一線の湖

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  • 講談社 (2023年12月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784065336816

作品紹介・あらすじ

小説の向こうに絵が見える! 美しき水墨画の世界を描いた物語

水墨画とは、筆先から生み出される「線」の芸術。
描くのは「命」。

20万部を超えたメフィスト賞受賞作『線は、僕を描く』に続く、水墨画エンターテイメント第二弾!

主人公・青山霜介が、ライバル・千瑛と湖山賞を競い合った展覧会から2年が経った。
大学3年生になった霜介は水墨画家として成長を遂げる一方、進路に悩んでいた。
卒業後、水墨の世界で生きるのか、それとも別の生き方を見つけるのか。
優柔不断な霜介とは対照的に、千瑛は「水墨画界の若き至宝」として活躍を続けていた。
千瑛を横目に、次の一歩が踏み出せず、新たな表現も見つけられない現状に焦りを募らせていく霜介。
そんな折、体調不良の兄弟子・西濱湖峰に代わり、霜介が小学一年生を相手に水墨画を教えることになる。
子供たちとの出会いを通じて、向き合う自分の過去と未来。
そして、師匠・篠田湖山が霜介に託した「あるもの」とはーー。

墨一色に無限の色彩を映し出す水墨画を通して、霜介の葛藤と成長を描く、感動必至の青春小説!

感想・レビュー・書評

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  • 『線は、僕を描く』の続篇。
    前作同様、とても美しい小説でした。
    水墨画を描いている場面が秀逸で、文章を読んでいるだけで脳内に絵が浮かんできます。水墨画なんて、きちんと見たことがあるのかないのか分からない私なので、脳内に浮かんだ絵は正しいのか正しくないのかは、正直言って分かりません。でも、はっきりと線や濃淡が浮かび上がるのだからすごいなぁ、と思ってしまいます。
    大学三年生になった青山。進路を決めるべき時です。
    このまま絵師として進んでいくのか否か。
    悩んで悩んで、またも自分の心の中の部屋に閉じこもってしまう青山。でも、それだけ両親を失った悲しみが深いものだということが伝わってきました。
    作中、何度も何度も、ある意味くどい程、心の中に潜り込むのですが、それはそのまま大切な人を失った心の痛み、叫びの現れなのだろうと思います。
    今作では生前の母を知る人達に会い、母の職場であった小学校で、母と同じように子ども達に教えるという経験をします。このことが、自分の知らなかった母の姿を知ることになると同時に、自信を失っていた水墨画に対しても新たな一歩を踏み出すきっかけにもなります。
    そして、やはり何よりも師匠の湖山とのやり取りが本当に泣けてきます。湖山先生、青山君を見つけてくれてありがとう!と青山の母のような気持ちになってしまいます。
    青山を取り巻く人達が皆とても優しくて、いくら時間はかかろうとも、確実に青山は深い悲しみを乗り越えて自分の道を進むことができる、と思わせてくれます。青山のこれからが楽しみ。続編きっとあるでしょう。期待してます。

    • Manideさん
      こっとんさん、こんにちは

      いい作品ですよね(^^)
      続編ありますかね… あるといいですね。
      こっとんさん、こんにちは

      いい作品ですよね(^^)
      続編ありますかね… あるといいですね。
      2024/04/30
    • こっとんさん
      Manideさん、こんにちは♪
      続編出してもらいたいという願いをこめて!
      ファンの皆さん、みんなで声をあげていきましょう٩( ᐛ )و
      Manideさん、こんにちは♪
      続編出してもらいたいという願いをこめて!
      ファンの皆さん、みんなで声をあげていきましょう٩( ᐛ )و
      2024/04/30
  • またあの世界が広がっていました


    『線は、僕を描く』の続編です


    前作を再読してから臨んだので
    すぐに世界に入っていけました


    相変わらず絵を描く時の描写や
    青山の心理描写が細やかで
    すごい表現力でした。。。


    自分の力量不足なのか
    集中して読まないと
    文字が横滑りしてしまうので笑
    じっくり読ませてもらいました



    前作から2年が経ち
    それぞれが壁にぶつかっていました


    全てがうまくいかず
    読んでいて苦しくなります


    そんな中で絵を描いてる様子が目に浮かび、
    描きながらの葛藤や、発見を
    一緒に体験することができる
    すごい本ですね


    揮毫会のシーンと
    終盤の絵を描くシーンは
    特にすごい。
    知らぬ間に涙が落ちました。




    個人的には子どもたちとのシーンがとても好き
    子どもの圧倒的なパワー、
    楽しいものを素直に楽しみ、吸収し、
    自由に表現できる
    なにもないところで遊べる
    全身で気持ちを表現できる


    いつも身近にいるけど
    子どもたちの凄さを
    この本で改めて気づきました
    一緒に過ごせる今の時間を大切にしなきゃな



    前回は古前くんがすごく好きだったけど
    今回は湖山先生がとてもよかった

    湖山先生には全部見えていて
    全部わかっている。
    圧倒的な存在感でした
    あーかっこよかったです!!


    出てきた作品たちを見てみたいー
    私の想像力じゃ足りない…笑

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      どんぐりさん、こんにちは♪ 本とコです
      偶然にも、私も本作を読み始めたところです
      どんぐりさんのレビューが拍車をかけてくれましたぁ(^...
      どんぐりさん、こんにちは♪ 本とコです
      偶然にも、私も本作を読み始めたところです
      どんぐりさんのレビューが拍車をかけてくれましたぁ(^^)
      2024/02/15
    • どんぐりさん
      本とコさん
      こんにちは(^^)

      なんと!それはよかったです!
      レビュー楽しみにしてますー(^^)
      本とコさん
      こんにちは(^^)

      なんと!それはよかったです!
      レビュー楽しみにしてますー(^^)
      2024/02/15
  • 「線は僕を描く」の続編!

    青山くんのそれからを描いているんやけど、やはり、そんな順調やなかったんやな。
    人並外れた才能があっても、やはり…それだけではね。
    と言って努力はしてるんやけど、それだけでも…
    この本読んでると濃淡はあるにしても、色としては、2色しか使えない水墨画がそれ以上の様々な色を持ってるように感じる。
    多分、目で見える色って言うより、五感で感じる色。

    クラシック系のミステリーもそうやったけど、水墨画なんかやったことないのに、スーッと入って来るのは、書き手の上手さなんやろうな。

    こんな五感で感じるような体験してみたいけど、ないわ!そんな才能…(・・;)

    青山くんの今後の活躍を期待したいきもするけど、何となく途中で予想がついたな。まぁ、水墨画を止める訳ではないし…

    現実問題、水墨画で食っていくのも厳しいというのが、チラホラ描かれてて、さすがに作家さんが、水墨画家なんで、少し生々しい。
    もう、続編はないんかな…


    「何も描かなければ、白の上には失敗はない。
    けれども、もし何も描かなければ、白もまた、本当の白にはなれない。」
    (文中より)
    まずは、動くってことかな。

    • ultraman719さん
      ユッキーさん

      床が抜ける前に、整理しに来て〜!www
      ユッキーさん

      床が抜ける前に、整理しに来て〜!www
      2025/08/26
    • ひまわりめろんさん
      井上ひさしさんのエピソードやな
      児玉清さんも抜けそうになったってエッセイに書いてはるな
      井上ひさしさんのエピソードやな
      児玉清さんも抜けそうになったってエッセイに書いてはるな
      2025/08/26
    • ultraman719さん
      ひま師匠

      それ、聞いた事あります。
      本1000冊を軽く超えての話かな?
      さすがに、そこまでは…(^◇^;)
      ひま師匠

      それ、聞いた事あります。
      本1000冊を軽く超えての話かな?
      さすがに、そこまでは…(^◇^;)
      2025/08/27
  • /_/ 感想 _/_/_/_/_/_/ 
     
    これは、、もう、、すばらしかったです!!
    最初の展開から、最後まで、ほんと、よかったです。

    この作品からは、空間をとても感じさせられます。読み進めていると、目の前の空間に、大切なものを、感じられるような気になります。

    登場人物も、彼らの発する言葉も、ほんと、とても好きです。

    西濱さんの言葉、「ぶち当たったものが形を決めるんだよ」というのが、とても響きました。この言葉は、すごいよかったです。

    最近、「できるか、できないかじゃない」、「やるか、やらないかでしかない」という言葉を投げかけられ、頑張るしかないと、無能な自分を奮い立たせる日々が続いていますが、そんな自分の背中を押してくれる作品でもありました。

    お母さんの言葉「誰かにダメって言われても、自分が素敵だと思ったものを信じなさい。そこにあなたの宝物が見つかるから。あなたにしか見えない宝物がこの世界にはたくさんあるから」
    こういう言葉を目にすると、それだけで、涙がでてきそうになります。

    今作は、ジワリと涙が溢れるシーンがとても多く、多くの感動と、そして、勇気をもらいました。


    /_/ あらすじ _/_/_/_/_/

    前作から数年、書のイベントからスタートします。
    そこでいきなり失敗をしてしまいます。

    大きく沈んだところから、前へ歩みだしていきます。そして、再度、大きなイベントを迎えます。


    /_/ 主な登場人物 _/_/_/ 

    本の冒頭に書いてあるので割愛します。
    今作では、お母さんの働いていた小学校がでてきますが、その子供たちや先生が初登場となります。

    • Manideさん
      かなさん、こんばんは

      水墨画の世界は、私も全くわかりませんが、
      その世界が目の前に見えてくるような感じがします

      実際に今作のラストは、イ...
      かなさん、こんばんは

      水墨画の世界は、私も全くわかりませんが、
      その世界が目の前に見えてくるような感じがします

      実際に今作のラストは、イメージが必要となる描写がありましたが、なんとなくしか感じ取れない私でも、じわっと、涙がでてきました

      前作の流れも好きでしたが、今作は、ほんとに引き込まれました
      前作から読んだ方がいいと思います
      ほんと、素晴らしい作品でした♪
      2024/04/12
    • aoi-soraさん
      素敵な作品のようですね(⁠ ⁠◜⁠‿⁠◝⁠ ⁠)⁠♡
      前作「線は僕を描く」積んでるのを思い出しました(^^ゞ
      読まなきゃ!

      アタッカーはM...
      素敵な作品のようですね(⁠ ⁠◜⁠‿⁠◝⁠ ⁠)⁠♡
      前作「線は僕を描く」積んでるのを思い出しました(^^ゞ
      読まなきゃ!

      アタッカーはManideさん!?
      2024/04/12
    • Manideさん
      aoiさん、こんばんは〜

      金曜日が終わりましたね。
      私は、明日も学校、そして、仕事と、追い込まれてるので、とほほ…という感じです(T . ...
      aoiさん、こんばんは〜

      金曜日が終わりましたね。
      私は、明日も学校、そして、仕事と、追い込まれてるので、とほほ…という感じです(T . T)

      この作品はいいですよ、ほんと、いい!!

      今年の目標で
      「新たなものに目を向ける」というのをやっているんですが、、、
      見ていなかったものを見る…
      見ていたものを別の角度で見る…
      そんな、取り組み、、、

      この作品を読んで、さらに、
      空間に目を向ける…
      余白に目を向ける…
      というようなことも、意識しようと思ってます。

      一度きりの人生、より、素晴らしいものにしたいですよね。
      ※この取り組みが結びつくかは不明ですが…(笑)


      写真は、私なんですよね〜
      歳をとると昔に栄光を見出してしまう(^^)
      これから、バレーの小説読むので、気持ちを盛り上げているところです。
      2024/04/12
  • こ、これは…ズルいわ〜
    ズルいラストだわ〜

    湖山先生がとにかくかっちょいい
    師匠度がエグい
    師匠偏差値が高すぎる
    なんだ師匠偏差値て

    伝えるモノを持っているってすごいよね
    羨ましいなあって思う
    ほんとは誰でも持っているのかもしれないけどね
    気付いていないだけで

    湖山先生のような物語だった
    ヒントやアドバイスが色んなところに隠れてた気がする
    そっと背中を押してくれてたり
    気付いたら隣りを歩いてくれてたり
    いつの間にか灯りをつけてくれていたり

    そんな師匠偏差値の高いお話しでした

    だからなんだよ師匠偏差値て!

    • ひまわりめろんさん
      (*´ω`*)(なぜ照れるのか)
      (*´ω`*)(なぜ照れるのか)
      2024/02/15
    • ponponpoonさん
      こんばんは、続編出ているの知りませんでした!
      こちらで気がつきました。明日買おう!
      『線は…』めちゃくちゃよかったですよね。
      その年に読んだ...
      こんばんは、続編出ているの知りませんでした!
      こちらで気がつきました。明日買おう!
      『線は…』めちゃくちゃよかったですよね。
      その年に読んだ本で私の中で1番でした!!
      2024/05/16
    • ひまわりめろんさん
      ポンさん
      おはようございます!

      そうなんです
      出てたんですよ

      無事購入できたでしょうか
      前作も面白かったですが、自分はよりパワーアップし...
      ポンさん
      おはようございます!

      そうなんです
      出てたんですよ

      無事購入できたでしょうか
      前作も面白かったですが、自分はよりパワーアップしてるように感じましたよ
      ポンさんの感想、楽しみにしてますね
      2024/05/18
  •  『線は、僕を描く』読了から4年半。記憶も曖昧でしたが、前作を再読せずに続編を読んでみました。

     両親の事故死によって深い喪失感を抱えていた霜介は、水墨画と出会い、快復・再生したはずでした。本作では、霜介が2年後(大学3年)、自分の進路に苦悩しながらも、成長していく姿が描かれています。

     何度も失敗し落ち込み、その度に停滞し焦り‥、その辛い状況がリアルです。そうです! そんなカッコよく困難を打開し、颯爽と我が道を切り拓くていくなんて、あり得ませんよね。
     多くの人の支えがあってこそ、霜介は新たな一歩を踏み出せたのでしたが、個人的には特に二つのことが印象的で、内容の根幹と思えました。

     まず第一に水墨画の師匠・湖山の関わり方です。決して具体的なことを教えず、本人に気付かせるというスタンスは、指導者の鏡ですね。余計な事を言わず可能性を信じる姿勢が素晴らしい!
     そして第二は、小学1年生たちとの出会いです。純粋にただ楽しんで描く姿・作品から、霜介は生命力、未来への勢い、可能性‥を感じ取ります。「拙さが巧みさに優る時がある」←これは名言! 確かに、小学校の教室や廊下の子どもの作品は、観ていて本当に楽しいですもんね。

     さらに、実際の水墨画を描く場面、終末の自分と向き合い進む道を見つける場面では、読んでいる目の前の文字上に、詳細な画や絵師の所作まで浮かび上がるような繊細で優しい表現です。
     巻頭・巻末の著者自身による水墨画が、本作の芸術性を価値を高め、余白の美を知らしめている気がしました。

    • どんぐりさん
      本当に湖山先生のスタンスはすごいですよね。
      子育てとも似てるなと思いながら読んでました

      ついつい口出ししたくなるー
      そして知らぬ間に口出し...
      本当に湖山先生のスタンスはすごいですよね。
      子育てとも似てるなと思いながら読んでました

      ついつい口出ししたくなるー
      そして知らぬ間に口出しているー。。。
      なかなか巨匠のようにはいかない毎日です。笑
      2024/02/16
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      あはは、どこのお家もそんなもんでは?
      主体性を育てる! な〜んて言って、制限かけてるのが
      親! おやおや、よくある話‥‥(笑)
      あはは、どこのお家もそんなもんでは?
      主体性を育てる! な〜んて言って、制限かけてるのが
      親! おやおや、よくある話‥‥(笑)
      2024/02/16
  • 前作を読んでから3ヶ月しか経っていないので、非常に熱く読み終わることが出来た。珍しく2冊とも5評価。
    前作では短期間で賞まで貰った主人公に若干の違和感があったが、今作では挫折からの復活となり、感動が深くなる。
    突然に小学生を教えることになった主人公の青山。亡くなった母親が教えていた小学校であり、先生達も母親を良く知っている。奇跡的な出会いと子供達がスランプ脱出の原動力となる。ここで既に涙が溢れて来る。そして、その後の大怪我と再度の復活。湖山会のオールスター達による共同作業による水墨画。感動的なフィナーレが待っていた。水墨画家である作者の美に拘った美しい小説だった。

  • 水墨画を題材にした作品。
    主人公のストーリーも良くいい作品ですが、何より水墨画にフォーカスした作品を、読んだ経験がなく。
    描写のシーンを想像するのにいい意味で時間がかかります。

    集中して読める良い一冊でした。



    追伸
    たまにやりますが、2作目から読んでしまった。。。
    前向きに、一冊目を読む。もしくは映像作品をみるととらえていきます。

  • 『線は、僕を描く』の続編となるこの作品、大学3年となった霜介が進路に悩み、揮毫会での失敗で挫折したところから物語は始まる。

    前作を思い返しながら緩やかに進んでいくが、亡き母が勤めていた小学校から水墨画教室の依頼を受けたときから流れが変わったかのように加速していく。
    無限の可能性を秘めた子どもたちと向き合うことによって、少しずつ見えてくるものや気づきに何かを感じる。

    描くのではなくて生まれるもの。
    『いま、そのとき』は、自然に生まれる。
    美しい時間を共有できたという思いが込み上げてきた。



    • yyさん
      湖永さん

      こんばんは☆彡
      『線は、僕を描く』の続編がでたらしいことは
      何となく知っていたのだけど、これなんですね。
      湖永さんのレ...
      湖永さん

      こんばんは☆彡
      『線は、僕を描く』の続編がでたらしいことは
      何となく知っていたのだけど、これなんですね。
      湖永さんのレビューを読んだら、どうしても読みたくなって
      さっそく図書館の「読みたい本リスト」に入れました。
      予約の枠を使い切っているので、手にするのはしばらくあとになりそう。
      でも、読みます!
      2024/02/20
    • 湖永さん
      yyさん こんばんは。

      今作もとても感動しました。
      静かに進んでいきながらもとても熱いものを感じ、ラストも素晴らしかったです。
      ぜひ美しい...
      yyさん こんばんは。

      今作もとても感動しました。
      静かに進んでいきながらもとても熱いものを感じ、ラストも素晴らしかったです。
      ぜひ美しい時間を堪能してください。

      2024/02/20
  •  「線は、僕を描く」の続編になります。

     前作から2年の年月を経て、主人公の青山霜介は大学3年生になっており変わらず水墨画を描いていはいたが、大学卒業後の進路を見いだせないでいた。湖山の孫の千瑛は、メディアに出演するなど活躍の場を広げていた。ある日、小学校の水墨画教室を任せられることになった霜介、その小学校は母が亡くなる前に勤務していた小学校だった…。

     「誰かにダメって言われても、自分が素敵だと思ったものを信じなさい。そこにあなたの宝物が見つかるから。あなたにしか見えない宝物がこの世界にはたくさんあるから」

     やっぱり2作品読んでも、水墨画の世界はつかめなかった(汗)。そして、そうなるんだろうなぁ~と薄々感じていた通りのストーリー展開になってました。上記の文章は、霜介の亡き母が霜介によく言い聞かせていた言葉ですが、いいなぁ~って思ったのでここにレビューとして残しておきたいと思いました。霜介自身が素敵だと思うことを見つけ信じられるようになり、宝物を見つけたこと、よかったと思いました。

    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます。
      読まれている皆さん、
      みんな高評価なんですよね…この作品(汗)
      私には水墨画の奥深さは理解でき...
      1Q84O1さん、おはようございます。
      読まれている皆さん、
      みんな高評価なんですよね…この作品(汗)
      私には水墨画の奥深さは理解できないまま読了しました。
      だけど、無性に水墨画、鑑賞したくなる気持ちにはなりました♪
      そして、すごくいい文章があります。
      その部分には惹かれましたし
      気が付いたら一気読みしてました(*'▽')
      2024/05/14
    • 1Q84O1さん
      かなさん、大丈夫!
      私も一作目は無難な評価の★3でしたからw
      かなさん、大丈夫!
      私も一作目は無難な評価の★3でしたからw
      2024/05/14
    • かなさん
      1Q84O1さん、お疲れ様です。
      1Q84O1さんの評価みて、安心しましたモン(^-^)
      自分に正直に、評価するのでいいんですよね♪
      1Q84O1さん、お疲れ様です。
      1Q84O1さんの評価みて、安心しましたモン(^-^)
      自分に正直に、評価するのでいいんですよね♪
      2024/05/14
  • 揮毫会、一度見てみたい

  • 「線は、僕を描く」のシリーズ2作目である本作。本作も前作同様に、水墨画や風景のキレイな描写に魅了されるとともに、大学生である主人公の成長が見られ、とても素敵な作品であったのと思います。

    本作は前シリーズの展覧会から2年後が舞台となっております。展覧会での受賞から2年が経ち、水墨画家として大成したわけではなく平凡な日常を送る主人公。大学3年生となり、自身の進路に悩むなか、揮毫会に参加したり、水墨画教室を開いたりと水墨画家としても大きな転機が訪れるというストーリー。

    前作のシリーズが入門編であるとするなら、今作はその後の応用編といったところでしょうか。何を行うにしても、途中で上手くいかなくなったり、伸び悩んだりといったことがあると思いますが、主人公もまさしくそんな状況に陥ります。

    こうした状況ってすごく辛いよなぁってしみじみ思いますよね。私も会社に入社して1年経った時に伸び悩んだ経験があって、そうした辛さを経験したからこそ、師の言葉を無視しちゃう主人公にとても共感でき、主人公の苦しみがすごく伝わってきました。

    本作を通して、人からのアドバイスが自分の求めたものと違った時ってすごく悩むよなぁってしみじみ思いました。一見遠回りに見えても近道だったりすることもあるし、解決方法も人に合わせて色々あるだけに何が正解か分からないような感じはするのですが、人に教えを求めるのは悪いことではないということだけは言えますかね…

  • 「生きるとは、やってみる、ことなのだ。また、子どもたちの生き生きとした様子が目の中に浮かんでくる。僕の中には彼らが生きている。」青山霜介
    「君が、今日と明日を連れてきてくれたんだ。そして、皆を結んだ。」篠田湖山
    「見たもの、触ったもの、先生のことも、みんな、ぜんぶ、何もかも好きになれるから」水帆ちゃん
    「お祖父ちゃんの手みたい」千瑛

    写真は自然を写す。絵は自然の奥行きを描く。描き手の心象を映す。水墨画も然り。
    青山霜介くんと千瑛さんの未来にも一つの線が...。

    前作以上の感動が広がった。

  • 「僕は、線を描く」の続編。
    前作が良かったので今作も期待しながら読んだ。
    レビュアーさん方の評価が高い中もうしわけないが、私にはちょっと辛い話だった。
    これは私の今の環境や心身状態によるので、もっとコンディションの良い時に読めば良かったかも知れない。

    湖山賞公募展で翠山賞を受賞して二年、大学三年生になった青山霜介。
    湖山門下でも中堅クラスになって知られる存在になったのかと思えば、やっていることは前作と変わらないような。むしろ斉藤が抜け、千瑛は水墨画の宣伝のためにメディア露出が多くなり、そのしわ寄せが西濱と霜介に一気に来ている。

    そんな中始まった揮毫会。湖山先生の指示で第一筆は霜介からと決まるのだが、もう雰囲気からして上手く行かない予感しかない。
    すると案の定…もう見ていられない、というか読むのが辛い。
    更に湖山先生から『筆を置きなさい』という厳しい言葉。
    その後、西濱のヘルプで小学生たちに水墨画を教える授業をすることになった霜介だが、そこで水帆ちゃんやゲンキくんを始めとする子供たちや教師たちとの素晴らしい出会いが待っていた。

    何と霜介の亡くなった母親はその小学校で教師をしていたという。どおりで霜介も教え方が上手い(?)。本人はまったくそう思っていないようだが。
    前作でも思ったが、霜介の周囲には悪い人は出てこない。揮毫会の一件で陰口をたたく者はいるが、そういうのは無視していい。
    これで霜介も少し上向いてきた?とホッとしていたらまた…。
    作家さんはどれほど霜介を辛い目に遭わせるの…と辛くなってきた。
    前作の序盤のようにすっかり殻に閉じこもってしまった霜介を読むのは本当につらかった。

    勿論これで終わりではなく、ここからどう物語が盛り上がっていくかというところが肝なのだが、現実世界に目を向ければ芸術の世界であれスポーツの世界であれどんな世界であれ、こうやって才能ある人が諦め去っていくことってたくさんあるのだろうなと哀しくもなった。

    霜介の場合は湖山先生始め門下の面々や大学の友人たちや、ずっと見守ってきた叔父夫妻や、そして今回初めて触れた亡き母の思いなどで再び前を向くことが出来た。
    湖山先生の『筆を置きなさい』の言葉やボロボロに使い古された筆を託された意味も明かされる。
    やはり霜介は才能あふれる人だった。
    一般的には斉藤くらい極めた人が一旦『筆を置』くものだと思っていたが、霜介はすでにそういう領域に来ていたということか。

    クライマックスは湖山先生最後の揮毫会。
    先生が主役なので当たり前だけど、結局全部持って行っちゃった。こういう一見好々爺としたおじいちゃんがいきなり格好良くなるのは堪らない。

    最後の霜介の決断。腑に落ちたような落ちないような。でもまだ若いのだしいろんなことを経験するのは良いだろうと思う。私自身、経験値の少ない人生を送ってきたのでこういう色んな選択肢がある人が羨ましい。

  • 前作『線は、僕を描く』はストーリーは良く出来ているものの今一つ全体を通して深みに欠けている印象でした。 
    そして今作。
    主人公も登場人物も変わらず、物語の背景も同じ時間軸上での続編。

    続編なのに本の持つ力が同じ作者が描いたものとは思えないくらいに圧倒的に深みが増してました。
    特に水墨画を描くシーンは秀逸です。
    迫力と静寂が文章と行間から伝わって来て、まるで作中にある墨絵と余白の関係かの様でした。

    物語では主人公が成長していく様が描かれていますが、著者も本作を執筆しながら成長しているかの様でした。
    著者の次回作が楽しみです。

  • 美しく、やわらかな物語。
    湖山先生が素敵すぎて、最後の揮毫会がずっと続いてほしいと思った。

    青山くんを通して、周りの人のあたたかさや自然の美しさに気付かせてもらえたみたい。
    色々なものに「ありがとう」と伝えたくなりました。

  • 最後のページを読むのが大変だった。
    涙で文字がぼやけてしまって。
    ぼやけてしまうから何度も同じ所に戻ってまた涙が出て読めなくなってを繰り返してやっと読み終えた。
    本を閉じた今もスンスンしてて若干の酸欠気味。
    こんなに泣いたのいつぶりだろう?
    優しくて強いなぁ。
    前作はとても色鮮やかだった記憶に対して、今作は白と黒の世界だった。
    この対比がまたすごい。
    話は変わるけど前に別の本で絵本を通じて知り合ったお友達が亡くなったと書いたんだけど、実は私彼女が亡くなった事を彼女を知る人誰とも話ができていないの。
    私は読み聞かせの代表をしているからその関係で学校から知らされた。
    その時には既にお葬式も何もかも終わっていてお別れも何もできなかった。
    ご家族の意向もあって学校側から口止めされた。
    だから誰にも言えなかった。
    でもそれってとてもしんどい事だったんだね。
    誰とも悲しみを分かち合えないってこんなにも辛い事だったんだ。
    そろそろ話してもいいよと彼女が言っているような気がした。
    あー泣きすぎて目が痛い。
    午後の仕事に差し障らないかしら笑

  • 今作もよかったなぁ。
    霜介の悩みや葛藤を打ち破ってくれたもの。
    そのきっかけは子どもたちだった。
    子どもたちとの出会いにより、自身の過去を見つめ、成長していく姿が描かれる。
    その心の描き方がとても繊細で。
    「どんなに素晴らしい技術があっても、それを生かす心がなければ意味がない。器そのものが大切なわけではない。器に何を注ぐかが大切なことなのです」
    という、湖山師匠の言葉がもう答えなのだろう。
    でも、その答えの先は、自分で導き出すしかなくて。
    そして「大切なのは受け入れること」だったと霜介は気づく。
    それは、謙虚であることの尊さであるようにも思った。
    自然を描くということは、人間もその一部に過ぎないことを知ることから始まるのかもしれない。
    何かを表現するとき、自分の力ですごい作品を作ろうとするんじゃなくて、心の声に耳を澄ませることが大切なのだと思った。
    水墨画を通して描かれる、霜介の成長や湖山師匠の生き方に胸をうたれた。

    • 1Q84O1さん
      続編出ていたんですよね〜
      読もう読もうと思って忘れています…w
      続編出ていたんですよね〜
      読もう読もうと思って忘れています…w
      2024/08/31
    • ひろさん
      読みたい本がありすぎて困っちゃいますね!
      続編も良かったですよ~♪1Qさんも機会があれば是非っ✩.*˚
      読みたい本がありすぎて困っちゃいますね!
      続編も良かったですよ~♪1Qさんも機会があれば是非っ✩.*˚
      2024/08/31
  • 良かった〜
    ラストで泣かされた〜。゚(゚´ω`゚)゚。
    湖山先生が素敵すぎる♡

    相変わらず水墨画の世界は難しいけど
    繊細な文章で真っ白な世界に濃淡で彩られる様が浮かんでいきます

    主人公の再生の物語ではあるんだけど、今作で師匠の湖山先生の素晴らしさに何度もグッときた〜

    もうこれで終わりかな?
    若かりし湖山で一作お願いしたい!!


    • ultraman719さん
      そーかー!
      それは読みたいですね!
      どうしよ…単行本や(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
      そーかー!
      それは読みたいですね!
      どうしよ…単行本や(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
      2025/05/18
    • みんみんさん
      文庫待ちですか?
      文庫待ちですか?
      2025/05/18
    • ultraman719さん
      悩み中です。
      図書館で借りるかもです。
      悩み中です。
      図書館で借りるかもです。
      2025/05/18
  • 「線は、僕を描く」続編です。
    前作も好きですが、「一線の湖」はさらに良かったです。
    どの章にも作者の伝えたい思いが溢れていて、迷いのない印象がありました。
    不器用でまっすぐすぎる主人公に心の全てを持っていかれました‼️

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著者プロフィール

1984年生まれ。水墨画家。『線は、僕を描く』で第59回メフィスト賞を受賞しデビュー。同作は、2019年ブランチBOOK大賞受賞。2020年度本屋大賞第三位に選出された。

「2021年 『7.5グラムの奇跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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