あることをきっかけに栞は安珠の家に誘われ、彼女の秘密や咲留との真の関係性、安珠がアニワに行きたがる訳などを知っていく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジェンダーフリーアンソロジー。
性に悩む中学生たちが主人公。ほろっときたり切なかったり可愛かったり、感情が忙しかった。
惜しいのは男の子目線が少なかったところ。男の子主人のジェンダーフリー短編集、ぜひお願いします。
よかったのは、にかいどう青さんの「チョコレートの香りがするね」と長谷川まりるさんの「チキンとプラム」。
にかいどう青さんの短編、あまりにも好きすぎるな、とずっと思っていたんだが、さすがに今回完全に射抜かれた。いやーあまりにもお見事。残酷なくらい切ない。ホラーのほうも読んでみることにする。 -
女子校に進学した鈴は共学校に入学した翔太に呼び出されて心ときめくが
──小林深雪「女子校か共学か、それが問題だ!」
中学の図書準備室でミッコに出会い心惹かれたアユには事情があって
──にかいどう青「チョコレートの香りがするね」
父が苦手なすずは遠回りして下校する途中でみやびに声をかけられる
──長谷川まりる「チキンとプラム」
つきあっている千歳からカミングアウトしないかと持ちかけられた真結は
──如月かずさ「いわないふたり」
中学生になっても「コドモっぽい」ままの大希がナプキンを拾ってしまい
──水野瑠見「羽つきスキップ」
栞はクールな安珠に惹かれるが、安珠には手のかかるいとこの咲留がいて
──菅野雪虫「いつかアニワの灯台に」
《やわらかに、あざやかに、そして激しくジェンダーを描く。
漫画家×6人の児童文学作家による異色のアンソロジー!》──帯の紹介文
イラストを担当した鎌谷悠希による「香り」をテーマにした短編漫画も収録
《心と身体を取り巻くあれこれ。「今」を生きる児童文学作家がジェンダーと中学生をテーマに物語をつづります。
ここでしか読めない、珠玉のアンソロジーです。》──出版社サイトより
どれも短編にしておくのがもったいないプロットと展開
(短編だからこそ凝縮された物語にしあがっているのかもしれないけれど)
ことしのイチオシの一冊 -
【選書No】008
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ジェンダーフリーがテーマのアンソロジー。
「チキンとプラム」「いわないふたり」「羽つきスキップ」が好きだった。
いろんな作家さんの雰囲気の違う作品が読めておもしろかった。 -
このご時世に必要とされる短編集。欲を言えば、女の子が主人公ばかりだったので、男の子(体が男の子の人間)に寄り添った話がもう一編あると良かった。
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ジェンダーフリーアンソロジー、ふーんと読んでみましたが、すごい! YAや児童書はジェンダーの問題をきちんと語る作品は多いですが、最先端も最先端の話がずらっと並んでいて全くゆるみのない仕上がり。作品ごとにテーマ分けもされてるし、話のバランスもいい。非常に優れた仕事だ。
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今どきのテーマのアンソロジー。いろんな悩みをかかえるYAに寄り添ってくれる感じ。
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全てがジェンダーに関わる短編集。