わたし、わかんない

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 講談社 (2025年4月23日発売)
3.48
  • (5)
  • (6)
  • (10)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 176
感想 : 16
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784065389522

作品紹介・あらすじ

「ここはいやだとおもう気もち、わたし、ちょっとだけわかる。」野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化賞大賞、IBBYオナーリスト賞など数々の賞を受賞する岩瀬成子氏の最新長編作品。

校舎を見上げると、二階の窓から女の子が体を半分のりだして、いまにも飛びおりようとしていた。またあの子だ。
〈あー〉
声にはださずにさけぶ。
〈飛んじゃだめ〉
髪に黄色いリボンをむすんでいるその子にむかってさけぶ。ーー

学校で、みんなのなかにまじりこんでいるとおもっていても、気がついたら、いつもみんなの外にいる。

校舎からでて、ふりむいた。そして、あの二階の窓を見あげた。窓はあいているけれど、あの女の子のすがたはなかった。
ーーー

「そんとき、いやだ、いやだ、いやだ、って声が体のなかからきこえたんだ。その言葉がわたしの体をぐるぐるまきにしているのがわかったの」
「ぼくね、中ちゃんのそういうとこ、うらやましいよ。ぼくだって、いやだなあっておもうことはあるよ。だけど、どうしても、いわれたとおりにしてしまうんだ」


本文より。

あらすじ
教室で「わかんない」といつも答えてしまうから学校で「わかんないちゃん」と呼ばれている少女の中はいつも学校の校門へ着くと、大きなため息をつく。
校舎をみあげると二階の窓から女の子が体をのりだして、いまにも飛び降りようとしているのだ。でも、目をつぶって二階をもう一度見ると窓はしまっている。

ある日、犯罪研究に興味があるという仲良しの幼馴染のセンくんから、近所であやしい動きをしている人を見つけ、中も一緒に見張り調査をすることに。

わからないことを抱えて生きる子ども達、大人達がそれぞれのいるべき場所と答えを探していく。

装画は日本絵本賞、講談社出版文化賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、オランダ銀の石筆賞など受賞の酒井駒子氏。

みんなの感想まとめ

わからないことを抱えながら生きる子どもたちの心の葛藤を描いた作品は、主人公の少女が学校での疎外感や家庭の複雑さに悩む姿を通して、読者に共感を呼び起こします。彼女は「わかんない」と答えることで周囲から笑...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 小4の中は、両親が別居した為、今はハハと2人暮らし。
    隣りに住んでいる一つ上のセンくんと学校へ行くけれど、本当は行きたくない。
    いやだ、いやだと思うからなのか学校はつまらない。
    いろんなこと考えているけどわからないことは、わからないと言うからみんなに笑われる。

    わからないことの多い中だけどちゃんとハハと話をするし、チチとも話をする。
    ハハに悩みを言う特丸さんとの会話も聞く。
    センくんと助けたお爺さんの息子の話も聞く。
    大人の話を聞くことで、自分なりに何をしたいかを考えていくのだろう。
    大人になってもわからないことはたくさんある。
    それをわからないと言えるのか、わからないまま放ったらかしにするのか、大人だからそれは自由にするのかもしれない。



  • 【予告】2025年3月15日、岩瀬成子さん講演会開催決定! | 教文館ナルニア国
    https://x.gd/0lEda

    「わたしとあなたとみんなの関係」 人間関係とメンタルな健康について考えるための本|じんぶん堂 2023.03.27
    https://book.asahi.com/jinbun/article/14868017

    岩瀬 成子(作品一覧・著者プロフィール) | 絵本ナビ:レビュー・通販
    https://www.ehonnavi.net/author.asp?n=6628

    酒井 駒子(作品一覧・著者プロフィール) | 絵本ナビ:レビュー・通販
    https://www.ehonnavi.net/author.asp?n=653

    藝大人たち | 第七回 酒井駒子 | 東京藝術大学 2021年11月25日
    https://www.geidai.ac.jp/container/column/geidaibito_007

    わたし、わかんない 岩瀬 成子(著/文) - 講談社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065389522

  • うちの娘も何を聞いても「わかんない」というので、そんな彼女に読んでもらいたいのと、私も彼女を理解したいと読んだ一冊
    主人公の中ちゃんのお母さんがきちんと娘の気持ちを受け止めてて反省
    小4の子なので、がっぷり四つというわけじゃないけど言葉の選び方が優しくてさすが童話作家
    小学生が学校に行きたくない気持ちがすこーしだけ分かった気がする
    最後に中は自分であることを決めるんだけど、居心地良く自分らしくいられる場所を探して選ぶって大人でもなかなかできないことなので、これからの毎日を伸びやかに過ごしてほしいなと娘に重ねて思う

  • 酒井駒子さんのイラストも美麗。この本の苦しさは児童よりも大人に刺さりそうだ。

  • チチとハハは別居した。
    チチは生まれ育った王子島に帰って喫茶店を開くことにし、ハハは童話作家の仕事を続けながらも、新聞記者として働き始めた。
    となりに住んでいるセンくんは一つ年上の五年生で、毎朝一緒に登校する。学校は行きたくない。たくさん考えて考えて、考えた先に出てきた「わたし、わかんないです」を言うと、先生は困った顔をするしみんなはわかんないちゃんって言う。

    装画:酒井駒子


    表紙の女の子、主人公中(ナカ)ちゃんの絵の雰囲気からか、このお話を読んでいる間ずっと、ジトっとして薄暗いイメージを持ち続けていました。
    お父さんとお母さんが別居するということは、主人公にとってとても大きな事件なはずなのに、そのことについては大きくは触れられず日常が続いていく、その中で小さな、事件と言えるかどうかも分からない、もしかしたら大きな事件になり得るかもしれないことが日常の延長上に起こったり、学校に馴染めないでいる居心地の悪さが描かれたり、読んでいてなんだか得体の知れない物が背後に蠢いているような気持ちになりました。
    学校の先生にとって主人公は賢いけれど困った子。先生が期待する言葉を言えない子、きっと先生からすると言ってくれそうに思えるから当てるのだろうなと思いました。でもそう一筋縄ではいかない主人公を持て余してしまっている最中に思えました。
    その子が、浮いた存在になってしまう初期の状態が描かれているなと感じました。
    残り数ページだけどこれどうなっちゃうの?どういうエンディングを迎えるの?と半ばサスペンスやホラーでも読んでいるようなハラハラした気持ちで読んでいたところ、あっさりスッと幕が引かれて驚きました。ここで終わり??と。でも、ずっと、わかんないって思い続けてきた主人公が一つの大きな決断をしたことで、ほんの少しだけホッとしました。この子の行く末は「わかんない」けれど、小さな身体でぐるぐると考え巡らせていることを根気よく聞いて共感してくれる人が現れるといいなと思いました。

    巻末、作者の別の本ですが江國香織さんがコメントされていて、確かに江國香織さんが好きそうな文章だと妙に納得してしまいました。

    決して好みの文章や内容ではないけれど、なぜか読んでしまうし、読後頭に残ってしまうお話でした。
    好みではないというか、没入してしまい、この仄暗さに引き摺られてしまいそうだから苦手なのだろうなと思います。
    そして何より苦手だなと思う所以は、このお話は小学生中学年の女の子が主人公ですが、大人に向けて描かれているような感覚になるからです。これについては、作者の本を読むのが初めてなので、他の作品も読んだ上でもう一度考えたいと思います。

    追記:初めてではなかったです、同時期に『ぼくのねこポー』を読んでいました。二作読み比べて、やはりこちらは若干大人向けに書かれているようにも思えましたし、こういうお話を好んで読む、江國香織さんの子どもの頃のような小学四年生の女の子もいるかもしれない、そこへ向けて描かれたようにも思えました。

  • わからないことをわからないと言える人は実は幸せなんじゃないだろうか。
    大人の言っていることに矛盾を感じつつも、「わかんない」とはいえずにわかったふりをしてしまう子どもだった。大人になった今もその気がある私はそう思った。
    わかったふりをしたり、言われるままに行動したりして一見そつなく過ごしてしまうのだ。

    「わかんない」と言ってしまうことで「わかんないちゃん」と呼ばれ揶揄される子どもの物語。
    「わかんない」ときちんと言える強さがうらやましく思えた。
    わかんないことをわかんないままにして、適当にやり過ごしていくのは実はラクだけれど、わかんないことを1つずつクリアして一歩ずつ進んでいく方が絶対いい。
    「わかんない」に時間をかけて向かい合える社会ならいいのにね。

  • 子供新聞で紹介されていた。

  • 2026.6.14市立図書館
    今年の産経児童出版文化賞を受賞した本9冊の中から興味を持ったので、借りてみた。(その2)

    主人公は4年生の女の子。童話作家兼新聞記者の母と住んでて、父はちょっと前から別居で故郷の島で喫茶店をひらく準備中。一癖ある幼馴染の5年生の男の子や母の職場の同僚も含め、みんなが自分の居場所やありかたをさぐっているという物語。学校という場からはみだして、疎外感をかかえ、父と母の別居をひそかに憂い、それでも自分なりに気持ちに折り合いをつけ「わかんない」をかかえながらなんとか毎日生きてる主人公の姿にも、考えた末に別居を選んだ両親のいうことにもちょっと親近感を覚えた。

    岩瀬成子さんの作品ははじめて読んだ。
    巻末に他の作品の書影があって、それも酒井駒子さんの装画だったので、もうすこしいろいろ手にとってみたい。

  • そう、これだよ。
    言葉にならない思いとか、今この現実はすべてうそで固められた感じ。
    こういうことを深く考えたくなくて、もやもやという言葉で済ませていたり、考えないようにしたりしていた。
    岩瀬さんはそういう思いをしっかり表現されているし、その思いとゆっくりでいいからちゃんと向き合い続けることを描いているんだと思った。
     
    そして、中ちゃんと母の会話がすごくいい。お母さんがすべてを包みこんでくれて中ちゃんが安心する。
    最後に中ちゃんが自分で決めて一歩進むことができて、本当によい終わりでよかった。

    実は途中で挫折しそうだった。課題図書だからというなかば任務で読み進めた。挫折しそうだったのは、ちゃんと言葉にならなくても向き合うことから逃げている自分の表れだな。今は全部読んでよかったと思っている。

  • 2026年4月16日 図書館
    心情の描写が多くキャラクターが分かりやすい

  • 岩瀬さんの作品は、こころの奥にずっとある。大切なおまもりのようでもあるし、静かに抵抗するための力のようでもある。

  • 桜林直子さんの、「つまり、“生きづらい”ってなんなのさ?」と併行して読んでいるのだけど、
    まさに、中とセンくんが、
    「社会に合わせられない生きづらさと、社会にあわせられるがゆえの生きづらさ」の例だなと思って、納得してしまった。
    私は後者だけど、同じものさしで相手の辛さをわかったつもりになってはいけないなと思った。

  • 学校があまり好きではない中、ちょっと風変わりなセンくんという友だちがいる。
    ふたりでちょっと怪しげな人のあとをつけたりしている。
    中は自分にとっても正直で、分からないことは分からないとはっきり言う。だからクラスでは「わかんないちゃん」と呼ぼれてしまう。
    将来何になりたい?と聞かれても、色々考えてしまって分からなくなってしまう。
    正直な子どもではあるが、ちょっと変わっている。
    対してセンくんは大人が期待する答えを言う子ども、でも本人はそれを打ち破りたい。
    こんな中とその周りの大人達が絡んで話は展開していく。
    両親は考え方に相違が出てきて別居。
    母親の職場の同僚はフワフワした地に足をつけようとしない大人。
    そして怪しげな男の人が結果的に中の気持ちを動かす。
    中は一般的な大人にとってはめんどくさい子ども、でも自分の頭で色々考え、納得出来るまで動こうとしないのは良いことなのでは。

    我が家にも何でも「何で」と聞く子どもがいる。
    算数の法則でも、言葉の意味なんかについても「何で」と聞いてくる。
    彼は一つ一つ意味を理解しないと前へ進めない子どもなんだ、と最近思えてきた。
    中のようにもしかしたら深く考えすぎたわからなくなっているのだろうか?
    それともただ何もかもがわからないだけなんだろうか?
    この話を読んでいで改めて身近な子どものことを考てみようと思った。

    窓から覗いていた女の子は中自身なのかなあ。

  • あれ?これ、読んだっけ?と、思ったら、ひみつの犬と、よく似ている。
    主人公にモヤモヤしたり、今の子供から少しずれているような、大人がリアルでないような…気がした。

  • 「わからない」ことを肯定的に見つめる物語。固定観念を優しくほぐしてくれる作品でした。とてもよかったです。

全15件中 1 - 15件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1950年、山口県生まれ。
『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞、『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で小学館文学賞と産経児童出版文化賞、『ステゴザウルス』と『迷い鳥とぶ』の2作で路傍の石文学賞、『そのぬくもりはきえない』で日本児童文学者協会賞、『あたらしい子がきて』で野間児童文芸賞、『きみは知らないほうがいい』で産経児童出版文化賞大賞、『もうひとつの曲がり角』で坪田譲治文学賞を受賞。そのほかの作品に、『まつりちゃん』『ピース・ヴィレッジ』『地図を広げて』『わたしのあのこあのこのわたし』『ひみつの犬』などがある。

「2023年 『真昼のユウレイたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩瀬成子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×