文藝春秋と政権構想

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  • 本 ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065364260

作品紹介・あらすじ

文春の名物編集者は、政治に嵐が吹き荒れるとき、政権幹部と密室で何を話し合っていたのか?
政界、官界のキーマンが実名でぞくぞく登場。
全ビジネスパーソン必読の、手に汗握る「政治経済裏面史」。

週刊文春、月刊文藝春秋の編集長を歴任し、
数々のスクープをものにした著者による「政治取材の全記録」。
実は著者の鈴木氏は、時の政権の「政権構想づくり」に深くかかわっていた。
本書で取り上げられるのは、四つの政権(政治家)。
第一章 安倍晋三
第二章 菅義偉
第三章 梶山静六
第四章 細川護熙
いずれも日本のターニングポイントとなった時代である。
政治は夜に動く。雑誌ジャーナリズムが政治報道において果たした役割とは。
この国の経済政策が失敗し続ける理由も、本書を読めば見えてくる。

【本書の内容】
第一章 安倍晋三
鳴り物入りで始まった経済政策「アベノミクス」。
その策定にひそかにかかわった筆者は、
次第に疑問を抱くようになる。
無制限金融緩和、ゼロ金利継続は本当に正しかったのか?

第二章 菅義偉
リアリストにしてプラグマティスト。
新型コロナに振り回されて政権は短命に終わったが、
「携帯電話の料金を豪腕で下げさせた」など、
実績が再評価される政治家・菅の本質とは。

第三章 梶山静六
銀行の不良債権を「ハードランディング」で処理すべきと主張し、
総裁選に敗れて無派閥に。
日本の政官財が「無責任のキャッチボールを続けている」と喝破した、
信念のひとだった。

第四章 細川護熙
筆者に背中を押され、月刊文藝春秋で「新党結党宣言」をして、
非自民連立政権の総理に。
戦後政治のターニングポイントと呼ばれる細川政権について、
本人はいま何を語るのか。

第五章 これからの経済政策プラン
在野の政治経済記者として取材を続けてきた筆者による、
「失われた30年を生んだ経済政策」の俯瞰による検証と、
日本が生き残るための「これからの経済政策」の提言。

感想・レビュー・書評

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  • 4年前にNHKスペシャルで「渡辺恒雄 戦争と政治~戦後日本の自画像~」、その後編として次の年にBS1スペシャルで「独占告白 渡辺恒雄 ~戦後政治はこうして作られた 平成編」が放映され、讀賣新聞というメディアと政治権力の関係の近さが、未だに讀賣新聞主筆であり続ける渡辺の生声で赤裸々に語られていました。歴史ってのは生き残った方が強いんだな…という感慨と、それでもオーラルヒストリーはアーカイブされなくてはならない、という想いを持ちました。その領域は新聞の独壇場だと思っていましたが、雑誌を忘れていました。先ずは「文藝春秋と政権構想」というタイトルに意表を突かれました。でも文藝春秋って政治家が政治的構想を発表し、政権批判をする側が批判を掲載する議論の場であることを思えば、著者のような編集者が育つのも当然だとも思いました。考えてみれば月間の総合誌もいくつかあるのだけど右から左まで雑誌ごとの旗色がある中で、文藝春秋はもうちょっと広いフィールドを持っているように思えます。本書の冒頭にありますが、司馬遼太郎が著者に語った「文藝春秋はこの国のタカラだ」その神髄は「リアリズムであって、相手の心の臓を目掛けて手を差し込み、その臓器を抉って高く掲げ、その血のしたたるサマまでをしっかりと書くのが文春の仕事だ」との言葉。本書は、見えなかった政権の内臓を明らかにした仕事だと思います。だらだら流れる血もリアルです。そして、なぜ「失われた30年」が生まれたのか?のドキュメンタリーでもあると思いました。現在が現在でなくなるためのターニングポイントはいくつかあったんですね。適切なインタビュアーを得て渡邉恒雄のようなインタビューやってくれないかな?

  • 今や大手新聞と同等以上の影響力を持つようになってしまった文春社。
    その中で、特に政治家との交わりを描いたのが本書である。

    基本的には、マスメディアの方が、政治家や財界人と同じ目線で、政策や経営を語るのに関して違和感を持っている立ち位置です。
    その観点から言うと、変わった仕事をしているな~という印象になってしまいます。

    読後の感触があまり良くなかった。

  • 政治家の経済的な動きに関してフォーカスしており、興味深かった。梶山清六氏は、すっかり抜け落ちていた政治家だったが、なるほどと思ったことが多かった。

  • 2024/10/17読了。
    実は2024/10/27投票の衆議院議員選挙にあたり、どうしても知りたかったことは今までの自民党政権の評価。失われた30年、デフレからの脱却、安倍のミクス、自民一強、安倍政権の功罪(官邸主導)と今回の政治資金の問題等々。そんな中で色々と新書版を中心に探したが手に取ったの本書。題名も週刊誌的で興味を引いたが、なるほど政権のなりたちや記者の経済政策への関心、政治家との関わりが面白かった。さすがに最終的には個人の能力になるが権力に媚を売らない記者魂はなかなかだと思った。最終章の「これからの経済政策プラン」は合意する内容で我々庶民に分かり易い価値ある提言だと思った。興味があると月刊文藝春秋を手にするが、なるほど編集の裏の世界を面白く読ませてもらいました。

  • 文春の名物編集者は、政治に嵐が吹き荒れるとき、政権幹部と密室で何を話し合っていたのか?政界、官界のキーマンが実名でぞくぞく登場。全ビジネスパーソン必読の、手に汗握る「政治経済裏面史」。
    てっきり政治の裏舞台がメインで人間関係を中心に描かれるのかと思ったら、それよりも経済政策に対する強みや考え方を個人的に知る政治家を通して概説・提言したという形ですね。筆者の主張が思ったより強かったけど、面白い本ではあった。梶山の時代はほぼ知らない代なので、こういう痛みを伴った改革をできる人がトップに立つというのはやはり難しいことなんだなと思った。今の日本国民はばらまきに賛成している人も多くいるように感じる。いざ財政破綻しひどい目に合わないと現実が理解できない人間が増えているのは、今の義務教育にも問題があるのではないだろうか。

  • 東2法経図・6F開架:KW/2024//K

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