夫には 殺し屋なのは内緒です (講談社文庫)

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  • 講談社 (2023年10月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784065334751

作品紹介・あらすじ

ごく普通の結婚をした隠密同心の嫁は、じつは優秀なアサシンだったのです!──待望の書下ろし時代小説シリーズ、スタート!

月(つき)は北町奉行・柳生久通の庶子。武芸に秀で、中でも殺しの才に恵まれていたため、柳生の一族は月を殺し屋に育て上げた。一方で久通は月を可愛く思い、隠密同心の花川戸要(かなめ)に嫁がせることにした。真面目で堅物なのが取り柄。そんな月のもとに夫には内緒で、今日も暗殺の指令が届いた……。

感想・レビュー・書評

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  •  幼い頃から暗殺者として育てられた柳生の娘が新妻に ⁉
     表では同心の妻として、裏では凄腕の暗殺者として新しい人生をスタートさせた月が世に蔓延る悪を狩る、エンタメ痛快時代小説。シリーズ1作目。
               ◇
     柳生家の庶子で本来なら暗殺者として日陰で生きるはずだった月。だが、武芸の腕だけでなく器量にも恵まれた娘を父の久通も不憫に思い、縁付かせることにした。
     嫁ぎ先は北町隠密同心の花川戸要。北町奉行を務める久通の部下だ。堅物だが仕事は確かで人間的にも信頼できる男である。

     朴念仁の要と暗殺者の月は、祝言の日からなぜか互いに惹かれ合うのだが、これまで色恋に縁のなかった2人はその想いをうまく表現できずにいる。そんなじれったくも微笑ましい新婚生活のある日のこと。

     月は父の密命を受け、早朝に旗本屋敷に潜入し凶悪犯罪に手を染めていた旗本を瞬殺。証拠を消したあと、急ぎ同心屋敷にとって返した。朝食の支度をするためである。

     月の最も苦手とするものが料理だ。暗殺剣の修業には余念がなかった月だが、花嫁修業は付け焼き刃程度しかしていない。早い話、飯を炊くことも魚を焼くことも満足にできない。流れるような動きで人を殺せても、食事作りの手際は非常に心許ないのだった。

     だが今朝も要は、美味いと言って粥に近い飯をおかわりまでして膳を平らげ、にこやかに出勤して行った。
     申しわけなく思いつつ月が片付けをしていると、1人の少女が気配もなく勝手口から入ってきた。同じ裏柳生のあやめだ。父からの言伝を運んできたのである。 ( 第1話「料理は殺しほどは楽ではありません」) ※全2話。

          * * * * *

     軽いラノベだろうと思ったら、意外なほどのおもしろさでした。
     その理由はいろいろありますが、いちばん大きいのは、主人公の月のアンバランスな魅力でしょう。その魅力を少しばかり紹介します。

     美しく清楚な見かけどおり、溢れるような恋心を夫に伝えられないほど純情です。
     だからと言って、別にウブで色の道についての知識がないというわけではありません。裏柳生の達人なのでハニートラップのスキルも身につけています。
     ただ、要の前では恥じらいが勝ってしまうのです。

     敵から悪意を向けられても平然と受け止められる度量を持つ月ですが、夫と親しげに話す若い女を見ると冷静でいられず殺意まで抱くほど狭量なところもあります。

     熟練の暗殺技術で速やかにターゲットを屠れるのに、未熟この上ない料理の腕ゆえ食事の支度にはもたつくばかりのところも含め、月にはどこか可愛げを感じます。
     その理由は、月が何に対しても真剣に向き合おうとしているからなのだろうと思いました。 ( 柳生家の育て方がうまい? のでしょうか……。)

     そんなこんなで楽しめる作品でしたが、1つ気になることがありました。
     それは、悪人どもが密貿易相手に売り飛ばすために拐かした若い娘たちを監禁していた船に、月が単身乗り込むという終盤の場面です。
     結った髪と着物の裾を少し乱したしどけない姿で悪人どもを油断させた月が、しなだれかかるような素振りで男たちに近づくや、急所ひと突きずつで屠っていきます。まさに瞬殺。問題はその後です。

     月は囚われていた女たちを解放するのですが、女たちは月の殺戮仕事を見ていました。これはマズイのではないでしょうか。
     女たちに死体の処理を手伝わせ共犯関係を作り上げて口止めをした月ですが、秘密が完璧に守られるとは思えません。

     月の暗殺者としての顔は誰も知らないままにしてほしかったというのが正直なところです。少し残念でした。

     でもおもしろかった。2巻も読みます。

  • 「夫には、殺し屋なのは内緒です」 
    とても興味深い題名ですよね。
    図書館に新刊であったのて、おもわず手にとって借りてしまいました。

  • 神楽坂淳さんの作品を読んだのは、本書が初めてです。

    時代小説はあまり読まないのですが、タイトル『夫には殺し屋なのは内緒です』に惹かれて読んでみることにしました。
    率直な感想として、期待を裏切らない面白さでした!
    買って読んでみて良かったと思います。

    何よりも、「隠密同心に嫁いだ新妻が、実は凄腕の殺し屋だった」という斬新な設定と、(殺しの腕に反比例するように)料理や裁縫などは全くの苦手で、愛する夫「要」に気に入られようと奮闘する主人公「月」の健気さのアンバランス感がとても良い味を出していますね。

    とりわけ「月」がところどころで(殺し屋であることは秘密なので、心の中だけで)呟く

    ・人間に「針」を刺すのは得意だが、布には刺せない
    ・その場にいる全員を殺してもおつりが来ます
    ・なんとか全員まとめて殺す場所があるといいのだが

    の場面では笑いがこぼれました。

    また、本書は2話(それぞれ約100ページ)で構成されていますので、程よい時間で読むことが出来ました。

    シリーズ化されることを期待しています。

  • 超一流の殺し屋だけど世間に疎い、米すら炊けない…ギャップ萌え。いつも心配するのは「依頼もないのに殺してしまったらどうしよう」って…可愛すぎか。

  • タイトルに惹かれて普段あまり読まない時代小説を読んでみた。
    舞台は江戸だけど、とてもいい読みやすい。
    殺し屋以外の能力はなく、まともな料理もできない月が恋した旦那さんのために頑張る姿が微笑ましい。
    うだつの上がらない風体の旦那さんが、実はとても仕事の能力が高いとか、内面イケメンであるとか、でもお互いに言い出せなくてその初々しいしさがいいなと思いながら読んだ。

  • 初読の作家さん。
    どなたかの本棚で見かけて気になっていたのですが、図書館で見つけて借りて読んだら面白かったです。殺し屋の話なのに殺伐としてなくて、月さんと要さん夫婦が初々しかったり色々微笑ましい。

  • 時代物だけど、すごく読みやすかった。

  • なにかあると、すぐに「殺意」ってのが面白い

    美人の箱入り娘が殺し屋ってのがユニーク。先に続編から読んだけど、スリルはないけど明るい物語だな。危機感あっても良いかな、次あたりからは。

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著者プロフィール

1966年広島県生まれ。作家であり漫画原作者。多くの文献に当たって時代考証を重ね、豊富な情報を盛り込んだ作風を持ち味にしている。小説には『大正野球娘。』『三国志』『金四郎の妻ですが』『捕り物に姉が口を出してきます』『うちの宿六が十手持ちですみません』『帰蝶さまがヤバい』『ありんす国の料理人』『あやかし長屋 嫁は猫又』『恋文屋さんのごほうび酒』『七代目銭形平次の嫁なんです』などがある。

「2023年 『うちの旦那が甘ちゃんで 飴どろぼう編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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