軽いめまい (講談社文芸文庫)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 講談社 (2025年1月13日発売)
3.67
  • (4)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 182
感想 : 6
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784065381410

作品紹介・あらすじ

郊外の住宅地にある築七年の中古マンションで、夏実は夫と小三と幼稚園児二人の息子と暮らしている。専業主婦の暮らしに何といって不満もなく、不自由があるわけでもない。けれど蛇口から流れる水を眺めているときなどに覚える、放心に似ためまい――。
1990年代の東京。「中産階級」の変わることのない日常。2023年にポリー・バートンによって英訳され、ニューヨークタイムズやアトランティック誌で書評されるなど話題となった。
生活という日常を瑞々しく、シニカルに描いた傑作中編小説。


ケイト・ザンブレノ
「あまりに退屈で売春を始める主婦たちの話が気の利いた挿話として登場するように、たとえばブニュエルの、たとえばゴダールの、たとえばシャンタル・アケルマンの、売春する主婦たちについてのあらゆる映画への目配せがこの小説には見られるのだが、ただしこの小説の中では何も起こらず、退屈そのものがポイントで、じゃがいもの皮はただ剥かれ、皿はただ洗われ、けれど時々、ほんの時折、家事にまつわる瞑想的な瞬間、クラクラするような、あるいはぼうっとするような感覚がふと訪れることがあり、たとえば洗い物をしているとき、蛇口から紐のように絶え間なく流れ出す水や、流れていく水のきらめきに心を奪われてしまう、それこそがポリー・バートンによって「軽いめまい(ルビ:マイルド・ヴァーティゴ)」と訳出された感覚で、この言葉は小説の八番目のセクションのタイトルにもなっている。」
 「解説」より

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 軽いめまい 金井美恵子 講談社 | 白い木蓮の花の下で(2015/03/11)
    https://shiroimokuren.info/842/

    金井美恵子『軽いめまい』感想|あ げ こ(2021年3月4日)
    https://note.com/ageageco/n/nb36b03faa569

    金井美恵子さん海外で脚光 ノーベル文学賞、予想上位 描写や文体、英訳が評価:山陽新聞デジタル|さんデジ(2024年11月22日 有料記事)
    https://www.sanyonews.jp/article/1641804?rct=prime_special

    第30回 あれやこれや③|重箱の隅から|金井 美恵子|webちくま(2024年12月12日更新)
    https://www.webchikuma.jp/articles/-/3744

    『軽いめまい』(金井 美恵子,堀江 敏幸):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000202436

    軽いめまい 金井 美恵子(著/文) - 講談社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065381410

  • 金井美恵子作品に触れるのは初。
    2023年にポリー・バートンによって英訳されてからニューヨーク・タイムズやアトランティック誌に書評され話題になった。
    自分も手に取ろうとは思っていなかったのだが帯の文章で、引き合いに出されている映画監督にシャンタル・アケルマンの名前があり興味が湧いた。
    読んでみると確かにこれはシャンタル・アケルマンの大傑作『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』っぽさがある。そして同様に引き合いに出されていたルイス・ブニュエルの『昼顔』の感じもある(こちらは本文で明確に目配せされている)
    だが『軽いめまい』の主人公の夏実はジャンヌやセヴリーヌのように売春をするわけではない。
    郊外の住宅地に中古だが良い感じのマンションを購入し、夫と子供2人、専業主婦の夏実は暮らしている。生活に不平不満があるわけではない。愚痴や文句はあっても満ち足りた毎日を過ごしている。
    しかし、日常のふとしたときに軽いめまいに襲われる瞬間がある。
    そんな90年代の日本の中産階級の日常描写が描かれているが、この描き方が興味深い。
    いわゆる”意識の流れ”小説だが、読点を多用し、意識があちらこちらへと行き交う様子がとても長いセンテンスで語られていく。
    そしてあるかもしれない別の日常を他者を通して夢想していく。

    ちなみに2024年のブッカー賞のノミネートに『軽いめまい』は入っていたが、2025年は市川沙央『ハンチバック』がノミネートされている。どちらも訳者はポリー・バートンで、英国ではとても人気のある訳者とのこと。柚木麻子の『BUTTER』もこの方の訳で、大きな話題になってるんだとか。

    あと巻末にエッセイ集『重箱のすみ』に収められている『めまいの映画史』の再録エッセイが素晴らしくて、金井美恵子の映画評をまとめて読みたくなった。

  • 最近まで金井美恵子と言う名前は聞いたことが無かった。
    海外で評価が高く、ノーベル賞の候補に名前が有り、気になって初めて読みました。

    大きな出来事などは起きず、主婦の日常を描いている。
    読み進んでいると、だんだん面白くなってきました。

    ただ、正直ノーベル賞候補になっているのは良くわからないですね。

  • ずっと家にいて家のことをするというのは、究極は全く何もしないでいることもできるし、しようと思えば際限なくやることは出てきて、その曖昧さや途方もなさ、時間があるようでないような、ないようであるような「目まい」に思わず呆けてしまうあの感覚は実感としてわかる、と思った。

    本当に何気ない日常が淡々と描かれているのだが、読後感はTシャツが汗で肌に張り付くようにべったりとしていて、それが何とも言えず良かった。

  • やっぱ金井は凄い。中産階級の専業主婦の具体に支配された平坦な思考を美しく言語化し、めまいという映画論へと結びつける。これが『家庭画報』に連載されていたのもすごいし、英語版の解説を読んでも生活の問題が万国共通であることが伺える。ところどころで金井節の毒舌が光る。

  • 主人公は中産階級の専業主婦で、彼女の日常がつらつらと物語られる。数ページ読めばわかるが、一文が非常に長く、母親が息つく間もなく喋り続けるといった様子のようだ。

    主婦の日常は繰り返し、繰り返す、繰り返しの連続。その繰り返しに吐き気とめまいを感じ、苛立ち、放心してしまう。


    あれがないから帰りにスーパーに寄らなくては、出先で買うと重たいから、野菜は最寄のスーパーで買おう、そこのスーパーのどこに何があるかは全て頭に入っていて、それを諳んじるシーンは主婦の繰り返しの狂気を感じて震える。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

金井美恵子
小説家。一九四七年、群馬県高崎市生まれ。六七年、「愛の生活」でデビュー、同作品で現代詩手帖賞受賞。著書に『岸辺のない海』、『プラトン的恋愛』(泉鏡花賞)、『文章教室』、『タマや』(女流文学賞)、『カストロの尻』(芸術選奨文部大臣賞)、『映画、柔らかい肌』、『愉しみはTVの彼方に』、『鼎談集 金井姉妹のマッド・ティーパーティーへようこそ』(共著)など多数。

「2023年 『迷い猫あずかってます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

金井美恵子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×