かりそめの星巡り

  • 講談社 (2024年11月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784065375099

作品紹介・あらすじ

遠く離れた場所と言葉が響きあう、記憶への旅。
ドイツでの暮らしに故郷仙台の風景を重ね、愛する文学世界と過去からの声に耳を澄ませる――。
デビュー作『貝に続く場所にて』で芥川賞を受賞した注目作家が、静謐にして豊饒な文章で綴る初めてのエッセイ集。
「河北新報」連載「記憶の素描」、「日本経済新聞」連載「美の十選」を収録。  

感想・レビュー・書評

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  • ドイツ在住の小説家さんによるエッセイ。図書館の新刊コーナーにあったのをお迎えしてきました。いつかこのかたの小説を読めればいいな。

  • 芥川賞作家でドイツ在住の著者のエッセイ集。ドイツでの暮らしや出身の仙台のこと。イスラエルやパレスチナ、東日本大震災、東西ドイツの分裂・・・。石沢さんの静かな祈りが聞こえてくるようだった。時間をかけて少しずつ読んでいった。今後、追っていきたい作家さんです。

  • ふむ

  • 石沢麻依さんの初エッセイ。書店でみつけて即、買ってしまった。デビュー作『貝に続く場所にて』を読んだときからかなり大好きな作家さん。言葉のチョイスや背景描写、不思議な空気感と妙に乾いた空気感が読んでいて性に合っていて、内容も大好きなのでエッセイはどんなもんかと読んでみたら、これまたぐっとくるものばかりで。
    エッセイの文体も小説と同じで、なんなら空気感も風景も同じで、エッセイを読んだからこそ石沢さんの小説たちの現実との地続きを改めて感じることもできて、読んでよかったとしみじみ思ったりもした。
    ドイツで暮らしている作者の日常に溶け込んだ感性は、読んでいて私も日々のなかでこういう感性や、他の小説、絵画、心象風景との繋がりを見出だせたらなあと羨ましくなる。
    そしてドイツという歴史が蓄積された土地で、コロナやウクライナ、パレスチナといった自らリアルタイムで感じたことを読んで、泣きそうなったり。
    すごく人に勧めたいエッセイ。

  • 不在、記憶、透明。それらがひとつながりのモチーフとなり、いくつもの硬質な呟きが紡がれていく。2021年秋から2024年夏にかけて月一で新聞に連載されたという第Ⅰ部がよかった。連載の続きをリアルタイムで読みたいものだと思った。

  •  第165回芥川賞(2021)を獲った著者によるエッセイ。
     2月ころ、新聞書評欄で見かけて図書館に予約を入れていたもの。

     その芥川賞作品(『貝に続く場所にて』)もなかなか読み応えあり、そのレビューに「また次の作品を待とうと思う、久しぶりの芥川賞作家さん」と記したこともあり、楽しみに読んでみた。

     著者作品のキーワードは、「透明」か?
     本書でも、何度かその言葉に出くわした。

    「コートの中まで凍った風が吹き抜け、身体が透明になったのではないかと思うほど寒い昼下がりのことである。」
    「私の内にある孤独になるための場所が、透明な輪郭を伴って滲み出てくる。」

     かなり違和感というか、著者独特の感性で使われている印象がある。
     日経新聞の文化欄で有名な「美の十選」を担当したときのタイトルも「透明なものたち」だ(本書の第二章)。 第三章にも「透明な二人称」という章がある。
     前著でも、
    「午後2時46分、と野宮は呟く。静かな透明な声。遠近法の消失点が置かれた時間。」
     という表現があった(この一文は、“遠近法の消失点が置かれた時間”という表現が気になってメモっていたものだったが)。
     今後も、著者作品を読むときは、気にしながら読むのがよい言葉なのかもしれない。

     さて、本書は、ドイツに暮らす著者による日常を綴ったエッセイだが、ドイツに興味ある人が読むと得るところも多い内容だろう。ドイツの地理に明るくなかったり、それほどドイツ社会の風習に興味がないと、ふーん、と読み飛ばしてしまいそうな章も多かった。

     それでも比較文化論的に、ドイツでの動物の捉え方の日本との違いや、鍛冶屋にまつわる諺など、言葉に関する記述は面白い。
     秋を表す表現に「ドイツ語に「黄金の秋」という言い回しがある」と著者は書くが、私はそれをロシア語で知っている。恐らく、緯度の高い欧州域に共通する言い回しなのだろうと思う。ドイツの秋は、その表現があるわりには灰色だ、と著者は記す。ロシアの短い秋は、まさに「黄金の秋」だけど。

     文章は、芥川賞作品に較べると、ずいぶんこなれてきた感はある。なにしろ、受賞作は、山田詠美に「意味の解けた物の塊の映像が別に浮かびあがり、歯痛を真似て疼き出した。」という一文を取り上げられ、「うぷぷ・・・全然、意味解んないよ!」と指摘されてもいたから。

     それでも、上記の「身体が透明になったのではないかと思うほど寒い」もかなり飛躍した比喩だと思うし、ドイツの街に降る雪を評して

    「街を覆うのは、本来はかけ離れた印象を重ね合わせ、砂漠の幻想を閉じ込めた冬の絵画であった。」

     という一文も、一瞬、「ん?」と止まってしまった。その年のヨーロッパに降るゆきはサハラ砂漠で舞い上げられた砂が混ざっていたということなのだが(その説明はその前段にある)、であれば、「街を覆う”雪”は・・・・砂漠の幻想を閉じ込めた冬の絵画”のよう”であった」と丁寧に書いたほうが、まだ意味が通じやすくないか? 著者独特の表現と言えばそうなのだが・・・。

     ドイツ、美術と、著者の得意分野での展開は今後も続きそう。群像新人文学賞経由でデビューした著者。同賞出身の大先輩多和田葉子さんの系譜を辿るのかもしれない。
     来月出版予定の新著も西洋美術にまつわる一冊のようだ。そちらも楽しみなので手にしてみようと思っている。小説より、今後は、その専門分野を活かした、そちら方面のほうで活躍していくことになるのかな?

  • ドイツの街を知っていたら楽しめたのかも。それか自然や風景の描写があったら文章は嫌いじゃなかったので好きになれたのかも知れない。

  • 1章 ドイツと東北を行ったりきたり、、、
    2章 文面だけでは内容わからず画像情報探しては読み続けた。

  • 遠く離れた場所と言葉が響きあう、記憶への旅。
    ドイツでの暮らしに故郷仙台の風景を重ね、愛する文学世界と過去からの声に耳を澄ませる――。
    デビュー作『貝に続く場所にて』で芥川賞を受賞した注目作家が、静謐にして豊饒な文章で綴る初めてのエッセイ集。
    新年最初の1冊目。すごく静謐とした文を書かれる作家さんだなと思った。初めて読んだけど、しんとした寒さの中で冷静に、丁寧な目線で物事を観察しているような感じ。3.11のことなど災害の記憶が深く根を下ろしているのを感じました。表紙とタイトルがとても素敵でジャケ買いしたんだけど当たりだったなあ。

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著者プロフィール

小説家。東北大学文学部で心理学を学び、同大学院文学研究科で西洋美術史を専攻、修士課程を修了。現在はドイツ在住。2021年『貝に続く場所にて』で第64回群像新人文学賞を受賞し、同作で第165回芥川賞を受賞。他の著書に小説『月の三相』、エッセイ『かりそめの星巡り』など

「2025年 『犬の年 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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