- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065334546
作品紹介・あらすじ
謎が「きこえて」くる。衝撃が、あなたの耳に直接届く。物語×音声。小説を立体的に体感する、まったく新しい「謎解き」の新体験型エンタメ、誕生!突然死んでしまったシンガーソングライターが残した「デモテープ」。家庭に問題を抱える少女の家の「生活音」。何十年ぶりに再開した二人の男の「秘密の会話」。夫婦仲に悩む女性が親友に託した「最後の証拠」。古い納屋から見つかったレコーダーに残されていた「カセットテープ」。私たちの生活に欠かせない「音」。すべての謎を解く鍵は、ここにある。※この作品は「耳を使って体験する」ミステリーです。必要に応じて、本文中に「2次元コード」が登場します。そこからアクセスできる音声を聞いていただくことで物語を楽しむ「鍵」を得ることができます※
感想・レビュー・書評
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聞いて初めてわかる驚きの真相… バラエティに富んだストーリーと音声効果に感動しちゃう #きこえる
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい!そしてスゴイ!
何がスゴイって、決して音声だけに頼っていない点ですよ。言ってみれば邪道な小説ともとれるのですが、本作は音声で小説の出来を誤魔化しているわけではなく、音声をつかうことで、よりパワーアップさせている点なんです。
さすがは数々の傑作を書いている直木賞受賞の作家先生です。各短編の小説自体が当たり前のように高品質で、短編のお手本ですかというほどの出来です。そこに音声を使うことで、倍々ゲームで面白くしてるんですよね。
しかもバラエティに富んでる内容で、次から次へと色んなパターンで攻めてくるんです。十人十色な登場人物、様々な場面設定やプロット、そしてなにより音声効果の多様さに驚きました。
一作目のような音声の使い方はまぁ想像できる。でも二作目以降の使い方はまったく想像だにしなかったですね、発想力に感服。音声も出来もしっかりしてるし、完全に参りました。
〇聞こえる
ライブハウスを経営する女性と歌手を希望する少女の物語。少女の夢を叶えるため二人は生活を共にしていたが、ある日事件に巻き込まれて…
素敵な曲ですね~。この曲自体も道尾先生のオリジナルということで、才能がエグイよ。私にも分けてください。夢を追いかける若者の姿がこの曲のように美しく、また静かな情熱が素敵な作品でした。
〇にんげん玉【おすすめ】
社会人生活をリタイヤした初老の主人公は、金融セミナーに参加していた。しかしそのセミナー講師は、見覚えがあって…
うまい、聞いて初めてわかる真実。主人公の前時代的な価値観がイイですね、私もこんな人間にならないようにしなきゃ。人間の屑っぷりが堪能できる、ユーモラスな作品でした。
〇セミ【超おすすめ】
都会から田舎の学校に転校してきた小学生の物語。母は離婚し、父は事故で亡くしたため、祖父母のもとで生活している彼。新しい学校の友人と仲良くなれるのか…
道尾先生は少年時代の生活や、子どもたちの心情、友人関係を描くのが上手いよ…ちょっと泣いちゃうじゃん。目をつぶって自転車の後ろに乗るエピソードなんかは、これだけで少年時代を懐かしめちゃう。マジ素晴らしい。年齢を重ねても、損得なく笑いあえるような友達は宝ですね。
聞こえてくる音声は、なかなかの驚愕でした。手の込んだ仕掛けを…
〇ハリガネムシ【おすすめ】
一流大学を卒業するも、社会でつまずいてしまい、学習塾の講師を生業としている主人公。彼には気になる女生徒がいて、立ち入った行動をしてしまうのだが…
短編のお手本みたいな導入、その後にゾワゾワ感が満載で物語が進行し、最後には納得のオチ。シンプル分かりやすく丁寧、誰にでもおススメできる完成度が高い作品です。なお本作の音声は、全作品の中で最も「ドキッ!」としました。
ラスト主人公のもやもやした描写が秀逸で、自分もこれまでやってきたことを振り返る、良い機会になった気がしました。
〇死者の耳
夫とうまくいっていない友人に頼まれ、スマホの音声を録音していた女性。そこから聞こえてきた友人のセリフは、なんと夫の死体を見つけたという内容で…
女性の醜い部分が悲しく描かれていて胸が苦しい。きっとこれからは幸せになれるよ。読了後にQRコードにアクセスすると、なんとも腹立たしくなりました… 人間の汚さ、愚かさ、怖さが脳天を貫きました。
新しい読書体験「きこえる」シリーズ、ミステリーに未知なる可能性が広がってシンプルに面白かった!ぜひ先生には続編を書いてほしいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すごすぎた。
小説を読んで。
QRコードを読み取って、読者だけが知る「音」の真実。
それでも、最初は「?」という感覚だけがあって。
パラパラと、文章を戻ってみる。
思わず「なるほど」と声に出してしまった。
読者が自力で辿り着く、という工夫が、すごく上手だと思う。
作者が手掛けた『Detective X』というミステリーキットがあって、今年のお正月にドハマリした。
あの感覚が蘇った。
とにかく一度、読んで「聴いて」みて欲しい。 -
最初と最後が面白かった。
聞いた音を元に考えると謎が解けるっていう新感覚のミステリー。
セミのストーリーはよく分からなかったのでまた聞く。
ごく小さい音を聞きとる必要があるため他の音量が大きくなって耳が痛くなった。 -
ミステリ短編集なのですが、読むだけでは謎が解けません。なんと、作中に記されたQRコードを読み込み、その音声を聞くと謎が解ける……というなんとも凝った仕掛けの一冊でした。たとえばその音声部分を普通に表記することはできないの? って思いますが。そこはやっぱり音声ならではの仕掛けがありますし、インパクトも大きいです。
まず「聞こえる」でやられました。歌に死者の声が、というありがちな要素がうまく表現されていて。これ、ぎりぎりで聞こえないようになってるんですよね。ただし歌が聴けるので雰囲気は充分に味わえるというそれだけのことかと思ったら……ラストで鳥肌でした。ホラーではなくミステリなんだけど、怖いってこれ。
お気に入りは「セミ」。これだけはほっこりする物語です。ただし、「セミ」の立場になってみるとあれはどれほどに恐ろしいことだったのでしょうか。それなのに彼が決意した選択が素晴らしすぎるし、それを理解できた主人公も素敵です。
いちばん音声ならではだと思ったのは「ハリガネムシ」。あの音声シーンにぞくっと来ました。これもとっても怖いです。 -
本文中に登場する「2次元コード」を読み取り音声を再生して、真相を推理するという新しい試みの「体験型ミステリー」
興味半分、冷やかし半分で、手に取り、読み始めて見たところ・・・
期待値が高かった分だけちょっぴり残念って感じでした。
読解力が足りないのでしょう
不完全燃焼って感じの作品が目立ちました。
そんな中にあっても、第三作目の『セミ』良かったと思いました。
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どうしても気になり、発売後すぐに入手。
文字からの視覚情報プラス聴覚からもというのは
中々に面白そうだと。
確かに驚きはしたし、なるほど上手いなぁとは思ったものの
なんというか…色物感以上のものを
私は受け取る事が出来ずに読了。 -
音声を聞きながら謎解きをするのがとても新体験で楽しかった!
道尾秀介さん監修の謎解きゲーム【ディテクティブX】が好きな人にも特におすすめです!
著者プロフィール
道尾秀介の作品






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