睡眠の起源 (講談社現代新書)

  • 講談社 (2024年12月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784065377963

作品紹介・あらすじ

私たちはなぜ眠り、起きるのか?
長い間、生物は「脳を休めるために眠る」と考えられてきた。
それは本当なのだろうか。

新発見!脳をもたない生物ヒドラも眠る――。
世界を驚かせた気鋭の研究者が睡眠と意識の謎に迫る
極上の科学ミステリー!

起きていることは、なんて特別なことだろうか――。
眠りの世界から見えてくる〈生物進化のふしぎ〉

【本書のおもな内容】
●人類は睡眠について何を考えてきたのか?
●眠りが「死の疑似体験」だと解釈された時代
●なぜ寝だめは無意味なのか?
●眠っている脳と起きている脳の違い
●睡眠は「脳を休めるため」ではなかった?
●睡眠を調節する「睡眠圧」と「体内時計」
●眠らない生き物は存在するのか?
●生物の“ほんとうの姿”は眠っている姿
●私たちが眠らなければいけない理由……ほか

【目次】
はじめに――生物はなぜ眠るのか?
第一章 クロアゲハは夜どこにいるのか
第二章 眠りのホメオスタシス
第三章 眠りと時間
第四章 ヒドラという怪物
第五章 眠りのしくみ
第六章 眠りの起源は何か
第七章 眠りと意識

感想・レビュー・書評

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  • 睡眠についての完全解答が得られるわけではない。しかし、睡眠についての過去から現在までの研究の過程、興味深い着眼点、発想をコンパクトにまとめて読むことができる。

  • 生物はなぜ眠るのか?
    若き著著が半生を語りつつ、眠りとは、意識とは、を分かりやすい易しい言葉で丁寧に解説。
    卵と鶏の話ではないけれど、人間は本当に「睡眠」と「覚醒」どちらが先で本来の姿なんだろう。眠りは死の予行練習、と聞いたことはあるが。。考えれば考える程、不思議。
    最後に著者が、研究は自分自身を知りたいと思うこと、と述べている。『私という、存在は何か?自分自身は今、どういう状態なのか?もし死んだら、私の存在や意識はどうなるのか?』
    愛犬の生きた証をもって締めくくる著書の「存在」という意義と彼の優しさにぐっときた。

  • 身近なテーマであるが謎だらけである。
    そもそもなぜ寝ないとならないか?生物にはみな眠りがあるのか?必要なのか?著者の生物への興味の変遷を通して、睡眠の本質へと迫っていく。
    人生90年としても、そのうちの1/3の30年(1日8時間眠れば)は寝ていることになる。纏まった数値で知らされると、何とも非効率な人生に思えてくる。実験を通して、ヒト以外でも次々に眠りに入ることが確認されてきた。驚くべきことに、脳のない単細胞生物でさえ、眠りが必要であるらしい。その仕組みを睡眠の2元モデルで解説しているが、そもそもそのモデルをいつから獲得したか、なぜ必要としたかは謎のままである。麻酔をかけたときの眠りとの違いは何か、そこから意識とは何かまで、深遠なテーマまで突き進んでいく。意識と脳の関係など、いまだにわからない謎への解明に近づくことを期待したい。

  • 生物は元々眠っていたが、進化のどこかで起きている状態を獲得したかもしれない。脳を持たない生物ヒドラも眠ることを明らかにした著者が自身の生い立ちと研究について紹介した本。

    自分と同学年の研究者が書籍まで出す活躍をしていることに驚くと同時に、生物や眠りへの探究心の高さは目を見張るものがありました。あとがきにある、研究は葛藤とともにあり、最善策をとるための思考を繰り返しているという話はとても共感できました。著者が吸入麻酔薬の作用機序を明らかにし、睡眠と意識の謎を解明する日が来ることを願っています。

  • 本当にお若いのに立派です、って言いたくなる。こういう人がいろいろな分野でがんばってくれていることに感謝する。

    我が家の窓辺にオジギソウの鉢を置いているのだが、すこぶる元気に成長している。毎日眺めていて明暗に関係なく大体決まった時間に葉を閉じるのを見て植物なのに体内時計が備わっているのだなあとうっすら思っていたらこの本に300年前にこの植物の体内時計のしくみが発見されたと記述がありびっくりした。

  • ヒドラという脳を持たない生物でも生きる上で睡眠が必要であることを観察で発見し、睡眠とは、意識とは何かを検討します。回想録風の記述が少し気になりました。
    今でも全身麻酔がなぜ効くかわかっていないのは驚きでした。

  • 睡眠とは何か。
    興味があって読み始めたのだけど、欲しい解答には行きつかなかった。

    ただ、眠ることと麻酔で意識を失うことの関係性や、意識を持つとはどういうことかについての、やや哲学的な考察については、興味深く読んだ。

    ヒドラが眠るかという研究の詳細を書いているのだけど、ともすれば結論だけを読んで分かったつもりになってしまうことが、良くないクセだと思う。

    結論を述べるまでには、そう言えるだけの根拠が必要で、その根拠のために多くの時間とひらめきが費やされている。
    研究の、当たり前の労力を、無視してはならない。

    そういう意味では、タイトルの研究結果というよりは、やや随筆的な部分がありつつも、研究することや考えることの大切な部分が見えてくる一冊だった。

  • 幼少期から探究心が強く、小学生はアゲハチョウ、高校ではプラナリア、そしてヒドラに出会い生き物を研究しながら睡眠とは?意識とは?に迫る。
    未だ解明されていないことを取り組みたい実験やどう研究していくか?など赤裸々に語ってくれているのも新鮮でとても読みがいがある。
    分からないこともあるが、それ以上に作者の興味の続いていく様を読ませてもらえるのが面白い。
    まだ27歳の作者、金谷啓之ひろゆき氏の今後に期待!


    夢は生の状態から離れ、死に近づく状態、と言われていた、19c〜20c に精神分析学を唱えたフロイトは、心は、1. 意識 2. 前意識 3. 無意識 の3要素からなると。
    1. 簡単に自覚することができる心
    2. 普段は無自覚、思い出そうとしたり、注意を向けることで自覚する❤️
    3. 心の奥底に隠れて抑圧された感情や願望

    レム睡眠、rapid eye movement 急速眼球運動
    夢を見ることが多く、より起きている時に違い脳波、筋肉は弛緩して体は動かない、睡眠全体の20%程で、後半に多い。
    それ以外をノンレム睡眠という p. 35

    睡眠不足時に眠らせようと抗う力を睡眠化学では「睡眠圧」という、この圧によって、ホメオスタシス(声明がある一定の状態を保とうとする性質)の性質を持つ。なぜ寝だめがダメなのかは、睡眠圧は起きている間に積み上がり、寝ることで解消。蓄積はできないから。 p. 54

    オジギソウがもつ、時間をカウントするしくみ、体内時計によって葉を開閉させていたのだ。人、シアノバクテリア、遺伝子によると発見される p. 64.

    細胞の遺伝情報DNAは基本的に同じ、ただ細胞ごとに
    どの設計図がどのくらいコピーを取られ、どのくらい製造されるのかがことなっている。この差異によって同じ設計図を持っていても異なる働きを持つ細胞に分化する。 p. 66

    ⭐︎⭐︎⭐︎時計遺伝子の情報に基づいて時計タンパク質が作られる。時計タンパク質が溜まってくると、コピー担当の作業を邪魔する、設計図のコピーは永久ではなく、分解されていくため、新たな製造がストップする。
    製造はストップ、分解は進むことで時計タンパク質の量は減っていく。すると邪魔が減り、コピー担当の作業が再開、時計タンパク質の製造が始まる。この1サイクルが24時間。
    光によって調整され、時刻合わせ、が行われるので時差ボケが解消される。 p. 67

    睡眠の二過程モデルは睡眠圧と体内時計。
    睡眠圧が、眠らせようとする力
    体内時計の成分は、起こそうとする力 p. 71

    脳内には、1000億個以上の神経細胞があり、互いに接続して回路を形成。手の繋ぎ目を、シナプスと呼ぶ p. 139

    生まれてきたとき、私たちはもともと眠っていたのか、それとも成長した後にいつしか眠るようになったのか。 p. 149

    麻酔状態からの回復プロセスにオレキシンが関与している。脳内のオレキシンが欠損すると、ナルコレプシーと呼ばれる睡眠発作が起きる。オレキシンを作る神経細胞を破壊しても、麻酔は通常通り作用、導入には関与せず、麻酔からの回復が遅れる、ことが分かった。p. 173

    ⭐︎⭐︎⭐︎睡眠とは何かーそれは、起きている間に蓄積したものを解消する行為、なのだろう
    蓄積していくもの、その実体は、未だ完全に解明されていない。だがその借金が蓄積すれば、脳や体の活動が損なわれるばかりだ。 p.177

  • 僕は終日デスクワークの日はたいてい昼食後15分机に突っ伏して寝ます。
    睡眠不足とかではなく、単にオフの時間を作ると午後の業務に入りやすいから。

    睡眠は身体のリカバリーにも大事ですが、脳を休ませることが主たる目的と思ってました。

    なんと、ヒドラという、脳を持たない単細胞生物も眠るそうです。
    何をもって睡眠というのか、
    意識とは何なのか、
    麻酔にかかっている状態と睡眠の違いとは、

    難しく言えばどこまでも専門用語で押し切れそうなところを、専門用語と平易な例えをうまく織り交ぜて説明してくれる。
    福岡伸一先生やさかなくんさんのような円熟のなせる技と思っていましたが、なんとまた20代半ば。

    未知の領域に飛び込んでいく人は、自分の知らないことを知っているから、人の批判や自己顕示に陥らず、ひたすらにまっすぐで優しい。

    これが初の著書とのことですが、日本の生物学の未来を引っ張っていく存在になるのでしょう。
    名著。

  • オーディブルにて。
    これまで睡眠を向上させるライフハックや健康法のような本は何冊も読んできたが、「なぜ生き物は眠るのか?」という根源の問いは考えたことがなかった。
    睡眠ハック本として読むと期待ハズレかもしれないが、個人的には生物学が大好きなので研究者の考え方、研究の裏事情などが知れて面白かった。

  • 薬理学部院生による、睡眠や意識の研究と、研究の楽しさについて

    著書のクロアゲハやプラナリアやヒドラの研究の様子、また、睡眠、麻酔、意識について過去の研究の大まかな流れが解説されていて、身近で不思議な生物学の世界を味わうことができる

  • 脳を持たないクラゲの仲間(?)であるヒドラが、眠ることを証明した若手研究者による自伝的新書。「睡眠の起源」について説いているというより、自身の研究に至る経緯や、研究の面白さが主眼なのかなと。小中学生の頃から自由研究しまくっている生粋の科学少年が、順調に研究者になっていく様は何というか、頑張ってほしいという気持ちになる。

    ちなみに、睡眠とは何かについても、広く浅く触れられていて、一般教養レベルだけど興味ある人にとっては面白いと思う。最後に意識と麻酔が次のテーマとして少し取り上げられる。麻酔の謎はちょっと興味あるので、今後の研究に期待。

  • 若き大学院生による初の著書。
    だが、侮ってはいけない。「睡眠の起源」と題するこの本の内容に衝撃を受ける。

    人はなぜ眠るのか?という問は古くからある。著者はこの問に対し、脳を持たないヒドラでも眠るという事実を発見する。
    睡眠とは脳の機能の生理的現象ではないのかと思っていたが、よくよく考えてみれば、腸、腸は第2の脳と言われるが、腸があれば、腸が脳の機能を果たすため、脳がなくても睡眠はあるといえるのだろう。

    でもヒドラという生物。遺伝子はヒトより多い3万個あるという。因みにヒトは2万3千個らしい。これを聞いて、はてどう思う?

    睡眠圧
    睡眠のメカニズムは、起きている間に「睡眠圧」が徐々に高まり、眠気を感じ眠りに落ちる。そして眠っている間に「睡眠圧」が解消される。
    「睡眠圧」の実態は、睡眠物質の存在が示唆される。

    睡眠についての印象に残るフレーズ
    生き物は進化の道筋のどこかで睡眠が生じたわけではないかもしれない。
    生き物はもともと眠っていた。そして進化の道筋のどこかで、「起きている状態」を進化させたのではないだろうか。
    生き物は一生のうちに環境の変化に合わせて体の形やサイズを変えるわけではない。世代を経ることで進化している。
    つまり、生きている間は進化しない。世代を経ることで進化する。
    真に興味深い考察だ。

    200ページ足らずの新書であるが、著者の研究者を目ざすきっかけとなったことなど自伝的要素が適度なスパイスになっていて一気に読み進めることができた。
    この本に続き更に面白い本を出してほしい。

  • 一つの事象を深く掘り下げて研究することが、どのようにして普遍的なテーマや大きな真理に結びつくのか、その過程を楽しめた。睡眠に関する知識を提供するにとどまらず、科学の探求そのものの魅力を伝えてくれました。問いから始まり、それを紐解いていく中で、生命の仕組みや進化の神秘に触れるような感覚を味わえた。知的好奇心を刺激し、思考の幅を広げてくれる。

  • 睡眠の本かと思いきや、序盤は27歳とまだ若い著者の、さらにもっと若い小学生時代のクロアゲハの研究から話は始まる。
    幼虫、蛹、蝶の観察日記(ビデオ)で夏休みの宿題とし、それが年々パワーアップ、
    凄い少年がいたものだ、と感心。
    そのまますくすく高校生になり、大学受験をせざるを得なくなって、
    出会ったのがヒドリ。この脳のない、植物だか動物だかわからないものに魅せられ、
    ヒドリが眠る、ということに気づく。
    そこから興味は睡眠へと移り、九州大学で学んでいた彼は東京に出て、
    研究を続ける。
    麻酔が何で効くのかがいまだわかっていないというのがすごい話。
    しかし我々は麻酔に命を預け、手術の痛みから逃れることができる。
    不思議な世界。

    それにしても将来有望、というか、少年の時からすごいこの著者。
    文章も一所懸命だ。自分を惜しみなくさらしている。好感が持てる。
    だがまだところどころ稚拙な部分もあって。
    この辺りは今後腕を磨いてもらおう。
    いずれにしても楽しみな人物だ!

    はじめに――生物はなぜ眠るのか?
    第一章 クロアゲハは夜どこにいるのか
    第二章 眠りのホメオスタシス
    第三章 眠りと時間
    第四章 ヒドラという怪物
    第五章 眠りのしくみ
    第六章 眠りの起源は何か
    第七章 眠りと意識

  • 生物は寝ている状態がデフォルトで、起きると言う機能を獲得した説は面白い

    ヒドラも寝るんなら、寝てるのは脳じゃ無くて、細胞なのかな?

    睡眠の起源ってタイトルの割には、生物学者の話が多かった気がする。

  • 睡眠とは一体何なんだろうか。何故生物は眠るのだろうか。睡眠から目覚めるとはどういうことなのだろうか。私たちは寝て目覚めそして寝るという周期を繰り返している。
    さて、本著では睡眠とは何かという本質的な問いと思索を深める内容である。本著曰く脳の有無は関係無く神経がある生物は皆睡眠するという考察が述べられている。起きている状態が特殊な状態であり、本来の姿は睡眠をしている状態だという。著者の研究として、「神経」の睡眠に焦点が当てられているように感じる。神経として見れば本著が主張するような内容が一つの睡眠としての解釈を紐解く研究として有効に活用されるだろう。
    では、脳を持つまたは意識を持つ生物はどうなのだろうか。睡眠をしている間に人は情報の整理を脳内で行うという。人は起きている間に思考し睡眠中に整理されている。神経が無い生物も同様に整理されているのだろうか。これらの課題や問題はとうに著者は気付いているだろう。本著の内容は脳の有無に優劣は無く等しく睡眠とは何かを問う内容となっている。今後、人工的に神経有無関係無く生物が誕生することだろう。その生物も眠ることが確認されたらそれは正しいと証明されるだろう。もしかしたら、神経では無く遺伝子レベルかまたは更にミクロな話になる可能性もあるだろう。
    私たちにとって睡眠がとても重要なものだ。しっかり眠り回復することは多くの研究から証明されている。本著は純粋に睡眠とはという問いを深める良書であるといえよう。

  • Audibleで聴いた。睡眠の起源というタイトルであるが、なぜ眠るのか、いつから眠るようになったのかは結局良く分からなかった。どこかで述べていたのかもしれないが、聞き逃した。自説でも良いのでまず起源を明確に提示して、その上でその結論に至った根拠や経緯を述べるような構成にしてほしかった。

    本丸のところは良く分からなかった本書だが、いくつか面白いエピソードがあった。
    少年時代のクロアゲハの成育に取り組んだ思い出、植物のような”動物”であるヒドラという無脊椎動物とそれを研究対象に選んでからの一連の発見、韓国の大学での睡眠研究に関する成果交流、吸入麻酔薬の謎など。

    特に最後の吸入麻酔薬の謎が個人的に気になった。以下に引用する。(※耳で聴いてメモしているので句読点など正確な引用ではない可能性有り)
    ”麻酔が効かなかったと言う報告はこれまでない。
    麻酔は薬であるから標的が存在する。その標的はタンパク質である。しかし何のタンパク質に効いているのかわからない。”
    現在につながる麻酔薬が開発、使用され始めたのは1840年頃である。そこから既に180年近く、なぜ効くのか分からないまま使われているということに興味を持った。
    最終章で全身麻酔による意識消失から、意識と睡眠状態についても触れるが結局、両者のつながりがよく分からないまま終わってしまった。
    総じて、冒頭にも書いた通り、タイトルにある「起源」は結局よく分からないものの、睡眠にまつわる最近の研究成果や小ネタ(不眠によるギネス記録など)は多く、読み応えはあった。ただし、オススメしたいかと言われると微妙である。

  • 睡眠に関する様々なアプローチをまとめた著書だが、旺盛な好奇心が研究者として秀でたところだと感じた.多くの科学的述語が出てくるが、初心者にも理解できるような記述で説明しているのに感心した.体内時計、睡眠圧、意識、脳波、睡眠物質、遺伝子などなど.睡眠に関する研究成果も簡潔にまとめており、非常に楽しめた.

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