きこえる

  • 講談社
3.42
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065334546

作品紹介・あらすじ

あなたの「耳が」推理する。「音」が導く真相に驚愕する。
読者を1ページ目から未知の世界へ連れて行く。

謎が「きこえて」くる。
衝撃が、あなたの耳に直接届く。
物語×音声。小説を立体的に体感する、まったく新しい「謎解き」の新体験型エンタメ、誕生!

突然死んでしまったシンガーソングライターが残した「デモテープ」。
家庭に問題を抱える少女の家の「生活音」。
言えない過去を抱えた二人の男の「秘密の会話」。
夫婦仲に悩む女性が親友に託した「最後の証拠」。
古い納屋から見つかったレコーダーに残されていた「カセットテープ」。

私たちの生活に欠かせない「音」。
すべての謎を解く鍵は、ここにある。

※本作は、音声と小説を融合させた誰も経験したことのない「体験型ミステリ」です。小説を読み進めると、作中の様々なタイミングで「二次元コード」が登場します。そのコードを読み取り、音声を再生してください。それはあなたを新しい世界に連れて行ってくれる「音」です※

感想・レビュー・書評

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  • 聞いて初めてわかる驚きの真相… バラエティに富んだストーリーと音声効果に感動しちゃう #きこえる

    ■きっと読みたくなるレビュー
    おもろい!そしてスゴイ!

    何がスゴイって、決して音声だけに頼っていない点ですよ。言ってみれば邪道な小説ともとれるのですが、本作は音声で小説の出来を誤魔化しているわけではなく、音声をつかうことで、よりパワーアップさせている点なんです。

    さすがは数々の傑作を書いている直木賞受賞の作家先生です。各短編の小説自体が当たり前のように高品質で、短編のお手本ですかというほどの出来です。そこに音声を使うことで、倍々ゲームで面白くしてるんですよね。

    しかもバラエティに富んでる内容で、次から次へと色んなパターンで攻めてくるんです。十人十色な登場人物、様々な場面設定やプロット、そしてなにより音声効果の多様さに驚きました。

    一作目のような音声の使い方はまぁ想像できる。でも二作目以降の使い方はまったく想像だにしなかったですね、発想力に感服。音声も出来もしっかりしてるし、完全に参りました。

    〇聞こえる
    ライブハウスを経営する女性と歌手を希望する少女の物語。少女の夢を叶えるため二人は生活を共にしていたが、ある日事件に巻き込まれて…

    素敵な曲ですね~。この曲自体も道尾先生のオリジナルということで、才能がエグイよ。私にも分けてください。夢を追いかける若者の姿がこの曲のように美しく、また静かな情熱が素敵な作品でした。

    〇にんげん玉【おすすめ】
    社会人生活をリタイヤした初老の主人公は、金融セミナーに参加していた。しかしそのセミナー講師は、見覚えがあって…

    うまい、聞いて初めてわかる真実。主人公の前時代的な価値観がイイですね、私もこんな人間にならないようにしなきゃ。人間の屑っぷりが堪能できる、ユーモラスな作品でした。

    〇セミ【超おすすめ】
    都会から田舎の学校に転校してきた小学生の物語。母は離婚し、父は事故で亡くしたため、祖父母のもとで生活している彼。新しい学校の友人と仲良くなれるのか…

    道尾先生は少年時代の生活や、子どもたちの心情、友人関係を描くのが上手いよ…ちょっと泣いちゃうじゃん。目をつぶって自転車の後ろに乗るエピソードなんかは、これだけで少年時代を懐かしめちゃう。マジ素晴らしい。年齢を重ねても、損得なく笑いあえるような友達は宝ですね。

    聞こえてくる音声は、なかなかの驚愕でした。手の込んだ仕掛けを…

    〇ハリガネムシ【おすすめ】
    一流大学を卒業するも、社会でつまずいてしまい、学習塾の講師を生業としている主人公。彼には気になる女生徒がいて、立ち入った行動をしてしまうのだが…

    短編のお手本みたいな導入、その後にゾワゾワ感が満載で物語が進行し、最後には納得のオチ。シンプル分かりやすく丁寧、誰にでもおススメできる完成度が高い作品です。なお本作の音声は、全作品の中で最も「ドキッ!」としました。

    ラスト主人公のもやもやした描写が秀逸で、自分もこれまでやってきたことを振り返る、良い機会になった気がしました。

    〇死者の耳
    夫とうまくいっていない友人に頼まれ、スマホの音声を録音していた女性。そこから聞こえてきた友人のセリフは、なんと夫の死体を見つけたという内容で…

    女性の醜い部分が悲しく描かれていて胸が苦しい。きっとこれからは幸せになれるよ。読了後にQRコードにアクセスすると、なんとも腹立たしくなりました… 人間の汚さ、愚かさ、怖さが脳天を貫きました。

    新しい読書体験「きこえる」シリーズ、ミステリーに未知なる可能性が広がってシンプルに面白かった!ぜひ先生には続編を書いてほしいです。

  • 小説を読み進めながら作中にある「二次元コード」で聞くミステリ。
    「音」から入る刺激に奇妙さと不穏さを感じながら読み進めていくが、第4話の「ハリガネムシ」は男の叫びにこっわぁぁとなる。
    第5話の「死者の耳」は違う意味での怖さを知る。
    第3話の「セミ」が一番気になったが、しかしながらいつも読後感にぞわぞわさせられる。
    なんか後を引きずってしまう気味悪さが残る。



    • 湖永さん
      はい、これも驚き!ました。
      数分だけの短さですが、怖さ…感じます。
      はい、これも驚き!ました。
      数分だけの短さですが、怖さ…感じます。
      2024/02/12
    • schieleさん
      湖永さん、初めましてこんばんは♪

      二次元コード‼︎びっくりですね〜
      なんだか未来っぽいw ミステリー味も増しそうな感じですね
      これからこう...
      湖永さん、初めましてこんばんは♪

      二次元コード‼︎びっくりですね〜
      なんだか未来っぽいw ミステリー味も増しそうな感じですね
      これからこういう本も増えていくのかな
      そのうち五感で感じるホラーやミステリーなんてのも出てくるかも!
      2024/02/13
    • 湖永さん
      そうなんですよ。
      二次元コードの使い方で、ミステリーを感じることができるなんて驚きです。
      そうなんですよ。
      二次元コードの使い方で、ミステリーを感じることができるなんて驚きです。
      2024/02/13
  • 面白かった!音声で謎を解くのは新感覚だった。でも、結局1話以外、よく分からずネットで解説を調べた。そしたらなるほどと思いさらに面白かった。
    道尾秀介さんは常識を覆すような本をたくさん出しているので他も読みたいです。

  • 文字だけでなく、音で物語を体感するという、今までに経験したことがない読書体験でした。

    5話の短編で構成されています。どのお話にもQRコードがあり、読み込むと音声データに飛び、その物語のキーとなる音楽や会話が流されます。
    その音声データから、真相を考察する作業が新鮮で、面白かったです。

    特に好きだったのは「ハリガネムシ」と「死者の耳」。

    「ハリガネムシ」
    同じ言葉でも、目で読んだのと、音で聴いたのでは、ここまで印象が違うのかと感じました。たった一言の音声データを聴いた瞬間に、物語の真相が開示され、背筋が凍りつきました。

    「死者の耳」
    自宅で妻が夫の自殺を見つけたが、その妻も直後に自殺。夫は本当に自殺だったのか?妻はなぜ自殺したのか?といったお話。
    真相は解明されず終わるのかと思いきや、他の4話とは異なる趣向で読者を結末へと誘います。

  • 小説と音声の内容に小さな違和感に続々する短編集
    色々な試みをして小説家に留まらないエンターテナー
    「いけない」の1枚写真よりも情報量が多いのか聴覚をくすぐるアイディアが凄い

    棒読みの音声と聞こえづらさが足を引っ張り
    毎話ネタバレサイト見ないと理解できなかったのが残念

    「死者の耳」はやられた!
    最終話にふさわしいトリック

  • こういう小説もあるんだなと驚いた。
    どの話も音声を聞く事によってより深く楽しめる。真相を読んでではなく聞いて、「マジか、、、」と思わず呟いてしまうほどの衝撃。

    • うたえながさん
      私、その本気になっているんです!
      音声を聞く小説は新感覚ですよね(^^)
      私、その本気になっているんです!
      音声を聞く小説は新感覚ですよね(^^)
      2024/02/16
    • のりてばさん
      うたえながさん コメントありがとうございます。
      この発想はすごいですよね。道尾秀介さん流石ですね。
      うたえながさん コメントありがとうございます。
      この発想はすごいですよね。道尾秀介さん流石ですね。
      2024/02/16
  • 物語の前後でQRコードから音声を聞くことで物語が完成するなんて、新しい試み‼️と、ワクワクしました。
    実際に聞いてみると、音声がラジオドラマを思い出させ、同時にレトロな感じも受けました。
    聴覚を刺激されての読書は想像力フル回転です‼️道尾秀介ならではのトリックも秀逸。

  • 以前、王様のブランチのBOOKコーナーで紹介され、謎を解く鍵は全て「音」のなかにある。これまでにない体験ができる新感覚のミステリー小説。ということで、めちゃめちゃ面白そうと思い読んでみました。

    『きこえる』というタイトルと、1番最初の音源の雰囲気から、サウンドホラー的な感じで怖いのかと思ったら、そうではなかったのでホッとした。

    5話の短編集になっていて、1話1話が解決までは描かれていないので、最後に各話が繋がるのかと思っていたら、そういうことでもなかった。「音」をヒントに推理するスタイル。

    読了後に「音」を聞き直し、読み返しても分からないところがあったので、解説サイトを見てやっと理解できた話もあった。みんなよく分かるな〜

    個人的には3話目が好き。セミはいい子だったな〜

  • ミステリー書評
    読書レベル 中級
    ボリューム 262頁
    ストーリー ★★★
    読みやすさ ★★★★
    トリック  ★★★★★★!
    伏線・展開 ★★★★
    難易度   ★★★★★
    読後の余韻 ★★★

    一言感想:短編集が好きな方、少し変わったミステリを読んでみたいという方にオススメです!

    とにかく発想がめちゃ斬新で新たな読書体験ができました(笑。さすが我が道を突き進む道尾秀介氏のミステリです。

    音声を聞き、真実がわかり、そして驚かされる。こんな仕掛けをよく考えつくなーと。

    多少難解だった章はありますが、私は第4章の「ハリガネムシ」が一番お気に入りで腹落ち具合と驚き具合がMAXでした!音声を夜中にイヤホンで聴きましたが、「背筋が凍りつく」とはこの事で、「ひぃっっっ!!」と声まで出てしまいました(笑。心臓が弱い人は要注意です、はい。

  • 図書館に早くから予約しておいたので、早目に借りられた。ありがたい。

    昨年購入した『フォトミステリー』だけは、残念ながら購入したことをとても後悔した作品だったが、道尾さん、実に色々と新しいことにチャレンジしていらっしゃるなぁ。
    その結果の良し悪しは別として、チャレンジ精神とアイデアは凄いとは思う。

    本書は、QRコードで音声を聞かなければ、文字だけでは全く解決しない作り。
    ミステリーの音声って怖い。
    心臓に悪い。
    私は将来的にもオーディブルは無理だわ。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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