土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る (ブルーバックス)

  • 講談社 (2024年12月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784065378380

作品紹介・あらすじ

【話題沸騰!続々重版、7万部突破!!】

■書評・著者出演、続々!
産経新聞(2025/2/09)、日経新聞(2025/2/22)、読売新聞(2025/3/16)、朝日新聞「売れてる本」(2025/5/10)、日経サイエンス(2025年4月号)、ダ・ヴィンチ(2025年4月号)、NHKラジオ「高橋源一郎の飛ぶ教室」(2025/4/18)、TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」(2025/6/8)、文化放送「ReHacQ R大学 教養学部」、YouTube「TBS CROSS DIG」、ほぼ日の學校……
〈第41回 講談社科学出版賞受賞作〉

「生命」と「土」だけは、人類には作れない。
――謎に包まれた土から、地球と進化の壮大な物語が始まる。

現代の科学技術をもってしても作れない二つのもの、「生命」と「土」。
その生命は、じつは土がなければ地球上に誕生しなかった可能性があるという。
そして土は、動植物の進化と絶滅、人類の繁栄、文明の栄枯盛衰にまで大きく関わってきた。
それなのに我々は、土のことをほとんど知らない。
無知ゆえに、人類は繁栄と破滅のリスクをあわせ持つこととなった。
そもそも、土とは何か。
どうすれば土を作れるのか。
危機的な未来は回避できるのか。
土の成り立ちから地球史を辿ると、その答えが見えてくる。
『土 地球最後のナゾ』で河合隼雄学芸賞を受賞した土の研究者による、待望の最新作!


【本書の内容】
第1章 すべては粘土から始まる
第2章 生命誕生と粘土
第3章 土を耕した植物の進化
第4章 土の進化と動物たちの上陸
第5章 土が人類を進化させた
第6章 文明の栄枯盛衰を決める土
第7章 土を作ることはできるのか

みんなの感想まとめ

生命と土の関係を探る本書は、地球の歴史や進化の過程を通じて、土がどれほど重要であるかを示しています。著者は、土が生命の誕生に不可欠であり、動植物の進化や人類の文明に深く関わってきたことを解説します。特...

感想・レビュー・書評

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  • 騙されてはいけません

    本書『土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る』はスコップを持って森の中を駆け廻るおっさんとして有名な農学博士藤井一至さんが、土のなりたちと生命の誕生と進化について分かりやすく解説してくれる一冊

    だがしかーし!
    騙されているぞ!
    本文から引用してみる

    「植物と共生微生物の関係は一方通行ではなく、4億年かけてお互いに要求しあってきた。その緊張感はラーメンの名店と常連客のようだ。」

    いや、分かりやすいか?w
    面白いとは思うがむしろ分かりづらいわ!( ゚д゚ )クワッ!!

    こんな表現が、もうやめて!ってくらい出てきます
    言いたーてしゃーないんやろな

    で、土ですわ!
    めっちゃ疲れてるみたいなんよ
    人増えすぎ問題によりめっちゃお疲れ
    自然な状態の土が生み出せる量の食料を大幅に上回る量の食料を作り続けてるわけだからね
    なんなら捨ててるし

    土ってのは今のところ人工的に作り出すのが無理なわけ
    どうすんのよ?
    このまま行くと人類絶滅よ
    まぁそれはそれでしゃーなしって気もちょっとするけど
    藤井のおっさんは諦めておりません

    藤井のおっさんが示してくれた道標については、本書を読んで頂くとして、とりあえずわいは、ごはんは残さず食べよう!って思いました

    小学四年生か!

    • 1Q84O1さん
      けど、ひま師匠なら土が無くても光合成だけで生きれそう…
      けど、ひま師匠なら土が無くても光合成だけで生きれそう…
      2025/08/26
    • ひまわりめろんさん
      一Qさん

      結局のところヒーローってそうなんよね
      ピンチをチャンスに変える的なね
      一Qさん

      結局のところヒーローってそうなんよね
      ピンチをチャンスに変える的なね
      2025/08/26
    • 1Q84O1さん
      つまりは藤井さんがヒーローってことで
      つまりは藤井さんがヒーローってことで
      2025/08/26
  • オウディブルで読了。めっちゃ勉強になった!土や昆虫や生き物にまた愛を感じるようになった。文庫でも文字数はびっしり!内容も盛りだくさん!
    最先端の研究が面白い!土は人が作れないもの。人間を生物としてみれるから、学術書は謙虚になれる。

  • どちらかと言えば文系なので、ブルーバックスは敷居が高い。対策として「毎晩コツコツ」で攻略した。土というもの、化学肥料を使うということ、などを学べた。まったく、まだまだ研究すべきことはたくさんある。なのに拝金教の連中ときたら!

  •  最近、我が家で庭づくりを楽しんでいるのですが、当然、土作りに関心が湧いてきています。実際コンポストも試しているのですが、そんななか本書を知人に教えてもらい、早速読み始めました。


     著者の藤井さんは、土の研究者で農学博士の方です。本書を読んで感じたのは、喩えが上手で科学の話をしているけど、私は内容がすんなりと入ってきました。地球をお母さんに喩えたり(46億年を46歳に)、分子構造をラグビーのスクラム(3つの分子列層の下の層には2つの分子列が層をなす)に喩えたりしています。


     また、46億年史としては、植物史は初めて知ることが多く、動物史は楽しく読ませてもらい、人類史は直立二足歩行仮説の様々な説(のんべぇ仮説、イクメン仮説など)笑いながら読みました。


     土に関して言えば、粘土と微生物が重要な役割を担っていることを学ぶこともできます。田んぼのひび割れと下痢止め薬が同じスメクタイト粘土から出来ていたり、微生物は常に数種類が共生して土をつくっていることなどです。ミミズの話もあります。


     本書の狙いは、地球史を追体験して、土と生命と文明の生成レシピを復元することや、それらのリスク(特に文明のリスク)を調べること、にあるのですが、パソコンや植物が土から出来ていることを考えただけでも、我々の文明は砂上の楼閣という喩えが、直接的に当てはまっているのがズシンときます。


     藤井さんは、家のプランターのイチゴ栽培などの視点から、土をつくることの難しさを実感し、それでもやり方次第では不可能ではなさそうという人工土壌への希望を書いていますが、悲観も楽観も携えた文章で書かれていて、等身大の回答だなあと好意的に受け止めました。


     帯にもあるように、「生命」と「土」だけは、人類には作れない。こう結論づけると研究者としてどうなの!?と思ったりもしましたが、実際のところ、生命は倫理的にどうなのかがあるし、土においては、微生物と腐植、相互作用と循環など、めちゃくちゃ複雑な集合体が土壌の本質なので、庭の土づくりと違って不可能に近いことがわかりました。


     土の喩えじゃないですが、泥臭くやっていくしかないのかなと思ったりです。私としては、庭づくりをして、土を身近に感じていきたいと思いました。

  • 冒頭の”はじめに”の「全知全能にも思える科学技術をもってしても、作れないつのものが2つある。「生命」と「土」だ....」で引き込まれて読みました。
    化学が得意ではない私は全てを理解できたわけではないのですが、文明・人類・進化の壮大な歴史の中で、「土」が果たしてきた役割、凄さが分かった気になりました。「土」は全生命の循環をつかさどるシステムを更新し続けてくれている。
    著者のどくとくの比喩・表現にも楽しませてもらいました。読了=面白い授業を聴かせてもらったという感じ。ブルーバックスは面白いものがありますね。

    第1章 すべては粘土から始まる
    第2章  生命誕生と粘土
    第3章 土を耕した植物の進化
    第4章 土の進化と動物たちの上陸
    第5章 土が人類を進化させた
    第6章 文明の栄枯盛衰をい決める土
    第7章 土を作ることはできるのか

  • すごいです!

    現代の科学技術をもってしても作れない二つのもの、
    生命と土。

    このキャッチーな帯のコピーに誘われて、
    手軽な薄さのブルーバックスを開いて、
    ところどころにオヤジ的語呂合わせが散りばめられている読みやすい文章、わかりやすい例えに助けられて
    なんとか本のあとがきまで流れ着きました?
    今まで考えたこともなかった
    土の歴史や正体を教えてもらいました。

    粘土が生命誕生に深く関わっていた、という話も
    壮大で本当に楽しかったです。
     窒素がほしいとか、カリウムイオンを動物は求めるとか、自分不器用なんで自覚したことないですが、
    そんな話のあれこれがとってもとっても面白かったです。

  • 藤井一至「土と生命の46億年史」 日常から生命史を読み解く|好書好日 2025.05.13
    https://book.asahi.com/article/15756435


    第1回 「世界の見え方が変わるほどの衝撃」をおぼえる土の研究 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト 2025年12月10日
    https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/19/120800062/120900001/

    藤井一至|note
    https://note.com/virtualsoil

    『土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る』(藤井 一至)|講談社
    https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000404469

    -----------------
    自給自足したいので、土のお勉強しようかと思ってます。。。ᓚᘏᗢ

  • 土とはいったい何なのか。なぜ人工的に作り出すことができないのか。この問題に答えてくれる書物です。
    土をキーワードにして、太古からの歴史が語られます。生命の誕生や石炭、石油の成り立ち、植物との関係、農業の誕生などありとあらゆる現象が、土との関係性で解き明かされるのは、感動的ですらあります。
    ヒトの腸内環境と土壌の中の対比も面白く、ブルーバックスらしい一冊だと感じました。

  • 土から紐解く生命の誕生と進化、更には人工的に土が作れるのかについてまで話を広げる。これが面白い。いつも当たり前にある土なだけに、土の大事さに気づいていなかったが、この本をきっかけに土がいかに人類の発展に寄与したのかを知る事になった。人間が土に振り回されてきたという表現も納得できる。
     難解な文章もなく、面白おかしく読む事ができ良著だと思う。

  • 土からみると恐竜の絶滅も人類誕生もカブトムシに比べてクワガタムシの種類が多いのも、わかって面白い
    久しぶり、続きが気になって止められない本を読んだ

  • 地球史と生命史を「土」を主役に大胆に概観した科学読物。
    著者の藤井一至さんは土壌学・生態学の専門家。日本や世界のさまざまな土をスコップで掘り返し、多くの科学者とは違った視点から生命循環システムを研究されています。

    46億年前、原始の地球が岩石の星だった頃、風化が進みマイナス電荷を帯びた粘土が生成されました。その特性によりプラス電荷のアミノ酸やアンモニウムイオンを引き寄せ、ペプチドやタンパク質の合成が可能になったという説が紹介されます。
    地球上に現れた地衣類が岩を少しずつ分解し、植物と土壌中の微生物群が協力しあって、豊かな土を育て上げます。
    そして、地上に動物が進出してきた後、ミミズなどの土壌動物は“耕す”“混ぜる”働きを担い、土の質を向上させます。

    複雑な進化を経て誕生した人類と土壌の関係が農業の発展を中心に論じられます。しかし、土も寿命があります。化学肥料への依存や土壌劣化、循環型仕組みを忘れた農業のダメージなど、持続性に関する問題も指摘します。

    終章は「土を作ることはできるのか?」の考察。著者は現代の技術でも土と生命を人工的に再現することはできないと断言。何億年にもわたる鉱物と生命の相互作用により形成されてきた複雑なシステムを人工的に作るのが無理なことは本書を読めばわかります。人工土、火星の砂上での土づくり実験など人間なりの模索も行われていますが、著者は「土壌劣化への反省に立てば、既存の土を守ることこそ王道で、人工土壌は邪道に見えるかもしれない」と人工土壌の開発に疑問を呈します。
    本書を読み終えると「人類は、土という究極の知性と一緒に進化してきたし、これからもできるはずだ」と著者の最後の一文が理解できます。

    本書は教え方の上手な高校地学あるいは化学の先生の授業を聞いているような印象。例えば、土が「砂と粘土と生物遺体に由来する腐植の混合物」で「数十億年にわたる鉱物と生命の相互作用のたまもの」であることについて、太古の海と似た環境として現在の水田、植物が上陸したころの地上の岩石砂漠を舗装道路を例に挙げて説明します。
    ただし、糸井重里さんの推薦文「気楽に読み始めてください。とんでもないところまで連れて行かれますから」というのは嘘で、相当の集中力がないと本書は読めないと思います。図は豊富ですが、化学式も多く、気楽に読んでも本書は理解できません。また、本書の内容も地学、化学、進化論、農業、環境問題等多岐にわたり若干わかりにくい点もあります。
    ただし、本書を読むと、土の重要性、土との付き合い方の大切さが身に染みて理解できます。
    一読の価値はあります。

  • ●土を主題に、地球の誕生から生命の発生とその進化の歴史をわかりやすく紐解く本。
    ●土と生命がどのように関係しているのかを知る。→思いの外、土が生命誕生に寄与していたことがわかった。
    ●本書は、地球46億年の歴史を「土」という視点から、全く新しい進化の物語として描き出す。驚くべきは、生命誕生の鍵を握っていたのが「粘土」のネバネバとした電気的性質だったという指摘だ。アミノ酸を集めてタンパク質へとつなぎ合わせる「ゆりかご」の役割を粘土が果たしていたというのは初耳だった。さらに、植物が陸に上がり、キノコと「軍拡競争」を繰り広げ、その結果として石炭ができたり地球が寒冷化したりしたというプロセスは、土が単なる受け皿ではなく、気候や進化を操る主役なのではないかと思えてくる。我々の存在そのものが、地球の薄い表層にある「土」のドラマの結果であると知ると、足元を見る目も変わってくるのではないだろうか。「土」というありふれたものが主題なのに、なんともスケールの大きな一冊だった。

  • 「生物学者なら遺伝子から40億年の生命史を、地質学者なら鉱物や化石から5億年の大地の歴史を私よりうまく語るかもしれないが、土の研究者が語る違いは、これからの生活に生かそうとする執念にある」(P182)そもそも「土の研究者」って光を浴びたことがあるかな?砂漠の緑地化のプロジェクトでは植林の専門家が、農地の土壌改造には農業の専門家が、出てきたような印象、「土の専門家」という存在を初めて知ったかもしれません。その専門家が「土は人間に作れない」とはっきり宣言するのに動揺しました。命でさえ実験室で産めれるかも…という時代に、足の下の誰も知らないワンダーランドの扉を開けてもらったような気がします。そもそも「土とはなにか。」さえ知りませんでした。今、現在、人間が作れない二大オブジェクト、土と生命…『土と生命の46億年史』売れているのを納得しました。特に第5章「土が人類を進化させた」第6章「文明の栄枯盛衰を決める土」第7章「土は作ることができるのか」と続くラストのドライブ感は新しい感覚を与えてくれます。読み終わって聖書において神が土からアダムという命を作ったという物語と循環しているような気分になりました。宇宙というマクロでもなく量子というミクロでもなくミドルサイズの日常生活のサイエンス、面白い!家庭菜園のプランターのオクラの大宇宙、大神秘!

  • 土の歴史や進化の謎、これからの可能性がとても解りやすく書かれていて、とても興味深かった。
    講談社科学出版賞受賞作

  • 「人間に土を作ることができるか」という問いを掲げ、作るためには理解しないといけないと、土の誕生と進化を解き明かす本である。まず土とは何か、土とは岩石が崩壊して生成した砂や粘土と生物遺体に由来する腐食の混合物である。そのうち粘土は、アルミニウムやケイ素などからなる結晶構造を持つ鉱物で、生命のゆりかごでもあるという。そして、5億年前に植物が陸地に上陸して生物遺体が加わり、ついに土が誕生した。土は、今も多様な粘土と無数の微生物が相互作用する複雑なシステムとして進化している。しかし、人類は土を消費し続けてきた。著者は、インドネシアで土の再生に取り組んでいる。土は人類の危機を警告し、未来への希望も語る。

  • 土がめちゃくちゃ好きな著者の土への愛が詰まった一冊。
    生命の進化について、"土"という観点から読み解いていくのが面白い。
    46億年という長い長い時の流れに思いを馳せる。

  •  この本『土と生命の46億年史』も、実に刺激的な本だった。時間軸が、地球誕生から今日までの46億年というスケールが素晴らしい。土と生命の相互関係について、46億年の歴史絵巻のように説明してあるのがすごい。それに、図が豊富で、わかりやすく説得力がある。こういう刺激とノイズの多い本は、レビューが書きにくい。1番のノイズは、「土と生命が作れない」ということだ。生命が作れないことはわかっていたが、まさか土までもが作れないとは。両方に共通する作れない理由は、「時間がかかる」ということだ。

     岩石から土に行く過程で、粘土が重要な役割を果たす。構造的に粘土はマイナス荷電する。その粘土に、アミノ酸や成分が吸着され、それが生命を作る要因になったという話は、ロマンがあっていい。若い頃オパーリンのコアセルベート論に興味を持っていた。

     オパーリンは、原始大気と、強力な紫外線や雷、火山活動などによるエネルギーの作用によって、メタンやアンモニアといった無機物から、アミノ酸や糖、核酸といった有機物が合成された。合成された有機物は、やがて原始的な海に蓄積し、高濃度の有機物溶液である「原始スープ」が形成された。この原始スープの中で、有機物が集合して膜を持つ微小な液滴「コアセルベート」が形成された。コアセルベートは、内部と外部の環境を分け、物質の取り込みや排出を行うことができると考えられた。オパーリンは、このコアセルベートが生命の原始的なモデルであるとした。多分、原始スープと著者のいう粘土の働きで、コアセルベートができたのではないかと、本を読んで思った。

     沖縄から福島に来て、一番関心があったのは、土壌のセシウム汚染だった。除染事業はかなり進められて、福島の農業が再開している。山林の除染は放置されている。植物によるファイトメディレーションでセシウム吸着できないか?を色々試行錯誤している。ウクライナにおいて、ひまわりが使われたが、日本ではほとんど効果がないことが実証されている。現在は、Xという植物が可能性があるのではないかと思っている。

     この本の中で、岩石が土に変わるタイムカプセル実験があった。従来は、自然の営みによって、1センチメートルの土がつくられるのには、100〜1000年もかかるとされていた。奄美大島の岩石風化実験で、岩石を砕いたものを、ナイロンストッキングに詰めたものを埋没し、40年経って掘り出したら、ナイロンストッキングは残っていたが、コロコロとした数ミリの団粒構造の塊を見つけた。それはミミズと腐植によって、黒い土になった。土のようなものは40年で生み出した。すごく、気の長い実験であるが貴重な実験でもある。

     タイムカプセル実験のことを考えていたら、放射性セシウムの半減期は30年だという。そうだ。30年のタイムマシンがあれば、なんとかなると思った。タイムマシンの本を探して読んでも、映画の世界(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など)でしか実現できていない。とにかく、福島県内の除染で発生した除去土壌(除染土)は、東京ドーム約11杯分に相当する量が中間貯蔵施設に保管されている。2024年12月時点で、その量は約1,400万立方メートルだという。
     つまり、東京ドーム11個分のタイムマシンを作ればいいのだ。現在は、人間の影響のないベクレル基準を作られて、福島県以外にばら撒くことが法律で決められていて、首相官邸の庭がまず最初だという。その土は、福島の農産物を育ててきた豊かな土で、それこそ数百年の歴史を持った土なのだ。

     タイムマシンの理論は、アインシュタインの特殊相対性理論によると、光速に近い速度で移動すると、時間の進み方が遅くなる。例えば、宇宙飛行士が光速に近い速度で航行するロケットに乗り、宇宙を旅して地球に帰還した場合、地球上にいた人々よりもわずかに時間が遅れて進んでいることになる。これだと、半減期が遅くなるだけだ。欲しいのは、時間を進めるタイムマシンだ。ふーむ。著者によれば岩から土ができるのに40年というから、セシウムの半減期に近い。やっぱり、時間を早めるタイムマシンを作るべきだ。デロリアンを発明したドクに福島に来てほしい。ワームホール理論もあるそうだ。いや、ちょっと本書から離れすぎた元に戻そう。

     土と同じような機能を持った土を作ればいいというアイデアで、篠原信さんとTowingが土壌を作った。そこに重要な役割は硝化菌が重要だった。それによって、月や火星でも野菜ができるという画期的な話だ。

     旧約聖書『創世記』第2章
    「主なる神は、土の塵で人を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。主なる神は、野のあらゆる獣、空のあらゆる鳥を土で形づくり、人間にそれらの名をつけさせるために、人間のところに連れて来られた」というから、土を作れないと人間が生まれなかった。それも土ではなく、「土の塵」なのだ。

     植物は、地上に上がり、根っこを生やしていく。そして、根は信号を出し菌根菌を引きつけ、効率的な栄養分の活用をする。陸上植物の8割が菌根菌と強制するようになる。そして、植物は木質化していくが、セルロースを分解するものがいなくて、そのまま蓄積され石炭となる。ところが、菌根菌が進化してセルロースを持ったキノコになり、キノコが枯れた木を分解する。さらに、硬い木質を作る。キノコと植物の共存と競争の世界が生まれる。その歴史が、今日まで続いてきた。

     植物が誕生することで、腐植ができ、土になる。その土をさらに植物が活用することで、植物の多様化が生まれる。そして、菌根菌、キノコと、植物のリグニンを分解する。カンブリア大爆発が海で起こった。海から陸地に動物が移動する。海水の塩分濃度は、3.4%。人の血液の塩分濃度は、0.9%。海のサカナ、クジラ、ミミズも塩分濃度が0.9%。高い塩分濃度を嫌って陸地に上がったという説は、おもしろい。

     4億年まえにミミズが地上に現れ、今日まで地球の土を耕している。「花の4億年組」は、ミミズとトビムシ。脚はゼロであり、無数だ、「森の3億年組」が、ゴキブリやシロアリなど昆虫の脚6本になった。土の上がでこぼこから歩きやすくなったからだ。そして、脚4本の両生類として上陸し、恐竜や動物になり、やがては2本脚の鳥類や人になった。土に積極する足が変化していく。この見方、おもしろい。
     土と密接に関係して、進化したのだ。石炭紀には、酸素が多く、二酸化炭素が少なくなって、巨大な節足動物が跋扈していた。その後酸素が減って、巨大な節足動物はいなくなった。
     2.5億年まえに、シベリアの巨大噴火が起こり、地球深部のニッケルが大量に撒き散らされて、メタンを発生させる酵素を作ったという説明は、ドラマチックでもある。海中の酸素がなくなり、大量絶滅を迎える。三葉虫は絶滅に、三葉虫と共通の祖先を持つダンゴムシは生き延びた。
     そして、爬虫類の世界になり、恐竜が登場することになる。

     熱帯雨林で南米とアフリカは、アカシアのマメ科が多く、リグニンが少なく南米ではカブトムシ、アフリカではハナムグラやフンコロガシ、東南アジアはフタバガキやブナが多く、リグニンが多くクワガタムシが多い。それは、土壌が酸性が強いからだ。土によって、昆虫の育ち方が違う。

     レビューを書いているとキリがないや。本を読んだ方がいい。その方が、よっぽどおもしろい。
     陸上生物が毎日の食料を得ている土の物質循環に着目する。肉食系のネアンデルタール人は消え、雑食のホモサピエンスが生き残った。
     20万年に過ぎないホモサピエンスの文明がなぜこんなに早く危機に直面したのか?どうすれば持続的継続的に発展できるか?を問いかける。

     著者は、「超多様性と超個体という性格をあわせ持つ微生物群集が有機物を循環させながら腐植を作り、砂、粘土と相互作用を展開しながら立体構造(団粒な ど )を作る自律的 、持続的な生物と鉱物の集合体が人工土壌にも適用できる土壌の本質である。」と定義する。

     土壌の本質の定義は、微生物の活動が土壌の骨格を形成するという考え方に基づいている。「超多様性」とは、土壌には信じられないほど多種多様な微生物(バクテリア、カビ、放線菌など)がいることを指している。種類が多ければ多いほど、環境の変化に対応しやすくなる。「超個体」とは、これらの微生物が個々ばらばらに活動するのではなく、まるで一つの巨大な生命体のように協力し合って機能している状態を指す。土壌中の微生物たちは、多種多様なメンバーがチームとして働くことで、効率的に土壌を形成する役割を担っている。

     微生物は、枯れた植物の葉や根などの有機物を分解し、植物が吸収しやすい栄養分に変える。この分解の過程で、「腐植」と呼ばれる、黒くて安定した有機物ができる。 腐植はスポンジのように水分や栄養分を蓄え、土壌の肥沃さを高める。微生物が作り出した腐植は、砂や粘土の粒子とくっつき合う。これらの粒子が、微生物が出すネバネバした物質(多糖類など)によって接着され、まるで小さな集合体のようにまとまり、この集合体が「団粒」である。この定義は、人工的に作られる人工土壌でも、微生物の力を借りてこの「団粒構造」を作り出すことが、良質な土壌を作るための鍵であると示唆している。

     土が、生命を育み、育て、植物から動物と付き合ってきた。そのおかげで植物も動物も人間も進化したのだ。まさに、土は生きているし、土を離れては生きられない。そのことを明らかにした本書の功績は大きい。

  • 大人だけでなく、中高生にもお勧めしたい。この本の前に出版された同著者の本も何冊か読んだが、ブルーバックスはイラストや写真、身近な比喩表現と簡潔な文章で、一般の人にもよりわかりやすい内容になっていると感じた。
    遅れ馳せながら、松原タニシ氏との対談も動画配信で拝見した。「土に還る」という表現があるが、この言葉の奥深さを改めて考えるに至った内容だった。

  • 土を知らずに、私は生きてきた

    『土と生命の46億年史』藤井一至 著を読んで

    孫と絵本を読んでいた時、ふと「土」という言葉が心に引っかかった。

    土なんて、そこにあるものだと思っていた。
    畑にも、山にも、道端にも、庭にも、当たり前のようにある。
    歩けば靴につき、雨が降ればぬかるみ、乾けばほこりになる。

    でも私は、その土について、今までほとんど何も考えてこなかった。

    この本を読んで、正直に言えば、地球の成り立ちや、岩石がどう変化して土になるのか、微生物がどう働いているのか、その細かな仕組みを全部理解できたわけではない。

    それでも、大きく一つだけ感じたことがある。

    土は、ただの地面ではない。
    生命を支える、大きな循環そのものなのだ。

    土は、簡単には作れない

    本の中で強く残ったのは、現代の科学技術をもってしても、作れないものがあるという話だった。

    それが、生命と土。

    人間はビルも車もAIも作る。
    工場で肥料を作り、農作物の収量も増やしてきた。
    けれど、本当の意味での土は簡単には作れない。

    石が風化し、粘土になり、微生物が働き、植物や動物の命が重なり、長い時間をかけて土になっていく。

    そこには、人間の都合では短縮できない時間がある。

    私は建築の仕事をしているので、鉄やコンクリートや構造物については日頃から考えている。
    けれど、その下にある土については、あまりにも当たり前すぎて見ていなかった。

    家も、工場も、道路も、田んぼも、すべて土の上にある。
    そのことに、今さらながら恥ずかしさを覚えた。

    食べ物も、山も、海もつながっている

    この本を読んで驚いたのは、人類の食料の大部分が、直接的にも間接的にも土に依存しているということだった。

    米も、野菜も、果物も、草を食べる動物も、結局は土から始まっている。
    魚介類も、海だけで完結しているわけではない。
    山から川へ、川から海へと栄養が流れ、海の命も支えられている。

    山の環境が、海の環境にもつながっている。

    私は今まで、山は山、川は川、海は海と別々に見ていた。
    けれど本当は、すべてが循環の中でつながっている。

    家計でいえば、収入と支出のバランスが崩れれば、貯金は減っていく。
    土も同じで、循環する力を超えて取り出し続ければ、やがて土の力は弱っていく。

    これは農業だけの話ではなく、人間の暮らし方そのものの話だと思った。

    土が疲れるということ

    人類は、食料を増やすために耕地を広げ、やがて面積あたりの収穫量を増やそうとした。
    その大きな力になったのが、窒素肥料だった。

    これは大発明だったのだと思う。
    多くの人が食べられるようになったことは、否定できない。

    ただ、その便利さの裏側で、土が疲れている。

    人間の体も無理をすれば疲れる。
    会社も無理な経営をすれば持たない。
    土も同じなのだ。

    自然の循環を超えて、人間だけが取り出し続けている。
    このことを考えると、少し怖くなる。

    恥ずかしさから、敬意へ

    この本を読んで一番感じたのは、知識が増えたことよりも、自分の無関心への恥ずかしさだった。

    私はこれまで、山も海も田んぼも花も、たくさん見てきた。
    写真も撮ってきた。
    でも、そのすべてを支えている土のことを、ほとんど考えてこなかった。

    けれど、その恥ずかしさは悪いものではない。
    知らなかったことに気づくと、世界の見え方が少し変わる。

    道端の土も、田んぼの泥も、山の斜面も、ただの地面ではなくなる。
    そこには、長い時間があり、生命の積み重ねがあり、見えない微生物たちの働きがある。

    私はこの本を読んで、土に対して少し頭を下げたくなった。

    足元にある奇跡

    未来の住宅を考えるなら、建物の形や性能だけでは足りない。
    その建物がどんな土地に立ち、どんな自然の循環の中にあるのか。
    災害に強い住宅、気候変動に対応できる住宅を考えるなら、土や水や山や海のつながりを無視してはいけない。

    土は、ただ建物を支える地盤ではない。
    生命を支える基盤であり、人間の暮らしの根っこなのだ。

    土は、当たり前にあるものではなかった。
    時間と生命と循環が重なって生まれた奇跡だった。

    孫と絵本を読んだ時に引っかかった小さな言葉が、こんな大きな世界につながるとは思わなかった。

    足元にあるものほど、見えにくい。
    でも本当に大切なものは、いつも足元から私たちを支えているのかもしれない。

  • 普段気にすることもない土。家庭菜園始めてから、連作障害とか土の繊細な一面を知ったが、46億年の歴史。目から鱗、その奥深さに畏怖の念すら抱いた。地平線まで土に覆われたデカン高原の大地が頭に過ぎる。

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著者プロフィール

国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所主任研究員

「2022年 『土の大研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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