- 講談社 (2024年11月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784065375020
作品紹介・あらすじ
なぜ、数ある美術館のなかで、ルーブルだけが特別なのか?
世界中の人が「人生に一度は」《モナリザ》《サモトラケ島のニケ》《ミロのヴィーナス》をひと目見たいと願っている。
だが、かつては時代遅れのみっともない美術館として「ルーヴルは国の恥」「若者よ、ルーヴルに行くな」と言われたこともあった。1793年、フランス大革命によって成立した第一共和制政府が王室コレクションを「略奪」して公開する場所として誕生したこの美術館は、その後、さまざまなコレクションを吸収して肥大化した挙げ句、近代化に乗り遅れた「カオスの迷宮」となり果てていたのである。
それが、いかにして世界中から憧れられる場所となったのか?
繰り返される国内紛争と政権交代に翻弄された苦難の時代を経て、現代アート、モードや漫画をも「古典」と成して飲み込み文化国家フランスを荘厳する「偉大なるルーヴル」が生み出されるまでの百年は、戦略と欲望、政治と資本が渦巻く歴史に彩られている。
◯なぜ《ニケ像》だけが大階段の前に据えられているのか?
◯印象派が十年間だけ所蔵された顛末とは?
◯ケネディ米大統領を《モナリザ》に「拝謁」させたフランス初代「文化大臣」の恐るべき手腕とは?
豊富な図版と多彩なエピソード満載、驚くべき発見と鋭い洞察に満ちた興奮の美術史!
【本書の内容】
序章 ルーヴル美術館の現在
第一章 ルーヴル美術館の歴史―─誕生から巨大化への長い道のり
第二章 コレクションと展示室の発展―─第三共和政前期(一八七〇―一九一四)
第三章 一九二〇年代、「迷宮」からの再出発
第四章 ルーヴル美術館の「ナショナリゼーション」―─近代化に隠された意味
第五章 ルーヴルの「顔」―─ブランド・イメージの創出と《サモトラケ島のニケ》の秘密
第六章 ルーヴル・マジック、もしくは古典の誘惑
第七章 幕間劇 空白の二十年(一九三九―五九年)と一九三〇年代の「忘却」
第八章 「世界一の美術館」の誕生―─《モナリザ》とともに
第九章 「ルーヴルへの回帰」―─グラン・ルーヴル計画
第十章 グローバル・ブランド「ルーヴル帝国」への「進化」
第十一章 「ルーヴル美術館展」の歴史―─学芸員による展覧会活動
【本書より】
ルーヴル美術館は、過去の作品を祀るだけの神殿であることを止め、芸術作品を「解体」し、「変容」させていった。展示空間の大改革を進めることによって、過去の作品を「眠り」から目覚めさせ、新しい「後世」の形象を与えていったのである。翼を広げた《ニケ像》は後世、すなわち未来に向かって飛び立ったのであり、それは、そのまま、みずから変容しようとしていたルーヴルの姿に重なっていたと言ってよいだろう。
みんなの感想まとめ
芸術と政治、資本の交錯を描いた本書は、ルーブル美術館がどのようにして世界的な憧れの存在となったのかを探求しています。かつては王室や富豪のための場所であった美術館が、一般市民のために開かれ、フランスの文...
感想・レビュー・書評
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世界を代表する芸術の殿堂であるルーブル美術館を軸としながら、フランス近代〜現代史を概観する書。かつて王室や富豪が独占していた美術品を、全ての「市民のための美術館」であるルーヴルに収めるという一見リベラルで開かれた政策を掲げながら、文化的には保守的なフランスという国が、その膨大な文化的遺産をその時々の国家的ヴィジョンに沿った形で最大限に活用してきた経緯が仔細に描かれている。
本書中盤にある、戦後ナチスドイツの占領から解放されたフランスが、戦時下の保守的なスタンスを払拭すべく当時ルーヴルで施行されていた印象派の伝統的絵画史への包摂政策を放棄した、という見解はやや牽強付会にも映るが、本書全体を通じて主張されている「芸術は資本や政治と無縁ではあり得ないコンテンツである」というテーマには深い共感を覚えた。また「サモトラケ島のニケ」の修復(?)エピソードは衝撃的。今後の美術品の鑑賞のあり方に強い改訂を迫る本だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ルーブルは憧れであり、今もサモトラケ島のニケを見た感動が忘れられない。絵画ももちろん好きだが、それ以上に美術館そのものが好きだ。そんな私にとって本書は面白すぎる。王室のコレクションから市民に解放される流れや、戦時中の状況、印象派の受け入れやモナリザの渡米等、知らなかったことだらけ。読んでよかった。
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「芸術は美術館が創る」
確かに作品を評価するのも権威をつけるのも、また没後、忘れられないようにするのも美術館。そして、その美術館は人であり組織であるため、欲望に際限がない。その中でもルーブルという大国がブランド力を武器に戦い続ける姿を伝えてくれる。
自分の好きな作品、作家のために微力ながら戦うぞ!? -
『#ルーヴル美術館 ブランディングの百年』
ほぼ日書評 Day847
モナリザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ、そのいずれもmade in フランスではない。にもかかわらず、ルーヴルが世界一の美術館であると世間から認識されているのはなぜか?
その結論は、本書終盤に述べられる次の一節に尽きるだろう。すなわち…
ルーヴル美術館の100年にわたるブランディングの歴史を追う中で、「フランスにはかなわないな」と思うことが1つあるとすれば、それは目標の持続性である。それぞれの時代にブランディングに関わった(…様々なステークホルダーが…)美学的信条も政治理念も異なるにもかかわらず、各時代の業績が(…)意識的にせよ、無意識的にせよ受け継がれ、やがて長いドラマの伏線回収がなされる。その時々の行政の思いつきで計画しては廃止し、全く積み上げ式にはならないどこかの(…)。
おっと、だれか人が来たようだ)。
レジャーランド化批判もどこ吹く風、世界各地に次々とオープンするディズニーランドよろしく、ルーヴルも "支館" 開業を重ね、さらなる世界制覇の野望を突き進めている中、我々の美術鑑賞(あるいは自ら製作することも含め)はいかにあるべきかを考えさせられる。
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なぜルーブルに人は集まるのか
それは年月をかけて、国の維新をかけて
作られてきたからということがわかった -
706-F
閲覧 -
ルーブルにピラミッドができたときの騒ぎはよく覚えている。私にとってルーブル美術館と言うのはフランス在住の経験者としてかなり大きな存在であった。フランスワ・ミッテランによってルーブルが世界的な存在になっていく過程が読んでいる。非常に面白かった。文化国家たろうとするフランスの情熱が手に取るようにわかった。
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【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/723172
著者プロフィール
藤原貞朗の作品
