疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた (ブルーバックス)

  • 講談社 (2023年12月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784065343852

作品紹介・あらすじ

2023年に日本人10万人を対象に実施した調査によると、じつに78・5%の人が「疲れている」と答えたという。だが欧米では、「疲れているのに働く」ことは自己管理ができないだらしない行為と見なされるため、疲労の科学的な研究は軽視されてきた。「疲労」が美徳とされ、お互いを「お疲れさま」と称えあう特異な国だからこそ、日本の疲労研究は世界のトップを走っている。本書は、その日本で疲労研究をリードする著者が、数々のノーベル賞級の新研究をなしとげて見えてきた、疲労の驚くべき実像を明らかにするものである。 

◆どれだけ疲れているかは、唾液中のヘルペスウイルスの数でわかる!
人類のほとんどが幼いころに感染する「ヒトヘルペスウイルス6」は、その後、潜伏感染しているが、宿主が疲労すると、 逃げ出そうとして口中に出てくる。 

◆うつ病は、疲労とウイルスから生じる遺伝子が原因である!
うつ病の原因は「心の弱さ」ではない。疲労が高じ、ヒトヘルペスウイルス6が再活性化することで、うつ病の原因遺伝子が発現する。この遺伝子を発見した著者は、ダークサイドの力を操る『スターウォーズ』の暗黒卿にちなんで「SITH-1」(シスワン)と命名した。 

◆新型コロナ後遺症は、うつ病と同じ病的疲労の症状だった!
世界で数億人にのぼる新型コロナ後遺症の患者は、うつ病患者と同じように脳内炎症を起こしている。その研究から、いま世界で疲労研究が活気を帯びてきている。 

◆病的な疲労を起こす脳内炎症を消火する物質こそが、疲労対策のカギである!
SITH‐1は、その物質の「消火機能」を阻害してしまう。

◆そのほか、栄養ドリンクの飲みすぎはなぜ危険なのか、軽い運動はなぜ疲労を軽減するのか、トレーニングのしすぎはなぜうつ病の原因になるのか、など本当に役に立つ知識も満載! 

◆おもな内容
序 章 疲労を科学するには
第1章 生理的疲労とはなにか
第2章 慢性疲労症候群 病的疲労の代表格
第3章 うつ病 究極の病的疲労
第4章 新型コロナ後遺症 見えてきた病的疲労の正体
第5章 ついにすべてがつながった
第6章 人類にとって疲労とはなにか   

みんなの感想まとめ

疲労のメカニズムとその影響を科学的に探求する本書は、疲労がもたらすさまざまな健康問題についての理解を深める手助けをします。特に、うつ病との関連性や、潜伏ウイルスが疲労に与える影響に焦点を当てており、著...

感想・レビュー・書評

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  • 疲れた時に口周りに水泡とか潰瘍ができるのが「口唇ヘルペス」で、これは通常もウイルスが潜伏しているが免疫力が低下すると再発するというもの。私自身はこれで悩まされたことがないので「ふーんそういうウイルスがあるんだー」くらいの認識だった。本書は、この潜伏しているウイルスこそが、疲労のナゾを解くカギだという事でアプローチしていく点で面白い。

    それとこれはよく説明を聞く話だが、生理的疲労では、「疲れた」という感覚、すなわち「疲労感」と実際の「疲労」は違う、という話。疲労感は、脳の中で生じ、これは感覚の話なので誤魔化すことが可能。エナジードリンクやカフェインなどで誤魔化しても、「疲労」は消えていない。

    通常、体内で産生された「炎症性サイトカイン」という物質が脳に入り、脳に働きかけることで「疲労感」が生じる。炎症性サイトカインとは、体内の末梢の組織(臓器や筋肉)で発赤(血流が増えて赤くなる)、熱感(熱を持つ)、疼痛(痛みがある)、腫脹(腫れる)などの「炎症」が生じたときに細胞から分泌される「サイトカイン」と呼ばれる小さな分子のタンパク質のこと。

    これを感知するので、「やすもう!」という対応ができるわけで、「やすもう!」が出てこなくなったら危険。釘を踏んでも、靴に小石が入っても痛みを感じなくなると、足がさらに酷いことになる・・という事に近いかもしれない。

    また、ヘルペスだけの話ではなく、慢性疲労症候群やうつ病、新型コロナ後遺症なども同じ延長線上で考えられる。これらにもウイルスが関係している、という話だ。

    従来、うつ病はストレスや性格傾向、あるいは脳内の神経伝達物質の異常などで説明されることが多かったが、うつ病の原因候補となる「SITH-1」という遺伝子が発見された。また、本書では慢性的な疲労によってヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)が再活性化し、その過程でSITH-1が発現することで脳内炎症が引き起こされる可能性も論じられる。つまり「心が疲れたからうつになる」というより、「疲労とウイルスが脳を炎症状態にすることで、うつ状態が生じる」という逆の視点があり得る、という話だ。

    心とは何か。ホルモンバランスの奴隷のように考えた事もあるが、ウイルスにも人格が左右されてしまう。我々は自分たちで思うより脆く、操作された存在なのかもしれない。

  • 難しかった〜、、ですが、構造は少しわかった気がします。さすがのブルーバックス、実験の説明が細かい。。
    特に印象的だったのは、うつ病の話ですね。
    言われてみればうつ病って疲労か〜と思いながら読んでいるとだんだんと思ってもない方向に話が進んでいきます。
    うつ病は疲労の量が大きいために起きている、というよりも、疲労に対してうつ病になりやすくなっているというという理解をしましたが、たしかにそうだよなと感じました。
    これだけでそんなに疲れるの?ってことですよね。
    良くないです。

  • 疲労や免疫、潜伏ウイルスがうつ病に関わる可能性があると知り、とても興味深かったです。職場で長期休職を繰り返していた同僚を『心の病だから仕方ない』と見守るしかなかった自分たちですが、この本で、本人の意志や性格ではなく身体と脳のサインだと理解でき、少しモヤモヤが晴れました。日本は疲労研究で進んでいることも知れました。
    発見された因子「SITH-1」の名付けが、スター・ウォーズのSITHの暗黒卿からだったのでイメージしやすかった。

  • ヘルペスウイルスを研究していた著者が、「疲れるとヘルペスが出る」という現象を利用して行った疲労に関する研究とそこから発展していった研究、それらの研究から考察されることをまとめた一冊。
    疲労の種類や、うつ病の危険因子であると考えられる遺伝子「SITH-1」、新型コロナウイルス後遺症など、様々な観点で疲労について述べている。

    聞いたことのない用語が多く、自分には本の内容の5,6割しか理解はできなかったかもしれない。
    しかし要点は繰り返し解説されていて巻末には用語の索引もあり、読者が分かりやすいように工夫されているのが感じられた。
    疲労への対処に関する情報は多くなかったけれど、疲労回復力を高めるために必要なこと等、参考になる部分があって良かった。
    また、ヘルペスのウイルス研究がうつ病の研究へと繋がっていったことをはじめ、様々な研究が繋がりながら進展していくのがとても興味深い。
    今後研究が進み、うつ病の治療法や予防法が確立されることを期待したいと思えた。
    疲労の研究に限らず様々な分野の研究が大切に扱われ、より大きく発展していくと良いなと感じた。

  • 過度な仕事や運動で肉体が疲弊するのが疲労の原因と漠然と考えがちだが、実際に起こる疲労感と疲労について最新の医学研究を元に解説した一冊。

    ・うつ病は病的疲労であり、主な症状の一つは疲労感であり、それは脳内炎症によって生じる
    ・HHV-6(ヘルペスウイルス)が宿主の嗅球のアストロサイトに潜伏感染した時に発現するSITH-1がうつ病を引き起こす
    ・ストレスと疲労によりSITH-1がうつ病を起こす
    ・うつ病が遺伝するように見えるのは、SITH-1を発現しやすいHHV-6ウイルスが親から子へ感染するためと考えられる
    ・新型コロナ後遺症もSITH-1の働きによる
    ・ニコチンには脳内炎症を抑える働きがあるが、世界的な禁煙の流れのため、論文発表できない
    ・疲労、疲労感をなくすことは危険である

  • 東京慈恵会医科大学でウイルス学の教授を務め、うつ病の原因遺伝子「SITH-1」を発見した実績を持つ著者による、「疲労とは何か?」を解説した本。
    2023年刊行。

    タイトルに釣られて購入したが、非常に興味深く、かつ役に立つ内容だった。

    概要をまとめる。

    疲れたという感覚である「疲労感」と、疲労感の原因となる「体の障害や機能低下」は異なる。

    「疲労」は、「生理的疲労」と「病的疲労」の二種類に大別される。

    前者は仕事や運動などで発生し、1日休めば回復するような短期的な疲労である。
    対して後者は、何ヶ月も続いて少々休んだくらいでは回復しない疲労であり、うつ病や慢性疲労症候群などがこの代表格として知られる。

    生理的疲労のメカニズムは以下である。
    ①体内で産出された「炎症性サイトカイン」という物質が脳に入り、プロスタグランジンという発熱物質に変換される。

    ②ヒトの身体のストレスに対する反応である「統合的ストレス応答(ISR)」がおき、細胞が真核生物翻訳因子(eIF2α)をリン酸化して、タンパク質の合成、つまり翻訳が起こらないようにする。
    これはストレスがかかった状態で無理にタンパク質を作ろうとすることをストップする働きである。

    ③ISRは、通常のタンパク質合成を止める代わりに、ストレスに応答するためのタンパク質を合成する。
    そしてこのバイパス経路が、炎症性サイトカインの産出も誘導している。

    故に、生理的疲労の原因は、eIF2αのリン酸化であると言える。

    疲労からの回復のためには、リン酸化したeIF2αのリン酸を取ってもとのeIF2αに戻す働きがある「リン酸化eIF2α脱リン酸化酵素」という酵素を増やすことが必要になる。
    この酵素を増やすことで、生理的疲労からの回復力を高めることができる。

    そして逆説的だが、この酵素を増やすのは疲労である。つまり、疲労と回復のバランスが重要なのである。

    本書ではこのような疲労のメカニズムの詳細が解説されることに加えて、慢性疲労症候群やうつ病のような病的疲労の原因と機構、さらに新型コロナウイルスについても解説される。

    以上が概要。

    内容は非常に専門的であるものの、分かりやすく解説されており勉強になる本だった。

    現代社会で生きていく上で、ストレスと疲労は今後も末永く付き合っていく必要があるものである。その原理を理解しておき、適切に対処することは重要なスキルであると考える。
    本書はその一助になる良書だと思う。

  • 疲労の原因は脳の炎症!?

    脳の炎症が起こるメカニズムやそれに関するウィルスとタンパク質。そしてそれらを包括する人間の体の仕組みに感動した。

  • 疲労って、身体や精神に負荷を与えると感じるもので、それは人の感受性でレベルは変わるし、例えばきつい仕事でも、自分のためになると言うポジティブな気持ちでいたら、疲労なんて感じないでしょ、と思っていたが、どうやらそんな単純なものではないようだ。
    疲労には、①生理的疲労 ②病的疲労 があり、生理的疲労の疲労感は、末梢組織の炎症性サイトカインが脳に入ることで生じるとのこと。
    「疲労は精神の持ちよう」と言う考えは「疲労感がマスクされる」と言い、これも心身疲労を気付かずに無理をし、心筋梗塞や脳卒中等で急死する原因となるようだ。

    専門的な単語が多く、説明もついていけないところは多かったが、それは著者がSITH-6と言う疲労やうつ病の原因となる遺伝子を発見したと言うことで、それなりの説明を要したのだろう。
    一般の人は、あまり専門的なことより、題名「疲労とはなにか」にある通り、そのメカニズムがイメージ出来るだけで充分。なので、詳しく述べているところは飛びし読み。

    学べたこと
    うつ病の定義で、次のどちらかがあることは必須。
    ・殆ど一日中、抑うつ気分を感じる
    ・殆ど一日中、すべての活動に興味や喜びを感じない

    うつ病は病的疲労であり、主な症状の一つは疲労感。それは脳内炎症によって生じる。
    そしてS1TH-1と言う遺伝子は、うつ病を引き起こす原因とみられる。

    うつ病になりやすい性格の特徴は、真面目、仕事熱心、秩序やルールに忠実、献身的、責任感が強い、頼まれると嫌とは言えない、といったものが挙げられ、ストレス耐性が低い性格ともいえるが、ストレス耐性の高い人の性格を見ると、対人関係に極めて鈍感で戦力にならないという結果が出るようだ。

    脳の抗炎症機構が正常に働いていれば、労働や運動による疲労で炎症性サイトカインが大量に産生されても、脳内炎症は起こらず、病的疲労にまでは至らない。

    疲労感は組織に危機が近づいていることを知らせる「生体アラーム」なので、疲労感を弱めてしまってはいけない一方、身の危険から逃げる時は疲労感による行動抑制は、死に直結する。そこで役に立つのが、ストレス応答によって疲労感を抑制するシステム。
    しかしこの状態は、副腎皮質ホルモンとアドレナリンやノルアドレナリンによって「疲労感」が抑制されているだけなので、「疲労」即ちeIF2αのリン酸化による細胞の障害は、どんどん蓄積され過労死に至る。

    怖いエナジードリンク
    酸化ストレスは、生理的疲労の原因であるeIF2αのリン酸化を誘導する因子の一つ。
    エナジードリンクに入っている抗酸化成分は、このeIF2αリン酸化を抑制する可能性がある。ところが実験の結果、疲労感のもととなる炎症性サイトカインが最も強く起こる肝臓ではeIF2αリン酸化は抑制されたが、他の組織では全く抑制されていなかった。
    恐ろしいのは、抗酸化剤によって疲労感のもとになる肝臓で産生される炎症性サイトカインが減少するため、脳は「疲れていない」と解釈し、体を休ませるシグナルを出さないことだ。このため、他の組織を使って過剰なeIF2αリン酸化を生じさせてしまい、組織の障害や、ひいては突然死を招いてしまう可能性があるのだ。

  • ヒトの体がいかに複雑な仕組みで機能しているのかを感じられる本だった。
    また、当たり前だけどヒトの体にはウイルスや細菌など多数の生命体が共存していることも改めて実感させられた。

    ヒトヘルペスウイルスの研究をしていた著者。
    うつ病のメカニズムの解明に悩む研究者たち。
    全く関係のないように見える彼らが交わり、重なり合っていく。
    さらに、新型コロナウイルス拡大を機に、研究は加速し、ついにうつ病のメカニズムが明かされる。

    言葉は少し難しいけれど、研究の面白さをこれでもかと凝縮した良書でした。

  • 疲労やうつの原因をウイルスを使って解明していく。
    細かいところは難しかったけれど、科学者・研究者の頭の中をのぞき見したようで、面白かった。
    現状の確かなもの、と、まだ確かでないものを切り分けて考えるって、難しそうだと思ったり。

    疲労やうつの仕組みは分かってきたけれど、
    「人類は疲労やうつとうまくつきあっていくしかない」というまとめが身に染みた。


    以下メモ
    ・「疲労」のとらえ方
    日本:頑張っている、疲労した相手をたたえあう
    欧米:疲れたときは休んで、仕事の効率を上げようとする。疲れているのに無理に働いている人は自己管理のできないだらしない人


    ・疲労:疲労感の原因となる「体の障害や機能低下」
    疲労感:疲れたという感覚

    ・疲労の種類
    生理的疲労:短期的な疲労
    病的疲労:何か月も続き、少々休んだだけでは回復しない疲労(うつ病、慢性疲労症候群)
    病的疲労では、脳内炎症が起きている


    ・SITHー1
    うつ病の原因遺伝子、と同時に不安の亢進作用もある。
    不安が亢進することで、怒りと憎しみ、それと同時に強い力を得て生き残ってきた種族なのかも。

  • 疲労と疲労感は別物で、過労死が英語圏でもkaroshiと表されるほどの日本では疲労の研究が進んでいるのも納得できる。エナドリはあくまでも疲労感を低減するだけのもので、むしろ疲労そのものを感知するセンサーのスイッチを切っていようなもので、つまりは感覚を麻痺させているだけと気付いて空恐ろしくなる。オロCの味が好きで常に家に置いてあるけど、付き合い方を考えないといけないかもしれない。

    ダーウィン「いかなる痛みも苦しみも、長く続くとうつ病を引き起こし、行動力を低下させる。しかし、うつ病は、巨大あるいは突然の悪からわれわれの身を守るための適応なのです。」
    疲労を感じない身体になるのは無理だしむしろ弊害があって、疲労をきちんと感じた上で上手く付き合っていくしかない。

  • 疲労と疲労感の違いさえ、よく分かっていなかったのでとても勉強になった。
    コロナの後遺症やウツなど、身近な例が挙げられていて分かりやすかった。疲労とは脳の炎症だった。
    真面目な部分も良かったけれど、SF的な見解と前置きして語られていた箇所が特に面白かった。ロマンがあふれていた。この部分だけで本を出して欲しいと思った。

  •  疲労を感じていないという方を探す方が難しいくらいには、日常生活と疲労は切り離せない関係にある。自分も例に漏れることなく疲労に悩まされているが、本書によれば「疲労」と「疲労感」は別のもであるという。別のものであるならば原因も異なるはずである。実際には両者は密接に関係しているが、客観的に「感覚」を測定することは難しいだろう。
     本書においても、この点を疲労の定義からはじめ、解説がされている。
     欲を言うのであれば、解説が専門的すぎて難しいと感じた。自身の勉強不足によるところであるので、本書に罪はないが、生化学や微生物学等の知識が必要になる部分がみられ、新書ではあるが、専門書の導入といった側面も併せ持っている。
     様々な疑問に真っ正面から答えてくれる本であるため、勉強した後に再度読み返したい一冊だ。【図書館】

  • 疲労と、ヘルペスウイルスの再活性化と、コロナ後遺症と、うつ病と。
    これらの病態やメカニズムが繋がった!という話。疾患概念の歴史的背景や、著者の発見に至るまでの道筋も含めて、とても面白く読んだ。
    ここに書かれていることの真価や妥当性は、周辺知識を勉強したり歴史の評価を待ったりする必要があるとは思うので、うつ病やコロナ後遺症の原因が分かった!とまで言っていいかは割り引いて捉える必要があるとは思う。とはいえ、この発見にまつわるストーリーには興奮させられた。コラム的な脱線話を適度に織り交ぜつつも、全体的に非常にコンパクトにまとめられており、サクッと読めてしまうのも良かった。
    図解も含みながらとてもわかりやすく書かれているので、基礎知識ゼロでも十分楽しめると思う。分子生物学的な知識(遺伝子の転写とか翻訳とか)があると、よりスムーズに理解できそう。

    疲労に関する科学・医学があまり進んでいないというのは、意外な感じもしつつ、なんとなく納得もした。疲労と疲労感は別物だという話もあったが、私たちが日常で疲労と呼んでいるものにも、実際はいろんな種類があるのだと思う。疲労の科学が進んで、より色々なことが統合的に理解されると良いと思う。

  • 【星:4.0】
    溜まった疲れがなかなか抜けない、ということがあるので手に取ってみた。

    疲労と疲労感、生理的疲労と病的疲労の違いなど疲労についての根本、そして病的疲労、特に慢性的な疲労の原因は脳内炎症であるということを科学的かつ分かりやすく説明しており、疲労についての理解を深めることができた。

    ただ、脳内炎症はどうやったら抑えられるのかというところの説明は薄く、慢性疲労からどうやって抜け出すかという知りたい部分は分からずじまいで終わってしまった。
    慢性疲労の原因にかなり近づくことができたという著者の喜びがやや出過ぎという感じである。

  • 疲労と疲労感の違い、疲労にも生理的疲労と病的疲労がある。
    ストレス応答で疲労感は抑制されるというのは意外だが、読んでてなるほどと思えた。
    病的疲労の一つ、うつ病は脳内炎症で、SITH-1遺伝子が原因。
    新型コロナ後遺症は慢性疲労症候群に似ているため、その治療薬は抗うつ薬となる可能性がある。
    ウィスル増殖や脳外から加わる炎症性サイトカインは炎症を増加させるアクセルではなくブレーキの故障。
    疲労は脳の炎症でなくすことはできず、うつをなくすことも得策ではない。
    で?となったが、万能薬はないので日々体調を確認しながら共存していくしかないのね。
    33冊目読了。

  • ・面白いが難しい
    ・特に中盤はわからず流し読みしてた
    ・ただうつ病という症状からしか診断できなかったものが数値で診断できるかもという話や対症療法しかなかったうつ病の根本治療ができるかもという話は新鮮だった
    ・そもそもうつ病は気分の問題だと思ってたので脳内で炎症が起きているという物理的な症状があることすら知らなかったので勉強になった
    ・欧米だと疲れが良くないものという捉え方だから疲労の研究が進んでないという話も面白いのに、新型コロナの後遺症として疲労があったことで世界的に疲労の研究が進むようになったという話がさらに面白い
    ・とりあえず玉ねぎとりんごと鶏胸肉はたくさん食べようと思う

  • 以前読んだ『「脳の炎症」を防げば、うつは治せる』(最上悠・著/永岡書店、2011年)という本がなかなかおもしろかったので、関連本かな?と思い手に取った。脳内の炎症がどのように起きるかというメカニズムを、疲労とウイルスとの関係から追っていく内容だとのことで、うむ、面白そうではないか。

    仕組みの解説というだけでなく、研究のプロセスを研究者ご本人が語ってくれるところが醍醐味。一つの発見によって当初考えていた目的とは異なる視野がひらけたりする展開にワクワクした。「研究者の思考回路というのはこうなんだなあ」と感じられるのも楽しい。解明しても解明しても、まだ次の謎が控えている……探求は終わらない。

    ちなみに本書の中では、病的疲労の一つである新型コロナ後遺症の治療薬として「ドネペジル」(これまで認知症の治療薬として使われてきた)の臨床治験が実施されているという記述があるが、ネットで調べてみたところ有意な結果は出なかったようだ。アセチルコリン不足を補うだけでは、脳内炎症はおさまらないということなのだろうか? メカニズムの解明と治療方法の間には、まだまだ越えなければならない大きな溝があるのだなあ。

  • 疲労の科学ってまだ謎だらけなんだ…!という驚き。驚きだけど、まあ確かにはっきりとした「疾患」ではないからね、とも納得。
    慢性疲労気味なので、興味深く。

  • 疲労について、わかりやすく書かれている。

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著者プロフィール

近藤 一博(東京慈恵会医科大学教授)
1958年三重県生まれ。愛知県と大阪府で育つ。
大阪大学医学部卒業後、大阪大学附属病院研修医、
大阪大学微生物病研究所助手、
スタンフォード大学ポストドクトラルフェロー、
大阪大学医学部微生物学講座准教授を経て、
東京慈恵会医科大学ウイルス学講座教授。
同・疲労医科学研究センター センター長を兼任。
日本ウイルス学会評議員、日本疲労学会理事。
著書に『疲労ちゃんとストレスさん』
『うつ病は心の弱さが原因ではない』(河出書房新社)がある。

「2021年 『うつ病の原因はウイルスだった! 心の病の最新知見Q&A』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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