蔦重 (講談社文庫)

  • 講談社 (2024年1月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784065343678

作品紹介・あらすじ

2025年、大河ドラマの主人公。
絵師、戯作者の才能を巧みに操り、次々と流行を生み出した
蔦屋重三郎の光と影を描く。

細谷正充さん絶賛!
――吉森大祐、長篇だけでなく短篇の名手でもあったのか。
  喜びと悲しみ、希望と絶望、令和の日本人と変わらぬ人間の姿がここにある。

喜多川歌麿、東洲斎写楽、恋川春町、山東京伝、曲亭馬琴……
鋭い閃きと大胆な企てで時代を切り開いた稀代の出版プロデューサー・蔦屋重三郎が世に送り出した戯作者や絵師たち。
江戸の精華として誰もが知る彼らの人生の栄光と悲哀を描いた、連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 2025年の大河ドラマは蔦屋重三郎!

    島田荘司さんの【写楽 閉じた国の幻】を読んで以来、蔦屋重三郎を主人公にした作品を探しており、久々に出会えました!

    蔦屋重三郎を知らない人の為に紹介します
    江戸時代の田沼意次から松平定信の時代を生きた本屋さん!?
    喜多川歌麿、山東京伝、十返舎一九、写楽や葛飾北斎をデビューさせ吉原の再興と傾きかけた江戸歌舞伎の復興に力を注ぐ!
    江戸の粋を地でいく男、相談すれば知恵を出し、無名な人間に箔をつける!!
    時代に愛され江戸を愛した名プロデューサー!!

    美女礼讃:若い絵師が病床の妻の負担を減らす為に自分の流派の禁忌を破り、女性の絵を描く!?

    桔梗屋の女房:松平定信の贅沢禁止令により、処分を受けた倉橋様に桔梗屋の女将さんからの密書を届ける為に重三郎が動く!

    木挽町の絵師:宮廷画家は絵を描く事が仕事で、絵は描けて当たり前、誰にも褒められずの自分の人生と仕事に疲れていた時、とある居酒屋で町の人々から自分の絵を褒められた!

    白縫姫奇譚:千年語り継がれる物語を書く男の話。確かに200年、語り継がれてます!

    浮かれ十郎兵衛:重三郎は吉原に旺盛を取り戻した力を買われ、芝居小屋の再興を頼まれる事に!?書く絵は決まっているが書き手は見つからず、右往左往している所に昔の知人が寄ってくる?

  • 沁み入る面白さの一冊。

    日本橋通油町で地本屋を営む蔦屋重三郎。

    戯れ本を扱う彼が見出す喜多川歌麿を筆頭とする有名絵師、戯作者達の才能。

    まさに彼らの陰には蔦重あり。

    どちらかというと蔦重よりも絵師たちの心に重心を置いているけれど、家族を想う心、安らぎを求める心…何ら現代人と変わらない苦悩を抱えている絵師たちそれぞれの心情と人生がじんわり沁み入り、随所で感情移入してしまうほど面白かった。

    そんな彼らを時に強引なれど勧誘し、出版だけでなく吉原をも盛り上げる蔦重のプロデューサーぶりはすごいけど彼の心の器の大きさはいかに。

  • 他の本では、蔦重が考えに考えて作られたスーパースターって感じの存在の写楽が、あんまり…だけどまぁ…みたいな感じになってるのが面白い。
    狩野派の人の話が一番良かった。

  • 大河の予習にと思ったが期待と違った
    蔦重と絵師の(あ、馬琴も)物語アンソロジー

  • 大河ドラマ化される蔦屋重三郎を主人公にした短編集。

    耕書堂という地本屋を経営し、喜多川歌麿、山東京伝、恋川春町、滝沢馬琴、東洲斎写楽といった売れっ子の絵師、戯作者を生み出した敏腕出版プロデューサーである。

    小説なのでフィクションも交えているものの、江戸時代後期の田沼時代から寛政期にかけての江戸町人文化の世相を伺えて興味深い。

  • 2025年NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の予習として。

    全く知識のない世界だからこそ、史実と創造の両面から楽しめた。

    ○美女礼讃
    狩野派鳥山石燕の弟子勇介が蔦重の斡旋で、売り出し要員遊女の水揚錦絵を描く。絵師として、病む妻のため。
    勇介は喜多川歌麿、そしてその妻於理世の名は本当に妻の名なのか不明とのこと、節末の解説もありながら創造の部分も楽しめる。

    ○桔梗屋の女房
    恋川春町(武士倉橋寿平)は田沼時代の黄表紙絵師でもあったが、松平定信の娯楽統制の余波により謹慎、切腹。それに際して蔦重が昔馴染みの吉原引手茶屋桔梗屋女房トメから手紙を託されるところから話は始まる。

    ○木挽町の絵師
    奥絵師末席である文州が姫君に突き返された扇絵をふと立ち寄った飲み屋の娘に渡し、その扇絵が評判を呼ぶ。蔦重が噂を耳にし、市井の絵師にと誘うが…

    ○白縫姫綺譚
    戯作者志望だった瑣吉は戯作者としての芽が出ず、蔦重の書肆の手代として働く。吉原に毎日通い貸本行商中。すると書物の中にいつぞと知れず挟まれた付箋を見つける…『なにをしてゐる 書きなん之』…その書き手の正体をしり、戯作者を目指していた瑣吉は『マコトの名に戻』り、曲亭馬琴(クルワテイマコト)となる。蔦重の元を離れてから二十年後『南総里見八犬伝』に着手しその四十九年後完成させる。

    ○うかれ十兵衛
    松平定信による贅沢禁止令により江戸歌舞伎三座は存在の危機、その五月興業開催への協力を約束する蔦重。絵師による宣伝を思いつくが前出の勇介こと歌麿は、我が絵の道のみを追求するのみ…困りあぐねた蔦重は元遊び仲間であった、阿波蜂須賀家御抱能役者、十兵衛と出くわす。贅沢禁止令により保身のために吉原での遊びに危機感を感じぷつりと仲間から姿を消し、何かとニヤつき調子もよく腰の据わらぬ十兵衛を、蔦重は苦々しく思いながらも、五月興業のために指示に従わせた上で絵師としての仕事を与える。十兵衛の描いたその役者大首絵は従来のブロマイドのような美化した役者絵とは違い大胆かつ写実的。大きな話題となり江戸歌舞伎存続の一助となる。大いにうかれ、多くを求めるようになった十兵衛をますます苦々しく思う蔦重。求められるままに仕事を与えるが、その絵師としての魅力は影を潜めはじめ、たった10ヶ月の活動期間で幕を閉じる。
    十兵衛…八丁堀に在居の『東洲斎』、しゃらくせえ遊び人『写楽』。
    しかし東洲斎写楽の正体は未だ不明のまま、欧州ジャポニズムを機に再び脚光を浴びてドイツ人学者により研究が行われたのが最初だったとか。


    改めて、史実と創造のミックスが大変に巧妙で興味深く面白かった。物語の後日談や史実としての諸説に作者の生の言葉が添えられているのも心が躍る思いがした。
    そして改めて江戸ものは、時代情勢、文化共に、いつも知的好奇心を刺激してくれるので大好きだ。

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著者プロフィール

1968年 東京都生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。1993年 国内電機メーカーに入社。2010年代半ばから働きながら小説を書き、2017年 本作で小説現代長編新人賞を受賞。著書に『逃げろ、手志朗』『ぴりりと可楽!』『うかれ十郎兵衛』『うかれ堂騒動記 恋のかわら版』『青二才で候』『東京彰義伝』などがある。



「2023年 『幕末ダウンタウン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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