虚構推理(21) (講談社コミックス月刊マガジン)

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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065355541

作品紹介・あらすじ

黒色のベールを50年間被り続ける飛島龍子。彼女の夫と腹心の死の裏に存在する謎とは!? 「飛島家の殺人」、完結まで収録。
かつての同級生との突然の再会は――桜川九郎の過去と現在を紡ぐ新シリーズ「廃墟に出会う」、
メカ琴子シリーズ完結第3弾「MK飛翔」も収録!
【TVアニメ1期2期共に大好評の[恋愛×伝奇×ミステリ]、最新刊!!】

感想・レビュー・書評

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  • 『飛島(とびしま)家の殺人』(前巻からの続き)

    「どうか走太郎様が巻田孝江を確かに殺せたと 龍子(りゅうこ)奥様に納得させられないでしょうか」

    龍子の長男・頼行の娘である椿にそう訴えたのは、使用人の幽霊・植村健三だった。一族で唯一の霊感がある椿は戸惑いながらその話を父に問う。すると、五十年前に一族を襲った事件が掘り起こされた。龍子が黒いベールを五十年間被り続けている──その理由とは?!

    頼行から語られる飛島家の成り立ちと事件当日の記憶。表向きは走太郎が交通事故死、孝江は横領をして失踪ということになっている。内情は走太郎が孝江を殺す動機を持っていた。一家揃っての話し合いの場で打ち明けられた孝江の妊娠。不義の相手は走太郎。孝江を殺し、やけになって車で飛び出し事故死という結末に飛びつきたくなるところを、孝江の家に誰も近づいていないことを裏付ける証人がいたことで話は一変する。

    家族での話し合いの休憩時間に、走太郎が孝江を殺しに行った可能性は証人の出現で消えた。頼行とともに孝江の死体を発見した時には、血も乾いて殺されてから時間が経っていたのは明白。それならば、孝江は誰にいつどうやって殺されたのだろうか?

    いわゆるミステリのトリックや二重解決のエピソード自体はオーソドックス。この話の肝は「なぜ龍子は五十年間も黒いベールで顔を隠しているのか?」だ。解くべきはその謎であり、黒いベールに包まれた秘密を覗いた瞬間のゾクゾク感がすごかった。もはやホラー。こういう終わり方は好きじゃないけど、この話にはこの形が似合ってると思う。


    『MK飛翔』

    六花が造り続けるメカ琴子シリーズ!この第三弾で完結!なんというか、剣呑剣呑という感じ。六花が怪異の協力を得てきたのが不穏でしかない。さすがにあの回りくどい動機がすべてではないよねえ。


    『廃墟に出会う』

    新シリーズ開幕!九郎が廃墟で出会ったのは、高校時代の同級生・相良夏彦だった!九郎はバイトの見回りで来ていたのだが、相良は覆面の人物に金づちで襲われてここに逃げ込んできたのだった。どうやらその襲撃者は、相良の姉の仇かもしれないらしく──。
    九郎の高校時代が語られるエピソードになりそうで楽しみ。というか、後ろから殴りかかられてそこに傷はおかしくないか?!

  • ミステリー仕立てとコミカルな二編でした( ´ ▽ ` )ノ

  • 飛島龍子のベールの下には何が有るか?それは殺人現場にて生じた密室の謎を解くよりも難しい
    大昔の殺人事件の真実ならばそれらしい虚構を組み上げて関係者を納得させれば真相と符合していなくても大きな問題にはならない
    しかし、下手に確認可能なベールの謎は真相が明らかになってしまうが故に推測と外れていても外れていなくてもショッキングな事案となってしまう場合がある
    『飛島家の殺人』はそういった代物となったね……

    御家の為に事件を隠蔽しようとした事が過ちの始まりというのが本作で扱われた密室の厄介な点
    多少の痛みを伴ったとしても、真相をとことんまで突き詰めていれば、今とは違った光景が見えたかも知れない。でも、それは目撃者の話が出たから思う事で

    似た要素は龍子のベールにも見る事が出来るね
    龍子がベールを被るのは一時的な逃避、そう思っていたから関係者もベールの向こう側を明らかにしたりせず放置した。それが50年も続いてしまった事で開くのが難しい密室と化してしまった
    今更になって開こうとするから化け物の寝床に手を突っ込むかのような恐怖すら齎す暗闇となってしまったわけだ

    琴子が示したのは悲劇を悲劇として扱う仮説、そして悲劇を怪異譚として扱うもう一つの仮説
    琴子の口ぶり的には後者の推理をこそ真相に近いと睨んでいるようだけど、ならばベールの向こう側には何が有るのかと漫画版での表現も相まって恐ろしく感じてしまうラストでしたよ……

    そんなミステリらしさに満ちた後味を感じられただけに、MK-Ⅲが暴れ回るアホな話が続く構成にはズッコケてしまったけども!
    しかもあのアホな騒動、ちゃんと真相とかある代物だったんだ…。それこそ何だか負けた気分になってしまうよ……


    新エピソードの『廃墟に出会う』は九郎の高校時代に絡むお話となりますか
    琴子の高校時代なら何度か描かれてきたけど、九郎の高校時代は初だっけ?この頃から紗季と付き合ってたんだ。彼女は彼女でお久しぶりな存在だね

    懐かしい話に手を伸ばすかの如きお話は相良の姉が殺された件とどう関わってくるのだろうか?

  • なるほどねーというオチのベール話だった。もうちょい深みが欲しかったな。そしてメカ琴子よりももう少し次の話を展開的に進めてほしかった。

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著者プロフィール

2015年4月発売「マガジンR」第1号より『虚構推理』連載スタート。

「2019年 『虚構推理(10)限定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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