本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784065363720
作品紹介・あらすじ
第67回群像新人文学賞受賞!新たな戦争の時代に現れた圧倒的才能!21歳の現役大学生、衝撃のデビュー作。
先祖の魂が還ってくる盆の中日、幼い少年と少女の前に、78年前に死んだ日本兵の亡霊が現れる――。時空を超えて紡がれる圧巻の「語り」が、歴史と現在を接続する!
島尾敏雄ほか先人のエコーを随所に響かせながら、沖縄に深く堆積したコトバの地層を掘り返し、数世代にわたる性と暴力の営みを、『フィネガンズ・ウェイク』的な猥雑さで、書きつけた作品。Z世代のパワフルな語部の登場を歓迎する。
―― 島田雅彦
十四章の構成で沖縄の近現代史を描き切る、しかも連関と連鎖、いわば「ご先祖大集合、ただし無縁者も多い」的な賑わいとともに描き切る、という意図はものになった、と私には感じられた。/この小説はほぼ全篇、ある意味では作者自身のものではない言葉で綴られていて、だからこそ憑依的な文体を自走させている。つまり、欠点は「長所」なのだ、と私は強弁しうる。要するにこの「月ぬ走いや、馬ぬ走い」は小さな巨篇なのだ。
―― 古川日出男
「読んだものを茫然とさせ、彼のいままでを氷づけにし、そのうえで、読むことをとおしてあたらしい魂を宿らせる、そんな小説でありたい……テクストでの魂込め(まぶいぐみ)とでも呼ぶべきところが、ぼくの目標です。」豊永浩平(受賞のことば)
ぼくがここにいて、そしてここはどんな場所で、なによりここでぼくはこうして生きてきた、ってことを歌って欲しいんだ、ほとばしるバースはライク・ア・黄金言葉(くがにくとぅば)、おれらは敗者なんかじゃねえぞ刻まれてんのさこの胸に命こそ宝(ぬちどぅたから)のことばが、月ぬ走いや、馬ぬ走いさ!
みんなの感想まとめ
歴史と現在が交錯する沖縄を舞台に、戦争の記憶と人々の生活を鮮烈に描いた作品。著者の独自の視点から、複数の時代や人物が織りなす物語は、読者に生々しい感情と状況を伝えながらも、全てが繋がっていることを示唆...
感想・レビュー・書評
-
またものすごい新人登場。
作者がどんな人物なのか知りたくなる
ほどの傑作。
今年読んだ中でNo.1。前回の芥川賞の候補にあがらなかったのはなぜ?少し遅かった?芥川賞はこれでしょう。
章の最後を数珠繋ぎにすることで、世界の連環を示唆し空間と時間を自由に行き来する。
このアイデア!
沖縄が舞台なのが、またいい。
大戦のおそらく最も悲惨な現場であり、現代のおそらく最も困難な現場である沖縄。マジックリアリズムが生き続け、リアリズムが人々を翻弄し続ける沖縄。
矛盾を抱えた沖縄が重層的に語られる。
しかも、この切れ味。
この読みやすさ。
この人はどんな話し方をするのかな。
どんな人生を生きてきたのかな。
2003年生まれの大学生。どれだけ濃密な人生を歩いてるのだ⁈ -
「月ぬ走いや、馬ぬ走い」(ちちぬはいや、うんまぬはい)
このタイトルどういう意味だろう?
不思議に思い手に取った作品。
本を開くと目次がない。
さらにページをめくると改行がなく句読点が少ない。沖縄の言葉。
章の最後が次の章のはじめにの1行に繋がっていて、現在と過去を行ったり来たり。
不思議…。
14章、150ページ、14人の語り手から沖縄戦争から現在までの沖縄の歴史が感じられる。
当たり前なんだけど、歴史は繋がってるんだとしみじみ思った。
戦争は終わった、はい終わりじゃない。
戦争の残した大きな爪痕。
戦争を経験した世代、その2世、3世へと続いていく、戦争によってもたらされる様々な影響。
文章から血生臭さや決戦前の沖縄の土地の臭い、性暴力の現場、登場人物の生活の臭いまでもが伝わってくるような文章で、すごく生々しい。怖いぐらいリアル。
新しい形の戦争小説であり沖縄の歴史だと思った。 -
沖縄戦について関心を持って知ろうとしてこなかったなと痛感した。戦中のことはもちろん戦後のことも。終戦から何十年というひとまとまりの単位でしか認識しておらず、その何十年には一日一日その日ごとの出来事が積み重ねられている。その一日一日には戦争の影響がずっと日々の暮らしに及んでいるのだと感じた。
時代も性別もバラバラの複数人で語られる本作は、生々しい感情と状況を連想させる。でも全ては繋がっている。日本兵が米兵と遭遇して殺し合う場面や洞穴に隠れる同国者である母子を殺害する場面、現代の中学生の学校での行動や恋愛、戦後に女性が生きていく上で直面したアメリカからの日常的な性暴力や生き抜く手段、男に失望しながらも依存してしまう貧困家庭での母子の束縛と反発、などこれだけではなく色々と場面転換しながら沖縄を舞台に描かれるどれもが生々しい。矛盾しているようだが、「死」に「生命」を感じるような感覚で読んでいた。
実は一通り読み通すだけで結構時間もかかり話にのめり込めないところもあったのだが、日が経つほどにもう1回読んでみたい気になっている(読み終えてから1週間くらいになる)ので、しはらくして再読してみようと思う。 -
他のレビューでもみんな言ってるけど、著者ほんと若いのにすごい。
戦時中とかはよく語られると思うけど、学生運動とかベトナム戦争の時代の沖縄の話はあまり接したこと無かったので新鮮。
ノリちゃんのキャラ描写の入りが友人から見たナイスガイじゃなかったらまた全然違う印象になったかも。
人物相関図ほしい、、、。 -
「月ぬ走いや、馬ぬ走い」(豊永浩平)を読んだ。
〈ちちぬはいや、うんまぬはい〉
かつての沖縄から現在の沖縄までのリアルな痛み苦しみ悲しみを突きつけられる胸が潰れそうな読書体験なのである。
だけど豊永浩平さんのこの先の沖縄への想いがこもったラストが素晴らしいな。
二○○三年生まれって、マジか。
私の中の圧倒的な沖縄小説といえば
「首里の馬」(高山羽根子)
「宝島」(真藤順丈)
であったが新たにもう一冊この作品が加わった。 -
すごい小説に出会った!
これは戦後の沖縄の人々の魂が若き沖縄の作家に憑依して言葉がほとばしってるかのようだった。
終わらない戦後と南国のじっとり湿った性と暴力が絡みつく。
最後まで取り憑かれたように読み耽った。ここ数年に読んだ若い作家の作品の中ではダントツで好きですね。
中上健次に出会ったときのような衝撃を受けてます。
『百年の孤独』のマジックリアリズムとも通ずるものがあった。
この小説自体が魂を持っていて読者に語りかけているような気がした。 -
すごかった…。
人物たちの語りとそこにある歴史の生々しさ。
「歴史的事実」としか思えていなかった、沖縄で起こった出来事の1つ1つが、生の声として聞こえてくる。
生と死が、命と命が、あらゆる時間が、繋がっているのを感じる。
当たり前のことなのに、どうして忘れていられたんだろう。
全部をひとつなぎに語ることで、こんなふうに実感できるなんて、思いもしなかった。
子供の頃に習った戦争の話は、とてつもない恐怖ではあったけれど、私にとって遠い過去のできごとだった。
米軍基地がある沖縄の日常には、戦争の記憶がそのまま積もり続けてきたのだろうか。
世界情勢が揺らいでいる今、子供時代よりずっと戦争の恐怖を身に迫ったものに感じていて、もう私も、戦争を分断された過去だとは思えない。
日常を語るように戦争の記憶を語るこの物語は、沖縄の地が培ったようにも、新しい時代に突入した警鐘にも思えて、痛ましく胸に突き刺さりました。
-
読了後、この物語が愛おしくて泣きそうになった。
沖縄で過ごした人たちのそれぞれの物語。
アメリカ兵と結婚した女性。恋愛に悩む男の子。学生運動で捕らえられ大切な事が思い出せない青年、信頼していた彼氏に体を売られた少女、彼女を助けようと奮闘する青年。
彼らは血を紡いで子を宿し新たな人生を育む。 -
おー、って期待を感じる若い、20代ですから、実に若い!書き手が登場しましたね。拍手!
作品についてのあれこれは「ゴジラ老人シマクマ君の日々」というアホブログに書きました。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202501080000/ -
-
お盆に集う様々な魂たちの独白が重なり合い、現在に至る沖縄の残酷な歴史が幽玄に浮かび上がる。構成が見事で、舞台を観ている感覚に陥った。沖縄の見方が完全に変わった。
21歳が書いたとは思えない作品。反面、真摯さに新世代を見たように思う。 -
この小説は、、、というかこれを小説と評して良いのかどうか疑問が残るところです。
小説というよりも文章の羅列、段落も無ければ殆ど改行もない。
あったとしても突然時空を超えある人の視点へと変わるというこれまで読んだ事のない本でした。
なので、これを小説と評するには私の中で違和感があります。
でも、だからこそ心地よいリズムを生み、本著のコアである「生と死は脈々と繋がり今の自分がいる」という事を表現出来ていることが素晴らしいと思います。
これらを書いているのが大学生だとは本当に信じられません。次回作が楽しみです。 -
タイトルの「月ぬ走いや、馬ぬ走い」の意味は、
月日は駿馬のようにあっという間にかけていくよ、という意味の沖縄の黄金言葉(ことわざのようなもの)
沖縄出身の現役大学生が、何人もの登場人物を通して沖縄の歴史を描いている本。ベンヤミンとかパウルクレーとか、私は読んだことあったかな?って感じもあり、わからない部分もたくさん。
言葉遊びのような雰囲気と、登場人物の1人語りの形式など、作者の熱が伝染してきて、ロックだな〜っていう印象が残りました。
きっかけ
図書館で手に取った「群像」に群像新人文学賞受賞のインタビューが載ってて、謎のタイトルにひかれて購入した本。
気づき
150ページの薄い本ではあるけれど、改行らしきものは、語り手が変わる時(10ページ毎くらい)に申し訳程度にあるくらいで。漢字も多ければ、沖縄特有の言葉も出てくるし、本を開いた時にうわって思ったけれど、読み進めると癖になる文体というか。
明日の糧
米軍基地のある沖縄とか女性の貧困が社会問題で、とかっていうのを、沖縄の人の言葉で語るから真実味が強い。現役の大学生が、問題意識を持って、たくさん取材もして、作品に仕上げたんだろうなって考えると、なんだかいい本に出会えてよかったなって印象。 -
噂通り凄い作品だった...。
歴史が地続きの『今』の連続であることをこれ程強く感じられたことはない。めくるめく時の流れと人々の生き様に胸が苦しくなったり、希望を感じたりしながら読みました。 -
時代も年齢も性別も立場も異なる、沖縄で生きる(生きていた)語り手たちの声が、話の途中でラジオのチャンネルが切り替わっていくような構成。どの放送局も自分語りパーソナリティの声が脳内でガチャガチャうるさく再生される。(褒め)
「沖縄らしさ」や「沖縄たらしめるもの」に囚われ、日本本土と異なる文化・歴史・アイデンティティを位置付けることに終始し、地域文学という枠組みを抜け出せない沖縄文学。何というか…「日本本土と違うんですよ」という独自性の提示にとどまって満足しているような姿勢を残念に思っていた。
そんな従来の沖縄文学のエッセンスを本書は保持しつつ、音楽的にミックスしシャッフルするラウドなスタイルに、「そうきたか!」と感動。そのミキシング才能は著者が蓄積した膨大な知のアーカイブと鮮やかな感受性あってこそ成し得るもので、優れた音楽家が温故知新であるのと同様だ。
南国の生臭さ、まとわりつく湿気、むせかえるほどの欲望、途切れない負の連鎖、刹那的に生きる男女、血縁や仲間のしがらみ、単絡的になりがちな思考、マジックリアリズム的な霊的現象があり得る日常、、、これらこそが沖縄のリアルであり、やたら美化したり批評などもせず、ただただ描き切るって今までありそうで無かったかもしれない。あっても今まで読んだことなかっただけの可能性が高いが、憧れさせない、同情や共感を求めない沖縄を描写する著者の感性に、「良き!」と声高に言いたい。 -
著者の頭の中から伝えたいことがドバドバと溢れ出しているかのような個性的な文章表現から、沖縄の人たちが背負ってきた痛みや苦しみが伝わってきた。
綺麗で整った文章からは伝わってこない、温度がこもっていたんだと思う。 -
沖縄の多要素性を描きながら150pを疾走していく
仕掛けが多いしテーマとしても面白い
読み返したくなる
本棚登録 :
感想 :

読みたい感が突き抜けました!
読みたい感が突き抜けました!