- 講談社 (2023年10月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784065333389
作品紹介・あらすじ
バイト仲間のYouTuber彼氏を襲撃、先輩に誘われて初めてのクラブで爆踊り、激辛フェスで後輩のプロポーズをプロデュース……
「普通は尊いし、普通は貴重だし、普通はむしろ普通じゃありません」
コロナで派遣切りにあった「私」は食い繋ぐためにイタリアンレストラン「フェスティヴィタ」に辿りつく。ベテランのマナルイコンビ、超コミュニカティブでパーリ―ピーポーのヤクモ、大概の欠点ならチャラになるくらいかわいいメイちゃん、カレーとDJに目覚めたフランス人のブリュノ、ちょっとうさんくさい岡本くん……バイト仲間との愉快で切実な日々を描いた作品集。
「ウルトラノーマル」なわたしが「ハジケテマザル」、最高のバイト小説!
感想・レビュー・書評
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『世界中の人が一ヵ月間誰一人として家から出なかったら、コロナって絶滅するんじゃね?』
(*˙ᵕ˙*)え?
2020年初頭に突如世界を襲った『コロナ禍』。”密を避ける”という言葉がキーワードとしてもてはやされる中に、恐ろしいウイルスから逃れようと右往左往した三年間。目の前の人が会話するだけで怖いと感じ、誰かが触れたかも知れないと思うと、触ること自体に恐怖を感じた三年間。私たちは決して長くはない人生の中に、歴史に刻まれる異常事態を経験することになりました。
そんな時代には幾つかの言葉がニュースで散々語られました。”密を避ける”という言葉もそうですが、社会問題となったのが『派遣切り』だと思います。人が動かない以上、経済も動かない、それは企業の業績に直結し、いつものごとく弱い立場の人たちから切り捨てられることことが繰り返されます。その一つが『派遣切り』でした。『コロナ禍』が過去のものとなった今、今度は空前の人不足に見舞われるこの国。なんとも皮肉な状況だと思います。
さてここに、『派遣切りに遭ってここに辿り着いたんだと自嘲気味に話』す一人の女性が主人公となる物語があります。『イタリアンレストラン』でバイトとして『コロナ禍』を生きる女性の姿を見るこの作品。そんな女性が同じバイト仲間と接していく様を見るこの作品。そしてそれは、「ハジケテマザレ」という摩訶不思議な書名の中にそんな女性の思いを見る物語です。
『緊急事態宣言が出るとフェスティヴィタの控え室に従業員が溜まる』と、『コロナで派遣切りに遭』い、そんな場に『辿り着いた』のは主人公の真野。『三丁目店の店長がカレー修行に出ると言い残して突然行方不明になり、この池尻大橋店の店長がほとんど三丁目店に出向状態になっている』という『イタリアンレストラン』。そんな店は『閉店後』に『簡易居酒屋的なもの』となっています。『でメイちゃんどうしたの?』、『別れたくないって言いました。納得できないし、向こうの言ってることめちゃくちゃだし』と、『「聞いてくださいよ!」と彼氏から切り出された理不尽な別れ話を語り始め』たメイの話を訊く面々。そんな中に、『私もう彼と別れます!』と大きな声で言うと、『LINEを打ち「別れました!」と断言した』メイ。『メイちゃん、自棄になってない?大丈夫?』と訊かれたメイは『私には生ハムと美術館があるから大丈夫です』と答えます。『美大二年生、造形学部に通う二十歳の彼女には広大な未来がある』とメイのことを思う真野は、『決まっていたイタリア留学がコロナで取りやめになったんです』と聞かされた時のことを思います。『外食産業グループで働いて』いたものの『派遣切りに遭ってここに辿り着いた』と、バイトを始めた時のことを思う真野。『私、こんなに長く付き合ったのは今回の彼が初めてだったんです』と『目に涙を浮かべて』話を続けるメイに、『一人で子供育てるなら私たち育児手伝うし。私たち一緒に住んでもいいよ』と、ベテランの二人、ルイコとマナツが話します。それに、『「私彼氏以外の他人と一緒に住むの駄目なんです」と拒否られて「えー寂しい」と口を揃えてメイちゃんに笑われる』ルイコとマナツ。『彼女たちがいつこのフェスティヴィタで働き始めたのか』誰も知らない、『もっと言えば、彼女たちの年齢も謎だ』と二人のことを思う真野。そんな場は『そろそろワイン開けようか』と盛り上がっていきます。そんな中、『あ、私そろそろ終電』と呟くメイに『えっ帰る気?飲もうよ!まだ全然お酒あるし!私たちまだ全然飲むよ!』と『大学生みたいなノリで言う』ルイコに、『じゃあ今日は飲もうかな!』と言うメイ。そして、『何となく帰りづらくなって「じゃあ、始発まで」』と付き合うことになった真野。そして、『きゃっきゃ言いながら四人でクッションを投げ合い、終いには残っていたポテトフライを投げ合って口でキャッチする遊びに発展して笑いが止まらず、ヒーヒー言いながらワインを飲み息を整えさらに酔いが加速する事態とな』る四人。そんな時、『あ!』とメイが『唐突に上げた大声に』『どしたどした』と詰め寄る三人。そんな三人に『あいつ、彼女と別れましたって動画上げやがった!』と『凝視していたスマホの画面を』向けるメイ。
場面は変わり、『警察呼ばれないかな。そもそもこの計画自体まあまあ警察案件じゃね?』と『目が据わったメイ』と共にタクシーの後部座席に乗り込んだ三人に対し、『迷いと不安がもぐらのように次から次へと頭を出し現実感がどんどん失せていく』と助手席に座る真野。走り出したタクシーの後席では『ガサガサゴソゴソ』と包装を剥ぐ音がする中、『唐突に静寂が訪れた後部席をバックミラー越しに見やった運転手さんが「うわあっ!」と声を上げ』ます。後ろを振り返った真野の前には『アルパカ、ハト、ウマの被り物をした三人』の姿がありました。『すみません、ちょっとみんな飲み過ぎちゃって…』と言い訳する真野に『いいですね楽しそうで…』と『引き攣った表情を見せ』る運転手。そして、辿り着いたマンションの前でウサギの被り物を渡された真野。そんな真野に向かって『マナツさんとルイコさんが拘束。真野ちゃんが撮影。撮影はできるだけ臨場感のある感じで…』と指示するメイ。そんなメイの彼のマンションへと踏み込んだ先、『縛りましょう』と言うメイの指示に、『うわあ!』と『男の悲鳴が上がる』…というドタバタ劇が展開していきます…という表題作〈ハジケテマザレ〉。圧倒的な推進力を見せる物語の先に、いきなり、ハジケまくる極めてハイな展開に食らいついていくのが大変な短編でした。
“コロナで派遣切りにあった「私」は食い繋ぐためにイタリアンレストラン「フェスティヴィタ」に辿りつく。バイト仲間との愉快で切実な日々を描いた作品集”と内容紹介にうたわれるこの作品。『コロナ』という言葉が象徴する通り、この作品は、『コロナ禍』ど真ん中の2021年12月号、2022年8月号、2022年12月号、そして2023年4月号と四回にわたって文芸雑誌「群像」に連載された四つの短編をまとめた作品となっています。金原ひとみさんは2021年5月刊行の「アンソーシャルディスタンス」に始まり、この作品に至るまで相次いで『コロナ禍』を描いた作品を発表されていらっしゃいます。『コロナ禍』に刊行されていても敢えてそれをないものとして描かれている作家さんもいらっしゃることを考えると、金原さんは『コロナ禍』を積極的に描く代表選手のような方だと思います。では、そんな『コロナ禍』も含めこの作品を三つの視点から見ていきたいと思います。
まずは、その『コロナ禍』です。この作品の主人公である真野は、『イタリアンレストラン』の『フェスティヴィタ』でバイトとして働いています。ダイレクトに年齢は書かれていませんが、
『マナツさんに歳を聞いてみたら「真野の倍くらいじゃないかな」と言われたけれど、いやいや私の倍って五十オーバーですよ?』
表題作〈ハジケテマザレ〉の記述から二十代後半であることがわかります。そんな真野がバイトとして働く原因となったのが『派遣切り』です。『外食産業のグループで働いてた』という真野。この短編が執筆されたのは2021年前半と思われますが、そんな時期に実施されたアンケートを見ると約三割の派遣社員の方が『派遣切り』に遭っていたことがわかります。『コロナ禍』による業績の悪化という、会社側にとってもやむを得ないと考える事情はあったのでしょうが改めて恐ろしい社会状況があったことが分かります。一方でそんな『コロナ禍』がこんな風に描写されます。『クラブ』へとやってきた真野が目にした光景です。
『飲食店で働いているから、皆がマスクを外している光景には慣れている方だと思っていたけれど、こんな密度で大量の人が顔面を晒している様子はさすがに久しぶりで、圧巻だ』。
『コロナ禍』が終わってもその間に身についた感覚が抜けきらず人混みを自然に避けている方は今もいらっしゃると思いますが、『コロナ禍』現在進行形の中には衝撃的な光景だったのだと思います。そしてそれをこんな風に例えます。
『コロナ前、あるいはコロナ後の世界にタイムリープしたかのようで、特殊な雰囲気も相まってなんだか現実味がない』。
金原ひとみさんという作家さんの作品で『タイムリープ』という言葉を聞くのはとても新鮮ですが、それくらいありえないということをこの比喩は語っていると思います。また、こんな記述もあります。
『外国人を見るとなんとなくウイルス保有者のような気がして道端や電車内でさりげなく距離を取っていた』
今思えばとんでもない『差別意識』だと思いますし、こんな目を向けていた過去には反省しかありませんが、それを金原さんはこんな強い表現で言ってのけられます。
『外国の人が未知のものを持ち込む害悪であるという感覚が自分も含めた多くの日本人に定着している』
島国に住む者の感覚の先に、外界から来るものをどこか異物として見てしまう日本人の本能のようなものが、『コロナ禍』初期には日本人の感覚の中に自然と湧き上がった、そういうところがあったのだと改めて思います。『コロナ禍』が過去のものとなった今、次の危機を見据えてあの時代の反省と総括をすべき時がきているのだと思います。
次に二つ目は、芥川賞作家でもある金原さんが見せてくださるさまざまな文章表現です。幾つか抜き出したいと思います。
『私はもう胸がぺったんこに潰されて薄っぺらい紙切れになったような気分だった』
これは、シンプルな比喩表現ですが、主人公・真野の心の内がストレートに伝わってきます。次は少し長めです。
『こんな風に何が起こっているのかよく分からないまま、巨大なウォータースライダーを滑って、あれこれ永遠に続くのー?って思ってわいきゃいしていたら突然スポッと終わって水に投げ出されるみたいに、人は死に到達するのかもしれない』。
『ウォータースライダー』を滑る感覚は確かに『何が起こっているのかよく分からない』状況だと思いますが、その先、『水に投げ出される』感覚を『死に到達する』ということと結びつけていく感覚、金原さんらしい一節だと思います。最後は、これまた主人公・真野の心の内です。
『この車内にいる女四人が、荒んだ団地の屋上とかにある貯水タンクに溜まった塩酸に飛び込んで皆が一つに混ざってしまえばいいのに』
なんとも強烈な表現です。『塩酸』という言葉が小説中にサラッと登場することにもギョッとしますが、それが『混ざってしまえば』という結果論を導き出すためのものと思うと余計に強烈です。そして、そんな表現はこの作品の摩訶不思議な書名にも結びついていきます。
では、そんな書名に関して見てみましょう。この作品の書名は「ハジケテマザレ」です。正直言って全くもって意味不明な言葉です。あまりに意味不明すぎてこれが何を意味するのか金原さん自身の言葉を探してしまいました。そうするとその語源がこんなところから取られていることがわかりました。
●「ハジケテマザレ」とは?
・HEY-SMITHというバンドが主催しているフェスがあり、そのフェスの名前が『HAZIKETEMAZARE』。通称、ハジマザである。
・「ドラゴンボール」のベジータのセリフである。
友人から教えてもらった、とこの言葉に接した時のことを語られる金原さん。”音の響きがすごく好きで、まさにみんなが混ざっていくような物語を書きたいと思っていたので、ぴったりのタイトルだと思いました”と、この言葉を作品の書名にされた経緯を説明されます。
そう、作者の金原さんが”みんなが混ざっていくような物語を書きたい”という思いの先に執筆されたこの作品。そこには、『派遣切り』によって『イタリアンレストラン』でバイトの日々を送る主人公の真野が同じようにバイトを続ける仲間と日常を生きていく姿が描かれていきます。そこには、バイトという決して強くない立場で一つの職場を回していく中に生まれていく連帯の感情を見ることができます。それは、おそらくは正社員とは異なるものがあるのだと思います。そんな中で真野は自分の生きてきた人生を思います。
『正社員でもバイトでもなく派遣』
バイトを始めてからも
『まさに中間くらいの存在として自分を捉えてきた』
他のバイトメンバーとの関わりを通じてそんな思いで自らを見つめていく真野。そこには、自らのことを『普通』と認識する真野、『自分の普通さ個性のなさ何にもなさ』を見る真野の感情に光が当たっていきます。他のバイトメンバーがそれぞれに強い個性を見せるのに対して、何事にもおいても『普通』であることを自覚する真野。
『私だって、何か秀でたものがある人に、なりたかった』、『私も何かになりたいです!』
そこに、そんな感情の発露を見る真野。しかし、そんな真野にこんな言葉がバイト仲間から向けられます。
『何にもなれないんだから、何にもならないを極めるんだよ』
作者の金原さんはこの作品でそんな真野をあくまで肯定されていきます。『普通』を”圧倒的に肯定したいと思った”とおっしゃる金原さんは、その思いをこんな言葉で綴っていきます。
『普通は尊いし、普通は貴重だし、普通はむしろ普通じゃありません』
そんな言葉の先に綴られていく物語。『コロナ禍』の中で『派遣切り』にあったことで、『普通』である自らの存在と、その意味を自覚していく真野の物語。そこには、『コロナ禍』があったからこそ認識することができた一人の女性の気づきの物語が描かれていたのだと思います。
『どうして私は他人のことをこんなに観察しこんなに探り、こんなに考えてしまうのだろう。まじで人と自分を比べてばかりの人生だ』
『コロナ禍』で『派遣切り』に遭い、『イタリアンレストラン』でバイトの日々を送る主人公の真野。この作品には、そんな真野がバイト仲間とはっちゃけた日常を送る姿が描かれていました。金原さんらしい強烈な推進力でぐいぐい読ませるこの作品。カタカナが多用され、スピード感のある展開も重なって少し酔いそうになるこの作品。
「ハジケテマザレ」というかっ飛んだ書名そのままに、はじけるような読書を楽しめる、そんな作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これまでにあまり読んだことのないタイプの小説。コロナ禍で派遣切りにあった女性(真野)28歳の視点で、彼女が毎日を食いつなぐためにアルバイトするイタリアンの従業員やバイト仲間との飲食店バックヤードでの夜な夜なの「飲み会」や彼らが繰り出したイベントでの様子が語られている。最初はだらだらと朝まで飲んだりしているだけのように見えたが、印象だけで決めつけてはいけないなというような展開だった。普通な感じの主人公を除き、米仏国籍を持つブリュノなどキャラが立っている登場人物ばかりだったが、どんなキャラを持っていようが、近しい人の人生を良い方向に向かわさせてあげたい、といった思いは普遍的なものなのだろうなぁと思った。
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バイト先の、いや、むしろバイト後が本番か…?止まらないドタバタ劇!
めちゃくちゃおもしろかったです。
バイトって、あんまり今まで自分の周りにはいなかった、全然違うタイプの人と出会えるのがおもしろいとこなんだった。
何かが得意な人、苦手な人、そこそこな人。
いろんな人がいて、そういう他人がいるからこそ自分もいて、ちょっとずつ助け合ってて、それでいいんだなって元気が出る。
ずっとずっと読んでいたいけど、
この居心地のいい場所にいたいけど、
でも!前に進むのだ! -
金原ひとみさんの最近の作風好きだ。
駆け抜けるような爽快感もある。元気になれる。かと思えば登場人物がいきなり真面目な考察をしたりしてて最高。 -
金原ひとみさんの本はいつも破壊力がすごいんだけど、会話の内容や言葉のチョイスが好みすぎて毎回にやにやしてしまう。
今回もなかなかぶっとんだ内容で、イタリア料理店のバイトたちのわちゃわちゃした感じが微笑ましかった。自分も混ざりたい。 -
吉本新喜劇を見ているみたいでした。
あ、ごめんなさい。
吉本新喜劇、動画をちょっと見た程度の私
なんとなくイメージ。
わたくしごとですが、
昨夜ほんとうに久しぶりにお通夜に行きました。
数日前突然の訃報に皆びっくり。
死因は未だわからないどころか、
ここ数年間まったく姿を見ていない
というのが周囲の人に共通する発言。
電話で話したことがあるという人はいます。
式場に彼女の写真が掲示してあり
この数年間の楽しそうなものもありました。
病に苦しんでいる様子は全くありません。
ただ実はここだけの話ですが
私が彼女をそうさせたのかな?という考えが払拭できません。
この本の最後の部分が今の私の心情を表していました。
〈(略)何が起こったのかよく分からない。
でも考えて見れば、コロナで派遣切りにあって
フェスティヴィタで働き始めてから今までの間も、
何が起こったのかちょっとよく分からない。
こんな風に何が起こっているのかよく分からないまま、
巨大なウォータースライダーを滑って、
あれこれ永遠に続くのー?って思ってわいきゃいしていたら
突然スポッと終わって水に投げ出されるみたいに、
人は死に到達するのかもしれない〉 -
タイトルの「ハジケテマザレ」とはなんぞや? ネットで検索すると大阪で毎年開かれている音楽フェスがひっかかるが、本作とは関係なさそうだ(多分)。登場人物の中にDJとかシンガーはいるけれど。読み進めるとその謎はあっさりと解決する。ヒントは漢字変換。かな漢字混じりの表記にすれば簡単に理解できた。
4篇の短篇で構成された連作短篇集で、イタリアンレストラン「フェスティヴィタ」池尻大橋店に勤務するちょっとおかしな面々が、コロナ禍で危機的な店をなんとかする……というお話ではなかった。おかしな面々が巻き起こすさらにおかしな騒動を読むうちに、この狂った現実世界を笑ってやり過ごせるような気になってくるから不思議だ。
金原さんの最近刊行された本はほとんど読んでいるが、ちょっと作風が違っていて楽しかった。20代後半の女性が主人公のためか、おっさんにはちょっと理解し難い表記もあったが。
NetGalleyにて読了。 -
店長不在のイタリア料理店『フェスティヴィタ』のバックヤードにて、閉店後に催されるバイト仲間たちの酒池肉林がとっても楽しそう。
経歴や年代や性格がまぜこぜでも、バイト同士という関係性であれば不思議とここまで仲良くなれる。
店長の悪口で盛り上がったり、一致団結してイベントに臨んだりする様子は、さながら大人の青春活劇のようだった。
個性的(&陽キャ)な彼らに囲まれながら、じぶんだけなんの取り柄もない圧倒的な"普通"に悩む真野ちゃんが、フェスティヴィタを「ぬるま湯」だと感じるように、長引いたモラトリアム特有の心地よさがある。
そんな場所から抜け出すことは、怖くて勇気がいるけれど、それぞれが巣立ってバラバラになってもずっと仲間だと言い続けたいような前向きさが残る読後感だった。
「ハジケテマザレ」ってなんかいいな。 -
●なぜ気になったか
『腹を空かせた勇者ども』に続き、これもまた新たなテイストっぽい感じ。バイトを核としたいろんな人の絡みがおもしろそう。心に響く文章表現も含め、楽しむために読みたい
●読了感想
ハジケテマザル人間関係が苦手な僕に、そんな世界を飽きずに楽しませてくれた著者の表現力は唯一無二。暗めの作品を書いてきた著者だからこそ創り出せるハジケ世界観面白かった。この先も楽しみ!
#ハジケテマザレ
#金原ひとみ
23/10/5出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
https://amzn.to/3F25IeT -
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真野ちゃんの自分の内面に関する思考にドップリ浸かる描写が一々読んでるこっちの内面を抉る。
p.169〜171までのブリュノのセリフにあるカレーを他の単語に置き換えたら、読者それぞれにフィットした答えが見えてきそう。僕は本でした。
読み終わった後はおもろーー!!!!めちゃくちゃおもろかった!
自分のことを、何者でもない普通だの無個性だの思っている人だったり、読書に興味あるけど活字苦手・・・って人に読んで欲しい!
普通ってたまに抉られるけど、悪くないと思える!
会話多いから読みやすい! -
4編の連作集。リストラされた真野がイタリアンレストラン「フェスティヴィタ」で働き始める。そこにはベテランコンビのマナルイやカレーとDJに目覚めたブリュノ、いたってふつうな岡本くんなど、居心地のいいバイト仲間がいて。
バイト仲間で飲んで馬鹿騒ぎしたり、夜通し遊んだり、何の身にもならない話をして笑ったり。
懐かしい風景でした、私にとっては30年以上前の話ですが。今もきっと変わらないんでしょう。ネットとスマホによって非対面が増えたとしても、同じ時間と同じ場所を共有している「熱」がもたらす影響はハンパない。 -
めちゃくちゃ楽しそうな職場
今の職場も嫌いじゃないけれど、もうそれなりの年齢だから若かった頃のノリではもう既に働けなくて、むしろこの若い子達をこれからどうしようか?みたいな位置にいます
時々懐かしくなる、何にも考えずに楽しく笑って仕事をしていたあの頃を思い出させてくれる
そんな本です -
コロナ後、[普通の]真野さんが、派遣されてたどり着いた渋谷のイタリアンレストラン。
主のようなマナツさんとルイコさんを筆頭に個性的なバイト達。店の冷蔵庫に酒を入れ、プライベート居酒屋化しているフェスティヴィタ。
彼らの話は、一話ずつスポットライトを浴びて行く。なぜだか皆出世するように世の中に飛び立つ。その中、真野さんは普通を貫くが、「それがいいんだよ。」と全肯定される。
・登場人物の言葉が楽しい上手い。
・社会に対する発言は、登場人物の口を借りて発せられる。
・今現在の流行をふんだんに取り入れる。
(数十年後読むと意味のわからないことがあるかも)
例えが多すぎてメモすることができない。
(いや、私が面倒なだけ)
金原さんの作品は、さまざまな人の心に寄り添ってくれる。 -
劣等感は一旦置き去りにして、ノリで今を楽しむ適当感!やみくもに走る疾走感!個性的なバイトメンバーが繰り広げる深夜のドタバタ劇。ウルトラノーマルな主人公さえ私には普通に見えないよ(笑)読了後、スパイスカレーがたべたくなった。
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コロナで派遣切りになった主人公は、イタリアンレストランでバイトを始める。そのレストランのスタッフ控室で繰り広げられる閉店後の飲み会。毎回、えらい騒ぎになるのだが…
なんともハイテンションなストーリーで、一気読み。読後は、なんだかスカッとした。 -
コロナで派遣切りにあった主人公が、新たな飲食店でバイトを始めるが、その飲食店は店長不在、ベテラン店員たちが実際を切り盛りしており、営業終了後に店内で酒盛りを始めたりするゆる~い職場だった。
ほうほう、何か日常系のどこにでもありそうな話…と思いつつも金原さんが書いているので、やはり面白い。彼氏がYouTuberになるから別れたいと言ってきている等と今どきの話題も盛り込まれている。
正直、読後は何も残らない!笑 激辛カレー食べたら絶対お腹壊すんだろうなーとか、新天地で頑張れよ、とかそんなぐらい。
ただ、読んでいる間は楽しかったのでそれだけで良い。 -
とっても面白かった。
笑いを堪えながら読んだ金原作品は初めてかもしれない。
個性爆発のバイトメンバーと繰り広げる爆発した非日常は読んでるこっちもテンション上がる。
私は特に岡本くんのプロポーズを成功させるために激辛フェスに乗り込むエピソードが一番好きだった。あんまり作中には登場しないけど依垣くんの設定とキャラが好きすぎる。
でてくる料理描写も『デクリネゾン』から引き続いてどれもおいしそうなのがよい。カレーと辛いものが食べたくなる。いやカレーかな。
この個性爆発のバイトメンバーに対して自分は普通すぎる…とジト目で彼らを見ている女が主人公だけど、あんまりしみったれた感じになっていないのは彼女がジト目で仲間たちを見ながらも彼らへのリスペクトを失っていないからだと思う。終始からっとして、あっけらかんとして、そして彼女の語りに笑っちゃう。こんなに語る才能があるならあなた十分普通じゃないよ???
自分も学生時代飲食店でバイトしてたけど、学校も年代もなんにも違う人たちと束の間の時間一緒に過ごして一緒に働いたあの日々はやっぱり不思議で、でもかけがえのないものだったんだなあと思い返していた。バイトは永遠に続けることではないのかもしれないけど、だからこそその一瞬一瞬が強烈に輝く思い出にもなり得るのかもしれない。
疲れた時に読み返したい、エナジードリンクのような小説でした。 -
こんなバイト仲間たちいいな〜と思いながら読んだ。最初のメイちゃんのYouTuberになるって言った彼氏との別れ話の話が一番面白かった。
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バイト先のカジュアルイタリアンレストランを舞台にした連作短編(中編?)集。主人公はコロナで派遣切りにあった20代後半の真野。正直、最初の表題作は「ああ、またこういう感じのやつか…いや面白いけど」という感じだったのだが、二つ目の「モンキードーン」で、平凡な陰キャを自認する真野がイベントとか企画できちゃうパーリー系?のヤクモを最初は違う人種として冷ややかに観察してたのが、先入観を一個一個つぶしながら人として尊重しはじめ、友情すら芽生えるまでが描かれる(この辺りは大好きな『ミーツ・ザ・ワールド』に重なる)と、なんかもうやっぱり胸がいっぱいになり、「フェステイヴィタDEATH死」のプロポーズの場面ではほとんど泣きそうになり、「ウルトラノーマル」で古参二人組マナルイさんたちの正体(?)を真野が悟るに至ると、おとぎ話みたいなマジカルな感動に包まれてしまった。やっぱり金原さんはすごい…。
あと、タイトルの『ハジケテマザレ』、私は勝手にヘイスミスのフェスからとったのかと思ってたけど、ドラゴンボールが元ネタだったみたいでした。
著者プロフィール
金原ひとみの作品
