「くぐり抜け」の哲学

  • 講談社 (2024年2月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784065345948

作品紹介・あらすじ

触れるでも、素通りするでもなく、「くぐり抜け」てみる。
共感とも感情移入とも違う――それは、「他者」を理解するための新しい方法論。

現象学から文学、社会学、生物学、人類学、リハビリテーション医療、舞踏、ゲーム・プレイ、男性性――
現代社会の諸相に向き合い続けることで浮かび上がる「弱さ」の正体。
個の強さが要請される今、他者とかかわり生き抜くための哲学的逍遥。


他者をくぐり抜けて理解するということは、その他者の周辺/環境情報を知るにとどまらず、その他者とのかかわりの中で自分自身を作り変えていくことなのだ。自分の身体に自分のものではない経験があって、それが動き始める局面をくぐり抜ける。(中略)その自分の変化に応じて、他者との距離が認知的にも、行為的にも変化する。そのような経験を積み重ねていくのだ。(本文より)



~~~「くぐり抜け」の哲学  目次~~~

はじめに  ともに「くぐり抜ける」ために

1章 「くらげ」をくぐり抜ける――くらげの現象学
1.1 くらげの生にせまる
1.2 くぐり抜けの方法論:現象学というアプローチ
1.3 手を作ること
1.4 くらげの人文学史
1.5 踊るくらげと倦怠

2章 「現代社会」をくぐり抜ける――プレイとゲームの哲学
2.1 至高性のない世界へ
2.2 民主主義の他者をくぐり抜ける
2.3 傷つきしものはゲームを愛する
2.4 「人間のふるさと」へ向かって

3章 「男性性」をくぐり抜ける――新しい人間のふるさとへ
3.1 ゲームに傷つけられる
3.2 (再)プレイとゲームの哲学
3.3 共感できないものに近づく
3.4 マイクロ・カインドネスを信じる

おわりに くぐり抜けたその先へ
あとがき

みんなの感想まとめ

他者を理解するための新しいアプローチを提案する本書は、「くぐり抜け」という手法を通じて、共感や感情移入を超えた関係性を探求します。さまざまな学問分野からの視点を取り入れ、現代社会における「弱さ」や「男...

感想・レビュー・書評

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  • くらげを取っ掛かりに、セクシャルティを分析することで効率化されゲーム化され、そして分断された現代のコミュニケートを再度構築する方法を探る本。途中まではあまり納得できず(特にくらげに女性性を見出している部分)読み進めづらかったが、終盤にかけての現在の男性性の問題点の考察は非常に鋭いなあと感じた。
    男性の視点から男性性の問題点を考察した本は今の男性にこそ読まれるべき本。

  • 付箋
    ・ヴァレリーには「知」ろうとするあまりに生きること没頭できない人間のあり方に対する不安がある。
    ・芸術に栄あれたとえ世界が滅んでもとファシズムは言う
    ・日本も含めた現代のリベラル民主主義国家の社会のありようをロールプレイングゲームのラスボス討伐後のレベル上げを生きる世界だと呼んだ
    ・男性の識字率が50パーを超えるとリベラルな民主主義運動が起き女性の識字率が50パーを超えると出生率が低下する現象
    ・ショッキングな言い方だがアメリカに深く根付く他者排除の構造が民主化を促しそれを維持するのに貢献したといっている。→日本では若者が排除されることで安定している
    ・人生が重い道理にいかなかったということから貧困ではなく、非大卒が長期にわたりゆっくり人生が崩壊していくのを絶望死はとらえている。
    ・非大卒者はトランプ、高学歴はクリントン、でも苦しい人に気づいてない.
    ・youtubeのきらびやかな生活を見て弱者とされる人のみ守られてずるいと取り残されているのかもしれない
    ・最小の不平等
    ・ゲームとプレイルールと恣意性 ゲームを降りようとし、そして戻る弱いから
    ・ゲームはつまらない、プレイは何が起きるかわからず怖い傷つく
    ・安吾の大根の根のおりる→くぐり抜けの統覚の解体
    ・赤ずきん→性被害、残酷がふるさと、大人は戻らなくていいものプレイは男性?
    ・男性は弱さや悩みで連結するより強さで絆を確認する
    ・安吾はいつも孤独だった。狂う時だけ妻は孤独に思わなかった
    ・永野が言うのは上からのゲームのプレイの不快さ
    ・稲垣吾郎類16世の処刑
    ・共感ができる女の人が言葉に出さない男の人を察する
    ・女子の中絶
    ・あまり社会的でない人が技術イノベーションを生み出しやすい
    ・共感はそもそもエゴイスティックなものだ
    からかい 「列」中村 wと(笑)、笑いで救われることもある。
    ・他人へのマイクロカインドネス、他人にこそ話せる話
    ・席を譲ったとき公開も反省もなくプレイを享受する
    ・ちいさなプレイの奇跡がふるさとではないか
    ・もらってもうれしくないプレゼントが絶えないのはくぐり抜けるために自分の思考を()に入れる
    ・貧しさは不必要なものを除いて何も欠いていない→怖さを感じろそれもレッテル
    ・あなたが買っている小さなサメにときどきかまれているけど言えない
    ・久しぶりに会うたびに君は生きていて新鮮さに泣きそうになる

    感想
    読み終わった後の心の状態としては、爽快感があってフワフワしてるよう!
    さいごの知らない人と心を通わせあうことがゲームから抜け出せるという主張はなんて的を射てHAPPYで終わりを見ない独創的で懐かしい結論だろう!人間として、そういう小さなものが救ってくれる純粋さを忘れちゃいけないなと思った。そしてそれに気づかせる、自分もそうである、みたいな人になりたい。
    いい文章でいいなあ!とうらやましい

  • 「弱さ」をもった他者に「共感」するのでなく「くぐり抜け」という手法で近づきケアしようと試みる一作
    くらげという他者から始めて現代社会に潜む「男性性の問題」に向けてくぐり抜けて社会に希望を見出していく壮大な本
    「弱さ」を肯定できる社会をめざして

    「弱さ」に苛まれて苦しむ人達に強く深く介入するのでも共感するのでもなく、その場その場での突発的・偶発的な「プレイ」によるマイクロ・カインドネスによって他者をくぐり抜けようと提案する、本書の主題である男性は勿論「弱さ」を抱えた人は押し並べて読むべき一冊

  • 結局何が言いたいのかよくわからなかった
    この人のいう「くぐり抜け」って言葉にピンときてなかったからかも

  • メモ
    1)自然から分化した人間
    主に男性 リテラシー高等教育 コミュニケーションの欠如・倦怠
    2)自然により近い人間
    主に女性 美・水死体・アート(第二の自然)踊り子・売春婦
    3)自然と一体に生きる動物
    クラゲ 直感性・没入・至高性(=死・性愛・遊び)

    悲劇的な人物たちが没していくのを見て、深い理解、感情、同情を覚えるのにも関わらず、彼らを笑うことができるということ、これは神秘的なことだ ニーチェ

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著者プロフィール

青山学院大学公法学科卒、東洋大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程修了。文学博士。自治医科大学総合教育部門(哲学)教授を経て、現在、東洋大学文学部哲学科教授。専門は現象学、環境哲学、リハビリテーションの科学哲学。著書に『衝動の現象学』(知泉書館)、『壊れながら立ち上がり続ける――個の変容の哲学』(青土社)、『絶滅へようこそ 「終わり」からはじめる哲学入門』(晶文社)、『「くぐり抜け」の哲学』(講談社)など多数。

「2025年 『技術哲学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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