- 本 ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065334874
作品紹介・あらすじ
勉強もバイトも続かないドロップアウトぎみなヤンキーの小林。ある日彼のクラスに変わり者の宇野が転校してくる。小林が先輩から怪しいバイトに誘われているところを宇野に助けられ、その出来事をきっかけに2人の距離は縮む。宇野のことを知れば知るほど彼の生き方に惹かれ、自分も変わろうと行動する小林だったが…。「普通」ができない正反対の2人がそれぞれ壁にぶつかりながらも楽しく生きるために奮闘する友情物語。
感想・レビュー・書評
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泣ける!!!今ネットでも1話分読めるから、ぜひみんな読んでみてほしい…。
自分も覚えが悪い中、新しい仕事に挑戦している最中なので、「できない」恥ずかしさや怖さを認めて、自分にできる方法でゆっくり頑張る小林くんと宇野くんにすごく勇気をもらった。登場人物たちの素直な本音に胸打たれた。
自分って要領悪いよなあ、なんか人よりいろいろうまくできないなあと思ったことある人には絶対響くと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マンガ大賞2024で1位を受賞した作品。不器用な小林くんと、少し変わり者の宇野くんがページを進めるにつれて強い絆を結んでいることに感動した。先入観だったりの思い込みで勝手に世界を狭めずに、自分の心の声を信じて行動することって大事なんだな。
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マンガ大賞2024受賞作。
学校でもバイトでも、上手くいかない二人の少年の奮闘記。
どんなことが苦手で、どんな工夫が必要なのか、また周りの者の理解と支援が垣間見える。
生きづらいこの世を無気力な「宇宙」に例え、
「自分は浮いている、しかし僕は宇宙を歩きたい」と少年は言う。
そして肌見離さず持ち歩くノートは「デザー」。デザーとは、宇宙飛行士が宇宙空間で活動する際に使用する命綱のこと。
苦手なことにどう対応するのか書かれた自作のノートは、宇宙のような世を生き抜くデザーなのだ。
そこに書かれていることは、「起床後や就寝前にすること」など日常生活ルーチンから、
「悔しくても泣くのは家に帰ってから」と気持ちの整理の仕方まで。
そんなの当たり前じゃない?と思わず、だよね!と振り返ってみるのも良い。
他人事ではなく、ハッと気付かされる内容も多く、彼のノートをもっと覗いてみたくなる。
自分は生きづらい、どう生きていこうかと悩み奮闘する姿に心打たれる。
学生、教員、社会人、子どもを持つ親、多くの人に読まれたい漫画。 -
"苦手が多くて生きづらい"
と感じるあなたに必要なのは
無責任な「がんばれ」ではない。
とにかく横にいてくれる少しの友人と、
テザー(=命綱)があれば、
あなたはやっていける。
自分の手で子どもを守るだけじゃなくて、
心強い命綱をたくさん持たせてやれる大人になりたい。 -
ヤンキー高校生の小林のクラスに、変わり者の宇野が転校してきた。彼はたくさんのことを同時に行えなかったりと“普通”のことが苦手。それでも工夫して生活をする宇野を見て、小林は自分も変わろうと決意する。
宇野の特性は明らかにあるものを示している。でも、その名前をあえて出さないことで、宇野というキャラや人柄が浮かび上がる工夫がよかった。テーマを宇野の特性にしないこと。境界線を引かず、それぞれの特性や生きづらさを公平に扱う描写が素敵だなと感じた。普通とそれ以外ではないんだよね。みんな生きづらくて、それぞれに悩みを抱えている。読者のぼくの苦しさにもやわらかく寄り添ってくれた気がした。
宇野が自分の生きづらさを「宇宙に浮いているみたいです」と喩えて、しかもそこを歩きたいと言ったのが好き。ふわふわ浮いて自由にならない宇宙を歩くために、テザー(命綱)として行動を具体的に書いた手帳を持つ。そうすれば、宇宙船からははぐれない。この前向きさに心打たれた。
「人と同じように生活するのにさ 工夫が必要な人もいるんだよね」
これは宇野だけじゃない。彼のように行動のマニュアルを作ることで助かる人はたくさんいる。ぼくも不安障害で悩まされる日々が続いているけど、自分の思考にハマらないように自分ガイドブックを作ってみようかなと思った。宇野の工夫と、その努力に触れて自分も変わろうとする小林。不自由な宇宙を歩きたい!そういう前向きになれる力をくれる作品だよね。
宇野に星のことを教えてもらった小林が「じゃあやっぱあの小せぇ点も 点じゃなくてデカい星だったんだなあ」と先生に伝えた後の言葉も印象深い。
「一体どのくらいの人が『点だと思っていたものが点ではなかった』と気が付けるでしょう」
地上から見る星は点として見える。それでも、その点の一つひとつは巨大な星で、個性があって、知れば知るほど面白いものなのだ。人間関係も星と同じ。お互いを知ること、お互いに語ること、点ではなく星だと知った時、それはかけがえのない宝物へと変わる。宇宙は無重力でも、人と人の間には引力があるのだから。 -
いやー、これはすごい。「マンガ大賞2024」大賞受賞も納得だ。
作中ではあえて1度も明示されないのだが、明らかに発達障害である転校生・宇野と、軽度知的障害だと思われるヤンキー少年・小林の友情物語。泣ける。
舞台が一昔前の平成に設定されているのは、「いまよりも発達障害に対する認知と理解が乏しかった時代」として描くためだと思う。
つまり、宇野は障害を持っているのに、そのことが周囲にあまり理解されていない。
一方、小林も知的障害が軽度であるからこそ、福祉の手が差し伸べられることもなく、普通の生徒たちの中にただ放置されている。
重度障害者や難病患者のように「一目瞭然の弱者」ではないから、手が差し伸べられず放置されてしまう――そんな「わかりにくい生きづらさ」に焦点を当てたマンガなのだ。
それは、大ベストセラーになった『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治著)が描いた問題でもある。
「人と同じように生活するのにさ 工夫が必要な人もいるんだよね」
――宇野の姉が小林に言うそんな一言が印象的だ。それはもちろん宇野を指した言葉だが、小林は「俺もそうなのかな」と思う。
異なる生きづらさと孤独感を抱えてきた2人の少年が出会い、少しずつ、互いが宇宙遊泳のテザー(命綱)のようなかけがえのない存在になっていく……そのプロセスが哀切だ。
とくに、ヤンキー少年・小林の内面を繊細に描く手際が鮮やかである。
凡百のヤンキーマンガでは、暴力行動にばかり焦点が当てられ、こんなふうに「ヤンキーの内面」が描かれることはなかった。 -
良い。
良い!!!
あまりにも良すぎて、読み終わらないうちに友人にお勧めのラインをしてしまうほどでした。
まず、この物語は明らかに発達特性をテーマにしています。が、それを指す単語が一切出てこないです。
これが、良い!
(あとがきで作者の方が書いていますが、ヒューマンドラマを描く為に意図的にテーマを言葉に出していない、時代背景が平成である、などが理由です)
そして登場人物がみんな魅力的。
宇野くんに、「宇野くんってバカ?」と嘲笑するように聞く朔もとても大事なキャラクター。
クラスに1人や2人は居たよね、こういう子。
当時は嫌悪や憎悪、なんなら死なないかなくらいの気持ちで彼らを見つめていたけれど、
物語として俯瞰して見てみると
「自分にも、こういう【そもそも理解しようとしない部分】ってあるよな」と、冷静に思えました。
(まさに今、無神経な言葉を投げつけられて傷ついている人は、理解なんてどうでも良いからすぐその人から離れて下さいね)
絵も愛嬌があって可愛らしく、暖かい線で親しみやすいです。
物語の雰囲気をさらに柔らかいものにしています。
私自身、小林くんの要素を持っており、育ったのがまさに平成で「発達特性」や「LD」等々の言葉はあの頃の自分の世界には存在しない言葉だったなぁと思いました。
「普通」って、とってもとっても難しいよね。
障害とか特性とかひとまず置いといて、
人間として今頑張って生きている人は、全員刺さる凄い漫画だと思います。
娯楽ついでにでも、ぜひ手に取って欲しい! -
これは、、、全部が同じとは言わないけど、ふつうの人になりたい、という気持ちと、そのためにすること、というノートを作るあたりは、共感しまくりで泣いてしまった。
こういう漫画が世の中に出て、評価される時代になったんだな。それは良いことなのか分からないけど、漫画とはいえ、私とおんなじ様な気持ちになって、分析して、行動しているキャラクターに背中を押された。がんばろう。
泥ノ田犬彦の作品





