限定愛蔵版 凍りのくじら

  • 講談社 (2024年6月12日発売)
4.46
  • (15)
  • (11)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 346
感想 : 9
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (500ページ) / ISBN・EAN: 9784065358948

作品紹介・あらすじ

藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う1人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき――。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 序盤は世の中を俯瞰する理帆子の視点で、人間関係が描かれる。
    郁也、多恵さんとの出会いあたりから物語がスピードアップし、ページを捲る手が止まらなかった。母の死は泣いてしまいました。

    別所さんの正体は、正直びっくりでした(その手の小説だと思ってなかったので。所々違和感は感じていましたが)。

    本当にいい読書体験でした。次の辻村作品が楽しみです。

  • ドラえもんと読書が大好きな中学生だった私が、当時かなりの影響を受けた1冊です。

    凝ったデザインと箔押しの表紙。本文は全て水色で印刷されています。更に、天地と小口にはくじら、月、魚のカラーイラストがあしらわれています。
    こんなにも愛とこだわりの詰まった書籍を購入できる程、私は大人になったのだな……と思います。



    主人公は頭が良く、何でもそつなくこなす女の子。
    内心では人を見下していたり、どこにも居場所を感じられなかったりと、あまり感じの良い子ではありません。私はそこが好きなのですが。
    そんな子が、出会いと別れを経て色んな愛の形を知っていく。
    誰かの生きづらい気持ちを少しほぐしてくれる物語。今読んでも、同じように思います。

    あなたの描く光はどうしてそんなに強く美しいんでしょう。
    この質問の答えが、
    『暗い海の底や、遥か空の彼方の宇宙を照らす必要があるから』。
    はじめに受ける印象と、終盤でもう一度問われた際に受ける印象では、正反対なほどに違うはず。



    ときにドラえもんのエピソードを引用してくれるところも、大好きです。
    高い書籍をウキウキで買って、これだけ長文の感想を書いているのだから、やっぱり中学生から成長していないのかも。

    間違いなく、今年のベストバイでした。

  • 誰とでも上辺の付き合いができるが、薄っすら馬鹿にしている為に深く繋がれない。何処にも自分の居場所を作れない。
    【Sukoshi・Fuzai】の芦沢理帆子の視点で描かれる人生のままならなさ。
    光りとも呼べる出会い。
    こんなにも澄んでいる物語はやっぱりそうそうないと思う。愛おしい読後感。

    この歳になっても小説を読んでこんなに泣けるんやなということが分かった。
    どうしようもない元カレとの依存的でどうしようもない恋愛とか、それでも確かにあった美しい瞬間、それが決定的に損なわれてしまった事実、いろんなイタさが丹念に描かれていて辻村さんの青春小説ってこうだったなと思い起こせた。

    辻村深月はたびたび母と娘の関係を描いているが、そういえば父親への想いを描いてるのってこの作品だけじゃないかと改めて気づく。
    理帆子と郁也が相変わらず愛おしいが、理帆子が地味とされてるクラスメイトの横顔の美しい角度に気づいているなど写真家としての素養が最初から描かれてたり、新しい発見もいろいろ。

  • 今年出会った本で1番面白かった。
    ギリギリ引っかからない違和感がすべて最後にすっと解けていった。鳥肌。
    最後の急展開にはページを捲る手が止まらない。
    文句のつけようもない、爽快なオチ。
    主人公を介した周りの人の描写が興味深い。

  • グサグサと刺さりまくり。特に若尾について。面白くて一気に読んだ。今度もう一度読みたい!

  • 第10回ビブリオバトル全国大会inいこま予選会②オンラインで発表された本です。
    2025.2.1

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻村深月の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×