陶淵明 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (2024年12月12日発売)
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本 ・本 (112ページ) / ISBN・EAN: 9784065376492

作品紹介・あらすじ

悠然たる隠遁生活と真実を希求する熱い魂!
「人生の節目」に読みたい、沁みる名詩を味わうコンパクトな一冊

「我、五斗米のために腰を折って郷里の小人に向かう能わず(たかがわずかな俸給のために、下っぱ役人にぺこぺこできるか)」
老荘思想に通じ神仙世界への憧れやまぬ詩人は、職を辞し隠遁生活を愉しむ道を選んだ。
きらびやかな修辞を凝らすのではなく、あくまで平易な言葉で自然と人間の諸相、空想世界の奇想を自在に描き出す陶淵明の魅力を、「帰去来の辞」「桃花源の詩」はじめ厳選の名作で堪能する絶好のガイド!
桃源郷を夢想し山海経の怪しい世界に思いを馳せ、酒と自然を楽しむ「田園詩人」の魅力堪能!

【本書より】
彼は同時代の人々からは、「古今隠逸詩人の宗」と評されて、一風変わったところだけが珍しがられたが、四百年後の唐代になって、白居易をはじめとする詩人たちに見いだされ、唐以前の最大の詩人として高い評価を得るようになった。むしろ陶淵明の文学が時代を先取りしていたとさえいえるかもしれない。
陶淵明から千六百年近くのちのわれわれにとっても、彼の文学は時代の変化を超えてなお新鮮な魅力をもちつづけている。人間らしく生きたいという真摯な願い、現世を超越したユートピアへのあこがれ、そして死を正面から見つめる姿勢、彼の文学が扱うこれらのいずれもが、人間の永遠のテーマといえるであろう。
(中略)
「帰去来の辞」はともすれば悟りすました隠遁者の心境の表白として見られがちだが、実は、社会と自分との葛藤に悩みつづけてきた孤独な人物の苦悩を、新生活の第一歩を踏み出すに当たって、かく生きたいという将来の願望の形で投影した作品と見るのがむしろ妥当ではあるまいか。(本書第1章より)

【本書の内容】
第1章 帰ってきた陶淵明
 帰去来の辞 
 園田の居に帰る 其の一・二・五 
 酒を飲む 其の一・四・五・七・九・十四 
 郭主簿に和す 二首 其の一 
 子を責む 
第2章 ファンタスティックな陶淵明
 五柳先生の伝 
 桃花源の詩并びに記 
 酒を止む 
 山海経を読む 其の一・二・五・九・十
第3章 死を見つめる陶淵明
 雑詩 其の一・二・五・六
 形影神并びに序 形 影に贈る・影 形に答う・神の釈 
 挽歌の詩 三首
陶淵明年譜

*本書の原本は、一九九八年に『風呂で読む陶淵明』として世界思想社より刊行されました。

感想・レビュー・書評

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  • 陶淵明
    講談社学術文庫 2845
    著:興膳 宏
    出版社:講談社

    百頁ちょっとの本書は、陶淵明の特長を良く表しています

     ・帰去来、いざ帰りなん、どうも、宮仕えは苦手のようで、妹の葬儀に出るためとの名目も職を辞している
      どうも、年下の上官に頭を下げるだけの我慢ができなかったようです。

     ・酒が大好きでたくさんの酒の詩をつくっています。
      しかも、みずからの断酒の詩も詠んだのだが、やめることはできなかったようです

     ・不思議な世界を夢見る心、これを本書ではファンタスティックと呼んでいます。
      桃源郷、そして、古代の地誌である山海経を読んで、未知の世界の憧れを詩に託しています

     ・老荘の思想へ傾倒、「時に及んで当に勉励すべし、歳月は人を待たず」は、人とははかないものであるからこそ、人生を存分にたのしめという心を、雑詩にこめている。

    そして、本書は、挽歌の詩、三首で締めくくっています。

     自分の死を、客観的な目で見て、死の世界をリアルに表している。
     そこには、酒をのんでも、死の恐怖からは一時しか逃れられないともある。
     ただし、死後の後悔の言として、生きていた時に、心ゆく酒をのめなかったことが、
     ただ、悔しいことだともあり。
      

    目次
    第1章 帰ってきた陶淵明
     帰去来の辞 
     園田の居に帰る 其の一
      其の二
      其の五 
     酒を飲む 其の一
      其の四
      其の五
      其の七
      其の九
      其の十四 
     郭主簿に和す 二首 其の一 
     子を責む

    第2章 ファンタスティックな陶淵明
     五柳先生の伝 
     桃花源の詩并びに記 
     酒を止む 
     山海経を読む 其の一
      其の二
      其の五
      其の九
      其の十

    第3章 死を見つめる陶淵明
     雑詩 其の一
      其の二
      其の五
      其の六
     形影神并びに序 
      形 影に贈る
      影 形に答う
      神の釈 
     挽歌の詩 三首 其の一
      其の二
      其の三

    陶淵明年譜

    ISBN:9784065376492
    出版社:講談社
    判型:文庫
    ページ数:112ページ
    定価:780円(本体)
    2024年12月10日第1刷発行

  • 陶淵明という詩人を有名な作品とともに紹介。ごく薄い文庫本ながらそこまでの薄さを感じなかったのは、ごく短い文章で様々なイメージを現出させる詩というものを表してるようでもあった。

  • 東2法経図・6F開架:B1/1/2845/K

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著者プロフィール

京都大学名誉教授

「2016年 『中国詩文の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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