- 講談社 (2024年12月13日発売)
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感想 : 8件
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Amazon.co.jp ・本 (592ページ) / ISBN・EAN: 9784065378236
作品紹介・あらすじ
新聞社の文化部で各界の著名人たちと交流し、活躍していた姉信子に憧れていた妹の笠原祥子。楽しみにしていた東北旅行に出発した信子だが、行き先の仙台ではなく浜松で踏切事故に巻き込まれ亡くなったという、衝撃の知らせを祥子は受ける。確かに遺されたトランクは姉のもの。だが仕事の手帳がなくなっていた。二人きりの姉妹で、姉は今まで祥子に嘘はつかなかった。誰か同行者がいて、社会的立場上、事故現場から姉を見捨てて逃げ出したのではないか。運よく姉と同じ職場に勤務することになった祥子は、姉の仕事相手のクセの強い著名人たちに、疑いの目を向けていく。そんな中、先輩社員の野口知枝が多摩川川畔で何者かに殺された。この事件を機に社会部の青年記者吉井の協力も得て、姉の死の真相を追いかける祥子だが、手がかりとなる関係者が次々に不審死を遂げる。祥子の見立ては正しいのか? そして姉の死の驚くべき真相とは?
巨匠松本清張の正統派ミステリー、読みやすい新装版に!
感想・レビュー・書評
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最初と途中で色々考察しながら読んでましたが、結末は全然違いました笑
犯人は最後まで分かりませんでしたが、松本清張のミステリーは最後まで犯人が分からないところが面白いです!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新聞社の才媛たる姉信子は妹祥子に告げた行先と違う場所でバス事故死。知り合いの同乗者が見捨てたと推理した祥子は縁故採用で新聞社に入社し各界の著名人達の中に犯人がいると睨み調査するが関係者が不審死を遂げていくサスペンス。
読後感としては祥子及び周囲は信子の優秀さを褒めていたが、寧ろ妹の方が男のあしらい方(主要人物の大半が彼女に肉欲的関心がある様な動きをしている)や事件を調査する行動力が優れている。
警察でないためにアリバイ調査や罠の掛け方が上手くいかずギリギリのところで死人が発生するというのはサスペンスとして上手くできている。あまりにも手際が良いので自分は犯人が解明編まで分からなかった。最後に決着をつけるところがスッキリした。 -
新聞社の文化部の記者として働いていた姉の信子は、目的地と違う浜松でバス事故に巻き込まれ亡くなった。妹の祥子は、仙台に行ったはずの姉が浜松で事故で亡くなったことに不信を抱く。姉の勤め先の新聞社に入社した祥子は真実を探り出そうと奔走する。
女好きの男たち、権力に群がる女たち、昭和のまだ携帯もなく電報や電話でしか連絡がつかない状況ですが、祥子は大好きな姉の死因の真相を探り出すべく、姉の仕事の取り引き先の男たちに絞り込み、犯人を追い詰めていきます。関係者が連続で死んでいくので長編ですが、すいすいと読めました。文章は読みやすいです。
2025年6月18日読了 -
最後のたたみかけるような終わり方が少し残念でしたか、良いテンポで次の事件が起き、ページを繰る手が止まらなかった。妹の行動力がすごい。
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R新聞社に勤め、文化部の記者をしていた姉の信子が死んだ。静岡県の浜松市近くで起こったバスの衝突事故で。休暇を使って伯父の住んでいた仙台に向かっていたはずの姉が何故――? 死んだ姉のハンドバッグからは定期入れが抜き取られていた。誰かが姉と一緒に行動して、死んだ姉を見捨てて逃げたのだろうか。文化部長の口利きで姉の後を継ぐように、R新聞社に入社することになった妹の祥子は、記者として働く中で、姉の同行者をひそかに探しはじめる――。
というのが本作の導入。600ページ近くのそれなりの長さを持った作品ですが、松本清張の淀みのない(そして古びにくい)文章の読み心地の良さもあり、そんな長さを感じない作品になっています。うさん臭さのある犯人候補、連鎖するように起こる事件、孤独な闘いの中で現れる協力者……そして謎を追っていくうちに浮き彫りになっていく真相の〈醜さ〉や〈愚かしさ〉、〈どうにもならなさ〉に、とても魅力を感じてしまいます。 -
1973年の作品。展開が現実的ではないなぁと思う部分はあったがグイグイと読ませる力はさすが。姉のバス事故死に同伴者がいたのだろうと推測した妹が同じ新聞社の記者になり調べ始めるというストリー。怪しいと思う地位も名誉もある6人の男。その男達全員が好色で隙あらば、と主人公に近付いてくる様子が今騒がれているフジTVの○接待とダブって仕方がなかった。最後まで全く犯人、わからなかった。
著者プロフィール
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