解剖学の歴史 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (2025年2月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784065386217

作品紹介・あらすじ

解剖学とは、どんな学問だろうか。メスやピンセットで人体を直接取り扱う原始的な学問という印象とは裏腹に、その対象は私たちにとってかけがえのない切実なものであり、科学者は自然にどのように立ち向かい、自然科学という知の体系を導き出せるかという本質的な問題が集約されている。解剖学という枠組みなしには、人体は無秩序な肉塊にすぎない。本書は、こういった無秩序な自然を整理し、秩序だてて記載する営みである「自然誌」の視点から、解剖学の歴史と、解剖学者が抱えてきた問題のさまざまを考察する。
16世紀のヴェサリウスによって始められた近代的な解剖学は、現代医学の成立にあたってどんな役割を果たしたのか。兄弟ともいえる学問分野、生理学とはどんな特徴によって分かれたのか。
生物の形態には、いったいどんな意味があるのか。それを探究する際に現れる機能論と先験論という立場の対立。そして比較解剖学と進化論の関係や、物質論と顕微解剖学の関係など、論点は多岐にわたる。
さらに、解剖学者がたえず気にかける「形態と時間」の関係――個体発生と系統発生の重複するイメージや、教育と研究の関係まで。
解剖学の歩みをたどりながら、自然科学がもたらす成果だけではなく、自然そのものに目を向ける自然誌的な視点が、人間にとって必要なことではないか――と問いかける深い洞察の書。〔原本:『からだの自然誌』東京大学出版会、1993年刊〕

目次
はじめに 3
第一章 ヴェサリウスとハーヴィー:医学の基礎としての人体解剖学
第二章 解剖学と生理学:人体についての自然誌と自然哲学
第三章 生物形態の意味(一):解剖学における機能論と先験論
第四章 比較解剖学と進化論:生物科学における事実と解釈
第五章 生物形態の意味(二):顕微解剖学と物質論
第六章 生物界における階層性:多様性と反復可能性の問題
第七章 解剖学と時間:個体発生と系統発生
第八章 解剖学の現在:人体という自然をめぐって

学術文庫版のあとがき

感想・レビュー・書評

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  • 解剖学・生理学系の授業副読本調査用として読む。内容は、近代解剖学の始まりから現代に至るまで、研究者・学者をあげた上で、彼らの主張を軸に解剖学の歴史を追っていくというもの。分類を軸とした自然誌と呼ばれる視点が中心。1500年代のヴェサリウスから現代へと書く。進化の話もある。生物学や医学の歴史というのは意外と知らないもので、ためになった。著者の坂井さんは解剖生理学系の教科書・専門書で大変お世話になっている人で、こういう本も書けるのかと感心した。生物学・医学系が専門の人の専門分野の教養的な意味合いで読めるか。

    ——以下、Twitter(公開は2025/06/25以降)

    読了本。坂井建雄「解剖学の歴史 (講談社学術文庫)」 https://amzn.asia/d/6aLYvNW 学生副読本調査用として読む。分類という観点を中心に、1500年代から分野の有名人とその業績を紹介しつつ歴史を展開する。意外と知らないことも多く勉強になった。この分野に深みを与えたい人向け #hrw #book #2025b

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000074377

  • 東2法経図・6F開架:B1/1/2857/K

  • ヴェサリウスとハーヴィーの業績
    - バドヴァ大学での教育
    - ヴェサリウスは医学の学位を取得するため、バドヴァ大学に進学。
    - 1537年に医学部で試験を受け、優秀な成績で学位を取得し、その後解剖学の教授に任命された。

    - 解剖学の改革
    - ヴェサリウスは、解剖学の実践を改革し、実際に人体を解剖することを始めた。
    - 1543年に出版された「ファプリカ」は、解剖学の重要な進展を示す著作で、多くの反響を呼んだ。

    - 医学・解剖学の中心としてのハーヴィー
    - ヴェサリウスの功績により、バドヴァは医学・解剖学の中心として名を高めた。
    - 半世紀後には、ハーヴィーがこの大学で学んでいる。

    「ファプリカ」の内容
    - 解剖図の重要性
    - ヴェサリウスは、解剖図を精密に描くために多くの人体を解剖し、その成果を「ファプリカ」にまとめた。
    - 解剖図には、骨、筋肉、血管、神経、内臓などが詳細に描かれ、解剖学における新しいアプローチを示している。

    - 従来の解剖学との違い
    - ヴェサリウスの図は、単独の骨や器官を分解した形で描かれており、これまでの解剖学者の描写法とは異なる。
    - 彼は、実地講義で解剖を行いながら説明するスタイルを導入した。

    バドヴァ大学の影響
    - 医学教育の中心地
    - バドヴァ大学は、当時の北イタリアにおける医学教育の中心地であり、解剖学の研究が盛んに行われていた。
    - ヴェサリウス以降、大学は医学・解剖学の権威としての地位を確立した。

    ヴェサリウスと解剖の実践
    - 解剖の機会と制約
    - ヴェサリウスは、解剖の許可を得て、解剖学の研究に没頭したが、実際の解剖機会は限られていた。
    - 彼が解剖した女性生殖器はわずか6例であり、条件が悪いために十分な観察ができなかった。

    - 解剖学の発展
    - ヴェサリウスの「ファプリカ」は、解剖学に新たな視点をもたらし、近代解剖学の始祖とされている。

    ハーヴィーの血液循環の理論
    - 血液循環の発見
    - ヴェサリウスの後、ハーヴィーは血液循環の理論を確立し、血液が心臓から全身に循環することを明らかにした。
    - 彼の業績は、解剖学と生理学の理解に重要な影響を及ぼした。

    - 解剖学の進展
    - ヴェサリウスとハーヴィーの研究は、解剖学の知識と技術の進展を促進し、医学全体に新たな道を切り開いた。

    総括
    - ヴェサリウスは解剖学の改革者として、近代医学の基盤を築き、ハーヴィーは血液循環の理論を確立した。
    - バドヴァ大学は、彼らの業績を通じて医学・解剖学の中心地としての地位を強化し、後の世代に大きな影響を与えた。

  • 2025年3月1日、銀座 蔦屋書店にあった。

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著者プロフィール

順天堂大学保健医療学部特任教授。大阪府生まれ。大阪府立天王寺高校卒。1978年に東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部解剖学教室助手を経て、1984~1986年に西ドイツ、ハイデルベルク大学にフンボルト財団の奨学生として留学。1986年に東京大学医学部助教授、1990年に順天堂大学医学部解剖学第1講座教授、2019年から現職。解剖学の学習に不可欠な解剖学の教科書・図譜を多数手がける。医史学にも造詣が深く、日本医史学会理事長を務めている。著書に『からだはこうしてできている からだの形と進化の話』(岩波書店)、『プロメテウス解剖学アトラス』(医学書院)、『筋肉のしくみ・はたらき ゆるっと事典』(永岡書店)、『面白くて眠れなくなる解剖学』(PHP研究所)などがある。

「2023年 『人体おもしろチャレンジ2冊セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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