- 講談社 (2025年2月20日発売)
本棚登録 : 1045人
感想 : 39件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784065387719
作品紹介・あらすじ
「ふだん使いの科学」で、思考の土台を強くする!
自分の頭で考え、ファクトチェックするためにーー科学という営みの本質を楽しく学べる、最良の入門書。
有害な情報から身を守り、無意識のバイアスを避けるには?
情報過剰社会を生きる私たちに必須の「免疫」
ーー日常・仕事で威力を発揮する「科学的思考」
<本書の内容>
第1章 科学的思考をスケッチする
第2章 因果関係を考える
第3章 科学的思考を阻むものーー心理は真理を保証しない
第4章 実験という方法
第5章 科学的に説明するとはどういうことか
第6章 科学的に推論し、評価する
第7章 みんなで科学的に思考する
因果関係の正しい理解から、認知バイアス、アブダクションまで
豊富な例や問題でわかりやすく解説
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
科学がいかに信用に足るものとなり得ているのか、制度的に解説してくれる。論理の構造はどのようであればより価値が高く、そうでない情報になぜ踊らされてはいけないのか、読めば腹に落ちてくる一冊となっている。ド文系のわたしでもわかりやすいし、文系の方こそ読むと発見がたくさんあって良いだろう。
特に興味深かったのは反証可能性があればあるほど情報として価値が高いという一節だ。私は自分の言説に反証の余地がないように組み立てる必要があると思っていたところがあったので、大きな間違いだったと気付かされた。
科学者は科学全体に貢献するというモチベーションが素晴らしくて尊敬する。自分の論説の正しさに固執すると科学としての価値が失われてしまうが、そうしたくなるのが人間でもあるような気がする。反証も受け入れる姿勢の大切さを学ばせてもらったと思う。アインシュタインについてももっと知りたくなった。 -
本書『科学的思考入門』は、日常的思考と科学的思考が地続きにあるということを前提に、日常で使える科学的思考について、実践例交えつつ解説した入門書である。
大学で心理統計学を専攻した読者にとっては既知の内容が多いものの、復習を望む方や初学者にとっては価値ある一冊だと言える。
各章間に配置されたコラムもなかなか面白い。有斐閣アルマのように、斬新なチップスが散りばめられているので、読者の理解を深める助けとなっている。
併読をお勧めしたいのは、同じく講談社現代新書から刊行されている『思考の方法学』だ。こちらは個人的には星五つを付けるほど学びの多い一冊であったので、本書の内容が気に入った方にはこちらもオススメしたい。 -
特定の人物や難解な学術用語を極力排している印象で、その一方で紙幅を確保した新書として、広く科学的な思考・振る舞いについて述べられている。大学から学術的なスタイルが変わる中での指針として新入生にも向けられるだろうし、それ以前の受験戦争の中高生にとっても思考の足がかりとして触れておいても得るものは多いように思う。
-
専門家でなくとも日常に応用できる科学的な考え方を学べる一冊です。
因果関係や実験、推論、説明の仕方など、科学的思考を構成する基礎的なテーマが端的に整理されています。「心理は真理を保証しない」という視点には特に学びがありました。
ライティングや分析に関わる方にとっても実用的な内容です。「科学的に考えるとは?」を日常に引き寄せて考えたい方におすすめしたい一冊です。 -
[目次]
はじめに-科学的思考はなぜ大切なのか?
第1章 科学的思考をスケッチする
1 科学的とはどういうことか-科学的でないもんとの比較
2 定義について考える
3 「科学」のふたつの意味-歴史的な視点をまじえて
第2章 因果関係を考える
1 因果関係の基本と重要性
2 因果関係の概念をさらに明確化する
3 紛らわしいパターン(1)因果関係が逆
4 紛らわしいパターン(2)別の原因がある
5 紛らわしいパターン(3)単なる相関関係との混同
第3章 科学的思考を阻むもの--心理は真理を保証しない
1 認知バイアス-因果関係を軸に
2 素朴理論(1)素朴物理学
3 素朴理論(2)素朴生物学
4 説明深度の錯覚
第4章 実験という方法
1 対照実験の基本
2 対照実験の注意点
3 「ランダム」の活用
4 自然実験
5 実験という活動の奥深さ
第5章 科学的に説明するとはどういうことか
1 モデルとは何か
2 メカニズムの説明
3 法則・統合・理論
4 理解・理念・世界観
第6章 科学的に推論し、評価する
1 演繹的推論
2 非演繹的推論
3 仮説演繹法と科学の前進
4 仮説の検証-反証主義
5 仮説・理論の総合評価
第7章 みんなで科学的に思考する
1 集団で科学的に思考する
2 制度で科学的に思考する
3 社会で科学的に思考する
おわりに
主要参考文献 -
科学的根拠とは何なのか、どれほど信頼できるものなのかといったことを、改めて考え直すことができる本です。
SNSなどオンラインのコミュニケーションツールの発達は、便利さが増したものの、一方で事実でない情報も拡散されがちです。
情報リテラシーの重要性が強調されることも増えましたが、科学的思考の力を発揮すれば、有害な情報から身を守れるかもしれません。
科学は、込み入ったメカニズムや因果関係の取り扱いがとても苦手な人間が、それを突破するための手立てを発展させてきたものです。
少し難しい内容があっても、まずは自分ごととして感じられるものから少しでも学べれば、これから必ず役立ちそうなものがありそうな1冊です。
【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
「日常の思考と科学的思考は連続している。科学的思考は、日常の場面でも行われる思考のうち、とくに有効に働くものに洗練が加えられ信頼性が高められていった先に、徐々に現れてくるもの。」
「科学とは広い意味では、観察にもとづく証拠を導きとして、アイデアを検討・評価したり、何らかの問題を解決したりする、どの時代、どの文化にも見られる人間の基本的な活動。仮説を裏付ける証拠の有無による検証の試みが含まれるが、証拠には一定の質が問われる。」
「人間の脳は、込み入ったメカニズムや因果関係の取り扱いがとても苦手。得意そうなふりをしても、できるのはせいぜい表面的な説明にすぎない、科学はそこを突破することを目指し、さまざまな手立てを体系的に発展させてきた。」
【もう少し詳しい内容の覚え書き】
・日常生活でも仕事でも、科学的思考の力が発揮できれば、大きなメリットがもたらされる。質の高い情報と疑わしい情報との違いが見極めできれば、有害な情報から自分の身を守りやすくなる。情報発信時にも「品質保証」ができる。
・科学的思考ができる人が増えれば、行き交う情報の質が上がり、コミュニケーションは円滑になり、たくさんの素晴らしいアイデアが生まれ、さまざまな社会的問題の解決に結びつき、暮らしやすい世の中の実現につながる。
・日常の思考と科学的思考は連続している。科学的思考は、日常の場面でも行われる思考のうち、とくに有効に働くものに洗練が加えられ信頼性が高められていった先に、徐々に現れてくるもの。
○科学的思考をスケッチする
・科学的とは何かは、説明する、専門的に確立された・明確に定義された用語や概念を用いる、仮説の検証を試みる、制度化されているなどで、科学的でないものとの比較で確認できる。使う用語や概念が明確だと、思考や議論が進む。定義には限界もあるので、何のために使うのかを意識する。
・科学とは広い意味では、観察にもとづく証拠を導きとして、アイデアを検討・評価したり、何らかの問題を解決したりする、どの時代、どの文化にも見られる人間の基本的な活動。仮説を裏付ける証拠の有無による検証の試みが含まれるが、証拠には一定の質が問われる。
○因果関係を考える
・原因Aが原因Bを引き起こすという因果関係は、科学的思考の核心をなすテーマ。説明、理解、予測、技術との結びつきといった、科学の重要な特徴や役割と密接に関わる。時間的な順序関係、反事実条件文(AがなかったらBは起こらない)が成り立つかが、の2つが、関係成立を探る手がかり。
・因果関係が逆だった(A→BでなくB→Aだった)、別の原因があった(C→Bだった)、(背後に共通の原因がある)単なる相関関係を因果関係だと混同していた、という、科学的思考を阻む誤りがよくあることについて理解しておきたい。
○科学的思考を阻むもの
・科学的思考を阻む心理的要因として、認知バイアスや素朴理論(日常生活の中で身につけた世界を説明するための理解・枠組み)、説明深度の錯覚(何かを説明する時にそれについての自分の理解が実際より深いと思ってしまう)といった、自然に感じられるが実は正しいと限らないものがある。
・人間の脳は、込み入ったメカニズムや因果関係の取り扱いがとても苦手。得意そうなふりをしても、できるのはせいぜい表面的な説明にすぎない、科学はそこを突破することを目指し、さまざまな手立てを体系的に発展させてきた。
○実験という方法
・人間が相手の研究では、なるべく多くの人数を無作為に選び出してサンプルを作り、多様な人たちが含まれるのが望ましい。一人ひとりの違いに起因する影響が全体としては「ならされて」、サンプルがもとの母集団の状態に似てくるので、サンプルの代表性が高くなることが期待できる。
・実験には、仮説やその検証とは少し離れ、未知の現象を発見したり、その発生方法の確立が試みられるものもある。既知の現象や効果も、新しいツールが利用できれば、従来にないレベルでの精密な測定やデータ収集を行うこともできる。
○科学的に説明するとは
・「個人の外部から観察できる能力を基準に」という方向のアイデアがいくつか出ている。モデルを構築・修正する能力、反事実的な問いに応答する能力、理論的な説明をする能力、の3つは理解の程度を測るための当面の物差しで、自問することでも理解の度合い確認、増進の手がかりとなる。
○科学的に推論し、評価する
・科学では、手元の情報より豊かな情報を含む新しい仮説や予測を生み出そうとするので、非演繹的推論が必要。前提が正しくても、そこから導出される結論まで必ず正しくなるわけではなく、ある種の飛躍が含まれるが、そうしたジャンプを挟むことで、前提に含まれる以上に情報を増やせる。
・非演繹的推論で前提よりも情報量の豊かな新しい仮説を作り、そこから今度は演繹を使って、予測を結論として推測する。その予測が成り立つかを実験などで確かめることで仮説を検証し、結果に応じた新たな課題に取り組む。科学はこうしたサイクルの繰り返しで次に進む。
・仮説検証後に取り組むべき課題のひとつは、検証をあらためて実施すること。同じ結果が繰り返し得られるかの「再現性」を確かめる。最初と異なる手法やもっと精度の高い装置を使用してみて、それでも同じ結果なら、偶然の可能性は低くなる。メカニズムの調査や説明の試みも必要。
・仮説が反証されても、仮説の修正、放棄して別の仮説作成、予測の導出に問題がなかったかのチェックなど、やるべき課題はたくさんある。実際には、仮説そのものよりも初期条件や推論にまずいところがあったのかもしれないので、課題に取り組むことも、科学を着実に進めるもの。
・一般性が高く、表現が明確な仮説は、反証リスクの上昇と引き換えに、情報としての価値が大きい優れた仮説とみなされる。仮説や理論の優劣を丁寧に見極めるには、一般性・包括性に加え、整合性や予測力、反復可能性・再現性、単純性、前進性などの複数の基準に基づく総合的な評価が必要。
○みんなで科学的に思考する
・個人の限界を超えたレベルで知識を得るには、認知性分業による集団での思考が不可欠。科学では専門性の持ち寄りによるチーム体制で研究を進めるのが一般的。研究を集団的にチェックする「耐久性テスト」が制度として組み込まれ、論文査読や掲載後のチェックが特に重要や役割を果たす。
・個人が社会の中で科学的思考を行うには、発信されている情報が制度により支えられているか、メディアの中に登場する科学者の発言にどんな背景があるか、制度が未整備な状況が生じる可能性を理解しているか、といった点が、実践的に重要なポイント。 -
東2法経図・6F開架:B1/2/2765/K
-
【書誌情報】
著者:植原亮(1978-)
発売日:2025年02月20日
定価:1,210円(本体1,100円)
ISBN:978-4-06-538771-9
通巻番号:2765
判型:新書
ページ数:328
シリーズ:講談社現代新書
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000409249
【簡易目次】
第1章 科学的思考をスケッチする
第2章 因果関係を考える
第3章 科学的思考を阻むもの――心理は真理を保証しない
第4章 実験という方法
第5章 科学的に説明するとはどういうことか
第6章 科学的に推論し、評価する
第7章 みんなで科学的に思考する -
-
反証可能性の高い仮説は、持っている情報量が多い
ほんとのほんとの初学者向けだと感じた -
大学1年生におすすめの本である。大学生協でも販売していた。それほど新しいことはないが、ポイントは太字であるなど、科学的思考についての学習には役立つと思われる。2025年発行ではあるが1970年発行としても遜色ない。
-
図書館で借りて少し読んだ。
面白そうなのでまた借りたい。 -
科学とは何かを考えてみたい人は読んでみましょう。
(北島雄一郎 先生)
日本大学図書館生産工学部分館OPAC
https://citlib.nihon-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=1000297307&opkey=B176353273858166&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0 -
世の中に溢れている真偽不明な説を冷静に受け止めるための考え方がわかる一冊。その説は個人の意見なのか第三者の査読がされているのか、再現性があるのか、など科学的に見ることが学べます。日常生活や仕事にも活かせそうです。
-
面白かった。
7章以外読んだ。 -
2章から5章くらいの、認知バイアス、対照実験、モデルの辺りは知っていることなので「読まなくてよかったかなあ」と思いつつ読み進めた。すると6章の非演繹的推論の辺りからがぜん面白くなった。
アナロジー、アブダクションなど、考え方自体はわかっているものの、整理してそれらの違いや使い方を一段上から把握できた。
それぞれは認識しているものの、体系的に捉えることが大切だと思う。いちいち検討項目を考えなくてよく、抜けもれなく検討することができる。
最後の7章「みんなで科学的に思考する」も知っていることなので、すっと流した。 -
「第2章 因果関係を考える」が、個人的には、もっとも学びの多いところか。「因果関係の手がかり」について、①時間的な順序関係はあるか? ②反事実的条件文は成り立ちそうか? を指摘。そして、「単なる相関関係」との混同を戒める。本書で取り上げた設例はシンプルなものなので、実際の議論の中で、以上の著者の指摘が機能するか確かめてみたい。抽象的には、理解できるが、実際に役立つかの検証はやってみたいものだ。
また、「認知バイアス」についても詳細に検討されている。
さらには、「制度に支えられていない、あるいは制度から外れた『ワイルドな』知的活動から流れ出す情報に注意せよ」(305p)の指摘は、学会の外の発言のことを意味するのか、メディアの中の「科学者」に頼る際の留意点なども見られる。
入門と称しているが、深い内容の、大きな書物と思う。
著者プロフィール
植原亮の作品
