少女には向かない完全犯罪

  • 講談社 (2024年8月21日発売)
3.55
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本棚登録 : 1452
感想 : 113
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  • 本 ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065367100

作品紹介・あらすじ

「教えて?復讐のやり方を」
一人ぼっちの少女が頼ったのは、あと7日で消滅する幽霊。

伏線、伏線また伏線!
2年連続本格ミステリ大賞ノミネート作家による
終着点が心震わせる本格ミステリ

☆☆☆

なにもできない二人が、
逃げ、考え、罠にかける!
頭脳戦の楽しみに満ちた爽快な復讐譚!

黒羽烏由宇は、ビルから墜落し死につつあった。
臨死体験のさなか、あと七日で消滅する幽霊となった彼は、
両親を殺された少女・音葉に出会う。
彼女は、出会い頭に彼に斧を叩き込んで、言う。

「確かに、幽霊も子供も一人じゃ何もできないよ。
でも、私たちが力を合わせれば、大人の誰にもできないことがやれると思わない?」

天井に足跡の残る殺人、閉じ込められた第一発見者、犯人はこの町にいる。

感想・レビュー・書評

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  • 完全犯罪請負人の黒羽烏由宇、30歳が何者かにビルの屋上から突き落され、あと七日間だけ期限つきの幽霊になります。
    完全犯罪請負人の黒羽は殺した人間を『逆さま、あべこべ』に装飾する猟奇殺人犯でした。

    そして黒羽は三井音葉という小学六年生の両親を殺された少女と出会います。

    音葉は父母の復讐の為に完全犯罪請負人を雇うことにします。
    しかし、タイムリミットは七日間。
    果たして二人は音葉の両親の復讐を遂げられるのか…?
    幽霊と子どもが手を組み『最強の二人』として活躍する本格ミステリーです。



    最近、自分の本の好みがわかってきました。
    この作品のような幽霊が出てきたりする、ファンタジー色のあるものや、登場人物の心情より謎解きをメインとする本格ミステリーは苦手です。
    好きなのは心情メインの社会派ミステリーです。
    この本は図書館で予約1番で借りられたのでもったいないので読みましたが、幽霊が出てきて謎解きするのがつらくて、何度もリタイアしようかと思いましたが、最後まで468ページ読みました。

    後半四分の三あたりで、犯人がわかる展開で「ちょっとわかるのが早すぎない?」と思ったのですが、そこから二転三転ではなく、三転四転します。
    謎解きとエピローグは面白かったけど、ファンタジーの本格推理だとわかっていたら、この本は選ばなかったと思います。

  • 幽霊と少女のバディが鬼アツ!次々と謎解きが繰り出される多重解決ミステリ #少女には向かない完全犯罪

    ■あらすじ
    完全犯罪請負人である黒羽烏由宇は、ビルから墜落してしまい瀕死の状態であった。臨死状態のさなか彼は幽霊となり、自らを突き落とした犯人を捜し始める。さらに両親を殺された少女の音葉と出会い、両親を殺した犯人にも復讐することになり…

    幽霊として現生に残れるのは七日間、限られた時間の中、幽霊と少女が共に手をとりながら仇を討つ物語。

    ■きっと読みたくなるレビュー
    パワフルな本格ミステリーですね~。方丈貴恵先生が多重解決を繰り出すとこうなります、という作品。

    最初から最後まで、様々な課題を提示をしてすぐに謎解き、さらに課題提示が提示されて謎解き…の繰り返しです。そもそも幽霊モノの特殊設定だったのを忘れるくらい謎解きが濃いんですよ。

    もちろん前に解かれた謎をひっくり返されることもあり、はぁ?!という驚かされる場面もあり、まぁ凡人だと間違いなく脳みそがパンクします。よくもこんなにもロジック尽くめのストーリーを作りましたね、先生の鬼才ぶりを堪能できます。

    ストーリーもバディものとして読み応えがバッチシなんすよ。完全犯罪請負人ながらも幽霊である烏由宇と、両親の復讐に燃える小学生女子の音葉、この凸凹コンビが最高。

    本気なのか冗談なのか分からないような会話の掛け合いが楽しいし、お互いを支え合いながら犯人たちを追っていく姿が愛おしい。親子でも友人でもない互いの利益のためだけの奇妙なコンビだったはずが、少しずつ理解し合うことによって、共に成長を遂げていく。

    特に中盤あたりから烏由宇の背景が変わってくるんですが、ここからが二人組の真骨頂なんすよ。烏由宇はより優しく、音葉はより強く変化してくる。幽霊モノのドフィクションにも関わらず、ついリアルに手に力を入れて応援しちゃうんすよね。

    雪の足跡、天井に残された足跡、ダイイングメッセージといった本ミスファンが悦びそうな仕掛けもたっぷり。謎解きや犯人提示に至っては二転三転、次から次へと解法が出されるんですが、単に謎解き合戦ではなくストーリーに即する形で解法の上書きがされていくんですよ。なるほどなぁ~

    そして終盤は鬼アツの展開になるんですが、最後の最後までロジックがこねくり回される。頭を捻りながらも泣けてくるって、どゆこと?! これまで繰り返し謎解きを読んできた者にしか得られないという衝撃が訪れます… ぜひ体験してください。

    ■ぜっさん推しポイント
    二人の成長物語、ここが最大の読みどころです。自分を犠牲にできるっつーのは、本当に強く成長した証ですよ。カッコイイ。

    私には家族がありますが、いざというときに逃げ出さず守ってあげられるか自信がありません。彼らのように相手への思いやりの強さが肝心なんすよね、自分の弱さに負けないように生きなきゃと思ったのでした。

    • ゆーき本さん
      うゆうと音葉ちゃんのコンビ 最高ですよね(*´`)
      うゆうと音葉ちゃんのコンビ 最高ですよね(*´`)
      2024/11/07
    • autumn522akiさん
      そーなんすよ、すったもんだ交流しながら進化していく二人がいいのよね~
      そーなんすよ、すったもんだ交流しながら進化していく二人がいいのよね~
      2024/11/08
  • 完全犯罪請負人の黒羽は、目覚めると病院のICUで人工呼吸器に繋がれた自分を見下ろしていた。黒羽は幽霊になってしまったのだ。思い出すのは3月14日にビルの屋上から何者かに突き落とされたこと。
    その後、幽霊である自分が見える小学六年生の少女音葉と出会う。音葉は3月14日に両親を何者かに殺害されていた。
    同じ街で同じ日に起きた二件の殺人事件。犯人は同一人物ではないであろうかと推測した黒羽と音葉は、協力し、犯人を探し始める。
    といったあらすじ。

    幽霊と小学六年生の少女がバディを組むなんて、今まで読んできた小説の中にはなかった斬新な設定でした。
    幽霊ということで、警察署や建物の中に誰にも見つかることなく自由に出入りができ、警察の情報もいとも簡単にゲットできます。

    犯人が導き出されたかと思いきや話は二転三転し、真犯人が誰なのか、真相を知りたくなり、途中からは一気読みでした。

    音葉の父が残したダイイングメッセージには思わずクスッと笑ってしまいました。死に際にそんなことを思いつくなんて、凄すぎです。

    「先入観」が物語の中でよく出てきました。先入観を持つと、それに捉われて、事実とは異なる答えに辿り着いてしまうことがあります。
    推理小説では、その先入観を使ってミスリードに導かれることがあるので、「もっと客観的な視点を持たないといけないなぁ」とこの作品を読んで改めて思いました。

  • 屋上から突き落とされ幽霊となった完全犯罪請負人(30)、両親を殺されて復讐を誓う少女(小6)がタッグを組んで真犯人を追う本格ミステリ。

    じっくり読もうと思っていたのに、一気読みしてしまいました。
    「完全犯罪請負人」を名乗り、何やら裏稼業っぽい主人公の黒羽は幽霊。そして黒羽と師弟関係を結ぶのは霊感のある頭脳明晰な少女、音葉。
    この異色コンビにびっくり。
    幽霊&少女の日本版「レオン」みたいな(笑)
    ときに衝突しながらも協力し合い絆を深めていく二人の姿に、ハッピーエンドを願わずにはいられませんでした。

    連続殺人鬼、偽装工作、足跡のトリック、毒入り○○○、ダイイングメッセージ…
    ミステリー要素がてんこ盛り。

    終盤は二転三転する怒涛の展開が繰り返され、伏線回収が凄まじかったです。
    圧巻の多重推理もの。

  • 幽霊の完全犯罪請負人と依頼人。推理の末に真実がどんどん変わっていく。どの真実が本当か?本当真実の残酷さに驚愕した。最後は完全犯罪で終わって感動した

  • ビルから落ち死へと向かう幽霊となった黒羽と両親を殺された少女が、バディとなり真相を追求していく。
    大人びた少女・音葉と黒羽が徐々に本音を曝け出していく様は面白くもある。
    音葉の成長も見られたり、黒羽の感情爆発的なところもあったりと楽しめるが、何度も何度も伏線があっていったい誰が…とわかりにくいだけに少々苦戦してしまい、2日ほど日を跨いでしまったのでより深く入り込めなかった。

  • 今回は完全犯罪請負人の幽霊と小学生女児のコンビが復讐and完全犯罪を解決する。
    けど小学校6年生の女の子が相棒って…
    ちょっと嫌やな…と最初に感じたまま、何回も言う「ダウト」が出る度に血管切れるくらい腹たった(笑)
    お父さんとお母さんにそんなこと言っちゃいけません!って怒られなかったの?
    感情移入しづれぇっす。

    物語のほとんどが推理してると言ってもいいくらいにずっと何かしら推理してる。
    多重解決も入ってて序盤から終盤まではほぼ推理しかしてないように感じる。ずっと同じ事件をこねくり回すの飽きないんかな。

    逆縞との追いかけっこは面白かったけど、それ以外の物語部分が少なくて物足りなかった。
    他の作品はもうちょいエンタメ感あったのになあ、これはマジの推理メインってことなんかな。
    あと傍点がやたら多かった、そんなに付けんでもいいと思う。

    今作は竜泉家シリーズよりエンタメ感が少なくミステリー度が上がってる。孤島の来訪者がめちゃくちゃ好きだから今作の感じは少し残念だった。
    これの続きはやめてほしいなあ。

    • きたごやたろうさん
      またまた私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      この本僕も気になっています。
      図書館で検索をかけたいのですが、現在整理休肝期間中で、再...
      またまた私の本棚に「いいね」をありがとうございます。
      この本僕も気になっています。
      図書館で検索をかけたいのですが、現在整理休肝期間中で、再会が待ち遠しいです。
      2024/10/31
  • 復讐のため!小学生と幽霊がタッグを組んだ!?


    『完全犯罪請負人』の名を持つ黒羽烏由羽(30歳 男)。依頼者の関与も自分の関与も警察には疑われることのない、いわゆる完全犯罪によって悪を裁くことを生業としていた。

    しかし、目覚めるとICUでたくさんのチューブに繋がれた自分がベッドに横たわっている姿が目の前に-。

    何者かにビルの屋上から突き落とされ、幽霊となった黒羽。

    そんな黒羽の前に現れた『幽霊の見える』小学生 音葉。音葉の両親は『完全犯罪請負人』との待ち合わせ場所で奇妙な遺体となって見つかったという。

    黒羽がビルから落とされた日と 音葉の両親が殺された日は同じ日。二つの事件の犯人は同じ人物なのでは?!


    「幽霊も子供も一人じゃ何もできないよ。でも、私たちが力を合わせれば、大人の誰にもできないことがやれると.....『最強の二人』になれると思わない?」

    「私に正しい“復讐のやり方を教えて!”」

    幽霊である黒羽の「観察・思考」
    生者である音葉の「行動・実行」

    決して交わることのないはずの、生者と幽霊の手が重ねられた

    ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    特殊設定×多重解決ミステリーだそうです。
    音葉ちゃんが言うには、霊体化した身体は七日で消滅しちゃうらしく。 一週間というタイムリミットの中で 二人は犯人に辿り着き その手で復讐を果たすことは出来るのか!

    アチコチに伏線らしきものが散りばめられている匂いはプンプンしますが、私の頭ではそれを組み立てて解決にまで導けないので放ったらかしで読み進めました。小学生の音葉ちゃんにも危険は迫るし !なんか悲しい結末になりそうな展開にもなるし! 最後の最後の種明かしでホッとなったり ほーーんとなったり出来ればそれでOKですദ്ദി ˃ ᵕ ˂ )あと子どもの頃から2時間サスペンス観てきたので、「こいつ絶対あやしい!(根拠はない)」を見つけるのは得意!ソイツが犯人だった時にニヤっとするのが好きです。

    こういう話の時 いつも思うのが、音葉ちゃん小学生じゃなくて中学生ならもっと入り込めたのに…って思っちゃいます。こんな頭良い小学生いるー?って。んーでも冷静に考えて、音葉ちゃんが天才なんじゃなくて、小学生の頃の私が恐ろしくおバカだった可能性の方が遥かに大きいので良しとしましょう。

    幽霊黒羽と 復讐に燃える小学生音葉
    二人の行く末は…
    うんうん、なかなかいいバディなんじゃないかな
    ( ᐕ)人( ᐙ )



    • ゆーき本さん
      やはりあれはラブホのレビューだったんだっ!笑

      ミステリー小説好きな人ってやっぱり推理しながら読んでるんかな??
      でも本の楽しみ方なんて自由...
      やはりあれはラブホのレビューだったんだっ!笑

      ミステリー小説好きな人ってやっぱり推理しながら読んでるんかな??
      でも本の楽しみ方なんて自由ですよねっᐠ( ᐛ )ᐟ
      2024/10/23
    • 土瓶さん
      〇〇には向かない〇〇ってタイトルが流行ってんのかな?
      自由研究に向かなかったり
      優等生に向かなかったり
      少女にも向かない?

      でも...
      〇〇には向かない〇〇ってタイトルが流行ってんのかな?
      自由研究に向かなかったり
      優等生に向かなかったり
      少女にも向かない?

      でも、向かない系?といえばやっぱりP.Dジェイムズ「女には向かない職業」だよね、って古いか(笑)
      22歳で探偵業を相続(?)した女性探偵物語だったかな。
      2024/10/23
    • ゆーき本さん
      向かない小説多いよね!
      この本もタイトルだけで借りてしまって、流行りに踊らされたー‎٩( ᐛ )و
      女に向かない…φ(._. )メモメモ
      向かない小説多いよね!
      この本もタイトルだけで借りてしまって、流行りに踊らされたー‎٩( ᐛ )و
      女に向かない…φ(._. )メモメモ
      2024/10/23
  • 特殊設定ミステリーの女王、方丈先生の新作が出たので図書館で予約して読んでみました。

    幽霊になってしまった裏稼業の男性と両親を殺された少女がタッグを組んで仇撃ちをすると言う話。本の紹介にはこんな感じのことが書かれていて、え?何その設定??と言うのが最初の印象で、本当に面白いのだろうか…と半信半疑で読み始めました。

    他の方も書かれてますが、少女が相当な無鉄砲で最初のうちは少々イラッとしながら読んでましたが話が進むにつれて成長著しいので途中からは安心して読めました。

    多重解決というのを初めて読んだのですが、本の半分も行かないうちに犯人と思しき人物が特定されて、これで話が終わっちゃったら残りはどうするんだろうと余計な心配してましたが、そこからがどんでん返しに続くどんでん返しでした。

    各章の合間にインタールード(幕間みたいな意味みたいです)と言う、短い文章が挟まっていてホワイトデーの日の主人公の男性の行動が時系列で書かれているのですが、全部読んでみて後から読み返すと、あーなるほど。と腹落ちしてスッキリしました。読後感が悪くなくてホッとしました。

    面白かったですが、個人的には竜泉家シリーズの方が登場人物のキャラが好きなので、そっちの方が好みです。続編だしてくれないかな。。

  • 読了日:2024年 10月 19日

    「私に正しい復讐のやり方を教えて」

    完全犯罪請負人の烏由宇は、何者かに屋上から突き落とされ、目が覚めると幽霊になっていた。突き落とされる前に、依頼を受けていた空き家に行くと幽霊が見える少女が待ちかまえていた。少女は、両親が殺された事件の復讐の協力を烏由宇に依頼する。烏由宇は、屋上から突き落とした犯人を探すべく少女の依頼を承諾した。しかし、幽霊になってしまった烏由宇に残された時間は七日間しかなく。

    報復をもくろむ二人に待ち受けていているものとは。
      ーーータイムリミットまであと  日

    ー------
    な、ながかった。けれど、面白かった。

    多重解決もので、事件が解決したのかと思わせてどんどん事件が複雑化していく。事件の推理が次の推理への糸口になっていくのは、とても面白く感じました。

    また、烏由宇と音葉が壁を乗り越えて仲良くなっていく姿がとても良く描かれていて、最後の2人で喫茶店にいるシーンはとても感慨深く感じました。

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