新しい階級社会 最新データが明かす<格差拡大の果て> (講談社現代新書)

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  • 講談社 (2025年6月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784065399033

作品紹介・あらすじ

「中流幻想」ははるか彼方の過去の夢。1980年前後に始まった日本社会の格差拡大は、もはや後戻りができないまでに固定化され、いまや「新しい階級社会」が成立した。前著『新・日本の階級社会』により、日本社会の実態を客観的な調査データに基づいて明らかにしてみせた著者が、2022年の新たな調査を元に提示する衝撃の第2弾。

みんなの感想まとめ

日本社会の階級構造と格差の拡大を、最新の調査データに基づいて明らかにする本書は、格差問題に対する深い洞察を提供しています。著者は、社会を五つの階級に分け、特に「アンダークラス」の実態とその要因を詳しく...

感想・レビュー・書評

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  •  東京一極集中が進むのと同時に、すべての地域で格差社会が進行している。資本主義というのはもともと格差を拡大していく社会なのだけれど、労働の生産性が伸びなくなって、資産の生産性が労働の生産性を超過する時代が続けば、当然持てるものはますます富むし、持たざる者はいくら働いても這い上がれないのだ。この構造については、すでに多くのデータが示されているので、アンケートのデータを示されてもあまり新鮮な驚きはなかった。どうすればいいのかということについて、トマ・ピケティみたいに追求することが大切だと思いました。

  •  著者を中心とした研究グループの大々的なアンケート調査をもとに、日本の社会が5つの階級に分けられて詳しく分析されている。特に「アンダークラス」になる要因、現状などのデータを示し、階級間の経済格差はもはや無視しえないほどに進んでいることを明らかにする。また、どの階級でも依然として女性の置かれている立場は厳しいという分析は、日本ではLGBT以前にまだまだ男女差別自体が構造的に解消されていないことを物語っており、興味深い。
     ただし、いかんせん、データの開示と分析が主で、率直に言って大半は退屈である。詳細なデータの開示と分析は別に論文として公表し、本書ではその結果とこれに基づく著者の見解を示す、という方が一般にも受けた気がする。

     本書の肝は、格差拡大への警鐘のみにあるのではなく、政治意識による日本人の類型化と、格差解消のための政治体制の提言にあると思われる。
     格差はやむをえないし、自己責任から所得再配分に反対という「新自由主義右翼」の層が一定数いるものの、実は「リベラル」と「伝統保守」の層の大半は、共に格差拡大を問題視し、再配分にも理解を示す点で共通している。伝統的な保革対立の陰に隠れた「格差縮小」では、リベラルと伝統保守とは同じ価値観を持っている。それゆえ、リベラルと伝統保守との2大政治体制が実現すれば、格差縮小をめざす健全な政治社会が実現する、とされている。希望的観測すぎるとも思うが、この最後の著者の主張には個人的に共感できる部分が少なくない(伝統保守への見方も変わった)。
     とはいえ、本書の刊行後には、本音は新自由主義右翼とも思われる高市首相が誕生した。高市政権のもとで格差がさらに放置され拡大されるのか、それとも、自民党内または野党の伝統保守とリベラルが巻き返すのか。「格差」を念頭に置いて、今後の政治体制を見ていきたい。この点で、本書は示唆深かった。

  • 自分の暮らす社会の現状は、大雑把でもいいので把握しておきたいものだ。その点で本書は、格差拡大の現状分析、各階層の意識を知る良いきっかけを与えてくれる。

    「格差拡大は社会に対して多くの弊害をもたらす」
    自由競争の社会で自らの弛みない努力の結果、富を得ることは良くないことなのか?
    過度な競争主義は徒に格差拡大を加速させるのか?
    社会はどうあればよいのか?
    考えることが沢山ありそうだ。

    本書は、日本社会における階級構造の固定化と格差の拡大を、独自の調査データ(東京、名古屋、大阪の20から69歳の住民約4万人)をもとに明らかにし、日本の社会がどのような方向に進むべきかを問いかける。

    この調査データ、質問に対する回答に対し、さまざまな角度から分析している。年収とか金融資産の残高とか自分はどの辺なのかとついつい数字を見て、安心したり、不安になったりする。
    やはり人は、悲しいかな同世代の中でどの辺に位置しているのか、とても気になると思う。幸福の度合いは絶対的水準があるのではなく、相対的なもの、つまり、あの人より多い、上だと思う意識何だろうと思ってしまう。(この辺の記載は本文とはあまり関係ない)

    格差拡大は多くの社会的弊害がある。貧困層が拡大し、多くくの人が困難な人生を強いられる。教育の格差、そして命の格差が生み出される。社会保障支出は増大し、国家は財政危機に陥る。消費が伸び悩み、景気は低迷する。社会から連帯感が失われ、人々の社会活動への参加が減少し、犯罪が増加する。こして社会が病んでいく…

    所得再配分だけでは最終的な問題解決にならない。格差拡大の背景にある階級構造を一変させる必要がある。

    ここはやはり政治の力が必要なんだろうな。選挙を前にバラマキ政策だけが横行する現状を鑑みるにやるせない気持ちになるのは僕だけなんだろうか。

    失礼ながら日本の政治家の皆さんに是非とも読んでもらいたい1冊。

  • 橋本健二氏による新しい階級社会論。アンダークラスの存在を明確に定義し、日本が格差社会に陥っていることに問題提起するとともに、本来少数派であるはずの新自由主義右翼に政策的な主導権を握られてきた15年程度の期間にその傾向が強化されたとする。
    本書のリーチは昨年2024年の衆議院議員選挙までで今年2025年夏の参政党の躍進は視野に入っていないけれど、去年の傾向が明示的に示されたのが今年の参議院選挙とすれば概ねその端緒は示されていると言えるだろう。すなわち、石破政権によるリベラル・伝統的保守へのシフトにより安倍政権以来の岩盤右翼層が離れ、保守党・参政党へシフトした結果、自民党が過半数割れに追い込まれたとする。加えて、本来リベラル色の強い公明党が連立政権にいたため、自民党が新自由主義右翼へシフトしたという分析は興味深く、この20年以上続く自公政権の功罪を考える際にも重要な観点だろう。
    一方で、新自由主義右翼の解像度はそこまで上がっていないように思われる。本書は資本家階級、新中間層、正社員、アンダークラス、旧中間階層とするが、資本家階級でやや新自由主義右翼が多いとはいえ、各層に散っている。このクラスターが上手く政治思想を捉えられていないことを示しているように思えるのだがどうか。追加的な論考が待たれる。

  • データを基に分析が進められていくが、大きな驚きはなかった。

  • 何かでアンダークラスについて目か耳にして興味を持ってこの本を手に取った。

    ベトナムのハノイにいる間に読んでいたんだけど、国全体がエネルギッシュで、働けば報われるような空気に包まれたベトナムで、枯れてしまった日本についてのこの本を読んでいるのは複雑な感慨があった。

    この本で一番印象に残ったのは、我々は資本主義的企業で仕事をして生きている限り搾取は免れず、これが資本主義の本質でもある、だがこれまではそれでも労働力の再生産に向けるだけの収入は得られていた - これつまり、自分を癒すためだったり次の世代を残したりする再生産 - のだけど、アンダークラスにおいては再生産は行われず、家族を形成せず、子を産み育てない。アンダークラスのあとには何も残らない、という点。これは恐ろしいことだ。

    本書は常にデータを元にした分析手法を用いて我々の社会の現状がどうなっているかを説いていく。まず階級の定義なわけだが、資本主義的企業の領域には資本家階級、新中間階級、正規労働者階級、アンダークラスが含まれていてピラミッド状に構成されている。そしてその脇に自営業者の領域に含まれる旧中間階級がいる、ということらしい。この定義を押さえておかないとこの本は読み進まないので要注意だ。資本家階級は経営者や役員ということだが、中小零細企業の経営者も含むのでどうも言葉のイメージと実態は違いそうで、雇われ人ではない、ということが大きな違いのようだ。新中間階級は専門的知識や組織の管理運営をする人たちで、読者の俺も著者の大学教授もここに含まれるのだろう。その下にある正規労働者階級は販売・サービス・建築などの領域。その下に位置するのがパート主婦以外の非正規労働者、これがアンダークラスである。

    様々な角度からデータを分析して、例えばアンダークラスの孤立、階級は世代間で継承されるのか、などとても興味深く、驚くような分析もあれば、そりゃそうだよなあと感覚に即すものもあった。本書はさらにはジェンダーの格差、新型コロナの影響、そしてそれぞれの人たちの政治意識にまで切り込んでいき、視野の広さと視点の公平さ、データを尊重する姿勢には好感を持ったし、とても読み応えがあった。

    また、政治意識の分析では貧困自己責任論を支持するような新自由主義右翼にはある程度収入があり学歴もあり、そういう人たちほどこぼれ落ちた人たちに苛烈であるというのは衝撃的だった。また彼らは自民党を支持する傾向が強く、自民党の近年の政策は彼らに寄せたものだったという分析にも驚いた。

    とは言えこれを読みながら、ああ俺はこのどの層のどの平均と比べても勝った立ち位置にいるし、客観的にこんな本を読めるような余裕があってよかったよなあ、とは頭のどこかで常に考えていたと思う。個人的には困窮した人たちはどんなことがあろうとも国に助けられるべきだと思うし、所得の再配分には賛成だと思う。そうしないと本当にこの本の言うように我が国の社会は持続可能ではなくなると思う。

  • 斜め読みしていたが、途中でギブアップ。

  • 新しい階級社会というテーマはキャッチーだったのだが、統計情報とその解説の羅列という感じの本だったので、結局何が言いたいのかよくわからなかった。
    階級を資本家階級、親中間階級、正規労働者階級、アンダークラス、旧中間階級について色々な切り口で分析されている。
    労働者が生み出す労働力の価値と剰余価値を資本家が受取り、労働者には労働が生み出す価値のみを還元するので資本家に富が集まりやすいという話や、いままでは労働者にも次世代の再生産の分までの賃金を与えてきたが、今は次世代の再生産分は与えないこと、また、アンダークラスは政治に興味がないというデータも面白かった。

  • 正直、あまり良い印象は持てませんでした。
    新自由主義やアンダークラスといった分類について、著者が勝手に階級を決めているように感じたからです。

    確かに、中流階級が減り格差が広がっているという点は理解できます。しかし、それによって社会の持続性が失われていくという主張には、私にはあまり実感が持てませんでした。

    データ自体は新しいものが使われているのに、そこから導かれる考え方はどこか古い印象を受けました。

  • 割としっかり言い切ってて大丈夫かな?って感じの新書。例えばアンダークラスはもう子供を持たないからアンダークラスじゃない人たちの子供が次世代のアンダークラスになるみたいな話とかはそこまで極端なのか?ってなんか実感とは乖離してるなといった感じ。もちろん女性がずっと調査から消されていたこととか、女性シングルのアンダークラスになりやすさとか、そういう側面があるのもわかるんだけどあまりにもそればっかりになってない?!ってちょっと疑問に思った。

  • 現代日本社会の階級を六種類に分けて、さまざまな調査データを紹介していく。

    六種類というのは、資本家、新中間階級、旧中間階級、正規労働者階級、パート主婦、アンダークラス、の六つである。
    平たく説明すると、新中間階級は管理職や専門職であり、旧中間階級は自営業者である。正規労働者階級は正規雇用だが平社員、アンダークラスは非正規雇用者である。

    本書では主にアンダークラスについて、特に詳しく触れられることが多い。これはきわめて現代的な(とはいえ本書によると80年代以降の現象なのだが)事象だからである。
    なお、アンダークラスの出現は先進国において起きていることであり、「アンダークラス」という呼称は英米で使われているらしい。国によっては差別的なニュアンスがまとわりつくことを回避するために、もっとマイルドな呼称がされているらしいが、本書では単刀直入でイメージしやすい、という理由で「アンダークラス」を使っている。

    本書の調査結果自体に驚くようなものはないと思う。おそらく、上に挙げた階級への直感的な印象を裏付ける以上の意味はない。

    本書のメッセージとして重要な点は、格差の拡大は議論の余地なく問題である、という点だろう。

    現代の資本主義においてアンダークラスの人材は必要である。契約社員やアルバイトがいないと成り立たない会社など、誰でもいくらでも思いつくだろう。
    しかしアンダークラスは再生産されない。再生産されない、というのは結婚ができない=子どもを持てない、という意味である。なぜならアンダークラスへの賃金にそんな余裕はないからだ。
    ということは、アンダークラスの人材は他の階級の子どもから補充するしかないのである。つまりアンダークラスはすべての階級において他人事ではない、ということだ。

    ちなみに本書内でも調査されているが、Aの階級の親ならAの階級の子になりやすい、というのは部分的な事実である。階級の移動はそれなりに起こる。


    本書内で、この本の読者は新中間階級が主だろうといったことが書いてある。たぶんそうなんだろう。しかし、アンダークラスも他人事ではないことが本書を読めばわかると思う。

  • アンダークラスは悲惨。参政党やその他の愛国さん達を媒介にして、アンダークラスな人たちが排斥デモに興じる一方、高市総裁を歓迎する、ブルシットな資本家階級のヤツらという構図がクリアになる良書。
    もはやこのジャップ社会再生産できなくなってんだから行き詰まるのは早晩…
    ホントTwitterとかで高市歓迎しているクソ経営者のヤツらにB29から焼夷弾落として燃やしてもらいたい。

  • タイトルは『新しい階級社会〜最新データが明かす<格差拡大の果て『>』(橋本健二、講談社現代新書)だけれど、内容は「格差を放置しておくと社会がどう不利益を受けるか」ということ。
    「階級社会」という用語は、実は「社会階層」と混同されているのでなんとなく「身分」など世襲的なイメージを持っている人も多いだろうけれども、社会科学的な言い方では異なるようだ。

    「社会科学的にいえば階級とは、同じような経済的位置を占め、このために同じような労働のあり方、同じような生活水準、同じようなライフスタイルのもとにある人々の集群のことである。そして人々を、格差と利害の対立をはらんだいくつかの階級へと分け隔てるような社会の構造を階級構造といい、このような社会のことを階級社会という」
    (p8「新しい階級社会の到来」)

    いまの日本の政治状況を「格差」の視点から分析できると思わせた良書。いずれポイントをまとめたい。

  • 最初は、格差の固定の話かと思ったら、そうではなくて、アンダークラスの生活が悲惨という話と、男女間の格差の話になり、コロナの影響の話が続き、最後には、政党ごとの支持者の傾向と格差の関係を持ち出し、自民党は、所得再配分については、野党主流派とそう変わらないのに、一部の新自由主義者を取り込むために、政策が右傾化しているという。そして、新自由主義者を集める別の政党が出てくれば、最右翼は自民党を離れてそちらに行くので、自民党は、逆にリベラル陣営との協調をしやすくなるだろうと予測している。
    この本が出たあとの、2015年7月の参院選では、現実に、参政党などの新自由主義政党が躍進したので、この著者の予測が正しければ、自民党は、立憲民主党などとの協調路線に移行するだろうということになるが、果たしてそうなるのか、あるいは逆に、参政党などにより近づく方向に移行するのか、今後の政治の変化が興味深い。

  • 背ラベル:361-ハ

  • 今年最大の衝撃の本でした。

    著者の思想的な思いはさておき、各階級の特徴のデータが秀逸
    総中流意識を否定し、主婦のパートを除いた非正規雇用をアンダークラスという新しい階級と定義しています

    経済的に余裕がなく、結婚ができない、子供が生まれないので、退職を機に他の階級から落ちてくるブラックホールの階級。

    若者の非正規志向の風潮は自業自得でいいのか?同一労働同一賃金はどう実現すればいいか?

    とりあえず、うちの娘たちには正規雇用を続けてほしいと願うばかり

  • 格差についての本。
    前半はなるほどなぁと思うところもあり、特に階級間の動きや比率なんかが読み取れて参考になった。
    自分がどの階級に属しているか、世の中にはどのような階級があるのかがわかった。
    でも、後半の政治と絡めた内容に関しては本当にと思ってしまうというか、もっと複雑なのでは無いだろうかと思ってしまう。
    そもそも階級分けすること自体がナンセンスだよなぁと思っているふしがあるから、参考程度に読む分には良いかも。
    あくまで世の中的な自分の立ち位置を知る書。

    前半の切れ味は良かったが、後半の政治との関係の切れ味はそこまでだった。

  • 「格差が広がると、、?」
    ワーストケースの考察が欲しかったです。あくまでデータに重きを置き、定量的に語ることは信頼できるポイントですが、最後は政治、保守vsリベラルの対立に落ち着いてしまったのが少し残念。格差は助長されるのか?どこかをピークに収束するのか?
    もう少し勉強してみたいと思います。

  • 明確に定義されているわけではないが、はっきりとある格差。階級という言葉に置き換えて、豊富なデータを使って実態が紐解かれている。データやグラフをもとにした話が多く、論文めいた感じを受けるが、なんとなく言われていることが定量的に示されて、なるほどなと思わされる。政治信条的な話が後半多く出てきているが、それと階級の位置付けの関係性についてはそうなのかな?という印象。

  • 日本の階級社会を様々なデータから描いて面白い。
    特に「アンダークラス」(一般的には「ワーキングプア」か)は、家族を形成することは少なく、子孫を残さないから世代継承は無い、との指摘は、なるほど、と思った。
    終わりの方の政治意識の考察が中途半端な気がするのは、著者も記すように、「現在の政党システムが日本人の政治意識の構図とあまりにもずれている」からかも。

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著者プロフィール

橋本 健二(はしもと・けんじ):1959年生まれ。早稲田大学人間科学学術院教授。専門、社会学。

「2023年 『階級とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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