決定版 交響曲の名曲・名演奏 (講談社現代新書)

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  • 講談社 (2025年2月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784065385647

作品紹介・あらすじ

ベートーヴェンの交響曲の名演奏はやはりフルトヴェングラー? それともヴァント? ではではカラヤンは・・・・・・? 交響曲の歴史をたどりながら、代表的な名曲の古今の演奏を聴き比べ。定番から知られざる名演奏まで、初心者には恰好のガイド、マニアにも読み応え十分の、入門書にして決定版!

感想・レビュー・書評

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  • いろいろな指揮者の演奏で交響曲の歴史を辿るもの。音楽史というようなものでなく、気楽に読めばいいのだろう。ハイティンク、ゲルギエフ、ブロムシュテット、クルト・マズア、アバド、パーヴォ・ヤルヴィ、ギーレン、ミュンシュ、レヴァイン、小澤征爾などの指揮者はくそみそに言われている。語るべきものを持っていない、形だけを見ている指揮者だと。チェリビダッケ、ブリュッヘン、アーノンクール、ホリガーなどは著者のお気に入り。ラトル、バーンスタインなどは微妙。カラヤンの演奏は演奏技術は凄いが、形ばかりの内容のないもので、まあ中には合う曲もあるとか。細やかなニュアンスの変化を捉え、一つの響きが次の響きをおのずと生み出していくような演奏が素晴らしいようだが。まあ、演奏家の好みは人それぞれだし、クラシックの曲に難しいものばかり求めてばかりいるわけにもいかないしね.
    ジョバンニ・アントニーニのハイドンを聞いて、ああいいなと思っていたら、そういえばこの本ではジョバンニ・アントニーニのことも評価していなかったなあ。個の指揮者の演奏は、ちゃんと形ばかりでなく、ニュアンスの変化もとらえていると思うけどね。私は音楽のプロじゃないけどねえ、まあ自分の好き好きでいいんじゃない。

  • 許光俊さんのCD紹介は大好き。丁度同時代か聞いているCDも同じのが多く、そして推薦されているのも私が好きなのと同じ。

    ここに登場する作曲家で好きな順に並べると、
    ブラームス>シューマン>ハイドン>シューベルト>ベートーベン>モーツアルト>メンデルスゾーン>ドボルザーク>シベリウス>ブルックナー、マーラー、プロコフエフ、ベルリオーズ、ですか。

    ハイドンは今年になって、全曲、二回通しで聴いています。まあ、聴いているというより部屋に流れているという感じですが・・・。

    今、家にあるCD、作曲家別に写真に撮りました。ブラームスなんと全曲盤で23セットありました。

    今週は交響曲週間で、お気に入りのCDを引っ張り出して聴くことにします。

  • 交響曲の歴史に沿って、さまざまな指揮者の演奏について好き勝手に語ったもの。

    長々と続く書式に由来することもあるだろうが、締まりなく、ダラダラと書いている。

    講談社の新書で、交響曲の名盤について語るといえば、宇野功芳氏の『交響曲の名曲・名盤』(1991年)を思い出す。そのような書式で書かれたのなら、読みやすかっただろう。その書式とは、楽曲ごとに小見出しで区切ることだ。たとえば、ベートーヴェンの交響曲第5番はこういう曲で、名盤はだれのものであると完結。楽曲ごとに小見出しがあり、目次からも引ける書式だ。本書は章立てが、作曲家ごとになっているので、特定の楽曲をさっと見つけることはできない。区切りがないとメリハリが付かず、読みやすさも劣る。

    参考に本書の目次を挙げよう。

    *****

    第一章 ハイドン・モーツァルトーー古典派の交響曲
    1.交響曲の始まり
    2.ハイドン
    3.モーツァルト

    第二章 ベートーヴェン

    第三章 ロマン派の交響曲
    1.シューベルト
    2.メンデルスゾーン
    3.シューマン
    4.ベルリオーズ

    第四章 フランスの交響曲ーーフランク、サン=サーンス、ビゼー、ショーソン、デュカス、ダンディ

    第五章 ブラームスから国民楽派へ
    1.ブラームス
    2.ロシアの交響曲
    3.ドヴォルザーク
    4.スメタナ・リスト

    第六章 ブルックナーとマーラー
    1.ブルックナー
    2.マーラー

    第七章 ショスタコーヴィチとプロコフィエフ
    1.ショスタコーヴィチ
    2.プロコフィエフ

    第八章 そして交響曲はいなくなった、のか?

    *****

    名盤紹介の本ではなく、西洋音楽史の本ような目次である。
    あとがきに、「本書はおしゃべりとして書きました」と書いてある。まさにその通りで、整理されていないおしゃべりを393ページも読むのは、厳しいものがあった。

    あれがダメで、これがいい。好き勝手語るのは自由だ。許氏はそういうスタイルだから文句はない。ただし、本として最低限のマナーがなされていないのが問題だ。自分本位で考え、読者への配慮が感じられない。

    それは以下の文章からもわかるだろう。

    録音年やレコード会社はあえて詳しく書かないことを原則としたのです。なぜって、それを記したら、読者はきっとそれを探して聴いてしまうでしょう。 (中略) 同じ指揮者とオーケストラが、何回も録音している場合がままあります。その何年の録音がいいのか。私はどれについて語っているのか。それはご自分で探してみてください。 (中略) 何しろ定額配信の時代になりましたから、あれこれ聴いたところで出費を気にすることもあまりなさそうです。
    (p11-12、はじめに)

    批評をするなら、批評の対象をあいまいにしてはいけない。クラシック音楽の録音は多数あるので、どの演奏について語っているのかを明示するのは最低限の礼儀である。

    また、みんなが定額配信サービスを使っていることはないだろう。CDやLPなどを購入する人だっているはずだ。たとえ、お金がかからないとしても探すのには手間がかかる。どの演奏かを、いちいち探しながら読むのは時間の無駄になる。むやみに読者の負担を増やしているだけだ。

    この本を楽しめる読者はどのような人だろうか?
    交響曲の歴史を振り返るところを読むと入門者向けに見える。だが、音盤のジャケット写真もなく、指揮者の羅列では、入門者向けとは言えない。

    中級者以上は、許氏の書いた過去の本を読んでいる人が多いと思うので、交響曲だけに絞った本書を楽しめるとは思えない。私も、許氏の本は10冊くらいは読んでいるが、書かれていることに進歩はない。昔の方がしっかりと書いていた。やる気が感じられた。本書からは、やる気は感じられない。投げやりのやっつけ仕事に感じた。

    宇野功芳氏の『交響曲の名曲・名盤』は売れたから、『協奏曲の名曲・名盤』や『新版 クラシックの名曲名盤』などの続編が作られた。本書はこの内容では売れないだろう。続編が作られることはないと予想するが、どうだろう。もし、続編が出たとしても、もう私は読まない。本書を読んだ後では、読む気がしない。

    名曲名盤を紹介した本はたくさん読んできたが、本書はお勧めしにくい本である。

  • 帯には、『初心者にもクラシック通にも 読んだら聴きたくなる』とあるけど、いったい対象はどのレベルのクラシック音楽愛好家なのだろう。
    読んでみると少なくとも初心者向けではないと思われらる。『著者が推薦するアルバムについて、指揮者とオーケストラは、本文中に記載する。しかし録音年月やレーベルは記載しないので、自分で著者のお勧めアルバムを探してみて下さい』とのこと。
    それならいっそ、
    それが出来れば苦労
    右も左もわからない初心者にそれはかわいそう。
    それが出来るようになれば、許さんのクラシック音楽に対する思考回路をコピーしたのとおな
    例えば『はしがき』に小学生の頃、初めてレコードを買ったときの経験談がある。最初から3枚目までの演奏はカラヤンの指揮になるもので、聴くうちに何か違うと感じベームのレコード買ったら、しっくりきたとのこと。ずいぶん高等な鑑賞法である。

  • 第1章:ハイドン、モーツァルト ― 古典派の交響曲
    交響曲の「形式美」を確立した時代。
    ハイドン=知性と構成の演出家、モーツァルト=感情と爆発性の人、という対照的性格。
    初期交響曲の発展を支えた宮廷・貴族社会の存在が重要。
    第2章:ベートーヴェン
    交響曲を「精神的闘争と勝利」の物語とした革命児。
    表現力・構築性・倫理性が高度に融合。交響曲を「芸術作品」へと昇華。
    現代の演奏解釈と指揮者の個性の差異も比較。
    第3章:ロマン派の交響曲
    「個人の内面」と「民族の物語」を描く時代。
    シューベルト、シューマン、ブラームス、チャイコフスキー、ベルリオーズなど。
    ロマン派は多様性と抒情性を開花させたが、統一的な形式は次第に揺らぐ。
    第4章:フランスの交響曲
    フランスでは交響曲は「ドイツ的重量感」より「色彩」「詩情」「宗教性」を重視。
    フランク、サン=サーンス、ショーソンらが形式と感情の調和を追求。
    演奏される機会は少ないが、独自の抒情的世界を持つ。
    第5章:ブラームスから国民楽派へ
    ブラームス:保守的だが深く練られた構築美の完成者。
    国民楽派(ドヴォルザーク、スメタナなど):民族性とローカル文化の表現へ。
    「ドイツ普遍性」vs「ローカルなアイデンティティ」という対立軸が登場。
    第6章:ブルックナー、マーラー
    ワーグナー以後、交響曲は巨大化・宇宙化する。
    ブルックナー:信仰的・オルガン的構造。形式重視。
    マーラー:人生の万象を交響曲で描こうとした、近代最大の“宇宙音楽”作曲家。
    第7章:ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ
    ソ連という政治体制下での音楽家の苦悩と抵抗。
    ショスタコーヴィチ:交響曲を「反体制のメッセージ」に変えた。
    プロコフィエフ:明快な構成力とユーモア、だが政治的にはやや融和的。
    第8章:そして交響曲はいなくなった、のか?
    現代では、交響曲は「形式」としての意義を失ったように見える。
    しかし「交響曲的精神」(普遍性・内面探求・構築性)は多様な形で生き延びている。
    グレツキ、アイヴズ、シュニトケなど、現代の交響曲は「問いを立てる音楽」として再定義されている。

    ■ 本書の核心的主張
    交響曲は、単なる音楽ジャンルではなく、「時代精神」と「作曲家の哲学」を最も濃密に表現する装置である。
    時代とともにその「姿」は変わってきたが、「問いとしての交響曲」は終わっていない。
    聴く者もまた、作品の意味を“再創造”する存在であり、録音・演奏の差異に敏感であるべきである。

  • 本書内でも触れているが、著者の趣味・嗜好丸出しである。

    結局のところ巨匠好みの懐古主義に浸っており、マケラやドゥダメルなど、注目されている若手は出てこない。また、小澤征爾、カラヤン、ラトル、アバドへの評価が低い(カラヤンとラトルは評価している録音も一部あるが、小澤とアバドは全く評価していない。その辺はそこらのクラオタと変わらない)。

    個人の趣味なので好きにすれば良いと思うが、クラシックをこれから聴こうという人には全く役に立たない内容だし、到底“決定盤”と呼べる代物でもない。わざわざ講談社現代新書から出す必然性も感じない。

  • 著者の好みのままに書き綴られたもので、「決定版」というのはどうかなぁ。現代新書で出版されている著者の他作品も読んでいるけど、ずいぶんと偏った語り口だよね。

  • 【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
     https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/486739

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/728726

  • まあ交響曲作家って少ないね。こういうタイプの評論・レコード評ってまだ必要なんだろうか、みたいなことを考えてしまう。

  • 音楽の批評そのものについては結局好みなので読み流していたが(そうは言っても絶賛されている演奏はサブスクで聴いた笑)、クラシックは作曲者や指揮者の背景まで思いを馳せて聴くのが通の聴き方なのだということが分かった。表面の聴いた感じで好きだ嫌いだというのは浅く、芸術に対して踏み込んで鑑賞してみるというのは今後やっていきたいとは思った。
    が、やはり音楽批評というのは何様感があるというか、批評者に良い印象は抱かないので居酒屋談義にとどめとくものですね。。

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著者プロフィール

1965年、東京都生まれ。慶應義塾大学教授。著書に『クラシックがしみる!』『問答無用のクラシック』『コンヴィチュニー、オペラを超えるオペラ』『オレのクラシック』『クラシック批評という運命』(いずれも青弓社)、『クラシック魔の遊戯あるいは標題音楽の現象学』(講談社)、『世界最高のピアニスト』『生きていくためのクラシック』(ともに光文社)、『痛快!クラシックの新常識』(リットーミュージック)、『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』(ポプラ社)、編著に『クラシック知性主義』『絶対!クラシックのキモ』(ともに青弓社)、共編著に『クラシック・スナイパー』シリーズ、『クラシック反入門』(ともに青弓社)、共著に『クラシックCD名盤バトル』(洋泉社)など。

「2016年 『クラシックの秘宝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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