夢を叶えるために脳はある 「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす
- 講談社 (2024年3月28日発売)
本棚登録 : 1078人
感想 : 81件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (672ページ) / ISBN・EAN: 9784065349182
作品紹介・あらすじ
【第23回 小林秀雄賞 受賞作】
累計43万部突破!ベストセラー『進化しすぎた脳』『単純な脳、複雑な「私」』に続く、高校生への脳講義シリーズの最新刊がついに刊行。
なぜ僕らは脳を持ち、何のために生きているのか。
脳科学が最後に辿り着く予想外の結論、そしてタイトルに込められた「本当の意味」とは――。
なぜ脳は存在するのか、僕らはなぜこんなに大きな脳を持ってしまったのか、時間はなぜ存在するのか、この世界は現実なのか、人工知能にとって人間とはなにか、私とはなにか――
数々の問いを巡らせていくと、全てがつながり、思いもよらない答えを導く。
人気脳研究学者である著者が、3日間にわたっておこなった圧倒的迫力の講義録。
「というわけで、「ああ、そうか、ならば生きなくては」と僕は感じる。能天気なヤツかもしれない。
君らはどうかな。そうは感じないかな。
僕はね、どうせ生きるんだったら、せっかくなら楽しく生きようよ、と思わずにはいられない。だって、生きているだけで役に立っているんだよ。そんなシンプルな喜びって、他に何があるんだろう。
そうした生命の本質的な原理を、脳の研究をしながら、強く感じる」(本書より)
「いま一番思い入れがあって、一番好きな本」と自らが語る、渾身の一冊。
本書でシリーズ完結となる。
みんなの感想まとめ
脳の存在意義や人間の生きる意味について深く考察する本書は、脳科学の知見を通じて哲学や倫理のテーマにまで広がります。著者の特別講義をもとにした対話形式で、難解な内容もわかりやすく解説されており、特に人工...
感想・レビュー・書評
-
発売日(2024年3月)に購入し、しばらく本棚のインテリアとして背表紙を眺めていました。
脳科学の分厚い本ですが、読み始めると池谷氏のわかりやすい説明と、斬新な考え方に引きこまれページを捲る手が止まらなくなります。
「夢を叶えるために脳はある」という題名は平凡に感じましたが、読み終わると「そういう意味だったの?!」と印象が変わります。
ヒトの脳は思い込みで判断したり、過去の経験に基づいた推測が得意なんです。
みさなん おはよういござます
よしろく おねがしいます
こんな間違いだらけの文章だって、(無意識で)きっちり補正してしまいます。
AIだったら、この文章はどのように理解されるのだろうかと思います。
斬新な考え方では、次の発言が印象に残りました。
動物はなぜ眠るのか?と言う問いは設定が間違っている。
動物は「起きる」ように進化した。
視点を変えると、アプローチの方法に幅ができますね。
ヒトの脳は非常に発達しているが、物理的な限界があり実は大したことはない。
騙し合いのゲームであるポーカーで、人工知能がヒトに勝った。
人工知能は人の心を理解しているのか?
では、ヒト同士はよく理解し合っているか?
本質は、ヒトは思考範囲に限界があるので結果的に判断を間違える。
人工知能はあくまでも最適解を選択するだけで、心理戦などしていない。
ポーカーが楽しめるのは、ヒトの能力が低いからだとも言える。
ヒトの脳が大したことがないのは、ルールが明確な将棋や囲碁ですら人工知能の指す手がわからないことからも明らかである。
人工知能に対する理解を深めることは、ヒトの脳に対する理解を深めることに繋がる。
「わかった!」「なるほど!」は本人の自己陶酔にすぎない。
完了した感じが伴い、知識欲を減退させ、思考停止を招く。
ヒトは自分の理解の及ぶ範囲の中で「わかった!」を繰り返しながら知識や知恵を蓄積していく。
自分に都合よく世界を解釈する機能がヒトにとっての「心」であり、考えるというプロセスそのものだ。
人工知能がヒトには理解できない理論をみつけても、ヒトは信じる/信じないを決めるしかない。
ヒトの脳に理解できない論理は、「非科学的」説明に過ぎない。
例えば、1000年前の人にとって相対性理論は非科学的な説明。
科学はヒトの脳で理解するためのものだ。
池谷裕二さんは「生きているのはなぜだろう」という絵本を出している。
その絵本での答えが本書でも丁寧に説明されていた。
秩序のかたまりである生物は、エントロピー増大の法則に反する存在だ。
しかし、地球上に生命が生まれたのは、地球をより早くぶっ壊すためでエントロピー増大の法則に反していない。
個々の生物に注目するのではなく、全体から見ると秩序を壊す働きをしている。
ヒトは脳まで発達させて、効率よく地球を破壊することに勤しんでいる。
森林を伐採し、石油を採掘し、大気を汚染し、山を切り崩し、地下を掘り起こし、地球破壊に抜群の影響をもたらしている。
誰もが生きているだけで、宇宙の老化を早めるのに役立っている。
睡眠と覚醒
夢と現実
記憶と意識
などなど、いろんな話題が満載で、「脳」に関係した新しい発見や考え方に多く出会える本です。
人工知能の仕組みについての理解を深めるのにも役立ちました。 -
読みだしてから朝の目覚めがよくなり、身体が元気になったような気がします。気持ちが前を向きます。とっても、おもしろかったです!
脳についての本です。脳について知ったり、考えたりすることは命、生きることにもつながっています。それで脳が活性化すると、身体も活性化するんでしょうか。
脳と言えば、すごい勢いで世界中で研究が進められているイメージです。普通の「脳本」は、そんな研究のなかから色々な研究事例が紹介される「解説本」だと思います。たしかに研究紹介もありますが、この本はちょっと違います。
著者の池谷裕二(いけがや・ゆうじ)さんは、「脳」そして「人工知能」の研究者です。だからご自身の研究成果も書かれていますが、本書は「特別」なのです。
それは、池谷さんが日々の研究で考えたこと、「洞察」されてきたこと、それをメインメッセージとして書かれていることです。個々の研究紹介は、そこに至る道筋です。
本の「おわりに」のあとのページに、「本書を読んで迷子になった方へ」と書いてあります。池谷さんが作成された本書の「見取り図」にアクセスできるQRコードが載せられています。
この「見取り図」をみてちょっとびっくりしました。
ナンバリングされた各章の略したタイトルが四角で囲まれ、全体でみると約80個が「ハート形」に配置されています。たぶん脳の形も意識されています。
その「四角」を、脳の神経回路みたいに関連する項目同士が線で結合されているんです。
この本は、高校生脳講義シリーズ三部作の完結編とのことです。前作『単純な脳、複雑な「私」』から10年の時間をかけて準備されたそうです。
準備に取り掛かった池谷さんは、考えに考え抜かれたのでしょう。この「見取り図」をみればわかります。
池谷さんが講義をはじめる前の部分、17ページに「メビウスの輪を巡る旅」と書かれています。読み終わって感じるのは、この本はまさに「メビウスの輪」だったな、といことです。
メビウスの輪は、表と裏がつながっています。一辺分まわると出発点の裏側に、もう一辺分まわると元の出発点、つまり原点に戻ります。
その象徴的フレーズがタイトルにある「夢を叶えるために脳はある」です。「講義の旅」がはじまり、巡り巡ってまた原点に戻ったとき、池谷さんが考えた、その言葉の意味の表と裏を知ることになります。
脳の本と言えば、頭をうまく使うとか認知症予防の方法なんかのhow-toを期待してしまいます。
でもこの本にはあてはまりません。
「メビウスの輪を巡る旅」のとおり、原点に戻り、how-toは残らないかもしれません。しかし、役に立つかわかないですが、新たな「視点」は得られます。脳、生命、宇宙についての視点です。「旅」から戻ってきたわたしは、自分が微妙に変化しているのに気づきました。
わたしに起こった変化について言えば、頭蓋骨の暗闇に閉じ込められた自分の脳を想うようになったこと、そして、ときどき自分の心や意識にたいして「おまえは誰だ?」と問うようになったことでしょうか(笑)
講義の最後に「補講」が追加されています。そこで人工知能の仕組みを解説されています。17ページほどです。
内容は、信号機の赤、黄、青の色をみて止まるか進むかを判断する人工知能作りです。
こうなってるんだ!シンプルなので分かりやすいです。 -
第23回小林秀雄賞
脳科学、めちゃくちゃおもしろい!!
哲学や倫理の話に発展したり、宇宙が関係したりと奥が深い。
著者が栄光学園高校の選ばれし10名にした3日間の特別講義の記録なので、対話形式で柔らかくまとめてあり、かつ細かく節を区切って様々な解説をしていてかなり充実した内容。
特におもしろかった話
・人工知能を使って本来もっている脳の能力を覚醒、活用することができる(LとRの発音の聞き分けや、絶対音感)
・人間の脳は睡眠状態がデフォルトで、繁殖や食事のために起きて行動する
・生きがいは人の不完全さから生まれる
・強いシナプスと弱いシナプスが存在する意味
弱いのがいるおかげで長い過程での変化に適応できる
・困難な方が記憶に残る(読みにくい字など)
・記憶があるから時間を感じることができる
669ページと長いけど、節ごとにタイトルがついていて、気になる項目だけ読むこともできるのでお勧め。
3日間の講義が1〜3章に分かれて、1日目は76節、2日目は79節、3日目は100節!
目から鱗の雑学をたくさん知れました。 -
脳に関する本はまあまあ読んでる方だと思うし、池谷裕二氏の著書も何冊かは読んでいる。
この本はAIのことにも触れていて、その意味でも面白く、何よりも「人間の存在の意味はエントロピー増大にあるのではないか」との仮説は初めて見聞きしたもので、驚きでもあり、興味深く、それだけでも読んだ甲斐があったと感じた。 -
小林秀雄賞、本当にどれもハズレがない笑。
面白く、わかりやすく。高校生の時に読んだらきっと、世界が変わって見えただろうと思う。あくまで脳というハードウェアに規定されている以上、人間が見ているものは"真実"ではなく、解釈であること。「私」という存在は現象であること・人間はすぐストーリー(フィクション)を作り出し、そこに囚われていることをすぐ忘れてしまうこと、もしかしたらこの世界はシミュレーションされたものにすぎないのかも…といったどこそこで読んだことのある主張が、わかりやすく平易な言葉とストーリーで語られている。初めてこういった言説に触れたら、衝撃だろうなあ。私にもそのいつかはあったわけだけれど。
時間について、それは人間に記憶があり、かつ記憶が脆く移ろいゆくものだから、時間を感じる、という点メモ。
…脳の記憶が脆いものだったからこそ、時間の流れが、心のなかで生じたんだ。記憶が褪せなければ、時間なんてものは無意味な概念だ。つまり、この世のイメージを形作ってきた自身の歴史が、つまり、記憶によってまとめあげたこの世界の眺めが、その後、徐々に褪せていく様子のことを、僕らは「時間の流れ」と呼んでいるにほかならない。(p.157)
もし記憶があせずに完璧にあったら、というマウス実験で「時間が止まる」という結果が面白かった。過去の記憶が鮮やかすぎると、それが現在のものなのか直近なのか、過去なのか判別がつかないからだという。記憶が淡くならないのは、時間がないことと同義、なるほどだった。 -
私が、私だと思っているのは適正な認知なんだろうか?と、様々な例をあげて考えさせられた。
人間の脳はすごい。
個人的に衝撃を受けたのは、脳がくっついている双子。
なんとなく、相手の考えていることは意識に入ってくる、でも、2人で1人かというと、それは違う、、、
人間の脳はすごい。
この講義にちゃんとついていって、的確に質問したり感想を述べることができる高校生もすごい!
-
むちゃくちゃ面白い!
池谷さんが張り巡らせているアンテナは本当に高感度で、ワクワクすることばかりを紹介してくれる。
解釈や自説の展開は控えめに呈示してくれるからこそ、テーマとして長く残るものがある。 -
高校生を対象に行なった講義の内容をベースとして編集・再構成された脳科学、認知心理学、哲学、人工知能など広範囲にわたる素晴らしい書籍です。
もし自分が高校生の時にこんな講義を受けたらどう感じたのか。圧倒されてポカンとしてしまったのか、一部でも興味を持って自分で調べようと感じたのか、わかりません。
学際的と簡単に呼べぬほど、脳科学を中心として様々な領域のヒントが満載で、何度も繰り返し読みたくなりました。 -
-
三日間の講義録を編集したものなんだけど、これはかなり面白い。著者の本というと高校生のとき、だからもう20年も前に勉強方法についての本を読んでいてそれが結構記憶に残っている。その著者がこんな本を書いているというのがなんかすごいことに思うし、それを自分が読んで感動しているのもすごいことだなと。
最近の脳科学の知見というのももちろん知ることができたし、個人的に1番面白く感じたのは生命の目的が宇宙の老化を促進することだという仮説。生物体は負エントロピーを食べて生きている、環境から秩序を引き出すことにより維持されている。これはエントロピー増大の法則に反するが、たとえば排水口に生まれる渦なんかは非平衡開放系で生命と同じで、結果的にはいち早くエントロピーを増大させる。表紙が渦に考える人物があしらわれているのもそこからなんだろな。
他にもこの世界がポストヒューマンのシミュレーションである可能性が高いとする説を紹介していたり、脳科学に留まらずいろんな分野の研究を踏まえてどう生きるかを考えさせてくれた。 -
素晴らしい。近頃読んだ中でも格別に素晴らしい。
脳で考えてる限り、それ以上にはなり得ない。科学は真理の追究とは言うが、脳で理解できる範囲で、脳が理解できるように語っているだけ。自分を自分と感じているのも脳が思っているだけで本質はバーチャルなのでは。
そんな話が続々。目から何個うろこが落ちたかわからない。
高校生相手の講義に著者自身が真剣に向合っているし、生徒さん達の反応も驚くほどシャープ。この手の講義物は生徒さん達のとコラボがまた魅力だ。
「はじめに」に、これ以上は語ることがないので本作は講義シリーズの完結編だとあるが、これで終わり?脳の研究なんて変化の早い部門を研究しておられるのだから、また話したくなること、アップデートありますよね。待ってます。 -
持ち運び(通勤時等)しやすいよう、文庫にして分割(上下など)してほしい
-
高校生を対象とした脳科学講義三部作の完結編である。660ページ超というボリュームもさることながら、内容が濃密だ。
ありきたりな脳科学から一歩進んで、「脳哲学」ともいうべきものを全面展開している。
脳科学を巡るトピックも山盛りだが、それ以上に、哲学的な問いが本書の根幹となっている。
「脳は何のためにあるのか?」「『私』とは何か?」「生きているとはどういうことか?」などの大きな問いに、脳科学的視点から答えを出していく講義なのだ。
高校生相手の講義で、よくこんなハイブロウな内容にしたものだと思う。また、受講者となった高校生もすこぶる優秀だ。 -
タイトルの語りつくすとあるように脳についての本質が書かれている。
文中最後にある以下の文章が自分には刺さった。また読もう
----
私たちが自分の生き方に対して問うべきは「人生にどんな意味があるか」ではなく、「どんな意味のある人生にしたいか」です。意味を訊くのではなく、意味を創り出す。外部に答えを求めるのではなくて、自分の内側に答えをこしらえる。 -
脳関連の本としては決定版とも言える内容。
かなりボリュームのある本だが内容はとても面白くて目からウロコの連続。
今年読んだ本のベスト3に入るのは間違いないと、この時点で言えるくらい素晴らしい内容でした。
個人的には超おすすめ。 -
揺さぶられる。すごい読書体験。
記憶が全て。
不完全だからこそ楽しめる。
真実の相対性に備える。
「世の中は夢か現か 現とも 夢とも知らず ありてなければ」古今和歌集 読み人知らず
◯身体を使った経験がないと「見える」ようにならない
◯いま生き生きと感じているこの世界は、過去の自分から派生したもの
・海馬を切除するなど記憶が更新されないと心の時間は止まり、記憶を強化して過去と現在を混同するようになっても心の時間は止まる
◯記憶によってまとめあげられたこの世界を眺め、その後、徐々に褪せていく様子のことを、僕らは「時間の流れ」と呼んでいるにほかならない
・手が停止した「思索」と、手が動く「確認」という作業を、何度も繰り返しながら試行錯誤する。成績がよい人ほど、この往来がうまくできている。
◯寝ている状態が、生物にとっては普通の状態。動物は「寝る」ようになったのではない。「起きる」ようになった。
◯ヒトにとって「わかる」という行為は、そこになにかしらの秩序や類似性を見出すこと
◯科学とは、きわめてヒトくさい、ヒトの限られた思考の中で、ヒトならではの解釈を施す行為。分析や解析というのは、いわば、真実の歪曲化。
・人工知能と比べた脳の違いは「思い込み」の能力
・ダニング-クルーガー効果:できない人ほど自信過剰→だから成長する
・目的主導でも消去法でもいまある選択肢に限定→未知への適応力が求められる時代
・手段動機よりも内発動機のほうが持続的で成長するが、就職面接では手段動機で理論武装してしまう
・バイオフィードバック(状態の見える化)をするとコントロール可能
例)血圧、耳の動き
・楽しいことを考えると、やる気に関わる即座核が活性化(1分以上かけて明瞭に思い出す)
・知好楽:楽しむ力は大切by孔子
◯「好きこそものの上手なれ」ではなく、「下手こそものの楽しかれ」
◯生き甲斐は、ヒトの不完全性から生まれる
・自然淘汰だけでは説明できない進化。性淘汰?
・何かしら惹かれる秩序・規則
例)抽象画、音楽
・創発:系全体が安定化するプロセスで、自然に発生する部分的な秩序
・マクスウェル-ボルツマン分布:平等なルールをひたすら貫いて繰り返すだけで、偏った分布になる。これが安定した状態、系としてエントロピーがもっとも高い状態。
例)平等なトレードをひたすら繰り返すと「大金持ちはごく一部、その他大勢は貧乏」に行き着く
・自然界は六角形に行き着く
・ヒトは3色のセンサしかない。他の色は幻色=非スペクトル色
赤と青の光を混ぜて作った非スペクトル色の紫はマゼンタ
光スペクトル上の紫はバイオレット
というのも嘘→すべての色は様々な振幅、波長の光=電磁波
・白は「センサがすべて均等に刺激された状態」
ホワイトノイズ:ラジオの周波数があっていないときに聞こえる雑音
白い香り
・シグモイド関数:脳の認知の精度に合致
・生命は非平衡開放系であり、散逸構造の分子の渦
◯渦という構造は、そこだけを見るとエントロピー増大の法則に反して、矛盾した存在に見えるけれど、系全体としてエントロピー増大にしっかりと寄与している。
・実はこの世界も未来人がシミュレーションした仮想
→証明することも、否定することも、原理的に不可能
・脳の認知限界が科学の範囲
→科学の定義を変えるか
・ホジキン-ハックスレイ方程式:神経細胞の発火シミュレーション
→シナプスの強度のばらつきは対数正規分布
→20%のシナプスで80%の情報を運ぶパレート則
・強いシナプスだけではギリギリ発火に足りない
→弱いシナプスが必要
→脳の民主化
→すべての神経細胞が、なにかしらの強いシナプスに出入力を行っている
◯弱いシナプスと強いシナプスという二重システムは、脳の機能を、桁違いに柔軟にした。
◯自然を効率よく破壊するために、脳が発達した
→僕らは宇宙を老化させるために生きている
→生きているだけでもう役に立ってしまう
→ならば生きなくては
→せっかくなら楽しく生きよう
◯僕らに見える側面は、どれもが正しい、とも言えるし、あるいは、どれもが間違っているとも言える。そうやって、結局は、真実の相対性に帰着する。 -
脳研究者の著者が生徒に対する授業を通して脳が何のためにあるのかを深掘りしていく本。とにかく情報量が多くて読むのにかなりの時間と体力が必要だった。話が難しくてついていけない部分もあるが新たな発見がたくさんあり面白かった。AIの基本原理や考え方が分かり、AIの可能性や扱う難しさも学ぶことが出来た。脳を通して生きる意味を考えるとこんなにも世界が変わって見えるのかと感心してしまった。科学に依存してしまっている自分には科学とは世界を人間の考えに当てはめただけで真理には辿りつかないという考えに雷が落ちた感覚がした。世界観を揺り動かされすぎて迷子になってしまった。
-
高校生に語る脳の授業という話だ。
ただ、脳の話ばかりじゃなかったよなぁ。
脳の機能、心とのちがいは?とか、AIによって脳は拡張されるのかという話とか、さらには進化の話とか。
科学の話なんだけど、哲学的というか、思想的な印象をもった。
いろいろ考えを広げてくれた、ということだ。
正直、咀嚼しきれていない部分もある。
エントロピーの話から、え?と思うくだりがあった。
エントロピーというのは、放っておくと世界は雑然としていくというか、混沌に向かっていくという話だったと思う。
つまり自然、地球は混沌に向かいたがっている。
自然なままでは美しく調和がとれている地球。
そこに混沌をもたらすのが人間の存在だ、と。
人間は自然破壊もしてしまうけど、それが問題となるのはむしろ人間の側であって、地球は混とんに向かいたがっているのではないか、と。それを老化とも言っていた。
地球を老化させる存在として、人間はある、と。
だから、私たちは愚かな部分も含めて自分の存在を肯定できる、と。
読んでいるときは、ふんふんと読み進めていたが、あとからふと、俺なにか読み落としてないかと思えてきた。
俺の理解が、どこかでずれたんじゃないか。
地球の老化をすすめるために、というのは必ずしもわからないわけではない。でも、とりようによって、環境汚染を肯定しているように思えるところも、首をかしげる。
環境破壊も地球が望んでいることだから、と肯定するのは、ニヒリスティックじゃないか。
高校生相手に、目をキラキラさせている話題じゃないだろう。
ここは、俺が誤読しているのだと思う。
誤読もまた、読書だ。
いずれ、読み返して理解を深めたいところ。
読み返したとき、あぁ俺はそこを読み落としていたのか、と、著者がいうのはほんとはこういうことだったんだね、と赤面することになるだろう。
それまで、一応、自分の理解として書き留めておく。これもまた、読書の愉しみということで。
著者プロフィール
池谷裕二の作品

こんばんは!
とっても、おもしろそうですね
ぜひ読んでみたいです!
わたしの脳は、わかった!と言いたい気持ちありありですが、...
こんばんは!
とっても、おもしろそうですね
ぜひ読んでみたいです!
わたしの脳は、わかった!と言いたい気持ちありありですが、ホントかどうかは??なんですねぇ。
Kazuさんのレビューを読んで小林秀雄賞の実力を感じましたよ。
小林秀雄賞は知らなかったですが、「自由な精神と柔軟な知性に基づいて新しい世界像を呈示した作品」に与えられるとあり、...
小林秀雄賞は知らなかったですが、「自由な精神と柔軟な知性に基づいて新しい世界像を呈示した作品」に与えられるとあり、納得です。
私のレビューは、本書の核心部分には触れていないので、ぜひ読んで池谷裕二さんの深い洞察力を味わってみてください。
「脳」に関する本は沢山ありますが、この本を読むと「脳」の見方が変わると思います。