禍根(下) (講談社文庫)

  • 講談社 (2023年12月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784065341162

作品紹介・あらすじ

全米で絶大な人気を誇るパトリシア・コーンウェルの大ベストセラー「検屍官」シリーズ25作目。累計1300万部突破シリーズ待望の最新刊!

みんなの感想まとめ

スケールの大きな事件と複雑な人間関係が交錯する物語が展開されます。主人公ケイは、調査中の事件が他の事件と繋がっていることに気づき、職場での人間関係にも悩まされながら奮闘します。家族や友人との絆が彼女の...

感想・レビュー・書評

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  • パトリシア・コーンウェル『禍根 下』講談社文庫。

    5年振りのシリーズ第25作の下巻。

    相変わらず、ラスト数十ページで突如として犯人の正体が明らかになり、広げに広げた風呂敷を畳み切ることもなく、物語は終わる。何だかな。

    ヴァージニア州検屍局長に返り咲いたケイ・スカーペッタは夫のシークレットサービス捜査官ベントン・ウェズリーと共に新たに居を構える。その家の離れには姪のルーシーが暮らし、近所には元刑事のピート・マリーノとマリーノと結婚したケイの妹のグラフィックノベル作家ドロシーが暮らしていた。まるで無敵のスカーペッタ一団が集結したかのようだ。

    着任早々にケイは事件に遭遇し、自らも何者かに謎の毒薬を注入されたワインを口にし、生命の危険にさらされるという怒涛の展開。


    ホワイトハウスに呼び出されたケイとベントンは大統領から恐るべき事態を聞かされる。

    何者かに殺害され、デンジャーフィールド・アイランドの線路沿いに遺棄されていたバイオメディカル研究員でスパイ活動を行っていたグウェン・ヘイニーとコンタクトを取っていたのは国際宇宙ステーションの軌道実験モジュールの乗員ジャレッド・ホートンだった。ホートンはあろうことか、船外活動中にスペース・デブリの衝突により負傷した2人の宇宙飛行士を放置し、単独で地球に帰還を果たした。

    結果、2人の宇宙飛行士は死亡し、国際宇宙ステーションに回収された。2人の宇宙飛行士の死因を特定するためにケイは国際宇宙ステーションの宇宙飛行士チップ・オーティズとアンニ・ジラールの手を借りながら、リモートで検屍を行なう。検屍の結果、2人の死因は事故ではなく、殺人の可能性が見えて来た。

    さらにはケイの前任で現在はケイの上司にあたる州保健局長を務めるエルヴィン・レディが検屍に関わっていたキャミー・ラマダ事件も事故死ではなく、殺人によるものではないかという疑いが浮上する。

    ケイたちの調査により、キャミーを殺害した犯人はグウェン殺害の同一犯ではないかと思われたのだ。すると、エルヴィンはケイを呼び出し、一方的に解雇を告げる。

    グウェン殺害犯の正体は……

    キャミー事件はどうなった。ケイは検屍局長を解雇されて、それで終わりなのか。結局、メインストーリーとは関係なかった宇宙ステーションの殺人事件はどうなった。

    定価1,320円
    ★★★

  • 2021年11月刊のAutopsyを翻訳して、2023年12月講談社文庫刊。スカーペッタの足を引っ張るものが仕事仲間にいるという状況は可哀想。でも負けずに進むのはエライ。そしていつものメンバーで事件を解決しちゃうという毎度の定番の話が楽しい。

  •  いやはや。何年ぶりにこのシリーズを手に取ったことになるのだろうか。前作『烙印』が2018年刊行だから5年ぶりの続編シリーズ第25作ということになる。1992年に肝入りで発売された『検屍官』を手に取って以来実に32年目となる。長期シリーズは多いとは言えども、ここまで長いおつきあいとなるシリーズは滅多にない。かつてエド・マクベインの87分署シリーズやロバート・B・パーカーのスペンサーなどロング・シリーズを読破してきた経緯いはあるものの、現在まで続いている20作以上のロングシリーズはもうほとんどない。

     なおかつそんなに気を入れて愛読しているわけでもなく、残念ながらすごく好きなシリーズであるとも言えない。本書を読み始めて、すぐに思い出した。相変わらず時間進行の遅さにじれったさを感じる。事件そのものより事件にとりかかる主人公の検屍官ケイ・スカーペッタによる一人称叙述のディテールが細かすぎて、リズミカルには程遠い神経質と言えるくらいのこの叙述が、ぼくには相変わらずとても苦手なのだ。ハーラン・コーベンみたいなジャズを思わせる読み易く簡潔な文体に慣れ切っている最近は富みに。

     何しろ上下巻に分かれた本作の上巻を読み終えても未だ事件発生の一日目が終わっていないのである。こんな小説って他にありますか? ドン・ウィンズロウだったらこのくらいページを進めれば、もう3年くらい経過しているような気がする。重要な登場人物が20人くらい死んで、既に町が一つ破壊され終わっているんじゃないかと思う。でもここでは変死体が一つ。それを捜査に出かけるだけで、100ページは軽く費やす。なかなか事件現場に行き着かない。では何が書かれているのかと言うと、ヒロイン、ケイ・スカーペッタの職場や家族の現状である。どちらもなかなか複雑でデリケートで深淵なものとしてストーリーそのものよりも重要視されているかに見える。でもこれが今に始まったことではなく、本シリーズの特徴なのだとぼくは久々にこの作家の語り口を思い出す。

     いつも人間関係で思い悩んでいるスカーペッタという主人公だが、良い味方にも恵まれている。恵まれすぎだろうと思われるくらい十分に。お馴染みの元刑事ピート・マリーノ。コンピューターもヘリも操りこなす超・天才な姪ルーシー。そしてスタイリッシュでクールで完璧すぎる夫ベントン。しかしケイ・スカーペッタの所属する検屍局という組織にはいつも誰かしら問題児がいて、ケイの心を逆撫でする。本作もそれは例外ではなく、いやそればかりかこちらがメイン・ストーリーではないかと思われるくらいに、嫌なキャラが数人いて、ケイや読者である我々の事件に対する好奇心を阻害し、逆撫でする。

     さらにメイン・ストーリーにサンドイッチされたような宇宙での事件までが今回はエピソード的に登場する。有人人工衛星内で起こった殺人事件。無重力の世界に漂う死体が二つ。逃亡した宇宙飛行士。何故この事件が挿入されているのかわからないが、タイトルのAUTOPSY(『検屍』の意)は、現在ケイたちが巻き込まれている本事件とは別の通信機器を使った宇宙空間での検屍シーンが印象的である。個人的な感覚かもしれないが、この辺りが実は一番面白いところで、読書スピードが加速したのだが、メインストーリーの邪魔になっている気がする。

     というよりメインストーリーを様々な要素が邪魔する小説作り、といった方が適切かもしれない。人間関係小説みたいに嫌なキャラクターが複数登場。捜査のノイズになるばかりか、こちらがメインストーリーに置き換わっている気もする。こうした複雑な人間関係はシリーズ中、相手は変わってもずっとあるものなので、これを含めてケイ・スカーペッタというヒロイン・シリーズの個性だと考えてしまった方が読むストレスは減少すると思う。

     過剰なほどのディテールの積み重ねによって進行の遅いストーリー展開、さらに挿入される宇宙規模の派手な事件、メインの事件の呆気なさ、など小説作品としての全体のバランスが気にならないわけがないのだが、それでもリーダビリティの抜群さゆえに、デビュー作以降全作品を四半世紀にも及んで読まされてしまっているのが実情である。また三年後くらいに続編を読むことになるのだろう。そう思いながら巻を閉じました。

  • ケイは、スケールの大きな事件を担当することになりましたが、調査中の他の事件と繋がりがあることがわかり  というストーリー。 今回は職場の人間関係にも悩まされ、アシスタントのマギーとのやりとりはよんでいてやりきれない気持ちになりました。 だからこそ、家族や友人との繋がりが大切なんですよね。 ケイは家族や友人との関係は良好なほうなので救われます。

  •  宇宙で起きた初めての殺人事件。
    無重力状態の軌道モジュール内の二つの遺体を、地上のカメラ映像で検屍するスカーペッタ。無重力の中では、飛び立った血は乾いて舞い始める。空間の一点にとどまらず動き続ける。無重力状態では血痕パターンも意味を持たず、現場の状況から読み取れることはほとんどない。それでも、長年の経験を頼りに検屍を進める。

     スカーペッタが主人公のこの「検屍官」シリーズは、1990年代のミステリー界最大のベストセラー作品らしい。確かに、検屍シーンはとても興味深かった。

     この作品は検屍官スカーペッタとその家族、仕事の人間関係が主に綴られていて、上・下2冊の中での事件の数々が、たったラスト15ページで一気に解決する。
     事件の残虐さや犯人の複雑な心理を書き込んだミステリー好きには、好まれないかもしれない。

  • 下巻の終末を楽しみに読破。
    スカーペッタの身辺が複雑になりすぎており、人間関係のままならさで事件への取り掛かりも上手くいかず……
    意外にも犯人はあっさりと登場。
    犯人を推理する要素はほとんど皆無の為、そう言う楽しみは今作にはありませんでした。
    組織とか、アメリカにおいてさえもこんなものなのでしょうか…

  • 読了。2年ほど前に新作出ていたようで、図書館で借りた。ずっと読んでいるシリーズだけど、刊行に間が空いてもう出ないのかと思ってたw
    手に持った最初の感想は「めっちゃ薄っ…!?」
    こんなページ数少ないのに上下巻!?と借りた本なのに定価確認してしまった。一冊約280頁ほどで各税別1200円とな。えっ、ぜ・い・べ・つ!?
    昨今文庫本は高いと思っていたけれどそうか…とため息。因みに一緒に借りてきた「すべてがFになる」は1998年文庫化で約500頁で税別733円となってる。私の時間はその辺りから動いてないのかと苦笑い。翻訳物だし仕方ないのだろうけどうーん、高いなー。

    シリーズの前作が2018年なので、私は7年ぶりに、ケイ始めお馴染みのメンバーと再会。みんなヴァージニアに集結している。歳とるとみんな集まりたくなるよね、うん。最初からずっと付かず離れずで読んでいるけど、風景や食事の細かすぎる描写はそこにあるものを想像しながら読めるし、料理の準備などはケイの心情を表していると思えるので私は割と好きなのだが、要らないと思う人も多いかもしれない。もっと事件に文字数使ってくれw
    毎度お馴染みの様々な事件が公私共にケイに襲いかかる。宇宙ステーションにまで話が広がり、3つの殺人事件と一つの殺人未遂がどう繋がるのだ??とワクワクしたのも束の間。結局犯人はその辺に居るサイコパスというオチは、うーんと唸ってしまった。
    シリーズも30年を過ぎ、ケイも老いた。
    そして読んでいる私も老いたのだなぁと思ってしまいました。

  • いやぁ〜
    引き伸ばしてて、面倒くさくなって終わらせたのか⁉️みたいな…
    すごい…
    そして、相変わらずのお食事シーン…

  • 宇宙!?となった上巻から一転、過去の事件を洗い出し、気の合わない忖度上等の上司との対立にその上司と関係を持っているがためのケイ嫌悪部下に邪魔されつつ、進めた検死ですが、またもやケイ一家が危機に陥ります。
    ケイ、襲われすぎじゃない?とかいう感想は今更か。
    あわや解雇…というところで怒涛の解決。
    ルーシー、相変わらず容赦なし。
    マギーぎゃふん展開を待っています。

  • 最後に解決するパターンはずっと一緒。
    今回の犯人は唐突すぎないか?と思ったが、読み返してみたら伏線があるのかも…。

  • 大晦日をスカーペッタと共に過ごすというのは、十数年のリチュアルだったので、シリーズ刊行、講談社様に感謝。Bloodyな年明けとなりましたw
    何度も言うけど、タイムラインとかどうでもいいのです。この人間模様を体験できれば。とはいえ、今回は硬貨のナゾから、宇宙での遠隔解剖まで、なかなかミステリとしても読みごたえあったかと! もうちょっと料理はしてほしいけど~。

  • エンディングが雑。
    わかりっこないもの。
    憎たらしいキャラが懲らしめられないのも、ちょっとモヤモヤ。
    この先も続くシリーズだから許すけど。

  • 2024.03.21〜03.24
    急展開に、目が点です。「こんな顛末?」的です。
    うーん。

  • この本が出るまでちょっとあいていて、どういう話になったか楽しみでした。
    コロナもファミリーに影響をあたえてしまって、悲しいでしたが、
    ケイの今後がどうなるかまだまだ楽しみです。

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著者プロフィール

マイアミ生まれ。警察記者、検屍局のコンピューター・アナリストを経て、1990年『検屍官』で小説デビュー。MWA・CWA最優秀処女長編賞を受賞して、一躍人気作家に。ケイ・スカーペッタが主人公の検屍官シリーズは、1990年代ミステリー界最大のベストセラー作品となった。他に、『スズメバチの巣』『サザンクロス』『女性署長ハマー』、『捜査官ガラーノ』シリーズなど。

「2015年 『標的(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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