- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065360590
作品紹介・あらすじ
■衝撃の回顧録、ついに刊行! 高度成長、バブル、経営危機、V字回復、そしてゴーン逮捕──ゴーン会長のもと、日産社長を務めた男はそのとき何を考えていたのか? 赤裸々に明かされる白熱の手記。グローバル化の渦中にいる全ビジネスマン必携の書。
■歴史学者・磯田道史氏推薦
「日産の歴史的経験を未来の道しるべに。本書の姿勢に心打たれた」
■国際化に翻弄される巨大企業に何が起こっていたのか?
──面接兼挨拶の日、私は日産本社(当時は東銀座)の十五階にあるゴーンCEOの執務室に呼ばれた。
会議机をはさんで、私の前に腰を下ろしたゴーンは世間話や抽象的な話などは全部すっ飛ばし、いきなりこう切り出した。
「オーケー、サイカワサン。購買部にとって重要なのはコストダウンの目標を達成することだ。進み具合はどうなっている?」(本文より)
【本書の内容】
ゴーンとやりあい、マクロンに歯向かった日本人サラリーマン。彼が目撃した巨大産業「もうひとつの戦後史」
▼第一章 不正発覚
ゴーンと私は「対立関係」にあったのか/不正を知ったあの日のこと/検察からの口止め/ゴーンと交わした会話/逮捕までのメール/夜の記者会見
▼第二章 ゴーン事件とは何だったか
不正行為の実態/水面下で行われた工作/私に向けられた批判
▼第三章 「非主流」のサラリーマン
祖父との因縁/入社した一九七七年という年/入社式に「塩路会長が来られる」/購買部門に配属されて/「ケイレツ」の重さ
▼第四章 海外へ
英語で仕事をするということ/「ジャップ、ゴー・ホーム」/バブル景気に浮かれる日本に戻って/秘書課に勤務
▼第五章 ルノーの救済
ゴーンとの出会い/辻さんに言われたこと/ルノー幹部の雰囲気/日産リバイバルプラン/単身赴任をとりやめて/ルノーとの共同購買/内なる国際化へのハードル/日本人社員とは飲まない!/聞き上手の上司・ゴーン
▼第六章 ゴーンの変質
ゴーン、ルノーCEOに/ケリーの人事/ペラタ氏のリーダーシップ/ルノーにおけるゴーン/スパイスキャンダルの痛手/ゴーン政権を延命させた危機/行き詰まり
▼第七章 圧力
逮捕当日、午前のできごと/「悪者はサイカワ」の悪評/スナール新会長との出会い/残された禍根
▼第八章 退社まで
塙義一元社長から学んだこと/マクロンチームとの交渉/監視役としてのケリー/相談できる先輩はいなくなった/三菱自工・益子修さんとの共同事業/関潤、グプタという二人の後輩/日産勤めが終わった日
▼第九章 次世代のビジネスパーソンへ
日産の蹉跌とは何だったか/ゴーン改革の意義/求められるリーダーシップ/日本発ベンチャーはどこまで可能か
感想・レビュー・書評
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所謂ゴーン事件の背景を知ることもできるが、著者の考えるゴーン改革の意義やその光と影を事件そのものとゴーン本人を俯瞰して説明している。暴露本的な要素はないが、自動車産業の世界観や倫理観について触れることができ、日本語訳しても定義が曖昧な「empathy」という言葉を言語化し、ゴーン後の日産社長という複雑なバックグラウンドを持つ著者の考える「ダイバーシティ」の説明が興味深い。
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これまでの報道等で見聞きしていたゴーン不正の内容とそれほど変わらなかったので、目新しさはなかった。
西川さんがゴーンさんを売って、社長に就任した!みたいな揶揄もあったが、この本を読む限りは、そんな環境にはなかったように思えたのが、新たな発見かな。。
居なくなった人を悪く言うのではなく、ゴーンさんの良かった点もキチンと説明されていて、そこは良かったと思う。 -
ルノーと日産のアライアンス、ゴーン氏逮捕間際の話など、ニュースを追っていた者からしても、それぞれの背景を窺い知ることができる貴重な書籍だった。成功には飽くなきコミットメントが必要であると感じさせた。
ビジネスマンとしてのゴーン氏は優秀であったのだろう。能力が傑出していたが故に、最後は止める者がいなくなり暴走してしまったんだろうなということがよくわかった。外部からガバナンスを効かせることの重要性がよく分かる。
ホンダと合併していくこれから、今の日産を舵取りできる人はいるのだろうか。 -
なぜ牽制機能が働かず、ゴーンの暴走を許してしまったのか、経理は何をしていたのか。会計士、監査役は何をしていたのか非常に疑問であったが、残念ながら答えは書かれていなかった。
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第1・2章ではいわゆるゴーン事件を著者が社長の立場からの経験と考察が語られる。
日産側のクーデターと言われた事件で、日産の社内不正調査から明らかになったわけだが、当時社内でゴーンの不正のうわさが囁かれている渦中で社長が知らないという言い訳は苦しい。
更に本人が不正報酬事件で辞任することになったことも全く知らなかったというのは何らかのエビデンスか説得力ある事情がなければ無理だ。
それでも自分に非がないという苦しい抗弁を除き、前代未聞のスキャンダルに襲われた大企業の内側を垣間見れたことは興味深い。
第3~8章までは非主流派などと防御線を張りながら、日本の大企業が国際化していく過程での内なる国際化の難しさと自らの成功談を語る。
ただ当時の日産において著者のライバルだった古賀氏らの動向が一切ないのは不自然。
ましてルノーとの資本協力までの経緯がすっぽり抜けている。
本作は当事者の証言として歴史的価値は認めるが、ハルバースタムの「覇者の奢り」のような大局観と公平な感覚には程遠い。
出来ればハルバースタムのような客観的かつ大局的視点からの本が望まれる。 -
普通でした。
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ゴーンが悪いことをやったようだ、というのがわかった以上に、真面目なエリートサラリーマンの半生を読むことができた
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たんたんと出世されている。仕事の苦労が心労に直通していないように、文体から感じる。出世の要因は、著者の言うところのエンパシーとダイバーシティなのかな。
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目新しい情報は最初と最後のチャプターのみで、あとはどこかで聞いたことのある内容であったように思う。ゴーン事件の日産側からの視点で話されているので、興味のある人は面白いかも。