誰かがこの町で (講談社文庫)

  • 講談社 (2024年11月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784065376195

作品紹介・あらすじ

江戸川乱歩賞作家が「地域の同調圧力」をテーマに描いた衝撃作。

ゾクゾクが止まらない、読む前には戻れないミステリー!

高級住宅街の恐ろしい秘密。住民たちが隠し続けてきた驚愕の真実とは?

人もうらやむ瀟洒な住宅街。その裏側は、忖度と同調圧力が渦巻いていた。
やがて誰も理由を知らない村八分が行われ、誰も指示していない犯罪が起きる。
外界から隔絶された町で、19年前に何が起きたのか。
いま日本中のあらゆる町で起きているかもしれない惨劇の根源を追うサスペンス!

みんなの感想まとめ

同調圧力というテーマを深く掘り下げたサスペンス小説で、現実にあり得る恐怖を巧みに描いています。高級住宅街の裏側に潜む忖度や隠された真実が、緊張感を持って展開され、読者を引き込む力があります。登場人物た...

感想・レビュー・書評

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  • 佐野広実『誰かがこの町で』講談社文庫。

    佐野広実の小説を読むのは第66回江戸川乱歩賞受賞作の『わたしが消える』と『戦火のオートクチュール』についで3作目となる。『わたしが消える』が非常に面白く、『戦火のオートクチュール』も高いレベルの小説であることに驚いた。

    さて本作はどうだろうか。近々、某有料衛星放送でドラマ化されるらしく、味のある表紙イラストを隠すかのように俳優たちの写真のオーバーカバーが掛かっていた。

    本作は地域の同調圧力をテーマにした見事で読み応えのあるサスペンス・ミステリーであった。程度の差はあれど、日本のどこの地域でも起きている同調圧力の嫌な現実が描かれている。良く言えば地元愛なのだが、地域の住人たちが結託し、盲信的に地域を守るということに執着する様子には背筋が寒くなった。


    弁護士の岩田喜久子の法律事務所で調査員として働く真崎雄一は名古屋での仕事を終え、事務所に戻ると岩田から直々に奇妙な依頼を受ける。19年前、岩田が渡米していた時に一家で失踪した同級生の望月良子の娘を名乗る望月麻希という女性が岩田の事務所を訪ね、自分の家族の行方を知りたいと言うのだ。真崎は望月麻希が本当に望月良子の娘であるかを調べるために半年前まで麻希が暮らしていたという施設を訪ね、麻希にも直接事情を確認する。

    突然、場面は変わり、木本俊樹と千春の5歳になる子供の貴之が行方不明になり、何者かに殺害され、変わり果てた姿で見付かる。この事件は望月麻希と関係があるのか……

    真崎は望月家が埼玉の与久那町鳩羽地区の高級住宅街に暮らしていたことを聞き、現地へと向かう。その頃、麻希も自身の家族のことを調べるためにその住宅街を訪れていた。真崎が高級住宅街のことを調べるうちに19年前に起きた木本貴之殺害事件を切っ掛けに、その住宅街での住人たちの歪んだ行動が続いていることを知る。



    作中に描かれるゴミ出しルールを監視するというのは自分もかつて経験したことがある。30年以上前に東北の田舎町の新興住宅地に家を買い、住み始めて数年後、ゴミの分別ルールが厳しくなった。今では当たり前に燃えるゴミとプラゴミ、燃えないゴミとアルミ缶、ペットボトル、新聞紙、段ボールなどの曜日毎の分別である。その地域には元々20軒くらいが暮らしていて、そこに100軒余りの新築住宅が立ち並んだのだ。分別が厳しくなると、新興住宅地が出来る前からの住人で区長が勝手にゴミ袋への記名を決め、住宅地内のゴミ停に出されたゴミの袋を開け、チェックし始めたのだ。そして、ゴミの分別の違反があると住人に直接注意するなどし、新興住宅地の住人からは問題視されていた。その後、市が桜の木の植樹を決めていた団地の中にある公用地を区長が勝手に早い者勝ちで自家菜園の用地にするなどしたことで、ついに住人たちの不満が爆発し、リコールされた。

    その新興住宅地は様々な所からの移住者が集っていたので、極めて民主主義的に自治が行われ、住人同士も普通に交流していた。問題は昔からその地域に住んでいる住人たちだ。外からの移住者を余り良しとはせず、何かにつけて先輩面をして新興住宅地の住人を支配した上に、排他的な態度をあからさまに見せていたのだ。

    今はその家も手放し、全く違う土地に移って、ポツンと一軒家に暮らしているので、嫌な思いをせずに住んでいる。

    本体価格870円
    ★★★★★

    • 土瓶さん
      そんな区長は嫌だ。
      古参の住人も面倒そう。
      そんな区長は嫌だ。
      古参の住人も面倒そう。
      2024/11/20
    • ことぶきジローさん
      古参の住人が住宅地にまで入り込み、ゴミ袋のチェックをしたり、バカ高い金を集めて、住宅地の中に集会所を建てようとしたりと異常でした。集会所は住...
      古参の住人が住宅地にまで入り込み、ゴミ袋のチェックをしたり、バカ高い金を集めて、住宅地の中に集会所を建てようとしたりと異常でした。集会所は住宅地に住む建築会社の方が半分の値段で建てれると言って、建築を引き受けてくれたので、負担金が安くなりました。その田舎町全体が排他的な感じで、古参の住人ばかりで結束している感じでした。今はそこから出られて、せいせいしています。
      2024/11/20
  • 同調圧力。現実にあったら、かなり恐ろしい。でも本当にあり得そうな構成に感服しました。最後もう少しスッキリさせてくれると嬉しかったのですが、内容的には仕方ないのでしょうね。実写も気になります。

  • ちょっと極端な設定な気もするけど「本当のことを知っていながら口をつぐんでしまう」という事は誰にでもあり苦しくなるほどでした。

  • 社会、学校、会社、同調圧力によるいじめがテーマ。
    なかなか読み応えのあるサスペンス小説に出会えました。
    面白かった。

  • 養護施設で育った麻希の失踪した家族を探す法律事務所の真崎
    「安心安全の町」で起きた児童誘拐事件
    2つの物語の真実とは…

    読み応えがあって面白かった!
    衝撃すぎる真相
    同調圧力、集団心理、自己保身…
    ここまでではないにしても誰にでも起こりうる問題だと感じた

  • 2001年に埼玉県のある新興住宅地で6歳の男の子が、耳が切断され殺害される事件が発生。しかし犯人は捕まらなかった。

    事件から23年が経ち弁護士のもとに、望月麻希と名乗る若い女性が訪ねてくる。その住宅地で失踪した自分の家族がどうなったのか知りたい、と言う。過去の幼児殺人事件の裏側にある秘密は、その住宅地の住民らが隠しているのだが、誰もが口を閉ざす。この地域の権力者が恐怖政治を敷き、『同調圧力』により部外者を排除し続けてきたのだ…何かがおかしい、ここの住民は狂っている…弁護士に雇われた主人公は、何者かに命を狙われながら秘密を暴こうと奔走する。(昨年末にWOWWOWでドラマ化され、この主人公は江口洋介が演じたようだ。) 
    (ドラマ予告編)
    https://youtu.be/4DAs0BaRm40?si=-hRfX2B5zrb-pH9p

    もっと身近な話としたら、マンションや分譲地に新しく引っ越ししてきたとしよう。自治会などで既存の住民が納得できない慣習をしている時に、果たして最初から異論を唱え、抗うことができるだろうか。もしかしたら村八分になるかもしれないと不安になり、従ってしまうのが同調圧力であり、誰もが知らず知らずそのルールに加担してしまっているかもしれない。町(マンション)を守るためなら、何をしても正義であるという恐ろしい常識がひょっとしたら身近にあるのかもしれない…

    むかし漫画のデビルマンで、不動明がデビルマンだと分かった地域の住民が、匿っていた牧村家の人々を悪魔が乗り移っていると言って集団で殺害した衝撃的なシーンを思い出した。←マニアックな感想。
    なんかマスク警察とか世の中で言われていた際、嫌な感じしたよなあ…集団心理や同調圧力って、やっぱり怖いよね…

    話が飛躍しすぎたかもしれないが…

  • 嫌な地域だなぁ。しかも被害者の母親の千春さん、実際にあんな風になれるもんなんでしょうか。違和感あり。
    主人公はいいけど、全体的に陰湿な雰囲気で、あまり好きじゃなかった。

  • 段々と明るみに出てくる繋がりがおもしろかった。事件当時の過去と事件を明らかにしようとする現在の時系列が同時並行で語られていて先が気になる構成だった。行き過ぎた同調圧力、皆が自分を守るため、自分の社会に溶け込む為に必死でそのおかしさに気づいていない。ただ、1度同調圧力がかかってしまえば行き過ぎるのには躊躇はほぼ必要ないほどぬるぬるいってしまう人間の弱さを感じた。

  • 初めての作家。
    ほぼ一気読み。
    田舎の町だからこその事件、昔ならあったのかも。
    違う作品も読んでみよう!

  • ある種の洗脳というか、「当たり前」と思っていることが思い込みや同調圧力的なものだったりすることって意外に身近でありそうでこわかったです

  • 同調圧力というものがどれだけ怖いのか、自分たちの『当たり前』が世間の『当たり前』とは違う事に気づかず、一つの事件をきっかけに町民たちの結束は益々強くなっていき反抗するものは許されない…
    時系列がポンポンと飛ぶので少しわかりにくいところもありましたが、最後には点と点が綺麗に繋がる作品でした

  • 誰が言い出したのかも、何が「安全安心」なのかも、曖昧なまま、周りがそう思ってるからと誰もが思っている状況がこわかった。普通の正しさとかはきっと関係なくて、みんなが正しいと思っていることが"正義"なんだろうな〜。一種の宗教のようだなと思った。気づかないうちに街と人に洗脳されていたとしか。

  • WOWOWの連続ドラマの原作。
    養護施設で育った麻紀は、自分の本当の家族を探すうちに、ある町から失踪したという事実に突き当たる。あるきっかけで、法律事務所の真崎と調査をはじめた麻紀は、失踪していた家族がかつて住んでいた街は、異常な雰囲気で外部からの侵入者を排除し、監視、妨害活動が行われていたのである。
    物語は、現在と過去の事件が交差して進行していく。日本社会の多数への変な同調圧力、よそ者排除の心理を巧みについた問題作。あり得ない話だが、あり得そうな怖い日本社会を描いている。

  • 伝染病のように知らないうちに感染してしまっている“同調圧力”。自分は鳩羽地区の住民のようには絶対ならないと言い切れない不安にさらされ、誰もがそうなりえるという恐ろしい可能性に気づいてしまう。
    「正しさ」を盾にしたその空気の圧力に抵抗できる人はどれくらいいるのだろう。
    もう現実に存在していてもおかしくないそんな町の暴走は狂気に限りなく近づいていく。
    主人公の真崎にも弁護士の岩田にも木本夫人にも自分の弱さに負けた過去があり、時を経てその弱さと向き合う生き方が現実でも集団が生む狂気の歯止めになるのかもしれない。

  • 「同調圧力とムラ社会のいやーな本を読むぞ」と手にした本。
    しょっぱなから予想以上に狂っていました。不快をあびれます笑

    それと同時に「正しさとは?」を考えさせられる場面も。
    違法はダメ。でも正しい事をして自分が家族が不幸になる未来しかなかったら?正しさって状況とか誰にとっての正しさかによって変わるものだなと。いじめる奴がいなくなればいい、会社が当たり前に法を守ればいい。でもそうではない。世の中理不尽ですね。


  • あらすじを読んで興味を惹かれて購入した。
    施設で育った19歳の女性がある法律事務所に19年前に行方不明になった彼女の家族について相談が持ち込まれる。
    彼女の家族は埼玉県にあるかつてのニュータウンへ引っ越したあと失踪していた。安心安全な街をうたうその地域は独自のルールがありそれに従わなかった彼女の母親と地域住民が揉めていたらしい。法律事務所の助手をしていた真崎が調査に乗り出すが、自身の娘と彼女が重なり。。
    同調圧力の理不尽さに辟易とするが多かれ少なかれ現実社会にもあるなと少し恐怖した。4.0

  • 自分の生い立ちや家族を知りたくて調べた結果、村八分にされて家族を殺された麻希、愛息子を殺した犯人が街の人だったと知って絶望する木本夫妻、自分はリコール隠しに怯えながら仕事を退職した真崎、
    いろんな人が辛い過去を持っていて読んでて心痛んだけれども、読み進める手は止まらなかった

    同調圧力に屈することなく生きていけるか、隠蔽とか人間の嫌なところが垣間見えた、

  • 私が知っている町にもポツンと孤立した少しばかり高級な一軒家が立ち並ぶ場所がある
    詳しくはしらないが全て自分らの一角の中で
    事を済ましているように感じた
    そこの話を聞いたのはもう何十年も前だけど、今、そこはどうなっているのかなぁと
    考えさせられた 
    怖い話だ
    ラストは光が見えた
    近藤さん、良い人だなぁ

  • 真崎と、木本の2視点から話が展開された。
    最初は、その時系列がわからず、読み進めていた。ただ、途中で2つの物語がリンクし始めて、状況を完全に理解すると、一気に物語に入り込めた。
    逃げる、隠すに対しての人の弱さが書かれていたという印象を受けた。物語を客観視する分には、鳩羽がおかしいと思える。ただ、もし自分が住民になったら、声を上げることができるかと言われると難しいんだろうな…
    同調圧力に逆らうことの難しさを感じつつも、客観視するとおかしな話だからもやもやしながら読んだ。
    100%ハッピーエンドとは言えないけど、面白いお話だった。

    ネガを挙げるなら、中盤の望月麻希の行動について、真崎の管理が甘すぎると感じてしまうところがあった。

  • 胸くそ悪くなる描写がありますが、それだけ感情を揺さぶられる作品でした。本当にこんな町があったらヤバすぎます。

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著者プロフィール

1961年横浜生まれ。99年「島村匠」名義で第6回松本清張賞を受賞。2020年『わたしが消える』で第66回江戸川乱歩賞を受賞。22年、同調圧力がテーマの『誰かがこの町で』が大きな話題に。本書は第二次世界大戦中のものと思われる血塗られたシャネルスーツを巡り、祖母が誰にも語らなかった秘密を解く歴史ミステリー。

「2023年 『戦火のオートクチュール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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