異次元緩和の罪と罰 (講談社現代新書)

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  • 講談社 (2024年9月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784065372241

作品紹介・あらすじ

日銀発「危機」の本質が明快にわかる! と絶賛の声が続々と!

藤巻健史氏(元モルガン銀行東京支店長)
「安倍元総理が、もし彼をブレインに選んでいたら、いまの日本経済はバラ色だったに違いない

高橋亘氏(元日本銀行金融研究所所長)
「異例の政策を見つめた元日銀理事による良識の書。簡明な説明で問題点がわかる」

(本書の内容)
2024年3月、日本銀行はついに「異次元緩和」に終止符を打った。前総裁氏の就任直後に導入して以来、11年近くもの歳月が流れていた。いま振り返って気づくのは、日本経済が世界に例をみない異形の姿となったことだ。日銀が保有する国債残高は約590兆円に上り、普通国債の発行残高の56%に達する(24年3月末時点)。中央銀行が政府の資金繰りの面倒をみることは、財政規律を維持するための人類の知恵として、世界的に禁じられてきた。市場経済を掲げる国の中央銀行として異例の事態である。

財政規律の後退も著しい。IMF(国債通貨基金)の世界経済見通し(2024年4月)によれば、政府の財政状態を示す「一般政府の債務残高対GDP比率(22年見込み)」は257%と、世界約190ヵ国・地域中第2位の高さにある。国と通貨に対する信認は先人たちの努力の積み重ねによって築き上げられてきたものだが、このような財政状態を続けていて、いつまで信認を保ち続けることができるだろうか。

外国為替市場では、2024年4月、円・ドル相場が37年半ぶりの1ドル=161円台後半まで下落した。24年春の時点の実質実効為替レートは、1971年8月のニクソンショック時よりもさらに円安の水準、すなわち当時の1ドル=360円をさらに下回るレベルまで下落している。多くの日本人にとって、円相場はいまや未知の世界に突入している。これらすべてが日銀のせいというわけではないが、異次元緩和が果たした役割は大きい。にもかかわらず、日銀や政府からはあまり危機感が聞こえてこない。

異次元緩和の総括なしにこれからの金融政策を進めていけば、将来再び物価上昇率が低下した際に同じ道を辿る危険性がある。あるいは、物価目標2%にこだわるあまり、さらなる円安など、インフレ圧力への対処が遅れるリスクも否定できない。

本書は、異次元緩和の成果を検証するとともに、歴史に残る野心的な経済実験が生み出したものと、それが日本経済と私たち日本人にもたらす痛みと困難、そして、そこからの再生を考えるための試みである。

みんなの感想まとめ

日本銀行の異次元緩和政策を巡る深い考察が展開されており、その影響と問題点を明確に指摘しています。著者は、長年日銀に勤務していた経験を活かし、異次元緩和がもたらした財政ファイナンスの実態や、国債の買い増...

感想・レビュー・書評

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  •  新卒で日本銀行に36年間勤めた人が書いたので、日銀の役割についてはかなり詳しい。また黒田東彦の異次元緩和が開始する前に日銀を退職しているので、異次元緩和について客観的に書ける。異次元緩和の罪というのは、とにかく日銀に国債を買いまくらせたことだ。11年間で457兆円も買増ししたので、この間の新規国債発行額480兆円の95%に当たるというのですから、日銀による財政ファイナンスであったことは明らかです。
     問題は異次元緩和を終了させても、金融引き締めも日銀の保有国債の放出もできないことです。中央銀行の最も重要な役割は通貨の信任の確保なのですが、中央銀行が長期国債漬けなのですから、取りうる金融政策の幅は著しく制限されたままです。そして金利が上昇すれば国債が暴落し、日銀は債務超過に陥る可能性が高い。そうなれば円の信任が低下し、通貨危機みたいなことに陥ることは大いにありうるのだと思います。黒田元総裁は、2年程度で実現できるとしてあらゆる大胆な金融政策を総動員しましたが、一向に物価が上がらないので、ズルズルと10年間も日銀に国債を買いさせ続けたのです。
     日銀が銀行から国債を必ず買ってくれるのですから、政府がどんなに新規国債を発行しても銀行は安心して引き受けることはできます。政治家もお金を心配することなく景気のいいことを言って、税金をばら撒けるという都合の良い構図が続いたのです。
     そもそも、「物価が上がるという心理的な期待があると消費者は余計にものを買うので景気が良くなる」というのは本当のことだったのでしょうか?実際には、外食の値段が上がれば外で食べないようになるし、余計なものを買わないようにして生活防衛に走るのが普通です。顧客の創造を行うことによって生産性を上げることにより経済を成長させることが本道であり、金融政策だけで景気が良くなるはずがないのです。異次元緩和をスタートさせた当時は、リフレ派経済学者が盛んに日銀批判を繰り返していましたが、リフレ派は日銀を機能不全に陥らせたのだと思います。

    この国は、どんな失敗をしてもその人たちはその失敗を認めず、認めないからいつまで経っても新しい道に切り替えることができないのです。たぶんあと数十年後にならないと異次元緩和の歴史的な総括はできないのかもしれません。

  • 日銀の異次元緩和を批判的に解説。
    1.物価と賃金の好循環は企業の生産性向上こそが重要。
    2.緊急措置が講じられるといつまでも解除されないのが日本の悪しき慣習。一度立ち上げた政策を自身の手によって方向転換するのは困難。
    3.今後の金融正常化のためには金融不安を起こさないよう細心の注意を払いながら、数十年スパンで国債の計画的な償還を続ける必要がある。新規国債発行の抑制も重要。政府による財政支出拡大の圧力に対してどのような姿勢を見せるのか。

  • 日銀が買い込んだETF。市場の影響をおさえるには少しずつ売却するしかない。

  • 異次元緩和以前の日銀と以後の日銀がどう違うかがよくわかった。
    金融緩和が本来市場を退出しているはずのゾンビ企業を生きながらえさせ、それが原因となり日本の生産性の伸びが芳しくない。
    過去最高益を出す企業の多くは円安による海外投資収益の上振れによるもの。
    日本の実質的な国富は異次元緩和中も減少し続けている。
    などなど、あまり頭の整理ができていなかったところがよく整理されていて学びが多かった。

  • 当事者ではないにしても関係者もしくは関係する組織の人に本当の意味でニュートラルの立場というのは難しいのだと思う。暴露本ではないが、書かずにはいられなかったというのがあるようにも思う。ニュートラルのフリをしつつ自分の主張を前面に出す場合と自分の主張はしたいのだけれど可能な限りニュートラル目指すというパターンがある様にも思うが、本書はその中間なのかなとも思う。
    この10年の日銀のいわゆる異次元緩和はアベノミクスの成果の陰に隠れて同じく成果があったと評価されることが多いのかも知れない。成果があったと思っているのは私の勘違いかも知れない。実感が感じられないのに要素の数値では成果があったと言えることを、私は学生に血液検査など健康診断の数値では全く健康という結果だけれど気分や体調がすぐれないと感じる状態と伝えっているが、これを読むとその数値の方も本当に良かったと言えないという気もしてくる。おそらく、これまでの金融政策(財政政策を含むアベノミクス全体のことかも知れないが)の失敗を糾弾、責任追及するとかという感じよりも、新総裁のもとこれからが大変、これからどうするのかという問題提起と受け取らせてもらった。
    印象に残ったのは、まずなんだかこれまで学生には机上の空論で嘘を伝えてきてしまったのかなと反省させられたこと。もう一つ私も印象操作されていたのか、日銀の目的の第一は物価の安定と思い込んでいたが、それは一部で本当はそれを含んだ通貨の信任確保だというのが発券銀行の機能も持つ日銀の本当の目的ということが妙に腑に落ちたこと。
    もしかしたら、本書への賛否は分かれるのかもとも思うが、私は納得できたし、勉強不足、考え不足を痛感させられたので読んで良かったとは感じる。

  • 本書を読んで、異次元緩和の悪影響で日銀が詰まないようにすることがいかに難しいかよくわかった。逆に言えば、日銀が詰むのはいつかわからないまでも、日銀が詰む日が来ることを、我々国民は覚悟して備えなくてはいけなくなってしまったのだと理解した。

    本書を読むと、異次元緩和は、国民をデフレマインドから脱却させ、インフレマインドにパラダイムシフトさせるために日銀が行ったデスパレートなパフォーマンスに思える。しかも、そこまでの大博打の前後で、GDPには大した変化がないという。ハイリスク、ネガティヴリターンではないか。

    著者は首尾一貫して「財政ファイナンスに酷似した国債買い入れ」という言い回しを使っている。でも、異次元緩和の出口が、長期国債が満期を迎える2040年代(?)までかかるなら、実質「財政ファイナンス」だろう。

    黒田日銀が11年も長きにわたってやり続けた異次元緩和とは、日銀の信用失墜→日本国民の困窮という悪夢の将来をもたらす博打だ。これでは、若い世代に対して、あまりにも申し訳ない。

    本書は、バカ騙しの天才、高橋洋一のシンパには数字が多過ぎて最後まで読めないだろう。それだけに、心ある読者にこそ、読んでほしい。

  • 元日銀理事で金融政策、金融・決済システムなどを担ってきた著者による「異次元緩和」批判の書。「異次元緩和」は、物価、実質GNP成長率にはほとんど影響を与えず、雇用は増加したものの非正規雇用の増加によるもので実質賃金は低下と生かはごくわずかな一方、「財政規律の弛緩」「市場機能の低下」「金融システムの弱体化」など深刻な副作用をもたらしたとデータをもとに論じている。
    著者にとっては36年間勤務した日銀に対する思いは強いと思う(本書では黒田元総裁個人に対する直接的な批判はないが財務省から来て日銀をめちゃめちゃにしたという思いがあるのでは)。
    著者は「通貨の信認の確保」こそが中央銀行の責務であり、「2%インフレ」に拘った結果、実質的な財政ファイナンスを行ってしまい、正常化には少なくとも10年かかるような事態となり、通貨の信認が揺らぐ事態を懸念している。
    冷静な筆致ではあるが、この政策によって日銀の信任を毀損したのみならず日本経済にも禍根を残したことは許しがたい思いだったのではないか。

    【目次】
    第1章 異次元緩和は成功したのか?
    第2章  高揚と迷走の異次元緩和 前代未聞の経済実験の11年
    第3章  異次元緩和の「罪」 その1
        すべては物価目標2%の絶対視から始まった
    第4章 異次元緩和の「罪」 その2
        超金融緩和が財政規律の弛緩を生み出した
    第5章 異次元緩和の「罪」 その3
        介入拡大が市場をゆがめる
    第6章 異次元緩和の「罰」 その1
        出口に待ち受ける「途方もない困難」
    第7章 異次元緩和の「罰」 その2
        なぜ立ち止まれなかったのか?
    第8章 異次元緩和の「罰」 その3
        国と通貨の信認の行方
    第9章 中央銀行を取り戻せ
    第10章 中央銀行とは何者か
    あとがき

  • 似たようなタイトルの野口悠紀雄氏の本と比べて緻密で伝えるべきことを伝えている。現状がどのように異常か、なぜ異常と言えるか、どうなったら問題か、正確に伝えている。世のなか、現在の植田総裁のぎりぎりの采配を批判する人(野口氏のように)はいるが、この本のように日本を薄氷に載せた黒田-安部を批判が少ないのはなぜか。本当の問題は既に存在していることを国民や世界が本当に理解すると「不安」を「現実」にするトリガーを引いてしまうのが怖いのか。

  • アベノミクスの3本の矢、金融政策、財政政策、成長戦略、、、
    アベクロで実現させた金融政策が異次元の金融緩和。
    それは実質、禁じ手といわれる財政ファイナンスを実行することだった。
    2%の物価上昇を目指しながら、日本経済はデフレから立ち直ることはできず。
    残る2つの矢、財政政策走りつぼみ、成長戦略は影も形もなかった。
    規制緩和が起爆剤と言われていたが、一向に進まなかった。

    第一次安倍政権はガチガチの官僚政治を打破する、という高い目標があり、
    私も応援したものだが、官僚の攻撃に一敗地にまみれた安部さん。
    ここで悪い学習をしたか、創価学会だけでなく、統一教会とも手を組み、
    裏金でも何でも使って、とにかく数を増やすことに励んだ。
    おかげで選挙は連戦連勝。自民党は、安倍派は絶大な権力を得た。
    それを官僚体制の打破に繋げるはずが、いつしか自分のお友達を優遇する政策に。
    モリカケサクラ、統一教会、裏金と、なんでもありだった。

    ・・そのおおもとにあったのが異次元の金融緩和。
    今や大量に抱えた国債を目の前に、海外との金利差解消のために、
    金利を上げたくても上げられない。
    MMTを主張する人たちは、どんどん国債を発行して、日銀が引き受ければいい、
    という。さすがにそれは無理がある、と思う。
    しかし同時に、ほんとに日本の財政赤字は酷いものなのかということには疑問を持つ
    国のBSがどうなっているのかさっぱりわからない。
    債務は分かった。しかし債権は?アメリカの債券を相当持っているのでは?
    その金利収入は??さっぱりわからない。

    ・・・日銀に勤めた著者の新書を読んで、整理したのは以上。

    第1章 異次元緩和は成功したのか?
    第2章  高揚と迷走の異次元緩和 前代未聞の経済実験の11年
    第3章  異次元緩和の「罪」 その1
        すべては物価目標2%の絶対視から始まった
    第4章 異次元緩和の「罪」 その2
        超金融緩和が財政規律の弛緩を生み出した
    第5章 異次元緩和の「罪」 その3
        介入拡大が市場をゆがめる
    第6章 異次元緩和の「罰」 その1
        出口に待ち受ける「途方もない困難」
    第7章 異次元緩和の「罰」 その2
        なぜ立ち止まれなかったのか?
    第8章 異次元緩和の「罰」 その3
        国と通貨の信認の行方
    第9章 中央銀行を取り戻せ
    第10章 中央銀行とは何者か
    あとがき

  • アベノミクスが始まったときから、こんなことをして大丈夫なのかと大いに疑問であったが、今現在既にこれが失政だったことは明らかなのに、未だそれにすがっている人間が多い。
    その罪は財政規律の弛緩、市場機能の低下、金融システムの弱体化などである。その内容と検証について本書には詳細に書かれている。しかしもう過ぎてしまったことなのでどうしようもない。
    で、罰その1は出口戦略への途方もない困難である。日銀の国債残高の圧縮に最低10年はかかる。その間誰が日本の国債市場に資金を供給するのか。民間金融機関は借換債の消化だけならできそう。だが新規国債の消化は財政規律の正常化の過程で時間が経つにつれて買い手不足が強まることは明らか。
    その2は立ち止まれなかったこと。その効果が想定を常に下回っていたことから、誤りを認められずだらだらと続け、審議委員も任期を迎えた者は安倍内閣によって任命された腰巾着委員に代えられていった。
    その3は国と通貨の信任低下。保有国債の緩やかな圧縮を図る際に、また景気の悪化やショックが起こり、政府から国債買い入れを迫られ、再び財政悪化そして圧縮とループしてしまう。また、圧縮には長期間を有することから、市場が日本円の信任にいつ疑問符を突きつけるか。
    そして日本経済が取り返しのつかない状況になっても、アベノミクスを推進した人間は一ミリも責任を取ることはないのだ。大本の責任者は死んでしまったし。

  • これを読んでインパール作戦を思い出した。リフレ派の功名心を満たすことが隠れた目的で、目標の妥当性も手段の有効性も、またその副作用も真面目に検討されず、時の政権に良いように利用された。インパールで言えばまだ烈師団がコヒマを落としたくらいか。死屍累々の白骨街道が出来るのはこれから。こんな無謀な作戦に付き合わされた我々はたまったもんじゃない。もう一つのインパールとの類似点は意思決定者が誰も責任を取らないこと。これから何が起きるかによるが、河辺や牟田口のように黒田も無能な指揮官の代名詞として歴史に名を残すことになるだろう。

  • リフレ派=世の中に出回る資金量を拡大することで人々のインフレ心理を高め、緩やかな物価上昇の実現を通じて景気の拡大を図ろうとする人々。

    量的緩和政策の危うさ
    ①実体経済への効果に疑問があるうえに、(社債等の)クレジット市場や資産価格、流動性に歪みももたらしている。

    ②デフレスパイラルに陥らない限りは低インフレを過度に心配すべきでない。

    ③中央銀行は、金融システムの安定をもっと重視すべき。量的緩和が資産価格の高騰やレバレッジ拡大をもたらし、金融システムの不安定を引き起こす可能性を高めている。

    銀行券ルール(日銀が保有する長期国債の残高は、銀行券発行残高を上限とする)があるため異次元緩和のリスクを強く警戒する声もあった。
    なぜなら日銀をはじめとする中央銀行は平時は短期の国債や短期の貸付金など、短期資産を対象として資金供与を行っている。
    なぜなら長期国債は償還までに時間がかかり、売却時に国債価格の急変動を起こしかねないため、長期資産の買い入れには慎重に取り組んできた。

    望ましい物価と賃金の上昇率は生産性の伸び率とのバランスで考えなければならない。
    人手不足じゃなく。

  • 日銀の隘路
    日本銀行は2024年6月に国債購入の減額方針を決定したが、この先には非常に厳しい道が待ち構えている。

    従来の月間6兆円程度の買い入れは日銀が保有する長期国債の満期到来分に相当する金額だったため、減額は保有残高が減っていくことを意味する。残高は仮に月3兆円で圧縮していっても正常化に約13年かかるほど巨額である。

    一定の柔軟性を保ちながら減額を進めることと、
    世の中から、減額幅の決定が恣意的に調整しうるものとみなされないようにすることは重要

    状況次第では政治や社会から、日銀は異次元緩和で行った巨額の長期国債の買い入れを再開すべきと迫られる。中央銀行として毅然と行動できるようにするには、減額の基本方針と長期ビジョンを示しておくことが大事になる。

    なぜ日銀は国債購入を減額するのか?
    →市場の自由な金利形成を確保すること
    →日銀の国債保有を財政ファイナンスとみなされない水準に戻すこと

    中央銀行は、財政ファイナンスの禁止、資産の健全性確保、独立性の確保などの原則を設け自らを律してきた。
    現状では直ちに日本円の信任が危ぶまれているわけではなく、昨今の急激な円安も日米金利差が原因の一つである。

    しかし、資産の健全性原則の軽視と財政ファイナンス類似の国債買い入れは、通貨の信認確保を危うくしかねない事態である。

  • 星三つというのは本書に対する評価というよりも、星三つをつけざるを得ない程度の内容しか自身の頭では理解できなかったことによる、いわば、理解度チェックと同義である。同著者も金融緩和に対しては反対の立場で、タイトルの通り、異次元緩和について論考している。また様々な経済に関する本を読んだ上で再読したい。

  • 異次元緩和の「罪」
     その1 すべては物価目標2%の絶対視から始まった
     その2 超金融緩和が財政規律の弛緩を生み出した
     その3 介入拡大が市場をゆがめる
    異次元緩和の「罰」
     その1 出口に待ち受ける「途方もない困難」
     その2 なぜ立ち止まれなかったのか?
     その3 国と通貨の信認の行方

    以上に整理して異次元緩和の弊害を説く。
    日本経済がこの教訓を忘れないように、今でこそ読まれていいものと思う。

    むすびの文章を以下に引用。著者の日銀マンとしての矜恃がうかがえる。
    「中央銀行の仕事は、通貨の供給と吸収を通じて「通貨の信認を確保すること」である。達観していえば、中央銀行は、通貨の供給と吸収という一つの手段しかもたない。しかし、その効果は絶大である。経済活動の隅々に影響を及ぼし、国の経済を左右する。
     それゆえに、中央銀行は学び続けなければならない。経済の理論だけでなく、実体経済や決済システム、金融システムの動向を常に把握する必要がある。社会経済は常に変遷している。そもそも私たちは人々の行動原理をすべて承知しているわけではない。一つの理屈に固執するのは危うい。謙虚に学ぶ姿勢を失ってはならない。
     国民に向けて率直に語ることも大切だ。中央銀行は、政策を国民に理解してもらう責任がある。自らの政策は常に正しいと言い続けることが、国民から信認を得る道ではない。
     率直に語ってこそ、国民との対話が成り立つ。
     市場機能の尊重も必須の要件だ。中央銀行による資金の供給の中心は、市場を通じて行金融調節だ。市場機能が働かなければ、効果は低下する。中央銀行が市場を信用しなければ、市場も中央銀行を信用しない。
     市場を尊び、謙虚に学び、率直に語る―植田日銀に期待してやまない。」(283p)

  • 罪とか罰とかは分からないけど、黒田日銀はやっぱり失敗を認められずに沼に沈んで行ったんだと思う。
    財政規律をないがしろにした政治に抱き付かれて。

  • 国債を日銀が買い入れるということは、国が借金をするに際し貸し手を確保したということ。
    更にゼロ金利に抑えておけば当面は借金をしても懐は痛まない。だから異次元緩和は11年も継続した?
    最近のニュースで長期国債の買い手がつかないことが話題になっているが、これが異次元緩和の後遺症なのか?

  • ふむ

  • 元日銀職員が、アベノミクス下の「異次元の緩和」を酷評する。

    そうした視点はあっていいと思う。
    だけど何というのか、経済の指標が良くなったところは「緩和」のおかげではなく、うまくいかなかったところは「緩和」のせいという論調はどうかね。
    いわゆる三本の矢、異次元の緩和はそのうちの一本に過ぎない。
    財政規律が必要ないとは言わない。もちろん、放漫になって国際社会の中でどうみられるかっていう観点はとても大切なんだが、じゃあ、今どう見られてます?
    日銀が自分たちの美意識で全く経済高揚に協力もしなかった過去の結果がどうでした。

    異次元の緩和で、市場がどう反応しました?海外も含めて。

    自殺者数ってどうなりましたっけ。

    じゃあ、今色々と問題があるとして、あなた達のやりたい美しい財政規律を進めていたとして、今どうなってます。うまく行ったと思って言ってます。

    ちゃんと総括して欲しいとは思ってます。貴重な意見です。

    ただ、無責任でいいね、としか思えません。
    人のせいにすんなよ。

  • 4/248
    『日銀発「危機」の本質が明快にわかる! と絶賛の声が続々と!

    藤巻健史氏(元モルガン銀行東京支店長)
    「安倍元総理が、もし彼をブレインに選んでいたら、いまの日本経済はバラ色だったに違いない

    高橋亘氏(元日本銀行金融研究所所長)
    「異例の政策を見つめた元日銀理事による良識の書。簡明な説明で問題点がわかる」

    (本書の内容)
    2024年3月、日本銀行はついに「異次元緩和」に終止符を打った。前総裁氏の就任直後に導入して以来、11年近くもの歳月が流れていた。いま振り返って気づくのは、日本経済が世界に例をみない異形の姿となったことだ。日銀が保有する国債残高は約590兆円に上り、普通国債の発行残高の56%に達する(24年3月末時点)。中央銀行が政府の資金繰りの面倒をみることは、財政規律を維持するための人類の知恵として、世界的に禁じられてきた。市場経済を掲げる国の中央銀行として異例の事態である。

    財政規律の後退も著しい。IMF(国債通貨基金)の世界経済見通し(2024年4月)によれば、政府の財政状態を示す「一般政府の債務残高対GDP比率(22年見込み)」は257%と、世界約190ヵ国・地域中第2位の高さにある。国と通貨に対する信認は先人たちの努力の積み重ねによって築き上げられてきたものだが、このような財政状態を続けていて、いつまで信認を保ち続けることができるだろうか。

    外国為替市場では、2024年4月、円・ドル相場が37年半ぶりの1ドル=161円台後半まで下落した。24年春の時点の実質実効為替レートは、1971年8月のニクソンショック時よりもさらに円安の水準、すなわち当時の1ドル=360円をさらに下回るレベルまで下落している。多くの日本人にとって、円相場はいまや未知の世界に突入している。これらすべてが日銀のせいというわけではないが、異次元緩和が果たした役割は大きい。にもかかわらず、日銀や政府からはあまり危機感が聞こえてこない。

    異次元緩和の総括なしにこれからの金融政策を進めていけば、将来再び物価上昇率が低下した際に同じ道を辿る危険性がある。あるいは、物価目標2%にこだわるあまり、さらなる円安など、インフレ圧力への対処が遅れるリスクも否定できない。

    本書は、異次元緩和の成果を検証するとともに、歴史に残る野心的な経済実験が生み出したものと、それが日本経済と私たち日本人にもたらす痛みと困難、そして、そこからの再生を考えるための試みである。』
    (「講談社BOOK倶楽部」サイトより▽)
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000398973


    『異次元緩和の罪と罰』
    著者:山本 謙三
    出版社 ‏: ‎講談社
    新書 ‏: ‎288ページ
    発売日 ‏: ‎2024/9/19
    ISBN : ‎9784065372241

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山本謙三の作品

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