普天を我が手に 第一部

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 講談社 (2025年6月18日発売)
4.28
  • (174)
  • (165)
  • (51)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 1866
感想 : 175
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (592ページ) / ISBN・EAN: 9784065388761

作品紹介・あらすじ

 大正15年(昭和元年)12月25日未明、東京・麹町の陸軍少佐・竹田耕三の元に、待望の長男が誕生した。〈志郎〉と名付けられた子供は、日本中が大正天皇崩御の悲しみに暮れる中で、一家の新たな希望となる。
 同日、北陸・金沢では、矢野一家の親分・矢野辰一が、賭場での諍いの落とし前をつけに、敵対する一家に乗り込んだ。帰宅した辰一を待っていたのは、懇意の社長から預かっていた女工の出産と死だった。辰一は孤児を〈四郎〉と名付け、自分の手元で養育することに。
 一方その頃、東京・神保町で進歩的な婦人雑誌「群青」の編集者として働く森村タキが、社会運動家との間に女子を出産。『人形の家』にあやかり〈ノラ〉と名付けたその子を、身勝手な父親から引き離し、女手一つで育てることを決意する。さらに同年の大晦日、野心を胸に中国・大連へわたった五十嵐譲二は、主宰するジャズ楽団の年越しパーティ中に妻から出産の報告を受ける。出生した男子を〈満〉と名付け、昭和元年最後の夜に最高の演奏をする。

 昭和100年、戦後80年に生まれる、壮大な昭和史サーガ三部作。
 第一部は、親世代の視点を中心に、大正天皇の崩御から太平洋戦争開戦までを描く。

みんなの感想まとめ

物語は大正15年の年の瀬から始まり、4人の赤ん坊の誕生を通じて、戦前の日本社会の多様な側面を描き出します。陸軍少佐の家族、ヤクザの親分、シングルマザーの社会運動家、満州でジャズ楽団を主宰する実業家のそ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ブク友の皆さまこんにちは!
    今、日本の海の沿岸に津波のニュースをみました!
    今、逃げている方はブクログなんか、見ていられないと思いますが。大丈夫でしょうか?
    心配しています。



    昭和100年・戦後80年に丸ごと描く
    昭和史サーガ三部作
    一生一度の10年仕事でした。
    奥田英朗



    600ページある鈍器本で読むのに三日かかりました。


    時は大正15年の年の瀬、大正天皇が崩御するところから物語は始まります。

    陸軍少佐の竹田耕三の家に一週間しかなかった昭和元年に待望の男の子志郎が産まれます。

    やくざを一人殺め投獄経験のある矢野辰一には妻がお産で亡くなりますが、子どもは無事で四郎と名付けられます。

    森村タキは婦人運動をしていて出版社で『群青』という雑誌を出しています。
    左翼運動をしている妻子のいる佐藤安治の子供を独身で女の子を産み、ノラと名付けられますが、一時妹のところに預かってもらいます。

    五十嵐譲二は慶応大学を卒業し満州の大連三田ボーイズで楽団員をして働いています。
    再婚の妻の恭子が男の子、満を産みます。

    四人の視点で交互に物語は進み、第一部は日本が第二次世界大戦へと突入していく昭和16年まで進みます。

    子供たちは皆、昭和元年生まれで15歳になっています。

    4組の家族が直接リンクする場面は一か所しかなく、会話の中で何度か出てくるのみです。




    日本の近代史は学校ではいつも最後に時間がなくなり、さらっとしか学んでいないので、歴史がよくわかりました。

    この後第二部、第三部があるらしいのですが、同い年の四人の子供たちがどんな活躍をみせて、どのように関わっていくのかとても楽しみで、わくわくします。

    • まことさん
      かなさん♪
      津波警報、びっくりしましたよね!
      私のところも内陸なので、全然なんともなかったのですが、この暑い中避難所に避難された方は大変...
      かなさん♪
      津波警報、びっくりしましたよね!
      私のところも内陸なので、全然なんともなかったのですが、この暑い中避難所に避難された方は大変でしょうね。
      奥田英朗さんの作品は最近の作品しか拝読していませんが、古い作品も面白そうなので読んでみたいのですが、なかなかです。
      2025/07/31
    • しずくさん
      奥田英朗さんは好きな作家さんですが、本書はまったく知りませんでした。
      ご紹介、ありがとうございます! 
      奥田さんらしい作風でたっぷり楽し...
      奥田英朗さんは好きな作家さんですが、本書はまったく知りませんでした。
      ご紹介、ありがとうございます! 
      奥田さんらしい作風でたっぷり楽しめそうです。
      2025/08/01
    • まことさん
      しずくさん、おはようございます♪
      しずくさんのレビュー最近、私のタイムラインにちゃんとみえるようになったみたいです。このままだといいのです...
      しずくさん、おはようございます♪
      しずくさんのレビュー最近、私のタイムラインにちゃんとみえるようになったみたいです。このままだといいのですが…。
      この作品は奥田さんが10年かけて描いた作品らしいです。
      三部作であと二部と三部があるので私も楽しみにしています♪
      2025/08/01
  • 昭和元年、4人の赤ん坊が生まれるところから物語は始まる。
    第一部は、大正天皇の崩御から太平洋戦争開戦まで。

    軍人、ヤクザ、女性活動家、満州の実業家。
    誰か1人が主役ではなく、全員が主人公。

    著者の思想を押し付けずにすべてがフラットに提示されるので、奥田さんの作品はいつも安心して読める。
    教科書ではたった一行の出来事だけど、そこに生きた人々の目線を通すと、自分のことのように迫ってくる。劇的に煽るのではなく、淡々と描かれていてる。

    戦争の始まりを知らせるラジオが流れていても、街ではいつもと変わらない日常が続いていたりもする。その空気感が妙にリアルで不気味に感じた。
    誰もが戦争を望んでいたわけではないのに、じわじわと引き返せない方向へ動いていく。

    正直なところ、個人的にヤクザの辰一に興味が持てなかったのと、女性活動家のタキはどこか身勝手さを感じてしまい、いつもの奥田作品ほど登場人物に入り込めなかった。

    偶然にも同じ時代を描いた『カフェーの帰り道』を同時に読んでいて、そちらの登場人物には自然と惹かれていたこともあり、どうしても比較してしまう部分はあった。

    ​でもまだ第1部。
    ​第2部で、4人の子どもたちが過酷な時代をどう生きるのか。
    ここから戦争の話に入っていくのは辛いけど、奥田さん作品ならこの先も安心して読み進められる。

    第2部のAudible配信はいつなのかわからないけど待ち遠しい。
    Audibleにて。

    • しずくさん
      Naotyさん、こんにちは!
      一昨日から本作を読み始めています。今回も奥田英朗さんのファンで耽読していますが、悲しいことに眼を労わらなくて...
      Naotyさん、こんにちは!
      一昨日から本作を読み始めています。今回も奥田英朗さんのファンで耽読していますが、悲しいことに眼を労わらなくてはならない年齢になって来ました。
      他の作品もAudibleで聴かれているとのこと。私も安い価格で何度かAudibleを試しました。ただ聴くのは訓練が必要だとつくづく感じています。長編物は活字と耳とで両方使えば、眼精疲労を気にせずに楽しめるでしょうね。
      2026/05/30
    • Naotyさん
      しずくさん
      ​コメントありがとうございます!
      奥田さんの作品は一気に引き込まれるので、ついつい没頭してしまいますよね。

      ​目を労わりながら...
      しずくさん
      ​コメントありがとうございます!
      奥田さんの作品は一気に引き込まれるので、ついつい没頭してしまいますよね。

      ​目を労わりながらの読書、本当に共感します。
      私も最初は耳で聴くことに慣れませんでしたが、次第に慣れてきて今は家事をしながら聴くのが日課になっています。
      今では、嫌な家事の時間もすっかりご褒美時間になりました(^^)
      ​活字と耳を上手に組み合わせるというのも、長編を無理なく楽しむための素晴らしい方法ですね!
      2026/05/30
  • エリート軍人、ヤクザの親分、シングルマザーの社会運動家、大陸に渡ったジャズマンの4人が主人公。日中・日米戦争に狂ったように突き進んでいく日本が描かれる。

    最も驚いたのが、満州の関東軍の資金源が、岸信介(安倍晋三の祖父)が中国にアヘンを売って儲けた金だったこと。そんな酷いことをしていたとは。。愛新覚羅溥儀(the last emperor of Qing Dynasty)を始め、いったい何人の人が中毒で苦しめられたことだろうか。多くの家庭を不幸にしている一族である。

    ユダヤ系米国人のベニーからジャズマン譲二に贈られたトランペットには泣けた。国同士が戦争していても、友情は壊せない。そして音楽は人を幸せにできる。

    ベニーの言葉を肝に銘じておきたいと思う。「おれはユダヤ人だから、今ヨーロッパで起きていることに、心の底から怒りと恐怖を覚えているよ。何かあれば人はスケープゴートを求めるし、扇動されやすいってことか」当時の日本でも、左翼や朝鮮人が特高警察の標的にされた。果たして今の日本はどうだろうか。。

    この頃のことはよく知らないので、もっと学ばないといけない。真珠湾攻撃以降の第二部も頑張って読もう

  • 昭和元年〜昭和16年12月の真珠湾攻撃まで軍国化が進む中、架空の4人(森村タキ:女性運動家、五十嵐譲二:興行師、竹田耕三:軍人、矢野辰一:侠客)の生き様。奥田流の昭和史?。エンタメ調でサクサクと読める。三部作。
    読み始めはパタパタとストーリーが展開し、少し軽い感じがありましたが、慣れると楽しく読めました。第二部も楽しみです。

  • 昭和元年から16年12月の太平洋戦争開戦までの日々の庶民や軍部・官僚・警察など、様々な立場の人たちの視点を通じ、単なる教科書的な知識ではない、よりリアルな感覚が伝わってきて、読み応えがあり、存分に楽しめました。順番を間違えましたが、これから第3部を楽しみたいと思います。

  • ぶ厚い! 595ページ。しかもこれは 三部あるうちの 第一部。大正15年(昭和元年)から始まり、昭和16年12月、太平洋戦争開戦までの物語。覚悟を決めて読むことに。

    1925年の暮れ、大正から昭和への転換期に生まれた四人の赤ん坊たち。陸軍少佐のもとに生まれた竹田志郎。進歩的な女性記者のもとに森村ノラ。金沢の博徒に引き取られた孤児の矢野四郎。そして、満州大連でジャズ楽団を主宰するトランペット奏者の家庭で生を受けた五十嵐満。

    赤ん坊たちの親はそれぞれ 文化と平和を愛し、懸命に日々を重ねていく。一方 日本政府は、満州や中国本土に触手を伸ばし、軍部勢力の増大にバランスを崩して傾いていく。学校で詳しく学んでこなかった近現代史。「本作品はフィクションで、実在の団体、個人とは関係ありません」と巻末にありますが、この時期に何が起こっていたのか、理解が深まりました。

    四人の親たちの生き方から、多面的に語られる当時の日本。いくつか岐路があり、天皇陛下御自身も戦争を望んでおられなかった。平和と講和を望む冷静な人たちも沢山いたはず。それでも目に見えない大きな力と、それぞれの国の思惑が絡み合い、戦争へと舵が切られてしまう。まるで地球全体が不気味な生き物のよう。当初は長引かないと思われていた大戦。けれど、一旦始まった戦争は止め時が難しい。

    600ページ弱のこの作品。内容もとてもぶ厚い。とはいえ、四人の親たちの生き様に場面が次々と切り替わり、飽きることなく読み進められる。第二部は、昭和元年に生まれた子どもたちに焦点が当たることになるのかな。戦争の話はつらい。ますます覚悟が必要かも。

    • まことさん
      yyさん♪
      私もこの三部作、読了しました!
      私は、出た順に図書館に予約して、三作とも全部予約1だったので、まるで自分の本みたいな新品のびかぴ...
      yyさん♪
      私もこの三部作、読了しました!
      私は、出た順に図書館に予約して、三作とも全部予約1だったので、まるで自分の本みたいな新品のびかぴかで読みました♪
      私は第二部の戦争中のことは、高校の授業では駆け足で進み、よく知らなかったので、とても勉強になりました。
      第三部は知っていることも多く、面白かったです。
      この本、いい本なのに読まれているブク友さんが少なくてちょっと寂しかったので、嬉しくなってコメントしました♪
      2026/02/11
    • yyさん
      まことさん (^^)/♪
      新品状態で読めたなんて、さすが!
      私はブク友さんの本棚で知りました。

      とても読みごたえのある作品ですね。...
      まことさん (^^)/♪
      新品状態で読めたなんて、さすが!
      私はブク友さんの本棚で知りました。

      とても読みごたえのある作品ですね。
      日本人みんな、読むべき本では?
      今の平和な生活があるのは、こういう歴史あってのことですものね。

      第二部はあと一人でで順番が回ってきます。
      でも、第3部は7人くらいの待ちなので、数か月先になりそう。
      しっかりメモを取って忘れないようにしなくては(笑)
      2026/02/11
  • ヤクザ、子供、政治家、軍人もみんな主人公だと思う作品でした。
    私にも日々小さなドラマが続きます。

  • 奥田英朗さん作品は殆ど読んでいるような気がします。他作品の畳み掛けるような展開をイメージしていると「やや冗長?」と感じなかったわけではありません。ただ丁寧に下調べしたドキュメンタリーの要素もあり、大変内容の濃い作品となっております。第二部を早く読まねば!

  • 毎週観るので大河ドラマにしてくださいと言いたくなる、ザ・昭和サーガ。大正最後の日、エリート帝国軍人、金沢の仁侠、夫人運動家、そして満州の興行師という接点のない(今はまだ)4人が、後に「昭和」と名付けられる時代の一日目にそれぞれ“子供”を授かる場面から始まる。
    4人の視点が交互に入れ替わり、戦争に向け先鋭化する軍閥、満州国建国、左翼活動、右翼活動など、昭和の始まりを濃厚な現場の空気が感じられるほど鮮明に描き出している。なるほどこうやって日本は必敗の太平洋戦争に突入していったのかと呆れるやら、明治維新からの直情型武士的発想の害悪をまざまざと見せつけられた(だから明治維新のヒーローと言われる人物たちはほぼただのテロリストとしか思えない)。学生さんは教科書よりこちらを読んだ方が、昭和史引いては現代に続く状況、課題がよく理解できるのじゃないだろうか。
    約600ページは分厚いが、最後には物足りなくなってしまった。さて、第二部へ。ちなみに三部作だというのを読み終わってから知りました。

  • いやー、すごいボリューム。昭和のはじめから開戦までを立場の異なる4家族を中心に描く。竹田耕三は軍人、矢野辰一はヤクザ、五十嵐譲二はジャズ楽団の団長と三人三様で、しかもそれぞれの子どもが同じ頃に生まれる。生まれた状況までが三人三様で。さらに女性ばかりの文芸雑誌「群青」の編集者森村タキも登場して読者は大変。そして、バラバラだった彼らの運命が交差する。
    昭和サーガだからそれぞれの子どもたちが成長して、次の巻の主要人物かな。
    昭和の前半というか戦前の話をよく、このように見てきたように描けるなと思う。そして、国民がどのように扇動されて戦争に突き進んだかが手に取るようにわかる。主要登場人物は誰1人として戦争を支持していないのだが、時代の流れとかうねりというのか、ごく少数の冷静な知恵を生かし切れず英米との戦争に踏み切る日本。
    なかなか通して昭和史を見ていなかったので、良かった。わかりやすかった。参考文献を見て唸ってしまった。すごい(*_*)
    厚さにめげず一気読みしたが、大戦はこの後は悲惨なことしか待ってない。次巻が楽しみなような怖いような。

  • 三部作の一部でこのボリュームと迫力。
    昭和元年から太平洋戦争までの日本が徐々に確実に戦争に向かう中で奥田英朗の真骨頂の群像劇が展開される。
    国民性というものは簡単に変わるわけではなく、
    我々日本人が当時と今と何ら変わらない事にもっと自覚的で無ければならない。

    • くろねこさん
      まだまだ先がありますが、とても面白く終わったので頑張って!!
      まだまだ先がありますが、とても面白く終わったので頑張って!!
      2026/03/22
    • ボリスさん
      コメントありがとうございます。
      ラスト楽しみに残り読みます!
      コメントありがとうございます。
      ラスト楽しみに残り読みます!
      2026/03/23
  • 600ページの大作2日ぶっ通しで読む、というかページを捲る手が止まなかった作品。
    たった7日間の昭和元年産まれの4人の子達。その父親が辿る昭和の歴史を生々しく描いている。戦争回避に奔走する軍人竹田、金沢で凌ぎをけずるヤクザの矢野、女性解放を謳う群青の編集者森村タキ、夢を叶うべく野心を抱いて大陸へ渡った譲二、この4人が主人公。其々の視点から日本や中国、アメリカを見ているので重厚で息が詰まる程リアル。日本史で学ばされた丸覚えの知識とは全く違う、日常の戦時体制が迫ってくる。多分、2部では彼らの子達の時代への過渡期になるのか、早く読みたくてたまらない。

  • 「昭和」という元号だけ見るとそれほど昔ではないはずなのに、今とはまるで違う空気感に100年の変化を強く意識する。第一部は昭和初期の戦前期が舞台になっている。

    都市部と農村部の貧富の差、満州内での力の偏りが日常を通して描かれているのが興味深い。

    また、直接的に詳しく描かれることはないが、この当時は天皇が現人神であることを考慮すると、右派か左派の極端さは当然のことだったのだろうか。そんなことを想像しつつも、思想に対して取り締まる殺伐とした日常は、度合いは違えど今の世のSNSの一部の日常に近いのかも、なんて考えてしまう。さすがに発展しすぎか?

    自国に都合が良いように相手国に押し付ける一方的な相互理解の無さや、理解し合えないことによる衝突がエスカレートして武力行使に繋がっていく。戦争反対、大国に挑んでも勝てない、と言うと非国民とされるピリピリした空気が読み進めるほどに増してくる。でも、皇国ならなんとかできるという思想が蔓延する空気も読み進めるほどに増してくる。とてもじゃないが呑気には生きていけなさそう。

    軍の佐官、ヤクザの親分、編集者、興行主とまるで環境の違う4人の視点で進んでいくが、少しずつ接点も出てきてどんどん引き込まれていく。それぞれに昭和元年生まれの子供たちがいて、第二部からはきっと子供たちの視点で進んでいくのだろう。

    この先の戦中と戦後の昭和もとても気になる。

  • 1部は昭和元年から第二次世界大戦勃発まで。
    満州移住、女性解放運動、ヤクザから右翼、軍人と異職のそれぞれの家族とその子供のこれは大河小説か。1部は親の世代だから2部で子供世代になりそう。

    戦争を知らない世代なので当時の雰囲気は伝わります。情報統制してあの頃の日本は現在のどこぞの国よりも恐ろしい。

  • 戦前から始まる物語。めちゃくちゃ面白かったです!
    4人の主人公がいて、住む場所や職業や性別からその時代背景を描く。
    勉強にもなるし読んでいてとても楽しかった。
    私が特に応援していたのは森村タキさんという女性の主人公。女性は参政権もなく弱い立場であるところからもがいて頑張って未来へ繋げていく姿勢がカッコイイ。

    そして第二部はその子どもたちへ。
    まるでドラゴンボールだ…次回作が楽しみでしかない!

  • 『小説現代』2015.5〜2017.7

    たった一週間しかなかった昭和元年生まれの四人をめぐる三部作の第一部。

    第一部はその親の世代中心の話。
    リベラルな陸軍の軍人、金沢のヤクザ、左翼の婦人運動家、満州のミュージシャンの四家族の動向が交互に語られる。まだ、四家族の交流はないが、ところどころで、すでに、この四家族が少しだけ知らず知らずのうちにかかわっていたりする。

    まるで教科書で習ったような事柄が次々に起こり、歴史の勉強にもなった。

    ただ、ヤクザの親分の金沢弁、すごく違和感がある。方言の事典でも見て適当に置き換えているのでは?(毎回、同じような感想を書き込んでいるな、私。小説と割り切ってスルーするのが大人なのかもしれないが。テレビのドラマなどでは方言指導の人がいるのに、本だとそれはないのだろうか?地元の人にチェックしてもらうとか。)

    また、最近よく思うのは、この本に限らず、簡単な地名にルビが振られているところ。北海道とか石川県とか、奈良とか銀座とか読めない人がいるとは思えない。人名には必要だと思うけど。
    ルビで思い出したけど、小学校しか出ていないヤクザの親分が、新聞の漢字を読めない、というところ。昔の新聞には総ルビが振ってあったイメージがあるけど、違うのかなあ。

    (本の内容からかなり逸脱した感想ばかりになってしまった。とりあえず第二部に進みます。)

    追記: 戦況の悪化に伴って、物資が不足するようになり、紙も不足したため、「総ルビ」から難解な語句のみにルビを振る「パラルビ」に変わった、またルビがあっても読解力がなくて読めない人もいた、とAIが教えてくれました。

  • 厚く内容も濃くて読み応えがあった。大正15年12月25日未明から昭和16年までが描かれている。陸軍少佐の竹田耕三、金沢の博徒の親分の矢野辰一、婦人雑誌の編集者の森村タキ、中国大連のジャズ楽団キャプテンの五十嵐譲二の全く違う人生を歩む男女4人目線でそれぞれ描かれていて、その違いや背景が興味深く面白い。最初は1番苦手かと思ってた辰一の生き様が実は読んでて1番好きかもと思えるくらい漢気が強く楽しんで読めた。あまりに激動の日々で2部からしんどそうだけど、それぞれの4人の子供たちがこの先どう生きていくのか楽しみ。

  • 感想
    昔の時代は、共産主義はどうかと思うが、警察も資本家側に立って腐敗してるから結構めちゃくちゃだな。

    どこかのアジアの国みたい。。。

    絶頂期から転落へ。激動の時代は何が起こるか分からない。

    最初は登場人物が多いから、読むのに苦労したが、これだけ壮大な物語でそれを交錯させていく構成力がすごいな。


    あらすじ
    大正天皇が崩御し、昭和が始まる頃、男子が生まれなかった竹田家に志郎が生まれる。同じ頃、ヤクザの矢野家に四男の四郎が、森村家にノラが生まれる。

    竹田耕三は陸軍で少佐をやっており、軍部内の争いの予感を感じていた。金沢のヤクザである矢野は市議会議員選で相手候補を蹴落とし、応援者を当選させる。森村タキは、群青という雑誌で編集者をやり、女性の参政権獲得に向けて活動していた。大連ではバンドマンの譲二は黒人のジャズバンドを呼び、興行を成功させる。

    耕三は陸軍省中佐として奉天の張作霖爆破事件を調査しに行く。関東軍の自作自演だったが、軍は不問とすることに疑問を抱く。矢野は金沢で起きた工場労働者のストを抑えるべく、ストを扇動していたものを懲らしめて、ストを抑える。タキは金沢のストに失敗した加代を住まわせ、その後も自分の稼ぎ目当てに寄生する者が増えてイラついていた。女性を応援する議員の山本に傾倒するも山本は右翼の者に殺害される。ストレスが溜まり、妹に相談してノラを里子に出す。

    耕三は陸軍省の一朝会が右翼とクーデターを目論んでいる情報を掴み、上層部に報告するが揉み消される。矢野は衆議院に頼まれて労働組合の解体を請け負っていた。小作農の組合解体を頼まれて出向く。タキはロシアから金を受け取り、モスクワを目指して旅をする。途中、奉天で譲二に救われる。そのうち柳条湖事件が起こり、関東軍が勝手に暴走し始める。譲二の商売は上がったりになるかと思われたが、満鉄の平山から溥儀を紹介される。

    耕三は一朝会に対抗すべく、五日会を作り、賛同者を集める。タツイチは、政治家に頼まれて気付けば大日本菊友会の支部理事となる。タキは、共産主義として特高にマークされていた。教会の牧師と知り合う。譲二はダンスホールを経営し、上手く行っていたがアメリカから呼び寄せた楽団にスパイが混じっており、興行が失敗する。

    耕三はアメリカから来た記者に嵌められ、憲兵に捕まる。ヤノタツは、北陸で頼られる存在になったが、タキの夫の安治に銃で撃たれる。タキは安治と別れて、牧師の池辺と結婚する。譲二は平山から満州の良さを伝える映画の依頼を受けて、人々の暮らしを撮影する。

    耕三は一時的に広島に左遷される。その時、二二六事件が起きて騒然とする。その後、東京へ戻るが軍国化が進んでいた。ヤノタツは、あれよという間に菊友会の会長になり、東京に移り住む。タキは軍国化が進中で、加代が法を犯し、その連座で逮捕される。譲二は平山に従って阿片密輸の片棒を担がされていた。

    耕三は国家総動員法が可決され、閑職へ追いやられる。中国との戦争を止めるため、フリーメイソンの伝手をたどる。タキは、加代に手を貸したとして収監されるが、匿名の夫人の働きにより釈放される。

    耕三はワシントンで日米の戦争回避に動くが、日本が真珠湾を攻撃したと聞いてびっくりする。ヤノタツは金沢に帰り、朝鮮村の出先でヤクザの宮田に襲われて命を落とす。タキは、平穏に暮らしていたが、加代が反戦を訴えて逮捕されると、自分も反戦を訴えて逮捕される。譲二は、戦争が始まり、締め付けが厳しくなってきたことにウンザリしつつ、会社の存続に力を注ぐ。

  • 『危険なのは全員が同じ方向を向くことである』耕三
    「関係あるか。おのれが香林坊をしめるんじゃ」矢野辰
    『譲二は覚悟を決めた。この男たちに逆らえば、自分は満州では生きていけない』

    「みなさん、戦争に反対しましょう!」タキは第一声を発した。「戦争は外交の放棄です!」

    たった7日しかなかった昭和元年に生まれた四郎、志郎、満、ノラの四人の親たちの世代
    どんどん戦争へと向かっていく。わかっているけれど読み進めるのがつらかった

    でも香林坊に開店したパチンコ店、愛宕の話など、金沢の昔の話も多く、よかった

  • 昭和元年、1926年12月25日から31日までの7日間、その間に東京、金沢、満州の大連で男の子が生まれた。さらにもう一人東京でも未婚の子として女の子が生まれた。その4人の子が育つのは『昭和』。時代のうねりの中でこれからこの4人はどう育っていくのか。昭和の大河小説が始まる。

    この4人、父親は陸軍少佐、博徒、大連でのジャズ奏者、母親は左系雑誌編集者。第一部では昭和元年から昭和16年12月8日までが描かれる。それぞれの境遇で、親の職業により育つ環境は大きく異なる。奥田氏の小説「最悪」や「邪魔」、「無理」などでは何人か登場する人物が平行な人生を辿りながら、ある一点で交わる。はたしてこの「普天を我が手に」の4人はどう交差していくのか。

    第一部はこの4人の親の人生が描かれるが、柳条湖事件、226事件、首相や軍人、歴史上の出来事と、フィクションをうまくからませながら物語は進む。このからませ具合がとても上手で、しかも歴史的事件の結果が分かっているだけに、ああ、教科書に出てくるこういう出来事の背後に、一人ひとりの人生があって、喜び、悲しみ、くやしさ、もどかしさ、抵抗、あきらめ、いろんな感情があったんだなあ、と改めて感じ入る。まさに小説を読む醍醐味。

    そして子供たちは小学生の頃、知らずに出会っている。この場面にうふふ、となってしまった。・・しかし4人ともできのいい子なのだなあ。

    竹田志郎:陸軍少佐にして岩井財閥の三男を父に、麴町区四番町で生まれる。姉3人のあとの待望の男子。父の転勤で広島、ワシントンでも育つ。父は陸軍の中では視野が広い。

    矢野四郎:金沢の実業家とその会社の女工との間の子。実母は出産とともに死に、実業家の用心棒で博徒の矢野辰一は自分の子として育てる。辰一は博徒ながら右翼の一翼に祭り上げられる。が庶民の感覚で世界を理解している。

    森村ノラ:母のタキは進歩的雑誌「群青」の編集者。父は社会運動家だが家庭には無頓着。タキは私生児として育てる。「群青」は平塚雷鳥の「青踏」、タキは伊藤野枝を参考にしていると思わせるが、時代もずれている。あくまで参考ということなのだろう。ノラちゃんも大変に優秀。

    五十嵐満:父の譲二は慶応大を出て商社に勤め結婚もしたが、ジャズに夢中になり家族も職も失い、再婚して1年ほど前に大連に。満は31日に生まれ、満州の満をとって満と名付けられる。満は学業はだめだが楽器や踊りに秀でる。譲二の周りには満鉄やあやしげな人物たちが渦巻く。ニアミスで張学良、甘粕大尉、はては愛新覚羅溥儀まで出てくる。


    「小説現代」2015.5月号~2017.7月号

    2025.6.16第1刷 図書館

    ウィキ
    1926年(大正15年)12月25日、午前1時25分、大正天皇が崩御し、同日に皇太子(摂政宮)裕仁親王の践祚を受けて直ちに改元の詔書が公布されて昭和に即日改元し、1926年の最後の1週間だけが昭和元年となった(西暦の1926年12月25日は、大正15年であり昭和元年でもある)

全159件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奥田英朗の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×