無間の鐘

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  • 講談社 (2024年3月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784065348802

作品紹介・あらすじ

修験者のなりをして国々を放浪する謎の「十三童子」。
役者と見まがうこの色男は、錫杖を鳴らし銀のキセルをふかしながら、欲にまみれた人間たちをこう誘う。
ーー来世で地獄に堕ちてもよいなら、ひとつだけ願ってこの鐘を撞け。
 ただし、撞いた者は来世に底なしの無間地獄に堕ち、子も今生で地獄に堕ちる。
撞くか撞かぬは、本人次第。さあ、あなたならどうする?

人の欲をためす不思議の鐘、鳴らすか、やめるか? 今が人生の分かれ道。
ストーリーテリングの凄さ際立つ新星が放つ傑作時代小説!

心の奥底に響く物語。深い、深すぎる。ー細谷正充(文芸評論家)

読むと、心のひだをじゃらんと撫でる音が聞こえる。ー三宅あみ(ジャパネスク・ナビゲーター/江戸文化研究家)
 

みんなの感想まとめ

人の欲望とその代償をテーマにした物語が展開され、読者は深い感情に引き込まれます。謎の修験者「十三童子」が持つ「無間の鐘」は、願いを叶える代わりに、撞いた者を無間地獄に堕とすという過酷な選択を迫ります。...

感想・レビュー・書評

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  • 小説現代2023年6月号親孝行の鐘、10月号嘘の鐘、書き下ろし黄泉比良坂の鐘、慈悲の鐘、真実の鐘、無間の鐘、の6つの連作短編を2024年3月講談社刊。今世では子が、来世では本人が地獄に落ちるという願いが叶う鐘。少し不気味な話で、後味はよくない。あまり楽しめませんでした。

  • 「これからも推す」! 改めて誓ったほどに面白い、時代小説の注目作とは?(久田 かおり) | 現代ビジネス | 講談社(2024.04.23)
    https://gendai.media/articles/-/128052

    欲望もつ悪人 救われるのか[評]横尾和博(文芸評論家)
    <書評>無間の鐘:北海道新聞デジタル
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1013696/

    【遠州七不思議】無間の鐘 | 浜松情報BOOK
    http://www.hamamatsu-books.jp/category/detail/4e1571336fff0.html

    第100回受賞者・高瀬乃一さんが語る「オール讀物新人賞への道」 青森県三沢市在住の高瀬さんが、デビューし、受賞第1作を完成させるまで | インタビュー・対談 - 本の話(2021.05.24)
    https://books.bunshun.jp/articles/-/6272

    『無間の鐘』(高瀬 乃一)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000386573

  • 鐘を撞けばどんな願いも叶うという。
    でも撞けば無間の地獄に落ち、その後も今生で地獄をみるという、それでも鐘をつくか?
    必ず地獄に落ちる訳じゃないので、話もバラエティに富んでおり面白かった。
    それは鐘をつきたくなるだろうという人もいた。
    ちょっとずつ人々が絡んでいて良い。
    十三童子がなぜ、人に鐘をつかせるのかと思ってたらラストにちゃんと判明。
    彼自身も無間の地獄に落ちていたのね

  • 無間の鐘…願いを叶えたいなら、この鐘を撞け。ただし、撞いた者は来世で底なしの無間地獄に墜ち、子も今生で地獄に堕ちる。撞くか撞かぬかは本人次第。“十三童子“の狂言回しで話しが進み、大団円で全ての伏線を回収。よく出来た読み物でした。ただ誰も無間地獄に堕ちず、十三童子の成り立ち、深掘りももう少し詳しく有れば物語の深みが出たと思う。

  • 第100回オール讀物新人賞を満場一致で受賞した中編を含むデビュー作『貸本屋おせん』を読んだとき、「よし!全力で推そう」と心に誓った。誓ったはいいが、自店ではなかなか思うように売ることができずにいた。じくじたる思いを抱えていたある日、選考委員を引き受けている“書店員が選ぶ時代小説大賞”の候補になんとおせんが選ばれてきたではないか。推しが推されにやってきた。嬉々として臨んだ選考委員会の席上、あの手この手でおせんの魅力を訴え続けた。天涯孤独の貸本屋を営むおせんが巻き込まれる(あるいは首を突っ込む)本にまつわる事件たちを描いた連作中短編集は、おせんのキャラクタと彼女を取り巻く人々の優しさや幼馴染みとのかけあいがいい具合に混じり合ってとてもとても読み心地の良い捕物帖なのだ!と。そしてなにより紙好き本好きたちの心をわしづかみにするビブリア小説なのだよ!と。しかし、残念ながらおせんは次点となり大賞は逃

    してしまったのだ。あと3時間ほどあれば他の選考委員を説得できたかもしれぬ、無念…などと思っていたところに届いた二作目がこの『無間の鐘』だ。

    寡聞にして未知だったが、これは遠州は小夜の中山にある観音寺の梵鐘で、打てば現世では富貴に恵まれるが来世で無間地獄に堕ちまた、その子どもは地獄のような今生を生きることになる、という恐ろしい鐘だという。この鐘のミニチュア版を持って世を渡り歩き、欲にまみれた人々を無間地獄へといざなうのが十三童子という僧形の人物。柿衣に八目草鞋、首から結袈裟をかけ手甲で覆われた手に錫杖を持つ見目麗しく怪しげ極まりない十三童子がある嵐の日に迷い込んだ小屋で十二人の水主たちに語って聞かせた物語たちだ。

    今も昔も人の世には欲があふれている。人が人として生きていく根源的力というのは叶おうが叶わまいが得てしてこの「欲」から生まれてくるものなのだろう。

    『無間の鐘』にでてくる欲は子どもが願う切ないものから人の生き死ににかかわるものまでその重さと深さはさまざまである。そのひとつひとつに十三童子のたくらみが絡まっていく。死んだあとも八万四千大劫もの長い間続く地獄と、自分の子どもが味わう今世での地獄、それと我欲を天秤にかけてしまう人間の愚かさ。目の前にある欲が、願いが叶うことが自分にとって幸せなのか。本当の幸せとは何なのか。それは自分の死後と子どもの地獄と釣り合うものなのか。十三童子の語りに思わず我が身を顧みる。

    例えば親孝行の鐘を撞いた権蔵。廻船問屋大黒屋の放蕩次男坊の、当世一の金貸しになりたいという願いは、意外と生真面目な質と運も手伝い10年ほどで叶えられる。願いが叶った後で払うはずの代償。それは、子どもを持つ前にはわからなかった「子どもが堕ちる地獄」という恐怖そのものなのだろう。けれどそんな眉間にしわのよりそうな辛気臭い

    話で終わらないのが高瀬乃一のいいところ。思わずニヤリとする展開が心地よい。

    つ目の、嘘の鐘を撞いた勘治の話が実は一番好きだ。名の知れた錺職人だった祖父が倒れ、破落戸の父親にたかられながらも職人として細々と仕事を引き受ける毎日。そんな勘治の願いは父親との縁切り、のはずがなぜか病に伏し頭もぼんやりしていたはずの祖父が急に元気になり勘治に技を仕込み始める。おや?願いを間違えたのか?といぶかりながら読むその先の思わぬ真実の見事さよ。

    黄泉比良坂の鐘を撞いた平太、慈悲の鐘を撞いたお楽、真実の鐘を撞いた根太郎、と水主たちに語る話が繋がっていくと読者はこれが1つの大きなうねりの中にあったことに気付かされる。無間の鐘は本当に欲を叶えてくれるのか。十三童子とはいったい何者なのか。なぜ業深き人間を無間地獄へいざない続けるのか。読み返すごとにいろんなものが見えてくる。高瀬乃一、これからも推す。

  • 欲に目が眩んで鐘を撞いた人々の悲惨な末路が描かれるのかと思ったら、想像とは違って救いのあるお話だった。『嘘の鐘』は鐘が最も効果的に使われている感じがして良かった。『慈悲の鐘』は確かに想い人の心が満たされたけれど、そう来たかあ、と意外性があって面白かった。

  • 修験者のなりをして諸国を放浪する“十三童子“。この役者と見まごうほどの色男は欲をもつ者の前に現れ、願いを叶えたいなら鐘を撞けと誘う。
    彼が持つ「無間の鐘」は願いを叶えてくれるが、鐘を撞いた者は来世で無間地獄に堕ち、子も今生で地獄に堕ちるという。ある者は金持ちになるために、ある者は好いた男の心を捉えるために、またある者は死んだ母に会うために……。人の欲と人情を描く6つの連作短編。

    この「無間の鐘」の設定がすごくいい。
    そんな鐘があったら自分は撞くだろうか?来世で無間地獄に堕ち、我が子が地獄を味わうことなど頓着しないほどのこの世の苦しみがどれほどのことか。様々な闇を抱えた者たちの物語がしみじみと味わい深い。

    人はただ自分の欲だけではなく、大切な誰かのためにも鐘を撞けるということに救われる。そしてこの十三童子がそんな鐘を撞いた者たちに施す心憎いばかりの解釈。
    次第に全ての短編が繋がりを見せ、最終話で明らかになる十三童子自身の“無間地獄”が辛すぎる。

    様々な感情に揺り動かされる作品でした。

  • 親孝行の鐘、嘘の鐘、黄泉比良坂の鐘、慈悲の鐘、真実の鐘、無間の鐘の6つのお話。

    地獄に堕ちているような表紙に、みんな願いは叶っても無間地獄堕ち決定、そして因果は子にも・・って、後味悪い話なんだろうなぁと思いながら読み始めたんですが、意外に実は大丈夫でしたパターンもあって、思ってたより後味は悪くなかったです。

    文学的なことはあまりわからないですけど、話の持っていき方、願ったことの結末や大丈夫だった理由など、よく考えられていて、話の作りが上手いなと思いました。

    わたしには今のところ無間地獄に落ちてまで叶えたいことはないですけど、そこまでして願うことがないのは、ある意味、幸せなことなんでしょうね。

    最後の話「無間の鐘」では、十三童子が己のことを語ります。
    その話が誠なら、彼は今世で無間地獄にいるようなもの。
    来世で地獄に堕ちるのと、どちらがより地獄だろうか・・・。

  • 時代小説らしい人情物語なんだけど、ちょっと回りくどい気がしないでもない。
    主人公により語り口調で進められ、それぞれの話が時系列でつながっていく。誰にどこでこの主人公が語っているのかが徐々に明かされ、最終章で総まとめ。鐘を撞くことで望みは叶うがあの世で無間地獄、子供をもうけた場合、その子はこの世で無間地獄。そんな鐘をその人に撞かせるの!?って全然人情ものじゃないやんって、待って。ちゃんとオチがあるんです。そんなノリが好き。物語全体はなんとなく古臭い使いまわしの気がしないでもないけど、思わぬ展開にほっこりする。

  • あ、うん。で?
    って感じの話だった。

  • 修験者の「十三童子」
    錫杖を鳴らし、鐘を撞けば願いが叶うと語り出す。
    ただ、撞いた者の来世は無間地獄。
    その子も地獄へ落ちるという。
    迷わず鐘を撞く者はあるだろうか。
    鐘は撞きたいが地獄はごめん、と思うのが人情。
    しかし、欲深い者たちは地獄も怖くないのでしょう。

    アイデアがおもしろい。
    ただ、十三童子の語りから物語への流れが
    もう少しスムーズであればもっと楽しめた気がする。
    そこだけが残念。

  • 遠州七不思議の一つに「無間の鐘」が実際にあるのだと知りました。その有無とは関係なく、連作短編のつながりっぷりが、良い具合でした

  • その鐘をつくとなんでも望みが叶う代わりに、死後は無間地獄で永遠に苦しむに加え、子供も現世の地獄を味わう。それにもかかわらず、鐘をつきたがる人は絶えない。本書では、そんな業の深い人間を描写しているが、中には純粋な気持ちだったり、止むに止まれぬ事情があったりする。その点をうまく織り込んでいるところは面白い。最後の章で、なぜ十三童子がこの鐘を所有しているのかの種明かしがあるが、これも人間の欲の恐ろしさ、欲が不幸を撒き散らすことを改めて突きつけられる。

  •  6作の連作短編からなる時代小説。
     修験者然とした十三童子が、無間の鐘を携えて時空を超えて人の世を行脚しているそうな。その鐘を撞けば、どんな願いも叶うが、撞いた者は底なしの無間地獄に堕ち、その子も今生の地獄を見る。さて、撞くか撞かぬか? と欲のある人に迫る。
     笑うセールスマンのような、撞いたら最後、「ドーン!」とオチが待ってる戒めに満ちた短編集かな? と読み進むが、少し予想外の展開だった。

     「小説現代」に掲載された「親孝行の鐘」「嘘の鐘」以降は、書き下ろし。「黄泉比良坂の鐘」が古事記の逸話も引きつつ、良い話だったかな。
     以下、「慈悲の鐘」「真実の鐘」、「無間の鐘」と続く。
     嵐で難破した船の乗組員たちが岬の小屋に逃げ込んだところから話が始まり、ふと現れた十三童子が、夜が明けるまでの時間つぶしの余興にと、彼が体験してきた、鐘を撞いた人々の逸話を語っていく設えであるが、そもそも、なんで、そんなシチュエーションからだろうと頭の片隅に「?」を置いておくとよい。
     全てがつながって、難破した船、その乗員の素性が明かされていくというオチは、悪くなかった。

     結局、無間の鐘は本当に欲を叶えてくれるのか、は謎のまま。十三童子とはいったい何者なのか。まだ続編は紡げそうだ。
     なにしろ、彼の旅の終わりは、「この世から欲がなくなるまででございます」とのこと。

     最後のこのセリフは、人の性(さが)を言い当てているようで、耳が痛い。

    「清吉さんのおっしゃる通り。なくなるわけがございません。今いるこの世こそが、私にっては無間地獄なのでございます。」

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